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BtoBマーケで“施策ばかり増える会社”が成果を出せない理由
マーケ施策を「戦略」に変える設計とは?
【エッジコネクション代表 大村氏連載 第7回】

2026.4.10
読了まで約 5

展示会、Web広告、ウェビナーホワイトペーパー、SNS運用――。
BtoBマーケティングで実行できる施策の選択肢は、ここ数年で大きく広がりました。
MA(マーケティングオートメーションツールの普及も相まって、「やれることはすべてやっている」と感じている企業も少なくないでしょう。

しかし実際には、施策を数多く実行しているにもかかわらず、「商談につながらない」「受注が増えない」という悩みを抱えている企業は依然として多く存在します。施策の数が増えた分だけ現場の負荷は高まっているのに、成果が比例して伸びていかない。この状態は、マーケティング担当者にとっても経営層にとっても大きなストレスになります。

その原因は、施策の質や数にあるわけではありません。多くの場合、問題はマーケティング「戦略」の設計にあります。施策が単発で実行され、それぞれの役割や目的が整理されていないまま積み上がっている状態では、成果が見えにくくなるのは当然のことです。

本稿では、BtoBマーケティングにおいて施策が増えるほど成果が見えなくなる構造的な理由を整理しながら、マーケ施策を「戦略」として設計するための考え方について解説します。

著者プロフィール:大村 康雄 (おおむら やすお)

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施策が増えるほど成果が見えなくなる理由

BtoB企業のマーケティング現場では、施策の種類が年々増えています。しかし、施策が増えること自体は問題ではありません。問題は、施策が増えた結果として、マーケティング活動全体の方向性が見えにくくなっていることにあります。

近年増えているBtoBマーケ施策

10年ほど前であれば、展示会と自社サイトからの問い合わせ獲得、テレアポくらいが施策の中心だったBtoBマーケティングも、いまではコンテンツマーケティング、ウェビナー、オートコール、オートメール、MA活用など、選択肢は大幅に増えています。

これ自体は市場の成熟であり、歓迎すべき変化です。しかし現実には、「何から手を付けるべきか」が見えないまま、手当たり次第に施策を始めてしまうケースも少なくありません。

当社でもクライアント企業の支援に携わるなかで、施策の数は十分にあるのに成果が伴わないという相談を受ける機会が増えています。

施策ごとに異なっていく目的

施策が増えると、それぞれの施策に固有の目的や評価指標が設定されるようになります。展示会であれば名刺獲得数、広告であればクリック率CPA、ウェビナーであれば参加者数、ホワイトペーパーであればダウンロード数といった具合です。

個別に見れば妥当な指標ですが、これらの指標が「最終的にどの成果に結びつくのか」という共通ゴールに紐づいていないケースが多くあります。各施策が独立した目的で動いているため、マーケティング活動全体としての成果が評価しにくくなるのです。

目的がずれるとマーケ戦略全体が不明確に

施策が増え、それぞれが異なる目的で動くようになると、「マーケティング活動全体として何を目指しているのか」が曖昧になります。個々の施策は実行されているのに、それらがどのように連携して商談や受注につながるのかが設計されていない。

その結果、マーケティング活動が単発の取り組みの寄せ集めになり、全体としての成果が見えにくくなります。施策を増やせば増やすほど、この傾向は強くなります。

マーケ施策が「点」になってしまう構造的問題

成果が見えにくいマーケティング組織には、施策が「点」として存在してしまう構造的な問題があります。これは担当者の努力不足ではなく、組織設計やKPI設計に起因するケースがほとんどです。

①施策ごとに担当が分かれている

マーケティング組織が一定の規模になると、展示会担当、広告担当、コンテンツ担当、MA運用担当といった形で、施策ごとに担当者が分かれていくことがあります。この分業自体は効率化のために必要なものですが、各担当が自分の担当施策の最適化だけに集中してしまうと、施策間のつながりが失われます。

展示会で獲得したリードがその後どのように育成されるのか、広告で集めた流入がどのコンテンツにつながるのか。こうした「施策と施策の間」が設計されないまま、それぞれが独立して動いてしまう状態が生まれます。

画像:施策ごとに担当が分かれている(点の状態)施策同士のつながりがなく、それぞれが独立して動いてしまう

②KPIが施策単位になっている

施策ごとに担当が分かれると、KPIも自然と施策単位で設定されるようになります。各担当者は自分のKPIを達成することに注力するため、「展示会で何枚名刺を集めたか」「広告のCPAはいくらだったか」「ウェビナーの参加率はどうだったか」といった数字が評価の基準になります。

画像:KPIが施策単位になっている(点の状態)評価軸がバラバラで、全体成果への貢献が見えない

しかし、これらの指標はそれぞれ異なる軸で評価されているため、マーケティング全体としての成果にどう寄与しているのかが見えません。リードは集まっているのに商談につながらない、という状態は、このKPI設計のズレや次の施策とのつながりへの理解不足から生じていることが少なくありません。

③顧客視点の設計がない

施策が「点」になってしまう最大の要因は、顧客の検討プロセスが考慮されていないことです。BtoBの購買は、課題の認識から情報収集、比較検討、社内調整、最終決裁へと段階的に進みます。この流れを無視して施策を並べても、顧客の行動は前に進みません。

例えば、まだ課題を認識し始めたばかりの顧客に対して製品比較資料を提供しても、響くはずがありません。逆に、比較検討段階に入っている顧客に基礎的な啓発コンテンツだけを届けても、次のステップにはつながりません。顧客がどの段階にいるのかを前提に施策を設計しなければ、施策同士のつながりは生まれず、マーケ活動は成果に結びつかないのです。

マーケ施策がバラバラに実行されている場合、顧客の検討プロセスが考慮されにくくなり、そのままでどれだけ施策を増やしても、商談や受注という成果につながりにくくなります。

関連資料:【テンプレート無料配布】カスタマージャーニーマップをパワーポイント(PPTX)で作ろう

成果を出す企業のマーケ戦略設計

一方で、同じような施策を実行しながらも安定して成果を出している企業があります。その違いは、施策の新しさや量ではなく、マーケティング活動を「戦略」として設計しているかどうかにあります。

①顧客の検討プロセスを起点に設計する

成果を出している企業がまず行っているのは、顧客の検討プロセスを起点にマーケティング全体を設計することです。顧客は最初からサービス導入を決めているわけではありません。「何か課題がありそうだ」という漠然とした認識から始まり、情報を集め、複数の選択肢を比較し、社内で検討を重ねたうえで導入を判断します。

成果を出す企業は、この一連の流れを理解したうえで、「課題認識の段階にいる顧客には何を届けるか」「情報収集段階の顧客には何を用意するか」「比較検討段階の顧客にはどうアプローチするか」を整理しています。

私自身、営業支援の現場で多くの企業と接するなかで、この検討プロセスの解像度が高い企業ほど施策の精度が高く、商談化率も安定していると感じています。

②施策ごとの役割を整理する

顧客の検討プロセスが整理できたら、次に行うべきは各施策の役割を明確にすることです。例えば、広告や記事コンテンツは課題認識を促す役割、ホワイトペーパーは課題への理解を深める役割、ウェビナーは具体的な解決イメージを提供する役割、個別相談は意思決定を後押しする役割、といった形で、施策ごとの立ち位置を定義します。

この整理があることで、「この施策を見た顧客は次にどのステップへ進むのか」が明確になり、施策同士が一本の流れとしてつながります。また、施策の役割が明確であれば、マーケティングと営業の接続もスムーズになります。「どの状態の顧客を営業に渡すのか」「営業が動くために必要な情報は何か」が事前に設計されていれば、営業側も商談に入りやすくなるのです。

関連リンク:法人マーケ・営業なら知っておきたい「商談と商談化率」の基本&MQLから「確度の高い商談」を生む方法

③マーケ活動を戦略として設計する

施策ごとの役割が整理できたら、最終的にはマーケティング活動全体を一つの戦略として設計します。ここでいう「戦略」とは、大がかりな計画や新しいツールの導入を指すものではありません。

今ある施策を、顧客の検討プロセスに沿って再配置し、施策間のつながりを設計し直すことです。重要なのは、「この施策の次は何か」「この施策は全体のなかでどのような役割を持っているか」を明確にすること。この視点を持つだけで、マーケ活動は単なる施策の集合体から、成果を生み出す仕組みへと変わります。

KPIに関しても各施策で完結するものではなく、顧客の検討プロセスに沿い、次のプロセスの成果とも連動させるなど、より高い視座から戦略的な設計に変わっていくでしょう。

このように成果を出す企業ほど、新しい施策を探すことよりも、今ある施策の組み立て方を見直すことに時間を使っています。

まとめ

BtoBマーケティングにおいて、施策の選択肢が増えていること自体は歓迎すべき変化です。しかし、施策を数多く実行しているだけでは成果にはつながりません。施策が増えるほど成果が見えなくなる背景には、施策の目的や役割が整理されず、マーケティング活動全体の戦略が不明確になっているという構造的な問題があります。

成果を出している企業は、施策の数や新しさで差をつけているわけではありません。顧客の検討プロセスを起点に、各施策の役割を明確にし、施策同士をつなぐ戦略を設計しています。これは大がかりな変革を必要とするものではなく、今ある施策をどう整理し直すかという設計の問題です。

マーケ施策が「やったかどうか」で評価される状態から脱却し、「どのような成果にどうつながっているか」で評価できる状態をつくること。
その第一歩が、施策を「戦略」として設計するという視点を持つことです。施策を増やす前に、まずは今あるマーケ活動の全体像を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。

執筆者

大村 康雄

大村 康雄(おおむら やすお)

株式会社エッジコネクション 代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。
2007年、株式会社エッジコネクション創業。営業支援業を軸に、人事・財務課題にも対応するコンサルティング企業として展開。
これまでに1800社以上を支援し、継続顧客割合は75%を超える。
2024年7月には「24歳での創業から19期 8期連続増収 13期連続黒字を達成した黒字持続化経営の仕組み」を出版。

Instagram:https://www.instagram.com/edgeconnection_career/
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YouTube:https://www.youtube.com/@consultant-juku

編集者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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