アクセシビリティ(Accessibility)とは、Access(近づく)とAbility(能力)を合わせた「利用しやすさ」を意味する言葉です。一般にアクセシビリティと呼ばれる場合、情報や機器・サービスの利用しやすさを指しており、情報アクセシビリティの推進に欠かせないウェブアクセシビリティを中心として語られることが多いといえます。
情報を発信する企業や団体にとって、ウェブを中心としたアクセシビリティ重視は欠かせない視点です。この記事ではアクセシビリティの概要について解説します。
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目次
アクセシビリティとは
最初にアクセシビリティの概念と類似語との違いについて解説します。
誰もが利用できる・利用しやすさ
アクセシビリティとは、情報や機器・サービスへのアクセスのしやすさのことですが、条件付きや限られた範囲の人を対象とするのではなく、誰にとっても利用しやすいことが求められています。
類似語との違い
アクセシビリティと比較されやすい類似語・関連概念にユーザビリティとユニバーサルデザインがあります。主な違いは下記の通りです。
比較項目 | 誰に向けたものか | どのような内容か |
アクセシビリティ | 多様な利用者 | 利用しやすさの指標・度合い |
ユニバーサルデザイン | すべての人 | 利用しやすさを追求する考え方・方法論 |
ユーザビリティ | 特定のターゲット | ターゲットの利便性に特化 |
アクセシビリティとユニバーサルデザインは「誰もが利用しやすい」という同じ目標を持つ概念・取り組みです。アクセシビリティが利用しやすさの指標や度合いについて示すのに対し、ユニバーサルデザインは利用しやすさを追求、実現する考え方であり方法論を表しています。
ユーザビリティはアクセシビリティやユニバーサルデザインとは対象とする範囲が異なります。特定のターゲットにとっての利用しやすさを示す概念です。
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情報アクセシビリティの重要性
情報アクセシビリティという言葉があります。アクセシビリティが情報や機器・サービスへのアクセスしやすさを示す概念であることから、アクセシビリティといえば多くの場合、情報アクセシビリティのことだといっても過言ではないでしょう。
総務省によれば情報アクセシビリティは以下のように説明されています。
“年齢や障害の有無に関わらず、誰でも必要な情報に簡単にたどり着け、利用できること”(※1)
障害者については「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」が2022年5月に施行されており、障害の種類や程度に応じた手段の選択や地域差のない情報の取得、健常者と同一の情報取得などが可能となる施策の実施が基本理念として規定されています。
※1 出典:総務省情報アクセシビリティポータルサイト「情報アクセシビリティとは」
https://www.soumu.go.jp/info-accessibility-portal/info-accessibility/
情報強者・情報弱者などという言葉が俗語としてしばしば使われているように、得られる情報の質や量によって生き方が左右されかねないのが、高度に情報化が進んだ現代社会です。好むと好まざるとにかかわらず情報へのアクセスが無視できない社会において、障害の有無や年齢によってアクセスできる情報に差があるとすれば、不公平さを感じてしまうのではないでしょうか。
また、「いつでも・どこでも・何でも・誰でも」ネットワーク経由で情報が得られサービスを受けられるとするユビキタスネットワーク社会の概念に反しないためにも、情報アクセシビリティの重要性は高いといえます。機器やサービスへのアクセシビリティも、突き詰めれば情報へのアクセスを容易にするものだといえるでしょう。
ウェブアクセシビリティへの取り組み
情報アクセシビリティを推進するうえで重要となるのが、情報発信のプラットフォームとなるウェブサービスのアクセシビリティ、つまりウェブアクセシビリティです。
ウェブアクセシビリティとは
誰もが環境その他の条件にかかわらず、いつでもウェブサイトで公開、提供されている情報にアクセスでき、ウェブ上で提供されているサービスを利用できること、その度合いがウェブアクセシビリティです。つまり、ウェブアクセシビリティは情報アクセシビリティを推進するための指標のひとつといえるでしょう。
ウェブアクセシビリティで考えられる情報発信のプラットフォームには、オウンドメディアとしての公式サイトやXなどのSNS、YouTubeなどの動画配信サービスなどさまざまな種類があります。また、パソコンやタブレット、スマートフォンなど対応する情報ツール、デバイスの多様化が進んでいる昨今では、情報アクセシビリティの向上においてウェブアクセシビリティへの取り組みが不可欠です。
ウェブアクセシビリティと日本産業規格
ウェブアクセシビリティは公的にも重要視されており、JIS日本産業規格にはウェブアクセシビリティに関する定めがあります。
・規格番号…JIS X8341-3
・規格名称…「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ」
JIS規格で定められているのは、高齢者や障害者を含むすべての人がデバイスその他の環境に左右されることなくウェブコンテンツを利用できるための達成基準です。
▼ウェブアクセシビリティの認知度についてのアンケート、および調査結果などをこちらの記事で詳しく紹介しています。
freee・サイバーエージェント・サイボウズの3社がWebアクセシビリティ調査を発表。62%が「知らない」
ウェブアクセシビリティの具体例
高齢者や視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者も含め、すべての人が無理なく情報にアクセスし、サービスを利用できるために実施されているウェブアクセシビリティの具体例を紹介します。
ウェブアクセシビリティのカタチ
以下はウェブアクセシビリティを具体的なカタチにした主な例です。
・見やすくてわかりやすいページの配置
・サイトマップの設置
・文字サイズの自由な拡大縮小機能
・色覚に左右されないコンテンツ表示やコントラスト
・音声が聞き取れなくても内容がわかる字幕表示
・キーボードを押すことのみで操作できるショートカットキーなどの用意
・音声によるコントロール
・画面が見えなくても内容が把握できる音声読み上げ
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アクセシビリティとともに中身も重要
ウェブアクセシビリティの向上は重要ですが、アクセスしやすくなったとしても肝心の中身が伴っていなければ利用者にとっての利益にならない可能性が高いでしょう。結果として自社の利益にもならないといえることから、発信する情報の中身も重要です。
とはいえ、効果的な情報発信が誰でも簡単にできるとは限りません。アクセシビリティとコンテンツ内容の両方からのアプローチに困ったら、専門家のアドバイスを検討してみましょう。高い専門性と手厚い伴走による支援が受けられるProFutureのサービスをぜひご活用ください。
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https://www.profuture.co.jp/mk/solution/3040
▼SEOを意識したウェブアクセシビリティを向上させる方法やメリットについて、こちらの記事で解説しています。
SEOにも効く!Web制作で意識したいWebアクセシビリティとは
まとめ:ウェブアクセシビリティの向上でWin-Winの関係を目指そう
現代の高度な情報化社会において情報へのアクセスのしやすさを示す情報アクセシビリティは重要な概念です。個別企業としては、コンテンツの中身の充実とともに情報発信のプラットフォームについてのアクセスのしやすさを示すウェブアクセシビリティの向上に取り組む必要があります。
ウェブアクセシビリティを向上させることで、ユーザーにも自社にも利益となるWin-Winの関係を目指しましょう。