ビジネスを行っている人にとって、「ステークホルダー」という言葉はよく聞く単語ではないでしょうか？しかし、耳にはしたことがあるけど意味はよく分かってないという人も少なくないと思います。
ステークホルダーとは「利害関係者」のことを指します。利害関係者と聞くと一見難しそうに感じますが、企業の活動において影響を受ける存在というと分かりやすいでしょう。
近年では、多くの企業がこのステークホルダーとの関係性の大切を感じ、こぞって関係性の構築に注力しています。では、なぜ企業の発展に重要なのでしょうか？
今回の記事では、ステークホルダーの意味や種類、良好な関係を築くポイントについて解説していきます。
目次
ステークホルダーとは？
ステークホルダーとは、企業が経営を行っていく上で直接的・間接的に影響を受ける利害関係者のことです。
学者のR.エドワード・フリーマンが使用したことが始まりで、ビジネス用語として使われています。英語の「stake（出資するお金）」「holder（保有している）」が由来とされています。
金銭的に繋がりや関係がある顧客、株主、従業員などが思い浮かびますが、企業の活動において影響を受ける人たちの全てが該当します。
例えば、地域社会や金融機関、下請け、協力会社など幅広い範囲を指しています。
ステークホルダーの重要性
現代では、このステークホルダーが非常に重要視されています。要因としては、様々な企業が利益だけでなく、社会としての在り方を深く考えるようになったことが挙げられます。
これまでは利益の追求が強い企業も多く、社会の在り方はさほど重要とされていませんでした。ただ、近年は地域社会との繋がりや社会情勢への対応など、様々な観点から社会への貢献をする必要があるといった風潮が強くなっています。
社会的責任を持っている企業が円滑に経営を行うには、企業を取り巻くステークホルダー達との関係性が必須となってきました。関係性は一過性のものではなく、末永く関わり続ける関係性が重要です。
企業は自らの力のみで続いていくわけではなく、関係性があってこそ企業の発展を行うことができると考えられ、重要視されるようになったのです。
ストックホルダー、シェアホルダーとの違い
混同しやすい用語で、「ストックホルダー」と「シェアホルダー」という用語があります。
ステークホルダーは企業の活動において影響を受ける全ての利害関係者を指していますが、ストックホルダー・シェアホルダーは「株主」のことです。
2つの違いは以下の通りになります。
ストックホルダー…株の一部分を持っている株主
シェアホルダー…会社の経営などに大きく影響を与える大株主
ストックホルダー企業は、全ての人たちに利益が生じるようにバランスを重視した経営を行う傾向があります。対して、シェアホルダー企業は、企業の株主の利益を優先的に経営を行う企業のことを言います。
関連記事：ステークホルダーとは何か簡単に解説。企業にとっての重要性と関係構築のポイント
ステークホルダーの種類
ステークホルダーの中でも「直接的ステークホルダー」と「間接的ステークホルダー」の2つが存在します。似たような言葉ですが、違いを把握しておくことでビジネス上での使い分けができるので、理解しておきましょう。
直接的ステークホルダー
直接的ステークホルダーとは、企業や組織の活動に対して直接的な影響を与える・影響を受ける人や組織のことです。
例を上げると以下の通りです。
● 顧客
● 従業員
● 株主
● 金融機関
など
間接的ステークホルダー
間接的ステークホルダーとは、企業や組織の活動に対して直接的に影響はなく、間接的に影響し合う存在のことです。
例を上げると以下の通りです。
● 地域
● 政府
● 従業員の家族
● 顧客の家族
など
マネジメントの重要性
企業がステークホルダーと良い関係性を築くことは、活動をより良いものにするためにとても重要になります。そのためには関係性を管理することが必要ですが、それを「ステークホルダーマネジメント」と言います。
各々との関係性や優先度、ニーズを洗い出し、把握や分析をすることが必要です。各々によって属性が全く違い、どのような関わり方が有効であるかも変わってきます。
マネジメントは簡単なことではありませんが、その後の企業の発展を左右する重要な事項となります。十分に時間を取って行ってみましょう。
マネジメントは、以下の流れを参考に行ってみてください。
1. ステークホルダーの洗い出し
2. 分析・属性確認
3. 働きかけ・関係性を創る
4. 管理
重要となるステークホルダーエンゲージメント
エンゲージメントとは、「深い関わり」といった意味がある言葉です。
つまり、ステークホルダーエンゲージメントとは、ステークホルダーの想いや関心事を理解し、積極的に関係性を構築する取り組みのことを言います。
働きかけは各々によって変化するため、相手に合わせて働きかけを変化させる必要があります。
以下は関わり方の例となります。
顧客…密な顧客サポート、顧客アンケートでの情報収集を行って更なる商品・サービスの向上に活かす、何か商品・サービスに問題があった際の情報開示
株主…自社の商品・サービスに関して優待制度を作って自社への愛着を持っていただく、株主総会などでの意見交換
従業員…公正な人事、給与、待遇を行う、会社に対しての満足度や発展のための意見を確認
社会…地域住民との関わり、イベント活動、ボランティア活動、社会貢献活動
実施して構築して終わりではなく、そこから企業の経営発展に活かしていくことが大切です。企業の経営発展にどのように活かしていけるか、更に発展を行うにはどのようなエンゲージメントが必要か考えていきましょう。
関連記事：エンゲージメントとは！マーケティングにおける意味合いを徹底解説！
ステークホルダーと良好な関係を築く3つのポイント
前述しているように、企業は近年社会的な責任が重視されるようになっています。今後、企業が更に発展していくためには、ステークホルダーとの良好な関係を築き、関わり続けていくことが重要です。
良好な関係を築いていくためには、以下の3つのポイントを意識しておきましょう。
全体に対して分け隔てなく関わりを持つ
企業はステークホルダー全体に対して、分け隔てなく関わりを持つようにしましょう。特定の人のみに関係を持つのは危険です。
企業は、顧客や従業員、株主、融資してくれる金融機関など、多くのステークホルダーに支えられ、様々な関係の上で成り立っているといっても過言ではありません。
特定の人たちのみと関わって経営し、その他の人たちとの関係を疎かにしてしまっては、企業の信頼度を損なう恐れがあります。そのまま関係が悪くなってしまうと、「あそこは信用できない」といった人が現れ、企業の存続に関わってしまう恐れもあります。
特定の人だけではなく、地域社会や他の企業、消費者たちと関わる機会を増やしていくことをおすすめします。
自分もステークホルダーの一員であることを意識する
社会に出ている限り、自分自身もステークホルダーの一員だという意識を持つことは非常に大切なことです。
意識を持って様々な人たちとのつながりを広げたり、別の消費者の立場に立って異なる目線で会社の経営や社会情勢を見たりすることが重要となります。
もし企業の代表である場合、自社の従業員にも「自分自身も会社に影響を与えるステークホルダーの一員である」という自覚を持たせてあげる取り組みが必要です。
自覚を持たせてあげることで、自分の考え方や行動が会社にどんな影響を及ぼすのか、会社にどんなメリットがもたらすのかと考え、主体性を持って行動するようになるでしょう。
それが会社をより大きくしていくためのきっかけとなり得ます。
ステークホルダーと企業理念が繋がっているか確認する
ステークホルダーと企業理念が繋がっているか、改めて確認しておきましょう。
自らの企業がステークホルダーとどんな風に関わっているのか、企業はきちんとステークホルダーを理解しているのか、把握しておかなければ管理はできません。
きちんと把握していれば、企業理念とステークホルダーが結び付いており、関係性をより強化していくための企業理念となっているでしょう。
関連記事：経営理念とは？企業理念との違いや企業例とともにわかりやすく解説
まとめ
今回の記事では、ステークホルダーの意味や種類、良好な関係を築いていくポイントについて解説しました。
ステークホルダーは、企業の活動において影響を受ける「利害関係者」のことを言います。企業はステークホルダーとの関係があってこそ、成り立っていると言っても過言ではありません。
良好な関係を築いていくためには以下のポイントを押さえておきましょう。
● 全体に対して分け隔てなく関わりを持つ
● 自分もステークホルダーの一員であることを意識する
● ステークホルダーと企業理念が繋がっているか確認する
これらを押さえるだけでも良好な関係を保てる可能性は高いですが、働きかけは各々によって変化するため、相手に合わせて働きかけを変化させる必要があります。
ステークホルダーの1人ひとりがどのようなことを求めているのか、時間を使って考えてみましょう。
企業が社会的な責任を強く持つ今だからこそ、良好な関係性の構築は必要不可欠です。そして、企業の更なる発展のためにも、強い関わり・信頼性が重要となります。
また、ステークホルダーを把握・分析し、意見を吸い上げたり、ニーズを理解したりすることは、企業の方向性決定やプロジェクトの舵取りにも役立ちます。
常にステークホルダーとの関わりにおいて、良好な関係を築けるようアクションを起こしていきましょう。関係性の強化がビジネス発展の大きなポイントです。
