BtoBサイトで目指すCVはお問い合わせや資料請求などです。BtoCサイトの目指すCVは売上に直接つながりますが、BtoBサイトはその後、アポイント獲得、商談化・案件化を経て、受注に至るまで長い期間を必要とします。
BtoBサイトのCVは受注をゴールとしたスタート地点に過ぎず、また、すべてのCVが受注にたどり着くわけではありません。よって、BtoBサイトでは受注につながる可能性のあるCVの獲得を求められます。
そこで重要なのは、CTAになります。
CTAは、ユーザーに対して具体的なアクションを促す要素であり、効果的なCTA設計はBtoBマーケティングの成功に不可欠です。今回はCVにつながるCTAの設置ポイントについて、SaaS企業のサイトを事例に紹介します。適切なCTA戦略を立てることで、見込み顧客の獲得率を向上させ、最終的な成約率を高めることができます。
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目次
CTAとは
CTAとはCall To Actionの略であり、行動のきっかけ、行動を誘引するものという意味です。WEBサイトにおいて、サイトを訪れたユーザーに対し特定の行動に誘導することや、その要素のことを指します。
要するに製品・サービスを提供する企業が見込み顧客に喚起したい行動導線のことです。具体的には、お問い合わせや資料請求、特定のページへの遷移などのアクションです。CTAは、ユーザーの興味を行動へと転換する重要な役割を果たします。
また、ボタンの文言やデザイン、設置場所によって、CV数やCVRは大きく変わります。効果的なCTAは、ユーザーの注目を集め、クリックを促す魅力的な要素となります。CTAはマーケティングの成果にも直結する、非常に重要な要素です。
適切なCTAを設置することで、ウェブサイトの転換率を向上させ、ビジネスの成長を促進することができます。CTAの最適化は、デジタルマーケティング戦略の重要な一部となっています。
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CTAの検討ポイント① 無料アカウントか、資料ダウンロードか
BtoBサイトのCTAは多様な種類が存在します。代表的なものとして、お問い合わせ、資料請求/資料ダウンロード、オンライン相談、無料デモ、無料トライアル、無料アカウント、ebook・ホワイトペーパー形式のお役立ち資料、導入事例集、セミナー、メルマガなどが挙げられます。しかし、CTAを無計画に設置すると、ユーザーを混乱させる可能性があります。また、セールスのリソースを考慮せずにCTAを設置すると、ユーザーにとっても自社にとっても最適な結果を得られません。そのため、意図したアクションを戦略的に設計することが重要です。
SaaS企業のサービスは大きく2つのカテゴリーに分類できます。1つはProduct-Led Growth(PLG)、もう1つはSales-Led Growth(SLG)です。
PLGは、ZoomやSlackのようなSaaSサービスで多く見られるアプローチです。この戦略の特徴は、受注までのリード期間が短く、利用しやすい低単価での価格設定、誰でも簡単に利用できる直感的なプロダクトであることです。PLGでは、ユーザーが自ら製品・サービスを理解し、利用するセルフサーブ型のモデルを採用しています。セールスのリソースを最小限に抑え、マーケティングを強化し、プロダクトで価値を伝えることで利用企業数を増やす戦略を取ります。
このようなPLGの場合、適切なCTAは無料アカウントや無料トライアルです。興味関心のあるユーザーにまず製品・サービスを体験してもらい、プロダクトの価値を直接感じてもらうことを重視します。
一方、SLGは、セールスフォース・ドットコムのように、セールス主導で利用企業数を増やすアプローチです。The Modelに代表されるような営業プロセスが適用されます。SLGの特徴は、受注までのリード期間が長く、高単価の価格設定で、使いこなすにはある程度の知見とノウハウが必要なことです。
SLGでは、セールスのリソースを確保し、対面での導入支援や社内向けの説明会の実施、個社ごとのニーズに合わせたカスタマイズなど、ユーザーとのコミュニケーションを重視します。
このようなSLGの場合、適切なCTAはオンライン相談や資料ダウンロード、無料デモです。セールスがユーザーと接点を持つために、アポイント獲得を重視する戦略を取ります。
CTAの選択は、ターゲット層によっても変わることがあります。例えば、かつてMoneyForwardクラウドのサイトでは、利用ユーザーによってCTAが異なりました。個人利用や小規模・中小企業向けには「無料ではじめる」というCTAを設置していますが、上場企業・IPO準備企業向けには「お問い合わせ」というCTAを用意しています。
このように、CTAの選択は企業の戦略やターゲット層に応じて適切に設計することが、効果的なリード獲得につながります。CTAの設置は、単なるボタンの配置ではなく、ユーザーの行動を促す重要な要素として、慎重に検討する必要があります。

引用元:https://biz.moneyforward.com/
CTAの検討ポイント②設置(文言・デザイン・場所)
CTAボタンを設置する際のポイントは以下の3つです。効果的なCTAの設置は、ユーザーの行動を促し、コンバージョン率の向上につながります。
- 文言:ユーザーにとって分かりやすく、行動を促す言葉選びが重要です。
- デザイン:サイトのデザインと調和しつつ、目立つようにする工夫が必要です。
- 場所:ユーザーの目に留まりやすく、自然にクリックしたくなる位置に配置します。
これらのポイントを押さえることで、CTAの効果を最大化し、ユーザーエンゲージメントを高めることができます。また、ABテストなどを活用して、最適なCTAの組み合わせを見つけることも重要です。CTAの設置は、ユーザー体験を考慮しながら、戦略的に行うことが成功への鍵となります。
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①文言
CTAの文言は、ユーザーに期待するアクションを明確に促すメッセージで表記することが重要です。単に「資料ダウンロード」や「無料デモ」と表示するのではなく、ユーザーの視点に立った表現を用いることで、CTAの効果を高めることができます。
具体的な例として、以下のような表現が挙げられます。
● 資料ダウンロード→「まずは資料請求」「詳しい資料を取り寄せる」
● 無料トライアル→「無料で試してみる」「無料トライアルを始める」
● 無料デモ→「無料デモを見る」「●●のデモを見る」
● 無料アカウント→「無料ではじめる」 など
これらの文言は、ユーザーの行動を具体的に示唆しており、CTAの目的をより明確に伝えることができます。
例えば、タレントマネジメントシステムを提供するカオナビのサイトでは、資料ダウンロードに「いますぐ資料で確認してみたい」、「詳しい料金を知りたい」という表記を使用しています。これらの文言は、ユーザーのニーズに寄り添った表現となっており、CTAの効果を高めることが期待できます。
また、CTAの文言を決める際は、ユーザーの心理や購買プロセスを考慮することも重要です。例えば、初めて訪れたユーザーに対しては「詳細を知る」といった軽めの表現を使用し、サービスの理解が進んだユーザーには「今すぐ申し込む」といったより積極的な表現を用いるなど、ユーザーの状況に応じたCTAの文言を選択することで、より効果的なコンバージョンを促すことができます。
②デザイン
ボタンやバナーのデザインは、サイトの雰囲気や内容に合ったものを作成します。CTAは他のボタンと識別できるように、色や形で区別をします。また、テキストは
中央揃えで、かつ、ボタンの色が有色であれば白字で表記し目立たせます。効果的なCTAデザインは、ユーザーの注目を集め、クリック率を向上させる重要な要素です。
BtoBのマッチングプラットフォームサービスを提供するボクシルのサイトはトップページでは「お問合せ」はサイトの雰囲気に合った緑色、「資料ダウンロード」はオレンジ色のボタンになっています。「資料ダウンロード」は他の要素とは違うように目立たせており、このサイトで特に誘導したいアクションは資料ダウンロードであることが分かります。

引用元:https://boxil.smartcamp.co.jp/
CTAのデザインにおいては、コントラストも重要な要素です。背景色とボタンの色のコントラストを高めることで、ユーザーの目を引き、クリックを促すことができます。また、ボタンのサイズも適切に設定し、モバイルデバイスでも操作しやすいように配慮することが大切です。
また、ボタンとあわせて、アクションに誘導するためのリード文や、オペレータの画像やキャラクターを配置しユーザーに安心感や親近感を与えるような工夫もポイントです。数年前のロジザードZEROのサイトトップページには、中段に「説明会・相談会へお申込みください」のCTAにリード文やイラストが設置され、説明会・相談会への申込みを促していました。このような視覚的な要素は、CTAの効果を高める上で重要な役割を果たします。
引用元:https://www.logizard-zero.com/
③場所
CTAの設置場所は、ユーザーの行動を促す上で非常に重要な検討ポイントです。効果的なCTA配置のために、まずトップページのファーストビューとグローバルナビゲーションには必ずCTAを設置します。これにより、サイト訪問者に即座にアクションを促すことができます。下層ページでも、ファーストビューにCTAを配置することで、ユーザーの目に留まりやすくなります。
また、導入事例やコラムなどの記事主体のページでは、ユーザーが内容を読み終えた後のページ下部にCTAを設置するのが効果的です。これにより、情報を得た後のユーザーの関心を行動へと結びつけやすくなります。
さらに、即時のコンバージョンを促進するためには、トップページのファーストビューに直接フォームを設置する方法も有効です。例えば、グループウェアを提供するデスクネッツ ネオは、かつてファーストビューに製品カタログのフォームを配置していました。

同様に、電子契約サービスのクラウドサインのサイトでも、トップページのファーストビューに無料アカウント登録のフォームが設置されています。

CTAの配置を最適化することで、ユーザーの行動を効果的に誘導し、コンバージョン率を向上させることができます。ただし、ユーザーエクスペリエンスを損なわないよう、適切な数と配置のバランスを取ることが重要です。また、ABテストなどを通じて、CTAの効果を継続的に検証し、改善していくことも忘れずに行いましょう。
まとめ
- CTAとはCall To Actionの略であり、WEBサイトにおいてサイトを訪れたユーザーに対し特定の行動に誘導することや、その要素のことを指す
- PLGの適切なCTAは、無料アカウントや無料トライアル。興味関心のあるユーザーにはまず製品・サービスを触れてもらって、プロダクトの価値を伝えることを重視する
- SLGの適切なCTAは、オンライン相談や資料ダウンロード、無料デモ。セールスがユーザーと対話するためにアポイントを獲得していくことを重視
- CTA設置の検討ポイントは、文言とデザインと位置の3つ
- 効果的なCTAは、ユーザーの行動を促進し、コンバージョン率を向上させる重要な要素である
- CTAの最適化には、ABテストなどを通じて継続的に改善を行うことが推奨される。これにより、より効果的なCTAの設計が可能となり、サイトのパフォーマンス向上につながる



