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顧客単価を向上させるクロスセルとは?活用方法と具体例をご紹介

2025.12.11
読了まで約 4

多くの人は、ハンバーガーショップでハンバーガーを買った際に、店員さんからフライドポテトや飲み物の購入を勧められた経験をしたことがあるでしょう。このように、顧客の要望にプラスして関連した商品やサービスを勧めることをクロスセルといいます。

新規顧客の獲得が難しくなっている昨今、顧客単価を上げるために行われるクロスセルですが、その活用方法にはどのようなものがあるのでしょうか? クロスセルを応用した具体例と共に解説します。

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クロスセルとは何か?

画像:クロスセル 関連商品をすすめる営業手法

クロスセル(Cross Selling)とは、商品やサービスの購入を検討している顧客、または購入した顧客に対して、その顧客が購入しようとしている商品やサービスと関連性の高い、別の商品やサービスを同時に勧めて販売する手法です。

ハンバーガーショップでハンバーガーを注文した際に、「ポテトはいかがですか?」や「ドリンクもセットにするとお得ですよ」と勧められるのは、クロスセルの代表的な例です。これは、顧客の現在のニーズ(ハンバーガーを食べたい)を捉え、その満足度を高めたり、利便性を向上させたりする関連商品を提案することで、顧客単価の向上を目指す販売戦略です。

クロスセルは、単に「ついで買い」を促すだけでなく、顧客の潜在的なニーズ隠れた課題を的確に捉え、適切なタイミングで最適なソリューション(解決策)を提供することで、顧客体験の向上にも貢献します。

一般消費者向け(BtoC)の事例が多いクロスセルですが、BtoBビジネスにも強力に応用することが可能です。新規顧客の開拓は、時間、労力、そして広告宣伝費などのコストが大きくかかる傾向があります。このような状況下で持続的な売上向上を目指すためには、既存顧客との関係性を深め、顧客単価をアップさせるクロスセルは、非常に効率的で効果的なアプローチと言えるでしょう。

クロスセルは、顧客の購買行動を理解し、顧客満足度を高めながら売上を伸ばすための重要なマーケティング戦略の一つです。

<成功事例込みのアップセル・クロスセル関連記事>

また、クロスセルに関連してよく出てくる言葉も説明しておきましょう。

アップセル

画像:アップセル 上位商品をすすめる営業手法

アップセルは、顧客が購入しようとしている商品やサービスと同種でありながら、より高機能であったり、上位のグレードであったりする、より高額なものを勧める販売手法です。

よく知られた例には、クレジットカードがあります。クレジットカードは、たとえば普通カードとゴールドカード、プラチナカードのようにカードのグレード(ランク)が分けられている場合が多く、ほとんどのクレジットカード会社では顧客の信用度や利用額によって、カードのアップグレードを勧めてきます。アップグレードによってカードのサービス内容や利用限度額が変わりますが、大抵の場合は年会費も上がり、これは顧客単価のアップにつながります。

BtoBの場合であれば、顧客製品の性能アップのために、より耐久性や性能の優れた素材を勧める場合などがアップセルに相当します。

ダウンセル

ダウンセルは多くの場合、在庫処分をしたいケースなどに使われます。
たとえば自動車販売でニューモデルの発売が近くなり、古いモデルを早く売り切ってしまいたいような場合です。
販売価格を下げて顧客の購買意欲を高めることにより、在庫を抱えるリスクを低減するのです。

スーパーなどでも、閉店時間が近くなると生鮮食品の値下げが行われることがありますが、これも廃棄ロスを避けるためのダウンセルです。

クロスセルのメリット・デメリット

クロスセルのメリットはとても明確ですが、デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか? クロスセルのメリット、デメリットを一度確認しておきましょう。

メリット

市場の競争激化などで新規顧客の獲得が難しい中、多くのコストをかけて新規顧客開拓をするより既存顧客を大切に扱い、関係を長く維持してLTV(ライフタイムバリュー)を最大化するマーケティングが主流になっています(リレーションシップ・マーケティング)。クロスセルやアップセルによって顧客単価を上げ、結果として売上向上につなげられるのが一番のメリットです。またクロスセルにより自社の優位性をアピールできれば、リピートも期待できます。これにより、顧客満足度を高め、長期的な信頼関係を構築することにも繋がります。さらに、クロスセルは既存顧客の購買行動を分析することで、より精度の高いターゲティングが可能になり、マーケティングROIの向上も期待できるでしょう。

デメリット

顧客の望まない商品やサービスをしつこく勧め、関係を悪化させてしまうと、顧客離れを招いてしまうことがクロスセルのデメリットです。自社の都合で商品やサービスを押しつけるのではなく、あくまで顧客の視点からメリットを明示することが大切です。例えば、顧客が求めていない商品を強引に提案することは、顧客体験を損ない、ブランドイメージの低下につながる可能性があります。そのため、提案する際には、顧客のニーズや状況を十分に理解し、本当に価値のある関連商品であることを丁寧に伝える必要があります。

クロスセルの活用方法

クロスセルを活用しようとしても、自社商品を無理に組み合わせるわけにはいきません。顧客のメリットを考えないシーズ視点での提案は、前述したクロスセルのデメリットしか生まないため、関係悪化を招く可能性があります。これを避けるためには、商品やサービスの企画段階からクロスセルを念頭に置いておくことが重要です。通常、顧客ニーズの分析は企画段階で行われますが、その際に主たる商品のほかに顧客が潜在的に必要とするであろう別の商品も一緒に検討しておくのです。後からクロスセルの商品を考えると後手に回ってしまいがちですが、主たる商品のリリースと同時にクロスセルを顧客にアピールできれば、他社への差別化にもつながります。例えば、ソフトウェア製品を販売する際には、そのソフトウェアの利用をサポートするコンサルティングサービスや、連携する周辺ツールなどをセットで提案することで、顧客はよりスムーズに活用でき、満足度も向上します。このように、顧客の利用シーン全体を想定し、関連商品補完サービスを効果的に組み合わせることが、クロスセル成功の鍵となります。

クロスセルの具体例

ネット販売におけるクロスセルの代表的な成功事例として、アマゾンの戦略が挙げられます。アマゾンは、オンラインショッピングの体験において、顧客の潜在的なニーズを的確に捉え、クロスセルを巧みに促進しています。

具体的には、ある商品を購入または検討している顧客に対して、「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」という形で類似商品を提示したり、「よく一緒に購入されている商品」として関連性の高い商品をまとめて表示したりします。これにより、顧客は当初の目的以外の商品にも自然と目を向け、新たな発見や購入につながる可能性が高まります。これは、顧客が「こんな商品もあるのか」「これも必要だったかもしれない」と感じる心理をうまく突いたクロスセルの活用方法と言えます。

さらに、アマゾンはBtoBの側面でもクロスセルを効果的に展開しています。出品者向けには、「在庫管理」、「受注処理」、「商品の配送」、「代金の回収」といった一連の業務を包括的にサポートする「フルフィルメント by Amazon(FBA)」というサービスを提供しています。これは、出品者が本来個別に手配する必要がある様々なサービスを、ワンストップで提供する形態であり、まさにビジネスユーザーが事業運営において必要とするであろうサービス群をクロスセルとして提供している好例です。

これらのアマゾンの事例からわかるように、クロスセルを成功させるためには、顧客が抱えるニーズを、単一の商品やサービスにとどまらず、より広範な視点(広義のニーズ)で把握することが不可欠です。顧客が抱えるであろう潜在的な課題や、さらなる利便性を追求するであろう要望を先回りして提案することで、顧客単価の向上だけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。

まとめ

クロスセルは、既存顧客の単価を向上させるための有効な販売戦略です。新規顧客獲得の難しさが増す現代において、クロスセルは顧客単価を上げるための手段のひとつとして、売上向上に大きく貢献します。

また、顧客のニーズを広義で把握し、主たる商品やサービスと関連性の高い商品・サービスを提案することで、他社との差別化を図ることも可能です。

クロスセルを成功させるためには、顧客の潜在的な要望や課題を的確に捉え、顧客視点に立った提案を心がけることが重要です。 クロスセルの実施は、商品・サービスの企画段階から組み込むことで、より効果的に顧客満足度を高め、長期的な関係構築へと繋げることができます。

クロスセルは、企業と顧客双方にとってメリットのある、持続的な成長に不可欠なマーケティング手法と言えるでしょう。

 

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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