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ユニットエコノミクスとは?SaaSマーケティングの重要指標でコスト最適化

2022.1.7
読了まで約 4

SaaSビジネスの健全性を図る指標の1つに、ユニットエコノミクスがあります。ユニットエコノミクスはユニット単位での収益性を表す指標であり、もとは管理経営の用語でSaaSビジネスでは投資家がその事業を評価するためにも活用されています。

また、ユニットエコノミクスから今とるべき事業戦略や、最適なマーケティングコストが明確になります。今回はユニットエコノミクスから導く事業戦略やマーケティングコスト最適化について紹介します。

ユニットエコノミクスとは?

SaaSビジネスにおいてユニットエコノミクスは、その事業の健全性を図る重要な経営指標です。SaaSビジネスでは投資家がユニットエコノミクスを見て、ユニット(事業、または顧客)単位あたりの採算性を評価します。

また、ユニットエコノミクスから最適なマーケティングコストを導きだすことができます。さらにコストをかけて顧客獲得を加速させるか、コストをおさえて顧客獲得に改善が必要かといった判断がしやすくなります。

SaaSビジネスは継続利用を前提としたサブスクリプションが主体です。従来の売り切りビジネスとは異なり、顧客を獲得した段階では獲得に投じたコストを回収できず赤字の状態です。継続利用によりコストを回収し収益を生み出みだしていく仕組みのため、長期利用されればされるほど収益性は高まります。

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売り切りビジネスの場合、損益計算書で事業の健全性を判断することができますが、SaaSビジネスでは上述のように長期での収益を評価する必要があり、貴重な評価資源となります。

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ユニットエコノミクスの計算方式

CAC(顧客獲得単価)とLTV(ライフタイムバリュー)によってユニットエコノミクスは計算されます。

ユニットエコノミクス = LTV / CAC

CACは「顧客獲得単価」を指し、新たな顧客を獲得するのにかけたコストすべてに対して、顧客の獲得件数を割ることで計算します。

CAC(顧客獲得単価)ってなに?SaaSビジネスでの適切な獲得単価を計算 | MarkeTRUNK

また、LTV(ライフタイムバリュー)は「顧客生涯価値」を指し、顧客がサービスと取引を始めて、その取引が終了するまでの期間でどれだけその顧客から利益が得られたかと言うことを意味します。一般的にはLTVは下記の計算式で計算されます。

LTV=平均購買単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間

SaaSビジネスの場合、月間の平均利用単価を解約率(チャーンレート)から計算することができ、計算式は以下の通りです。

LTV=月間平均利用単価 ÷ 解約率(チャーンレート)

マーケティングで重要になるLTV(ライフタイムバリュー)とは | MarkeTRUNK

ユニットエコノミクスの適切な値とコスト回収期間

ユニットエコノミクスを計算しても、その値自体が適切であるかどうかは判断ができませんSaaSビジネスが健全であると評価できる適切な値を基準とします。

①ユニットエコノミクスの適切な値

ユニットエコノミクスは、3倍以上が適切な値と言われています。3倍以上あれば、ビジネスとして健全な状態と評価されます。SaaSビジネスにおいても成功とイメージされている企業の数値は3以上となっています。

しかし、数値が3以上であっても高すぎると、新規顧客獲得に十分にコストをかけておらず、顧客獲得の機会を見逃していると考えられます。ユニットエコノミクスを把握することで、顧客獲得の適切な投資コストを掌握し、マーケティングを行います。

②適切なコスト回収期間

ユニットエコノミクスとあわせて、新規開拓にかけたコストも考慮する必要があります。

それはpayback periodと呼ばれ、SaaSビジネスにおいては、マーケティング・セールスにかけたコストをどのくらいの期間で回収できるのか評価する、投資家の重要な指標です。payback periodは、CACをMRR(月次経常収益)で割り出すことで計算します。

payback period = CAC ÷ MRR(月次経常収益)

顧客獲得に欠けたコストはできるだけ早く回収できるほうが良く、payback periodは短ければ短いほどビジネスとして健全です。6か月~12か月以内がpayback periodの評価期間として適切であると言われています。

つまり、顧客獲得コストに対し回収が12か月以上かかってしまうと、顧客獲得コストの負担が大きくなり赤字になるリスクが発生し、ビジネスとして健全な状態とは言えません。

適切なユニットエコノミクス維持する方法

ユニットエコノミクスを把握するだけでなく、適切な値を維持できるように改善に取り組んでいくことが重要です。ユニットエコノミクスを改善するには、LTVとCACへそれぞれアプローチしていく方法があります。

①LTVの向上

チャーンレートの改善

チャーンレートの改善には、まずその原因を探り明確にすることが重要です。この数値が悪い状態のがまま、新規開拓によって顧客と契約しても収益は悪化するだけです。

解約要因の1つが製品・サービスが十分に活用されていない場合、カスタマーサクセスの体制を構築し企業のサービス利用定着を促すオンボーディングの強化を行います。また、他社より料金が高い、サービス自体に問題があるといったことであれば、サービス自体の見直しを検討する必要も出てきます。

チャーンレート(Churn rate)とは?マーケターが押さえておきたいSaaSビジネスの顧客解約率 | MarkeTRUNK

アップセル・クロスセルの促進

カスタマーサクセスやCRMツールの導入によって顧客関係を強化し、既存顧客の満足度を高め、アップセル・クロスセルへつなげていきます。アップセル・クロスセルが成功すれば、顧客単価が上がれば、LTVが向上します。

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②CACの改善

マーケティング施策の変更

CACの改善には、コストをかけないでできる施策への変更が有効です。具体的には、リスティング広告などの広告出稿や展示会などの出展を実施せずに、検索流入を稼ぐことができるコンテンツマーケティングやウェビナー、メールマーケティングに中心に取り組んでいきます。

コンバージョン率、商談獲得率・受注率の改善

マーケティング・セールスにおけるコンバージョン率を高めていく施策も有効です。マーケティングであれば、Webサイト内の資料ダウンロードや問い合わせなどのCTAを見直し、コンバージョン率の改善を図っていきます。

CTA設計・見直しでコンバージョン率を改善する方法 | MarkeTRUNK

また、セールスにおいては、インサイドセールスがナーチャリングの強化とトークスクリプトの改善を行うことで商談獲得率の向上を図ったり、フィールドセールスが商談プロセスを見直し、受注までのリードタイムを短縮するなど受注率の向上を図っていきます。

まとめ

・SaaSビジネスにおいて、その事業の健全性を図る重要な経営指標がユニットエコノミクス。ユニット(事業、または顧客)単位あたりの採算性を評価したり、顧客獲得コストから最適なマーケティングコストを計算できる
・ユニットエコノミクスはCAC(顧客獲得単価)とLTV(ライフタイムバリュー)によって計算する。また、LTVはSaaSビジネスの場合、月間の平均利用単価と解約率から計算できる
・ユニットエコノミクスは3以上が適切な値と言われているが、3以上であっても高すぎると、新規顧客獲得に十分にコストをかけておらず、顧客獲得の機会を見逃していると考えられる
・ユニットエコノミクスを把握するだけでなく、適切な値を維持できるように改善に取り組んでいくことが重要。ユニットエコノミクスを改善するには、アプローチ方法としてLTVとCACがある

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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