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マーケティングリサーチの「定量調査」と「定性調査」の違いを解説

2020.6.2
読了まで約 4

マーケティングを勉強していると、「定量調査」と「定性調査」という言葉を見聞きする機会があります。
どちらもよくマーケティング調査の手法として使われるのですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
それぞれの調査の特性を知っていれば、課題を解決するためにどちらを行えば良いかがわかります。
今回は定量調査と定性調査それぞれの特徴や得られるデータの特性、使い分けのポイントについて解説します。

 

定量調査と定性調査の違い


結論からいうと、定量調査は数値として表現されるような結果が得られる調査、定性調査は結果が数値以外(言語情報など)で表現されるような結果が得られる調査のことを指します。
それぞれ、どのような調査なのか、見ていきましょう。

●定量調査とは?
別名「量的調査」といいます。
その名の通り、量や確率といった数値で表せられる事柄を調査する方法です。
具体的には認知度や購買量、購買金額、購入率、リピート率、顧客満足度といった指標を導き出せます。
売上データの集計や選択方式のアンケート調査、会場調査、ネットリサーチ、郵送調査、電話調査など、様々な手法があります。

●定性調査とは?
別名「質的調査」です。
数値では表されない、人々の意識や感情、行動に至ったプロセスや理由などを調査します。
購買理由や購買プロセス、要望や悩みといった、数値化できない情報を得られます。
自由記述方式のアンケート調査やグループインタビュー、インデプスインタビュー、訪問観察調査、日記調査、行動観察調査、ワークショップなどで、対象者から話を聞いたり、行動を見たりしてデータを収集します。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

 

定量調査・定性調査のメリット・デメリット


定量調査と定性調査。
どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
それぞれ見ていきましょう。

●定量調査のメリット
定量調査のメリットは、なんといってもサンプル数を得やすいことです。
「はい・いいえ」を選ぶ、あるいは複数の選択肢の中から該当するもの選んで回答してもらう調査を行うので、時間や手間がかからず、多くの人から回答を得ることができます。
ネットリサーチなどを使えば何千、何万件ものデータを一気に得ることも可能です。

また、数値で結果が出るため、全体像を把握しやすいのもメリットといえます。
客観的な数字やグラフや図表で視覚的に表現することもできるため、説得力がある資料を作ることも可能です。

●定量調査のデメリット
定量調査のデメリットは結果が出た理由が明確にわからないことです。
たとえば「顧客満足度が上昇している」という結果が得られても、その理由を対象者に事細かに問うことができないため、何が評価されているのか?商品やサービスのどこが良いのか?といったことまではわかりません。

また、結果が数値として表現されるので、数字の分析スキルが必要とされます。
そのままでは効果的に使えないことも多く、割合や前期との比較といった加工を行って分析することが求められます。

●定性調査のメリット
定性調査では定量調査ではわからなかった対象者の行動理由や感情、興味関心、生活様式といった情報を得ることができます。
言語で情報を得るため、調査者が理解しやすいのもメリットです。
また、言語以外の情報(対象者の表情や仕草、反応)も読み取ることができ、より深い部分まで調査を行えるといえます。

●定性調査のデメリット
定性調査は定量調査よりも時間や手間がかかります。
特にインタビューやワークショップでは対象者の話を聞く必要があるため、深い情報は得られますが、サンプル数を稼ぐことはできません。
それ故に、全体像を把握するのも困難です。
定性調査で「商品やサービスの評価が高い」という結果が得られても、その対象者のみが満足している、あるいは嘘をついている可能性も考えられるため、正確な顧客満足度を把握することはできません。

 

定量調査と定性調査を組み合わせよう


定量調査と定性調査でそれぞれどのようなことができるのか?両者の違いやメリット・デメリットがご理解いただけたかと思います。

あらためて、わかりやすく表にまとめてみました。

  定量調査 定性調査
データの形式 数値 数値以外(言語)
定量調査でわかること 購買量、購買金額、購入率、認知率、購入経験率、リピート率、顧客満足度など 興味関心、購買理由、購買プロセス、要望、悩み、対象の行動パターンや生活様式など
調査方法

データ集計
ネットリサーチ
アンケート(選択方式)
会場調査
ホームユーステスト
郵送調査
街頭調査
来場者調査
FAX調査

電話調査

グループインタビュー
インデプスインタビュー
アンケート(自由記述方式)
訪問観察調査
日記調査
行動観察調査

ワークショップ
メリット

・サンプル数が多い
・全体像を把握しやすい

・説得力がある

・内容が深い調査ができる
・調査者が理解しやすい
・数値以外の情報を得ることができる

デメリット

・結果が出た理由がわからない
・データの加工が必要
・数的分析スキルが必要

・手間と時間がかかる
・サンプル数が少ない
・全体像が把握しにくい

それぞれメリット・デメリットがありますので、マーケティング戦略を立案するためには、定量調査と定性調査を組み合わせるのが有効です。

たとえば、新商品を開発するときに、顧客数人にヒアリングで定性調査を行います。
そこで、「商品の改善点を教えて下さい」と質問したところ、「品質を高くしてほしい」「デザインを良くしてほしい」「価格を下げた廉価版を出してほしい」といった意見が挙がったとしましょう。
「顧客はこの3つのどれかを新商品に求めている」という仮説が成り立ちます。

次に定量調査で、「新商品には次のうちどれを望みますか?」といった設問で、以上の3つの意見を選択肢として設置すれば、自社製品に対して多くの顧客は何を求めているのか?今の商品が抱えている問題点は何か?を知ることができます。
80%の顧客が「デザインを良くしてほしい」と回答したら、今の商品の課題点はデザインにあるといえそうです。

以上の例は定性調査→定量調査という流れでしたが、定量調査→定性調査という流れもあります。
たとえば、「弊社の商品にご満足いただけましたか?」という定量調査を行うとしましょう。
これで顧客満足度という全体像が見えてくるわけですが、満足していないという回答が多ければ、その回答者に個別でインタビューを行うことで、満足度が低い理由や商品の改善点がわかるようになります。

「定量調査のみ・定性調査のみ」ではなく、両方を掛け合わせることで、より深い、より精度が高いデータを収集することができます。

 

まとめ


◆マーケティング調査には「定量調査」と「定性調査」の2種類がある


◆定量調査は結果が数値として表れ、定性調査は数値以外(言語情報など)で現れる


◆いずれの調査にもメリットとデメリットがあり、それを把握しておくことが重要


◆定量調査のみ、あるいは定性調査のみを行うのではなく、両者を掛け合わせることで、より深い、精度が高いデータを得ることができる

 

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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