WeChatは、中国のテクノロジー大手テンセント社が開発・運営する世界最大級のマルチプラットフォームメッセージングアプリです。2011年に登場して以来、急速に普及し、現在では中国国内外で広く利用されています。単なるメッセージングツールを超え、決済、ソーシャルメディア、ゲーム、ショッピングなど、多岐にわたる機能を統合した「スーパーアプリ」として知られています。
中国本土では「Weixin（微信）」という名称で提供されており、国外向けには「WeChat」というブランド名が使用されています。両者は基本的な機能は共通していますが、一部のサービスや規制対応において違いがあります。
WeChatの特徴として、音声メッセージ、ビデオ通話、グループチャット、モーメント（SNS機能）などのコミュニケーション機能に加え、WeChat Pay（決済サービス）、ミニプログラム（アプリ内アプリ）、公式アカウント（ビジネス向け機能）など、生活のあらゆる場面で活用できる多様な機能を備えています。
中国では、WeChatは日常生活に欠かせないツールとなっており、ビジネスコミュニケーションや顧客サービス、マーケティング活動にも広く活用されています。また、国際的にも影響力を持つプラットフォームとして、グローバルビジネスの展開や越境ECなどにも重要な役割を果たしています。
目次
WeChat（微信・ウィーチャット）とは
WeChatは、中国の大手インターネットサービス企業テンセント社が運営する世界最大級のチャットアプリです。2011年1月にサービスが開始され、中国では日常生活に欠かせないSNSアプリとして広く普及しています。スマートフォンを入手するとほとんどのユーザーがWeChatアプリをダウンロードするほど、その利用率は高くなっています。
当初はチャット機能がメインのアプリでしたが、現在では多様な機能を備えたスーパーアプリへと進化しました。具体的には、決済機能や音楽・動画視聴機能などが追加され、ユーザーの利便性が大幅に向上しています。これらの機能により、WeChatは単なるコミュニケーションツールを超えて、中国のデジタル生活における中心的な存在となっています。
WeChatの特徴として、中国国内向けのWeixin（微信・ウェイシン）と国外向けのWeChatという2つのバージョンが存在することが挙げられます。これにより、中国の法規制に対応しつつ、グローバルな展開も可能となっています。
WeChat（微信・ウィーチャット）とは
WeChatは、中国国外向けのWeChatと、中国国内向けのWeixin（微信・ウェイシン）というように、アプリが分けられています。中国国外でアプリをダウンロードする場合はWeChat、中国国内でダウンロードする場合はWeixinを使います。アプリストアからアプリをダウンロードする際、中国国外からWeixinと検索しても、WeChatが検索結果に引っかかり、Weixinのダウンロードは出ません。反対に、中国国内でWeChatと検索しても、Weixinが表示され、WeChatはダウンロードできない仕様となっています。
また、Weixinは独自のサービスや中国の規制に対応していますが、WeChatはサービスや規制が異なります。Weixinの決済サービス（Weixin Pay）や一部の公式アカウントなど、特定の機能を使用できない場合があるため、注意が必要です。
さらに、ミニプログラム機能は両方のアプリで使用できますが、アクセスできるアプリに違いがあります。ミニプログラムとは、アプリ内で動作するダウンロード不要のミニアプリです。QRコードをスキャンするだけで、アプリを手軽に利用できます。
これらの違いは、中国国内外での利用環境や法規制の違いに起因しています。中国国内では厳格なインターネット規制があり、Weixinはそれに準拠しています。一方、WeChatは国際的な利用を想定しているため、より柔軟な仕様となっています。ユーザーは自身の利用地域や目的に応じて、適切なアプリを選択する必要があります。
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WeChatとWeixin
WeChatは、中国国外向けのWeChatと、中国国内向けのWeixin（微信・ウェイシン）というように、アプリが分けられています。中国国外でアプリをダウンロードする場合はWeChat、中国国内でダウンロードする場合はWeixinを使います。アプリストアからアプリをダウンロードする際、中国国外からWeixinと検索しても、WeChatが検索結果に引っかかり、Weixinのダウンロードは出ません。反対に、中国国内でWeChatと検索しても、Weixinが表示され、WeChatはダウンロードできない仕様となっています。
また、Weixinは独自のサービスや中国の規制に対応していますが、WeChatはサービスや規制が異なります。Weixinの決済サービス（Weixin Pay）や一部の公式アカウントなど、特定の機能を使用できない場合があるため、注意が必要です。
さらに、ミニプログラム機能は両方のアプリで使用できますが、アクセスできるアプリに違いがあります。ミニプログラムとは、アプリ内で動作するダウンロード不要のミニアプリです。QRコードをスキャンするだけで、アプリを手軽に利用できます。
これらの違いは、中国国内外での利用環境や法規制の違いに起因しています。中国国内では厳格なインターネット規制があり、Weixinはそれに準拠しています。一方、WeChatは国際的な利用を想定しているため、より柔軟な仕様となっています。ユーザーは自身の利用地域や目的に応じて、適切なアプリを選択する必要があります。
数字でみるWeChat（微信・ウィーチャット）
続いて、WeChatのユーザー数や月間アクティブユーザー数を紹介します。
WeChatは、ユーザー数に比べてアクティブユーザー数が多く存在します。アクティブユーザーとは、実際にサービスを利用しているユーザーのことです。WeChatの特徴として、単にアカウントを持っているだけでなく、多くのユーザーが日常的にアプリを使用していることが挙げられます。これは、WeChatが単なるメッセージングアプリを超えて、決済や公共サービスの利用など、多岐にわたる機能を提供していることが要因と考えられます。
ユーザー数13億人以上
WeChatのユーザー数は、2023年4月時点で13億人を超える規模に達しています。この巨大なユーザーベースの年齢層を見ると、18〜25歳が約45%、26〜35歳が約40%を占めており、若年層が主要な利用者となっています。日本におけるLINEと同様に、WeChatは家族や友人とのコミュニケーションツールとして広く普及しています。さらに、ビジネスシーンでも重要な連絡手段として頻繁に活用されています。
特筆すべきは、WeChatに搭載されている電子マネー決済機能（WeChat Pay・Weixin Pay）です。この機能は、WeChat・Weixinユーザーの日常生活に不可欠なツールとなっています。中国では急速なキャッシュレス化が進行しており、現金やクレジットカードでの支払いに対応していない店舗が増加傾向にあります。代わりに、電子マネー決済のみを受け付ける店舗が多くなっており、WeChatの決済機能がますます重要性を増しています。
月間アクティブユーザー数（MAU）11億人以上
WeChatの月間アクティブユーザー数（MAU）は、11億人を超える規模に達しています。テンセント社が公開したレポートによると、WeChatユーザーの利用頻度は非常に高く、一日に1回以上利用するユーザーが94%、さらに一日に10回以上利用するユーザーが61%に上ります。これは、WeChatが中国のユーザーの日常生活に深く浸透していることを示しています。
利用時間に関しても、WeChatを一日に30分以上利用するユーザーが79%、1時間以上利用するユーザーが55%という結果が出ており、ユーザーの多くがWeChatに多くの時間を費やしていることがわかります。
さらに、デイリーアクティブユーザー（DAU）は10億人に達し、1日あたり450億通のチャットがやり取りされ、4億回の通話が行われています。これらの数字は、WeChatが単なるメッセージングアプリを超えて、コミュニケーションの中心的なプラットフォームとなっていることを示しています。
他のツールとの違い
WeChatは、他のソーシャルメディアプラットフォームと比較して独自の特徴を持っています。ここでは、WeChatとWeiboやLINEなど、他の主要なコミュニケーションツールとの違いを詳しく見ていきましょう。
WeChatは単なるメッセージングアプリを超えた、多機能なプラットフォームとして進化しています。決済機能や音楽・動画視聴機能など、日常生活のあらゆる側面をカバーする統合的なサービスを提供しています。これは、他のSNSやメッセージングアプリとは一線を画す特徴です。
また、WeChatは中国国内向けのWeixinと国外向けのWeChatに分かれており、それぞれ利用できる機能や規制が異なります。この二重構造は、中国の独特なインターネット環境に適応するための戦略的な設計といえるでしょう。
Weibo(微博・ウェイボー)との違い
Weibo（微博・ウェイボー）は、140文字以内の文字や画像・動画を投稿できるSNSです。中国語でミニブログという意味があり、中国版Twitterともいわれています。Weiboは、情報をシェアし合ったり情報発信をしたりするSNSです。企業が中国でマーケティング活動を行う際に、情報の発信源として頻繁に活用されています。特にBtoC（消費者を対象に行うビジネス形態）の企業と相性が良く、サービスや商品の情報が発信しやすいツールとなっています。また、情報が拡散されやすい特徴があり、ブランド認知の拡大にも効果的です。
一方、WeChatは、チャットのやり取りで直接コミュニケーションを取るツールという違いがあります。WeChatは主に個人間や小規模なグループでのメッセージングに使用され、より親密なコミュニケーションを可能にします。また、WeChatは単なるメッセージングアプリを超えて、決済機能や公式アカウント機能など、多様な機能を備えたプラットフォームとなっています。
WeiboはFacebookやX（旧Twitter）のようなSNS、WeChatはLINEのようなツールと考えるとわかりやすいかもしれません。つまり、Weiboは広範囲に情報を発信・共有するためのプラットフォームであるのに対し、WeChatはより個人的なコミュニケーションや日常的なタスクを行うためのツールという違いがあります。
関連記事：Weibo(微博・ウェイボー)とは？中国版Xの基本
LINEとの違い
LINEは、家族や友人とチャットや音声通話、ビデオ通話ができるSNSアプリです。日本国内の月間アクティブユーザーは、2023年12月時点で9,600万人であり、ユーザー数ランキングが国内1位のSNSとなっています。
WeChatとLINEの大きな違いは、スタンプ機能と既読機能でしょう。
LINEスタンプは、感情やメッセージをイラストで示せる定番機能の一つです。LINEスタンプには、初期からダウンロードされているスタンプや無料スタンプ、有料スタンプがあります。これらのスタンプは、コミュニケーションを豊かにし、ユーザー間の交流を促進する重要な役割を果たしています。
一方、WeChatは「ステッカー」と呼ばれる機能が備わっており、LINEスタンプと同じように使用可能です。ステッカーは種類が豊富で、ほとんどのステッカーを無料で利用できます。この点はLINEとは異なり、ユーザーにとって経済的な利点となっています。
また、WeChatには既読機能が搭載されておらず、受信者がメッセージを読んだかわからない仕様となっています。これは、LINEの既読機能とは対照的で、メッセージのやりとりにおけるプレッシャーを軽減する効果があると言えるでしょう。
さらに、WeChatは中国を中心に広く普及しているため、国際的なコミュニケーションツールとしての側面も持ち合わせています。一方、LINEは日本を中心に東アジアで人気が高く、それぞれの地域性を反映したサービス展開を行っています。
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WeChat（微信・ウィーチャット）の機能例
WeChatは、単なるチャットアプリを超えた多機能プラットフォームへと進化を遂げています。ユーザーの日常生活やビジネスシーンに欠かせない存在となっており、その機能は多岐にわたります。決済機能や音声メッセージ機能、モーメント機能など、様々な特徴的な機能が搭載されています。これらの機能は、中国のデジタル社会において重要な役割を果たしており、ユーザーのコミュニケーションや取引の方法を大きく変革しています。WeChatの機能は常に更新され、拡張されており、ユーザーのニーズに合わせて進化し続けています。以下では、WeChatの主要な機能のいくつかを詳しく見ていきます。これらの機能は、WeChatがいかに中国のデジタルエコシステムの中心的存在となっているかを示す良い例といえるでしょう。
決済機能（WeChat Pay）
WeChatには、WeChat Payと呼ばれる決済機能があり、QRコードをかざすことで決済が可能です。
中国では、電子マネー決済が主流となっているため、コンビニやスーパー、公共交通機関の切符購入など幅広いシーンでWeChat Payが利用されています。
WeChat Payでは、WeChatアプリにお金がチャージされていなくても、暗証番号を入力することで銀行口座の残高から支払いができます。この便利な仕組みにより、ユーザーは常に現金を持ち歩く必要がなく、スマートフォン一つで多くの支払いを済ませることができます。WeChat Payの普及により、中国のキャッシュレス化が急速に進展し、日常生活における決済の利便性が大幅に向上しています。
音声メッセージ機能
音声メッセージ機能は、WeChatの主要な機能の一つとして広く利用されています。この機能を使用すると、ユーザーは端末に向かって話すだけでメッセージを送信することができます。これにより、漢字表記でテキストを入力する手間が大幅に省けるため、中国語を使用する人々の間で特に人気が高くなっています。
さらに、中国語のみの対応ではありますが、音声メッセージを自動的に文字に変換する機能も搭載されています。この文字起こし機能は、音声メッセージの内容を後から確認したり検索したりする際に非常に便利です。通常、音声メッセージは後から検索することが難しく、内容を確認するためには再度聞き直す必要がありますが、文字起こし機能を利用することで、メッセージの内容を素早く把握したり、特定のキーワードを検索したりすることが可能になります。
このように、WeChatの音声メッセージ機能は、コミュニケーションの効率化と利便性の向上に大きく貢献しています。特に中国語圏のユーザーにとっては、日常的なメッセージのやり取りをより簡単かつ迅速に行うことができる重要なツールとなっています。
シェイク機能
WeChatのシェイク機能は、LINEの「ふるふる」と同様に、端末を振ることで友だちを追加できる機能です。この機能は、新しい人とつながるための簡単で楽しい方法として人気があります。
また、指定の場所で端末を振ると、クーポン券がプレゼントされたりイベントが発生したりします。これは、Bluetoothの技術を使ったもので、店舗や会場にBluetooth機器を準備し、端末をBluetoothに接続することでWeChatアプリと連動します。この機能により、ユーザーは特別な体験や割引を楽しむことができ、企業にとっては効果的なプロモーション手段となっています。
さらに、シェイク機能の応用範囲は広く、お店で流れている曲名をシェイク機能で聞いたり、地図と連動させて近くのお店を探したりすることも可能です。これにより、ユーザーは周囲の環境とより深く関わることができ、日常生活での利便性が向上します。
モーメント機能
WeChatのモーメント機能は、LINEのタイムラインに類似したソーシャル機能です。ユーザーは友人とテキスト、画像、動画などの投稿を共有したり、友人の投稿を閲覧したりすることができます。モーメントに投稿された内容は、ユーザーが指定した範囲の友人に公開されます。この機能には、コメントや「いいね」を付ける機能も備わっており、友人同士で近況報告や交流を行う場として広く活用されています。
モーメント機能の人気は非常に高く、1日平均で30億件もの投稿がされているという統計があります。これは、WeChatの様々な機能の中でも特に利用頻度が高いことを示しています。ユーザーは日々の出来事や思い出、興味深い情報などを気軽に共有でき、それによって友人とのつながりを維持・強化することができます。
また、モーメント機能はプライバシー設定が細かく調整可能で、投稿ごとに公開範囲を設定できるため、ユーザーは自分の好みに応じて情報の共有範囲をコントロールすることができます。これにより、個人的な投稿と広く共有したい投稿を適切に区別することが可能となっています。
Red Packet（紅包・ホンパオ）
WeChatのRed Packetは、中国の伝統的な習慣をデジタル化した機能です。日本のお年玉に相当し、金銭のやり取りを可能にします。中国では、お祝いの際に赤い包みに入れたお金を贈る習慣があり、この文化をアプリ上で再現しています。日本語では「ラッキーマネー」と表示されます。
Red Packetの受け取りには中国国内の銀行口座が必要なため、日本人のWeChatユーザーでこの機能を活用している人はほとんどいません。一方、中国では日本のLINEギフトのように広く普及しており、さまざまな祝い事や記念日に利用されています。
この機能は、デジタル時代における中国の文化継承と新しい形のコミュニケーションツールとして注目されています。特に若い世代を中心に、Red Packetを通じて気軽に感謝や祝福の気持ちを表現する習慣が定着しつつあります。
企業のプロモーション
WeChatで企業公式アカウントを作成すると、プロモーション活動が行えます。公式アカウントとは、マーケティング活動やプロモーション活動に焦点を当て、さまざまな用途で活用できるアカウントです。例えば、WeChat内の越境ECサイトへ商品を出品したり、ターゲットに向けて広告を配信したりできます。
また、分析機能や決済機能（WeChat Pay）など、公式アカウントでのみ利用できる機能が多数備わっています。
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公式アカウントの種類
WeChatには、LINEにおける公式アカウントと似たようなアカウントが3種類存在しています。それぞれ、「購読アカウント（訂閲号）」「サービスアカウント（服務号）」「企業アカウント（企業号）」と呼ばれており、企業からユーザー向けに、あるいは企業内で使用されているものです。無料で作成可能ですが、「オフィシャル認証制度（公式の認証を受ける制度）」を利用する場合は年間300元のコストが必要となります。
なお、企業はWeChat公式アカウントとして中国以外の地域でも開設が可能です。しかし、WeChatが「Weixin」の海外用アプリである関係上、中国国内で公式アカウントを運用したい場合は注意が必要です。Weixinアカウントを「中国法人として設立のうえ取得」するか、「代理でアカウントを開設してもらう」か、どちらかの方法を取る必要があります。
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購読アカウント
アカウントのフォロワーに対して、毎日1回メッセージを配信できる公式アカウントです。購読者（サブスクリプション登録者）に対して、1日1回配信されるメールマガジンに似た機能を持っています。主に中国国内の個人ブロガーやメディアが開設・運用できるアカウントで、情報発信に適しています。
購読アカウントの特徴として、他のWeChatアカウントとは異なる表示方法があります。通常の友達アカウントや他の公式アカウントと同列には表示されず、専用のサブスクリプションフォルダに配信されます。これにより、ユーザーは購読コンテンツを一括して管理できます。
メッセージの開封率は、サービスアカウントと比較すると低い傾向にありますが、毎日配信できるという利点があります。これにより、多様な情報を継続的にユーザーに届けることが可能となり、定期的な情報発信や連載コンテンツの配信に適しています。
購読アカウントは、ニュース配信やブログ更新通知、定期的なコラム配信など、頻繁な情報更新が必要なコンテンツに最適です。ただし、商業的な利用には制限があるため、主に情報提供を目的としたアカウントとして活用されています。
サービスアカウント
LINEでいうところの企業公式アカウントです。日本を含む海外の法人でも開設・運用が可能な唯一のアカウントで、購読アカウントとは異なり友達アカウントと同列に表示されます。そのため、購読アカウントに比べてメッセージ開封率が高い傾向にあるのが特徴です。
企業における自社製品のプロモーションやマーケティングに適しており、フォロワーとコミュニケーションを取ることも可能となっています。また、「WeChat Pay（微信支付）」という決済機能にも対応しているため、オンライン・キャッシュレス決済を利用したいユーザーにとって便利です。
注意点として、配信可能回数は毎月4回までという制限が挙げられます。効果的なプロモーション・マーケティング活動が行えるように、発信する情報は厳選すべきでしょう。さらに、サービスアカウントは企業のブランディングや顧客サービスの向上にも活用できます。例えば、製品やサービスに関する問い合わせ対応、カスタマーサポート、アフターサービスなどにも利用可能です。
また、サービスアカウントを通じて、ユーザーの行動データや嗜好を収集・分析することで、より効果的なマーケティング戦略の立案にも役立てることができます。このように、サービスアカウントは企業とユーザーを繋ぐ重要な接点として、多様な用途に活用できる強力なツールといえるでしょう。
企業アカウント
こちらは前述した2種類のアカウントとは異なり、企業内でのみ使用できるアカウントです。内容としては、社内におけるチャットツールという役割を担っています。ChatworkやSlack、LINE WORKSなどに近いツールといえます。
中国国内では、メールでのやり取りがあまり行われていないとされており、このようなチャットでのコミュニケーションの方が一般的とされているようです。情報漏えい防止の観点からも、社内のみというクローズドな環境下で利用できる企業アカウントは需要が高いとされています。
企業アカウントの特徴として、以下の点が挙げられます。
1.セキュリティ: 社内限定のコミュニケーションツールであるため、情報セキュリティが高い
2.効率性: リアルタイムでのやり取りが可能で、業務効率の向上が期待できる
3.多機能性: チャット以外にも、ファイル共有や社内アンケートなどの機能が利用可能
4.カスタマイズ性: 企業のニーズに合わせて、機能をカスタマイズできる場合がある
これらの特徴により、中国企業を中心に、企業アカウントの利用が広がっています。
WeChat（微信・ウィーチャット）のプロモーション例
WeChatを効果的に活用することで、魅力的なプロモーション展開が可能となります。訪日中国人へのアプローチはもちろんのこと、中国本土に進出している企業にとっても、現地の顧客と直接コミュニケーションを取る貴重な機会となります。WeChatの多様な機能を駆使することで、企業は自社のブランドや製品、サービスを効果的に宣伝し、中国市場での存在感を高めることができます。
ここでは、WeChatを活用した具体的なプロモーション例として、3つの事例を紹介します。これらの事例を通じて、WeChatがいかに強力なマーケティングツールとなり得るかを理解することができるでしょう。各企業がWeChatの特性を活かし、独自の戦略を展開している点に注目してください。
航空会社
日本航空株式会社（JAL）は2022年1月27日、WeChatにおける公式ミニプログラムとして「日本航空優選」を開設しました。これは「JALふるさとプロジェクト（日本各地における地域経済の持続的な発展を目的としたプロジェクト）」の一環として実施されたものです。日本各地域の名産品を、その文化的背景と併せてPRし販売することで「訪日需要の獲得」と「人物・物流の促進による地域活性化への貢献」を目指します。
このプロジェクトは、WeChat内で5,000万人を超えるフォロワーを持つJALの公式アカウントを通じて展開されています。ミニプログラムを活用することで、中国のユーザーに対して日本の各地域の魅力を直接発信し、将来の訪日観光や地域産品の購入につなげる狙いがあります。JALは、このような取り組みを通じて、デジタルマーケティングの強化と新たな顧客層の開拓を進めています。
中国進出ブランド
無印良品は、中国に進出しているブランドとして有名であり、同社でもWeChatを活用したプロモーションを行っています。2019年4月4日に日本全国4店舗にて、また同月17日より全国約250店舗にて、WeChat Payの導入が実施されました。これは、中国でも人気が高い無印良品でのインバウンド購入促進を目的としています。
また、WeChatにおける無印良品公式アカウントでは、特定のキーワードに対して自動で返信する機能も搭載しています。公式アカウントをフォローすると、最初に「どのような内容について返信可能か」を明示するメッセージが配信される仕組みです。そのため、ユーザーにとって利便性が高い、効果的なプロモーションといえるでしょう。
ドラッグストア
訪日中国人観光客を表現する文言といっても過言ではない「爆買い」ですが、医薬品・医薬部外品・生活用品も爆買いの対象として有名です。ゆえに、これらの商品を取り扱うドラッグストア需要は相当に高いものといえます。
ドラッグストア大手のマツモトキヨシでは、早いうちからWeChatに目を付けており、早期に公式アカウントを開設しました。日本の小売り企業の中でもトップクラスのフォロワー数を誇ることで有名です。配信頻度は週1から週2程度で、商品情報とクーポンに関する内容がメインとなっており、季節や流行に応じて適した内容を発信しています。また、1月11日（中国国民にとって「爆買いの日」と認識されている「独身の日」）には、数多くのキャンペーン情報も発信しているようです。購買意欲を盛り上げるためにはもってこいのプロモーション活動といえるでしょう。
インバウンド需要のみならず、ユーザーが中国国内にいても情報を取得できることで、継続的にフォロワーを獲得できているところもポイントです。
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WeChat（微信・ウィーチャット）の広告例
最後に、WeChatにおける3種類の広告について見ていきましょう。それぞれ、「公式アカウント広告（プラットフォーム広告）」「モーメンツ広告」「ミニプログラム広告」の3種類に区分されます。
公式アカウント広告
中国語では「公众号广告」と記載します。WeChatにおける「公式プラットフォーム」の下部に掲載される広告です。ボトムバナー広告をイメージすれば分かりやすいでしょう。なお、WeChatにおける公式プラットフォームとは「5万人以上のフォロワーを有している」「あらかじめ、広告の出稿を許可している」購読アカウントのことを指します。
公式アカウント広告は、主に「ワンクリックフォロー広告」「アプリ広告」「クーポン広告」「キャンペーン広告」の4種類です。
ワンクリックフォロー広告
公式プラットフォーム下部に、アカウントのフォローボタンを表示する広告です。企業にとっては直接、フォロワーを獲得できる点がメリットになります。ユーザー目線でも、ワンクリックで気軽にフォローできる点は利便性が高く、集客力の強さという点では効果的な広告といえるでしょう。
アプリ広告
この広告は、アプリのダウンロード促進を目的とした広告です。アプリのタイトルとともに、どのように使えるかのイメージ画像を掲載します。App StoreやGoogle Playをイメージするとよいでしょう。
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クーポン広告
WeChatにはクーポン機能が搭載されていますが、ユーザーがこの広告をクリックすることで、割引クーポンや金券が表示されます。これらの利用を促すことを目的としているのが、クーポン広告です。
キャンペーン広告
WeChatから外部リンクへの誘導を目的とした広告です。この広告では、イメージ画像とテキストを活用します。誘導先のWebページを自由に作り込めるという特徴があり、企業独自の色をユーザーに届けられるという点がメリットです。
中国では、1日のPVが約20億ともいわれており、こうした広告を適切に活用することで、莫大な訴求効果が期待できます。なお、画像だけではなく、動画も利用可能です。
モーメンツ広告
FaceBookでいうところのタイムラインのような機能であるモーメントにおいて、フォローしている友達の投稿に混ざって表示されるタイムライン型の広告です。拡散力や顧客との結び付き（エンゲージメント）の面で高い効果を発揮します。モーメンツ広告では、企業のロゴやブランド名、テキストや画像、リンクを表示させられます。また「シェア機能」「コメント機能」「いいね！機能」も搭載されており、ユーザーとのコミュニケーションを図るのにも最適です。
なお、モーメンツ広告からランディングページ（LP）へユーザーを遷移させることも可能ですが、LPのテンプレートとしては3種類が存在します。1つは「ブランドPR」で、企業の製品や店舗の紹介といった詳細な内容を掲載可能です。2つ目は「アカウントのフォロー」で、遷移することで企業公式アカウントの詳細ページを閲覧できます。ワンクリックフォローボタンを設置できるため、フォロワー獲得を目的とする際に効果的です。3つ目は「アプリダウンロード」で、アプリの詳細な内容を載せたり、ワンクリックダウンロード機能を設置したりできます。
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ミニプログラム広告
ミニプログラムとは、WeChatの簡易版サービスです。アプリのダウンロードやユーザー登録不要でWebサイト上から利用できるうえに、WeChat Payとの連携、およびWeChat本体とのシェア機能も有しています。その簡易さから利用者も多いため、ミニプログラム上に適切な広告を掲載することで大きな効果を期待できるでしょう。
ミニプログラム広告には「バナー広告」「インセンティブ広告」「インタースティシャル広告」の3種類があります。バナー広告は、ページ上の任意の箇所に掲載できる広告です。インセンティブ広告は、ミニプログラムを利用している際にCMのように表示される動画広告を指します。インタースティシャル広告は、ページの遷移時やアプリの起動時などにポップアップ形式で表示される広告です。
このように、ミニプログラム広告には3種類が用意されているため、適切な広告掲載方法を選択することが重要となります。
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まとめ
WeChatは、テンセント社が運営する中国で人気のチャットアプリです。WeChat Payと呼ばれる電子マネー決済機能や、タイムラインに投稿できるモーメント機能など、日常生活に欠かせない機能が多く備わっています。
また、WeChatを利用して、プロモーションや広告といったビジネスに活用している企業が多く存在します。
マーケティング活動に力を入れたいと考える企業は、WeChatを利用してみてはいかがでしょうか。
