感染症対策のためにリモートワークが普及し、同時に仕事をする中でのデータ共有をどのような形で効率的に行うかに課題を感じている企業も多くいます。そこでおすすめなのがGoogle Drive(グーグルドライブ)です。Google Drive(グーグルドライブ)は、無料プランから用意されている各ファイルを共有できるクラウドストレージサービスのことで、多くの企業が積極的に活用しています。
そこで本記事では、Google Drive(グーグルドライブ)の概要やドライブを利用する際のポイントを解説します。また、共有ドライブを利用するメリットや、オフラインで共有できるファイルについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。さらに、マイドライブとの違いについても詳しく説明し、効果的な活用方法を提案します。
目次
Google Drive(グーグルドライブ)とは?
Google Drive(グーグルドライブ)とは、Googleが提供しているオンラインのファイル共有サービスのことです。個人、組織問わず利用することができ、誰かに共有をしなくとも、ファイルをオンライン上にまとめたい場合にも役立ちます。マイドライブ機能を使えば、個人のファイルを安全に保管することも可能です。
Google Drive(グーグルドライブ)は、特定の個人のメールアドレスに権限を与えることでファイルの共有ができるようになります。また、組織間で都度メールアドレスに権限を与えることが無駄に感じる場合は、ファイル自体を誰でも閲覧できるようにする仕組みも存在します。
なお、誰でも閲覧できると言っても、ファイルのリンク(URL)を知らないユーザーはアクセスできないので、外部に情報が漏れてしまう危険性もありません。セキュリティ面でも安心して利用できるサービスと言えるでしょう。
無料から利用できるので、ドライブやストレージサービスを利用したい方は、まず検討するべきサービスの1つと言えるでしょう。クラウドストレージの中でも、使いやすさと機能性を兼ね備えたGoogle Driveは、多くのユーザーから支持されています。
共有ドライブとは?
共有ドライブとは、Google Drive(グーグルドライブ)の機能の1つのことで、主に組織や企業、団体でファイルを共有したい場合に有用です。ファイルを作成した人間がファイルの「管理者」となり、メンバーに対して5段階のアクセス権限を与えられます。マイドライブとは異なり、共有ドライブではファイルの所有権が組織に帰属するため、チームでの協力作業に適しています。
共有ドライブは個人のGoogleアカウントでは利用が制限されるため、企業アカウントで利用することが大切です。なお、管理者が与えられる5段階の権限は以下のとおりです。
・ 管理者:ファイルやメンバー、ドライブの各種設定を行える最も高い権限。GoogleGroupを利用する場合は、ファイルの作成者のみが管理者となる。
・ コンテンツ管理者:ファイル操作のみを行える権限。ドライブの設定やメンバーの操作は行えない。
・ 投稿者:ファイルの編集や投稿ができる。ただし、削除や移動は行えない。
・ 閲覧者(コメント可):ファイルに対してコメントができる閲覧者。
・ 閲覧者:ファイルの閲覧のみができる権限。
組織の中でも個人によって役職や権限は異なるはずなので、それらに併せて上記の権限を割り当てましょう。なお、一度設定した権限であっても、都合が悪い場合は後から変更することも可能です。これにより、組織の構造や業務の変化に柔軟に対応できます。
共有ドライブを使えるケースとは
先ほども少し触れたように、共有ドライブは誰でも使えるわけではありません。まず、個人のGoogleアカウントでは、ドライブの左側メニューに共有ドライブは存在しません。共有ドライブを利用できるケースは、GoogleWorkspaceで以下のプランを契約している場合のみです。
・ Business Standard
・ Business Plus
・ Enterprise
これらはGoogleWorkspaceの有料プランであるため、共有ドライブの利用には多少のランニングコストがかかります。また、GoogleWorkspaceの中でも、Business Starterは共有ドライブを利用できません。とはいえ、共有ドライブによって日々の業務を効率化したり、テレワークを進めやすくなったりするのであれば、非常に安い投資と言えるのではないでしょうか。
なお、マイドライブとは異なり、共有ドライブではチーム全体でファイルの所有権を共有できるため、組織的なファイル管理が可能になります。これにより、個人のアカウントに依存せず、チーム全体で円滑な情報共有とコラボレーションを実現できます。
共有ドライブとマイドライブの違い
Google Drive(グーグルドライブ)の中でも、共有ドライブとマイドライブは機能が明確に異なります。まず、マイドライブの場合はファイル権限が個人にありますが、共有ドライブの場合は組織になります。加えて、マイドライブの場合はGoogleマップを除いてすべてのファイル形式をアップロードできますが、組織の場合はGoogleマップを含めたすべてのファイルをアップロード可能です。
また、マイドライブはファイルのアップロード数に制限がないものの、組織の場合は400,000ファイルまでと制限があります。さらに、組織の場合はフォルダのネスト数も20までと制限があるので、特に人数が多い組織の場合はファイル数に注意が必要です。
マイドライブは個人での使用に適しており、自由度が高いのが特徴です。一方で、共有ドライブは組織全体でのファイル管理や共同作業に適しています。共有ドライブでは、チームメンバー全員がファイルにアクセスでき、権限に応じて編集や管理が可能です。このため、プロジェクト管理や部門間でのファイル共有に非常に便利です。
小規模チームではマイドライブで十分
共有ドライブを利用するためにはGoogleWorkspaceの有料プランに申しこむ必要があり、ランニングコストがかかります。また、マイドライブであってもファイルの共有ができないわけではなく、権限を与えることによって共有ドライブと同様に共有可能です。
そのため、中規模〜大規模チームでない限り、マイドライブで十分機能することが多いでしょう。特に、ランニングコストを抑えたい小規模チームや、共有する人数が少ない場合は、マイドライブの活用がおすすめです。マイドライブを使いこなすことで、小規模チームでも効率的なファイル管理と共有が可能になります。
ただし、チームの規模が拡大したり、より高度なファイル管理機能が必要になったりした場合は、共有ドライブへの移行を検討するとよいでしょう。マイドライブから共有ドライブへの段階的な移行も可能なので、チームの成長に合わせて柔軟に対応することができます。
共有ドライブの共有方法
共有ドライブは、ファイルのオーナーが共有方法を設定する仕組みとなっています。それは、最初に管理者権限を保有しているのはオーナーのみのためです。共有ドライブで設定するべきことは、主に2つ挙げられます。1つ目は、組織の人間をドライブに招待することです。招待する際は個人ごとに権限を設定し、都合が悪い場合は後から権限を変更しましょう。
2つ目は、ファイル自体を組織に共有することです。組織の人間はファイルのURLがなければファイルにアクセスできないので、共有ドライブのリンクを組織に共有します。これにより、各個人は共有ドライブにアクセスしたり、権限に応じて業務を実行できたりするようになります。
共有ドライブの設定が完了したら、マイドライブから必要なファイルを共有ドライブにコピーまたは移動させることで、チーム全体でファイルを共有できるようになります。共有ドライブ内のファイルは、設定された権限に基づいてメンバーがアクセスできるようになります。
Google Drive(グーグルドライブ)の使い方・共有方法については、以下のコラムでも解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:Google Drive(グーグルドライブ)の効果的な使い方を解説!これで効率アップ!
共有ドライブを利用するメリット
共有ドライブを利用するメリットは、組織内でファイルを共有できることです。個人のGoogleアカウントのマイドライブで共有を行う場合、個人が仕事から離脱したらファイルの共有ができなくなります。それは、業務を円滑に進める際の大きな支障となるでしょう。
しかし、共有ドライブであればアカウントの権限は組織にあるため、特定の個人が仕事から離脱してもファイルは失われません。これにより、チームの継続性が保たれ、業務の中断を防ぐことができます。
またリモートワークの推進に伴い、組織で集まって仕事をすることが減っている中で、業務に関するデータを簡単にやり取りできることもメリットの一つです。共有ドライブを使用することで、チームメンバーは場所や時間を問わず、必要なファイルにアクセスできます。
さらに、共有ドライブではファイルの共同編集が可能です。これにより、リアルタイムでの協力作業が促進され、プロジェクトの進行速度が向上します。マイドライブと比較して、共有ドライブはチームワークを強化し、コラボレーションを円滑にする強力なツールとなります。
効率的な業務遂行のために、共有ドライブは欠かせない存在であるとも言えるでしょう。組織の規模や業務内容に応じて、共有ドライブの活用方法を検討することで、さらなる生産性の向上が期待できます。
共有ドライブを利用する上でのポイント
共有ドライブには機能が多く存在するため、様々な点に留意する必要があります。その中でも、特に4つのポイントを意識しましょう。
・ 共有ドライブでAPIを利用する
・ 業務内容ごとにファイルを管理する
・ 不要な共有ドライブのデータは定期的に削除にする
・ 共有可能なユーザー数に気をつける
これらのポイントを押さえることで、マイドライブとは異なる共有ドライブの特性を最大限に活かすことができます。また、組織内でのファイル共有をスムーズに行い、業務効率を向上させることができるでしょう。
それぞれのポイントについて、順番に詳しく見ていきましょう。適切な運用方法を理解することで、共有ドライブを有効に活用し、チームの生産性を高めることができます。
共有ドライブでAPIを利用する
Googleは、共有ドライブに対するAPIを無料で公開しています。APIを活用することで、ファイルをアップロードしたり、共有ドライブの作成・削除など操作を自動化できたりします。これにより、マイドライブや共有ドライブの管理がより効率的になります。例えば、定期的なバックアップや大量のファイル移動、複数のドライブ間でのデータ同期などの作業を自動化することが可能です。APIを利用することで、共有ドライブの運用における時間と労力を大幅に削減できるでしょう。
業務内容ごとにファイルを管理する
共有ドライブのファイルは、業務内容ごとに管理しましょう。業務内容ごとにファイルを分けずに、闇雲にデータをドライブ上にアップロードすると共有された側が混乱し、業務を円滑に進めることが難しくなります。マイドライブと異なり、共有ドライブでは組織全体でファイルを共有するため、整理された状態を保つことが重要です。例えば、プロジェクトごとにフォルダを作成したり、部署別にファイルを分類したりすることで、必要な情報を素早く見つけることができます。また、ファイル名やフォルダ名に統一した命名規則を設けることで、さらに管理が容易になります。このような整理された状態を維持することで、チームメンバー全員が効率的に作業を進められるようになります。
不要な共有ドライブのデータは定期的に削除にする
次に、ゴミ箱にある、不要な共有ドライブのデータは定期的に空にしましょう。共有ドライブにはファイルの容量制限があるため、人数が多い組織ほどデータが溜まりやすくなります。また、共有ドライブの容量は管理者の容量が圧迫されるのではなく、アップロードした個人の容量が圧迫される点に関しても注意が必要です。
定期的に過去にアップロードしたデータを整理し、必要がないものがあった際はそのデータを削除することを心がけましょう。特に、マイドライブと比較して共有ドライブは組織全体で使用するため、不要なファイルの蓄積が起こりやすくなります。そのため、定期的なクリーンアップは非常に重要です。
共有可能なユーザー数に気をつける
共有ドライブは、600ユーザー(グループ)までに定められているため、共有可能なユーザー数に気をつける必要があります。また、人数を無駄に増やしてしまうと管理者の管理業務も煩雑になり、本末転倒になる恐れもあります。マイドライブとは異なり、共有ドライブではユーザー数の制限があるため、効率的な運用を心がけましょう。特に大規模な組織では、部署や業務内容ごとに適切なユーザーを選定し、必要最小限の人数で共有することが重要です。定期的にユーザーリストを見直し、不要なアクセス権限を持つユーザーを削除することで、セキュリティの向上にもつながります。
オフラインで利用できる共有ファイル
Google Drive(グーグルドライブ)は、オフラインでも利用できるストレージシステムです。しかし、すべてのファイルをオフラインで利用できるわけではありません。オフラインで利用可能な共有ファイルには主に以下の2種類があります。
・ Google関連サービス
・ 写真・PDF
これらのファイルは、マイドライブや共有ドライブにあらかじめダウンロードしておくことで、インターネット接続がない環境でも閲覧や編集が可能になります。特にGoogle関連サービスのファイル(Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドなど)は、オフライン機能を有効にすることで、自動的にローカルに保存されるため便利です。
Google関連サービス
Google Drive(グーグルドライブ)では、Google関連サービスのファイルをオフラインで利用できます。具体的には、Google ドキュメント、Google スプレッドシート、Google スライドなどが該当します。これらのファイルは、事前に設定しておくことでインターネット接続がない環境でも編集や閲覧が可能です。
オフラインモードを有効にするには、Google Chromeブラウザを使用し、Google Driveの設定画面からオフライン機能を有効にする必要があります。マイドライブや共有ドライブ内のファイルをオフラインで利用できるようにすることで、インターネット接続が不安定な場所や出張先でも作業を継続できるため、業務効率の向上につながります。
ただし、オフラインで編集したファイルは、インターネットに接続した際に自動的に同期されますので、複数人で同じファイルを編集する場合は注意が必要です。オフラインでの作業後は、できるだけ早くインターネットに接続して同期を行うことをおすすめします。
写真・PDF
Google Drive(グーグルドライブ)では、写真やPDFファイルもオフラインで閲覧することができます。これらのファイルは、事前にダウンロードしておくことで、インターネット接続がない環境でも快適に閲覧できます。
特に写真ファイルは、Google フォトアプリと連携することで、より効率的に管理・閲覧することが可能です。Google フォトアプリをインストールし、自動バックアップ機能を有効にしておけば、スマートフォンで撮影した写真も自動的にGoogle Driveに保存され、オフラインでの閲覧が可能になります。
PDFファイルについては、Google Drive アプリを使用することで、モバイルデバイス上でもオフラインでの閲覧が可能です。ビジネス文書や契約書などの重要なPDFファイルを事前にダウンロードしておくことで、インターネット接続がない環境でも必要な情報にアクセスできます。
マイドライブや共有ドライブ内の写真やPDFファイルをオフラインで利用できるようにすることで、プレゼンテーションや商談の際にも、インターネット環境に左右されずに必要な資料を参照できるため、ビジネスシーンでの活用が期待できます。
まとめ
本記事では、Google Drive(グーグルドライブ)に関して解説をしてきました。Google Drive(グーグルドライブ)には、個人用のマイドライブと組織用の共有ドライブがあり、それぞれによってできることが異なります。そのため、小規模チームの場合はマイドライブ、中規模〜大規模の場合は共有ドライブを利用する形で問題ないでしょう。
まずは、それぞれのドライブの使い方を理解し、実際にメンバーに権限を与えるとこから始めてみてはいかがでしょうか。