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ユーザーに向けて新しい選択軸をつくる手段とは?

2020.8.7
読了まで約 3

私たちがモノを買うときは、何らかの選択軸にもとづいて行動しています。例えば、「商品の値段」も、買うか買わないかの判断をするための、重要な選択軸の一つです。自社商品のターゲットになるユーザーの選択軸を把握することは、売上を伸ばすためにも大切です。しかし、既存の選択軸だけに頼っていると、競合よりも圧倒的に強い商品やサービス力を持たない限り、価格競争に陥ってしまい、ビジネスとして難しくなるかもしれません。

そこで重要になってくるのが、ユーザーにとって「新しい選択軸をつくる」ことです。

既存に頼らない新しい選択軸が求められる

ユーザー(顧客)が商品やサービスを購入する上で、決め手となる選択軸のことを、マーケティング用語で購入決定要因(KBF)と呼びます。KBFはKey Buying Factorの略です。

選択軸を把握することは、マーケティングをする上で欠かせませんが、市場の現状分析から洗い出した既存の選択軸のみに焦点を絞った戦略をとると、どんどんと頭打ちになっていきます。

例えば、「価格」という選択軸に注力し過ぎると、商品そのものの魅力は衰退するか、少なくとも向上するのは難しくなるでしょう。

そこで、今までなかった視点を発見して新しい選択軸をつくり、そこで商品の魅力を競っていくという、新しい発想が求められます。

今回は、新しい購買行動における選択軸をつくるための手段について、例を用いて解説します。

関連記事:リードとは?マーケティングにおける意味やリード獲得の具体的なプロセス・施策を解説

既存の価値を研ぎ澄まして、その価値を選択軸にまで昇華させる

まだ商品の選択軸にまでには至っていない価値を一定レベル以上に研ぎ澄ますことで、商品の主な選択軸に昇華することがあります。

●例 Apple製品のデザイン

ここではApple製品を例に挙げて考えてみましょう。Apple製品にはアップル社共同設立者スティーブ・ジョブズ氏のデザインへの「こだわり」が盛り込まれており、発売当時から他社製品と圧倒的な差別化がされていることは広く知られています。

Apple製品が売り出される以前も、PC製品の選択にデザイン要素が全く無視されてきたかと言えば、そうではなかったでしょう。しかし、デザインを重視してPCを選ぶ人はあまりいなかった、つまり一般的な選択軸ではなかったと想像できます。

ところが、一度Apple製品が世に出ると、ユーザーは「PCはこんなにもオシャレになれるのか」と驚愕します。その瞬間から、デザインはPCの選択軸にまで「昇華」されたのです。

既存の価値であれ、何かを一定のレベル以上に突き詰めることでユーザーの行動基準自体を変化させることもできる、ということです。

アンケート結果などから、新しく加えられそうな選択軸を探る

実際にユーザーの声をきいてみると、真に求められている価値を発見できることもあります。

●例 持ち運び扇風機

近年、夏になると持ち運び型の扇風機を見かけることが増えました。 この商品は、扇風機に「ポータブル」という価値を付け加えたものです。斬新なアイデアではありますが、おそらく多くの人が昔から、「外でも扇風機が使えたら…」という願望を持っていたのではないでしょうか。

このように、まだ商品化はされていないけれど、「潜在的に広く求められている価値」を発見できたとき、とても強いプロダクトが生まれる可能性があるのです。

新しい価値を「組み合わせ」方式でくっつけてみる

既にある価値をうまく組み合わせて、新しい選択軸をつくることもできます。

●例 ニコニコ動画

書き込んだコメントが画面に流れることで有名になった、ニコニコ動画という動画サイトがあります。それまでは、視聴した動画の感想を動画サイト内、または別の掲示板サイトに書き込むのが通常でしたが、ニコニコ動画では動画上にコメントを表示させることで動画自体に掲示板の役割も持たせました。

このように、ユーザーがもとは別の商品やサービスに求めていた価値を取り込むことで、利便性や魅力が向上し、そのプロダクトについての新しい選択軸ができることがあります。

価値のプロパガンダ(新しい価値の重要性をユーザーに「説得」する)

ある価値について、大々的にその重要性をアピールすることで、その価値を新しい選択軸に変えることもできます

●例 環境にやさしいという価値

電化製品を中心に「エコ」という基準が商品選択において重視されるようになったのは、今から20年ほど前からではないでしょうか。これは国全体がエコ商品を奨励したからであり、それによってこれまであまり重要視されてこなかった価値が大きな選択軸になったのです。

このように、かなり大掛かりなプロパガンダをすることによって、国家規模で新たな選択軸を浸透させることもできるのです。

今回挙げきれなかった戦略も多くありますが、皆さんもぜひ「新しい選択軸を増やすことは重要であると同時に、楽しいこと」だと気づき、自身のクリエイティビティを発揮した手法を発見してみてはいかがでしょうか。

まとめ

◆新たなユーザーの選択軸をつくることは、業界の進歩が頭打ちにならないためにも重要

◆新たな選択軸をつくるための手法はいくつか考えられてきたが、まだまだ多くの可能性がある

◆新しい選択軸を増やすことの重要性と楽しさを意識し、自分のクリエイティビティを発揮していくことが大切

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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