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2014年、インフルエンサーマーケティングの草分けとなる LIDDELL(リデル)を設立した福田晃一社長に戦略の深奥部を聞いた

【前編】「インフルエンサーマーケティング」を牽引するリデルの周到な戦略

2024.2.6
読了まで約 4

トヨタ、Amazon、資生堂、ユニクローー。LIDDELL(リデル)は、こうした有名企業の製品やサービスを売り伸ばしてきたインフルエンサーマーケティングの先進的企業だ。リデルはマーケティング業界では知られた存在だ。これまでの顧客は累計7000社。多くの企業や団体がリデルのサービスを使っており、MarkeTrunkの読者の多くもご存じだろう。

では、リデルは何を行っているのか。影響力を持つインフルエンサーを集め、必要なイベントや商品の立ち上げプロモーションなどにキャスティングを行う、タレントマネジメント業のように誤解している人が多いかもしれない。

本質的にはアマチュアで、本業を別に持っている人が大多数のインフルエンサーを、まるで芸能人やモデルのようにマネジメントすることで利鞘を稼ぐという業態は、確かに存在する。インスタグラムを通じたプロモーションが流行し始めた当初には、こうしたマネジメント業は注目されたし、今でもある。

しかし、リデルの特長はマネジメント業ではない点にある。「僕らのコンセプトは”パーソナル・ドリブン・マーケティング(個人の影響力を駆使したマーケティング)”で、2014年の創業以来、全く変わっていません。”個人の影響力”は、その人自身の個性が光っているからこその価値なんです」と話すリデル社長兼CEOの福田晃一は、その役割をサーヴァント・リーダーシップ(支配型リーダーシップの対極にある概念)と断言する。

リデルの手法は、所属契約によって個人を囲い込む芸能事務所のようなマネジメントスタイルとは真逆のものだという。

読モ、カリスマ店員ブームから得た気付き

2000年頃、東京・渋谷を拠点に人材派遣や学生マーケティングを行うビジネスに商機を見つけていた福田は、渋谷を舞台に勃興したガールズカルチャーの勢いを間近で見ていた。人気の読者モデルやカリスマ店員が渋谷文化を象徴するキャラクターとして話題に。雑誌などを通じ、ファッションに興味を持つ全国の女の子たちの注目を集めるようになった。

テレビが生み出したタレントではない。”おしゃれが大好き”な一般人である。そんな彼女たちを通じ、様々な新しい提案の商品が飛ぶように売れていく時代だった。

リデルは現在、”Personal Power to the People(個人の影響力を、人々の未来のために。)”を掲げているが、このコンセプトは2000年頃に読モ、カリスマ店員を見た際に福田が気づいたインスピレーションにルーツがある。

雑誌やテレビなどの大手メディアが作るトレンドではなく、”魅力ある個人”が消費者を惹きつけ、トレンドを生み出し、ヒット商品を作り出していく。そうした渋谷エリアにおける、ある種の現象を間近で見ていた福田は、渋谷エリアに集まるファッションリーダーたちを起用したカルチャーブランディングの会社を起業した。2006年設立のツインプラネットである。

画像:福田晃一/1979年⾼知県⽣まれ。2000年から読者モデルを中⼼としたファン・コミュニティマーケティングの先駆者。
福田晃一/1979年⾼知県⽣まれ。2000年から読者モデルを中⼼としたファン・コミュニティマーケティングの先駆者。芸能とマーケティングのハイブリッド企業であるツインプラネットの創業者として、数々の⼈気タレントやアーティストを輩出。多彩な戦略で「ヒト売れ」なる消費トレンドを築き2014年、SNS・インフルエンサーマーケティングの草分けとなるLIDDEL(リデル)を設⽴。「買う理由は雰囲気が9割」(2017)や「影響⼒を数値化 ヒットを⽣み出す共感マーケティングのすすめ」(2018)などの著書がある

「2000年当時、渋谷エリアではマーケティングの概念を変える現象が起きていました。発信力のある個人を中心に展開するマーケティングの場はその後、世相の変化でブログへと向かい、さらにツイッター(X)、インスタグラムなどを発信源とするSNSへと至ったのが、現在にまで続くインフルエンサーマーケティングです。そうした意味では、あの頃から本質は変化していない。魅力ある個人が影響力を持ち、それに共感する人たちに対して爆発的な伝達力を発揮する。では、どのようにすれば、彼女たちの力を活かせるのか。そのやり方をずっと模索していました」

関連リンク
「インフルエンサーマーケティング」とは?得られるメリットから成功のポイントまで徹底解説
インフルエンサーマーケティングに見る、広告概念の変化

”個人が持つ魅力”を引き出すために

福田が覚えていた違和感。それは、専属マネジメント契約によって個人を事務所と結びつけ、拘束するという手法が、影響力を持つ才能ある人材と長期にわたる信頼関係を結ぶ上で最適ではないのでは?という疑問から生まれているものだった。

組織やメディアの力を必要としない影響力を持つ個人を、果たして事務所が”管理”できるのか。たとえ囲い込んだとしても、自由に自らのセンスで発信していた個人が持つ魅力を失わせる結果になることもある。

そこでツインプラネットでは、芸能・モデル事務所のビジネスモデルを踏襲しながらも、可能な限り所属タレントが幅広く自由に活動できる方法を模索した。細かく管理するのではなく、自主性を重んじる”放牧”に近い手法を行ったからこそ、当時の既存事務所が扱えない読モ系タレントと良い関係を築き成長できたが、そこにも限界があることに福田は気づいた。

「他の組織に頼らなくても発信し、トレンドを生み出す力があるからこそのインフルエンサーです。例えば、俳優でもミュージシャンでもスポーツ選手でも、力のある人は事務所に所属して売り方を任せるのではなく、自分のことを理解してくれるエージェントを雇いますよね。事務所がタレントを管理するスタイルではなく、影響力を持つ個人と互いにフェアな関係を結ぶ。ツインプラネットを退職し、その一部だったインフルエンサーマーケティング部門を買い取ったのは、そんな新しいスタイルの事業を確立させるためでした」

関連リンク:インフルエンサーとは?インフルエンサーマーケティングが加速した背景

パーソナル・ドリブン・マーケティング

前述のように、リデルが行なっている事業は”パーソナル・ドリブン・マーケティング”という言葉で表現されるものだ。この言葉は近年になって確立されたものだが、概念としては福田がツインプラネットを創業する前から確信していたコンセプトと共通するものである。

個人によって突き動かされるパーソナル・ドリブン・マーケティング事業を確立させるには、いくつかのハードルがあった。リデルが進んできた道のりは、そのハードルを乗り越えることでもあった。例えば、インフルエンサーの多くは自分自身の影響力の大きさを把握できているわけではない。また、企業と直接結びついて事業を行う手段を持っているわけでもなかった。企業側もインフルエンサーの力を使いたいとはいえ、個人との直接的な関係を構築していくことには躊躇していた。

そこで福田は、インフルエンサーが個人事業主として自立し、企業とフェアな関係で仕事ができる環境を作った。インフルエンサーと企業を結びつけ、インフルエンサーが企業と共にプロジェクトを進めるための教育プログラムを整えた。

「所属契約でインフルエンサーを縛るのではなく、パートナーシップの関係です。インフルエンサーと対等の関係で一緒に新しい価値を生み出していくことを考えました」。福田は”サーヴァントリーダーシップ”を徹底することこそが、才能ある個人とパートナーシップを構築していく最良の手段だと説明する。

インフルエンサーがモチベーションを維持できる、興味を持てる、言い換えれば、最も能力を発揮できる環境を提供し、彼らの成長を促すために”リデルが奉仕する”というスタイルを貫く。

契約書ではなく、インフルエンサーが共感できる存在となることで結びつく。これこそが福田が目指した、影響力を持つ個人を活かした新しいマーケティングだった。

関連リンク:サーバント・リーダーシップとは?組織の中での特徴と支配型との違いを解説

3万5000人のインフルエンサーが登録

新しいマーケティング手法を模索するリデルのサービスには現在、3万5000人のインフルエンサーが登録している。その中でも特に影響力、あるいは協業の意識が強いおよそ350人のインフルエンサーとは、共同で企業向けのサービスを提供している。

企業のSNSアカウントをより良い形で運営したり、消費者の共感を呼び起こす商品開発を行ったりなど、その粒度や関わりの深さは様々だが、従来なら入り込むことがなかった領域に、インフルエンサーが入り込んでいる。その傍らにリデルのサポートがある。

自律的に企業との取引ができるようになったインフルエンサーは、いずれは独立し、リデルの力を必要としなくなることもあるだろう。

しかし福田は「それでもいいと考えています。必要とされていないのに、そこに無理に中間業者として存在することを我々は望みません。インフルエンサーとの関係は、常にフェアでなければならないと思っています。彼ら、彼女たちの持つ力を増幅し、より高い価値を引き出せるようにすることが、私たちが行うべきことです」。

後編(リデルは企業と個人が共創できるマーケティング基盤を作り上げた)では、口コミマーケティングの会社として成功したリデルが、さらに未来を見据えて取り組んでいる事業、マーケティングプランについて話を進めていく。(敬称略)

編集者

山田俊浩(やまだ としひろ)

東洋経済新報社 編集局次長
2020年10月から現職。2014年5月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。就任時には月間3000万PVだった東洋経済オンラインを月間2億PVを超える大手新聞社に匹敵する大型ニュースサイトへと引き上げた。2019年1月から2020年9月までは週刊東洋経済編集長。著書に『稀代の勝負師 孫正義の将来』(東洋経済新報社)がある。また不定期でAbemaTV の『ABEMA Prime』(アベプラ)にコメンテーターとして出演中。趣味はオーボエ演奏で都民交響楽団に所属。

執筆者

本田 雅一(ほんだ まさかず)

ITジャーナリスト
IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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