マーケティング施策の精度を左右するのは、顧客の深層心理や市場の実態を、どれだけ正確に捉えられるかにかかっています。しかし、実務と並行してリサーチの設計から実査、データ解析までを一貫して行うには、多くの工数と専門的な知見が必要です。
こうした課題に対し、効率的かつ実用的な解決策として注目されているのがパネル調査(パネルリサーチ)です。これは、あらかじめ調査参加に同意したモニター(=パネル)から、目的に応じてデータを収集する調査形式で、ネットリサーチの主流となっています。
本記事では、国内有数のアンケートプラットフォームであり、パネルリサーチを実現する代表的サービスである「リサーチパネル」について解説します。
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目次
リサーチパネルとは
リサーチパネルは、企業のアンケート調査や商品モニター、座談会などに一般ユーザーが参加できる、国内最大級のアンケートプラットフォームです。
マーケティング担当者にとって、限られた時間と予算の中で、いかに早く、信頼性の高い一次データを得るかは大きな課題となります。こうした背景から、あらかじめ登録されたユーザーを対象に調査を行うパネル型リサーチへの関心が高まっています。
その仕組みは簡単です。
モニター登録したユーザーが興味のある案件を選び、アンケートに回答したり、商品を一定期間使ったりします。調査形式も多様で、数分で終わる簡単なアンケートから、数日〜数週間にわたり継続的に回答を求めるもの、さらには複数人が参加する座談会形式まで幅広く対応しています。
ユーザーは案件に参加することで、現金などに変換可能なポイントを獲得します。
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リサーチパネルとは?評判や口コミ、安全性について解説!
リサーチパネルが企業やマーケターにも人気の理由
ここでは、リサーチパネルが企業に人気の理由を見ていきましょう。
多数のユーザーが多種多様なアンケートに回答する土壌ができている
リサーチパネルには、日常的に調査に参加する多数のユーザーが登録しており、限定的な条件であっても調査をスムーズに開始できる環境が整っています。
たとえば、「新規SaaSの試用経験者」や「特定ジャンルの商品を半年以内に購入した層」など、一般的には集めにくい対象でも、スクリーニングを工夫すれば、短期間で一定数の回答を得られます。
広告やSNSで一から募集する場合と比べ、リサーチパネルを活用すればリードタイムを大幅に短縮できます。
▼スクリーニングについては、以下の関連記事で詳しく解説しています。
スクリーニング調査とは!作成する上での注意点や事例も紹介!
運営会社が上場企業である
調査結果を意思決定に活用する以上、その信頼性は極めて重要です。リサーチパネルは、東証プライム上場企業「CARTA HOLDINGS」のグループ会社が運営しており、ガバナンスやコンプライアンス体制が整備されています。
社内で調査結果を報告する際、「どの企業が収集したデータか」を明確に示せることは、大きな安心材料になります。
セキュリティが万全である
個人情報や回答データを扱うリサーチにおいて、セキュリティ対策は不可欠です。リサーチパネルでは、個人を特定できる情報と回答内容が分離管理され、第三者に漏れるリスクを抑えた仕組みが整っています。
企業側がユーザー情報に直接アクセスすることはなく、受け取るのは集計・分析済みのデータのみ。そのため、情報管理に伴うリスクを最小限に抑えられます。
たとえば、自社でアンケートを実施する場合、個人情報の取り扱いに関するルール整備や運用体制の構築が必要です。一方、リサーチパネルを利用すれば、こうした対応の多くをサービス側に任せられます。
登録会員の中から、目的に合う属性のユーザーに絞ってアンケートを届けられる
リサーチパネルでは、年齢・性別・居住地などの基本属性に加え、利用経験や購買履歴、興味・関心といった条件で対象を絞り、該当ユーザーのみにアンケートを配信できます。
一定期間、同一人物に継続的に回答してもらう「パネルリサーチ」も行いやすい
リサーチパネルの特長のひとつが、単発ではなく、同じユーザーに継続して回答を依頼できる点です。日次や週次などの定期調査にも対応しており、ユーザー側もこうした形式に慣れています。
たとえば、新商品の試用期間中に使用感を日々記録してもらう調査やキャンペーン前後で意識の変化を追うような設計も可能です。時系列でデータを取得できるため、単なる満足度調査では見えにくい変化や傾向を捉えられます。
企業がリサーチパネルを活用する具体例
リサーチパネルは、汎用性の高い調査手段として、マーケティングのさまざまな局面で活用されています。主な活用例を、以下の表に整理しました。
| 活用シーン | 目的・内容 | 得られる効果 |
| 認知度調査 | 想起率・競合比較を把握 | 施策効果を数値で可視化 |
| 商品・サービス評価 | 仕様・価格・名称への意見収集 | リリース後の手戻り防止 |
| 継続モニター調査 | 利用初期〜継続後の評価比較 | 本質的な改善点の発見 |
| 座談会・定性調査 | 本音や背景の深掘り | 施策・訴求軸の明確化 |
| 施策連動活用 | 広告・コンテンツ・Web改善に反映 | リサーチ成果の実装・成果最大化 |
こうした調査結果を、広告、コンテンツ制作、Web改善などの実行施策に結びつけてこそ、リサーチは価値を発揮します。
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「リサーチパネルに参加すると危ない・面倒」などの口コミは本当? そう言われる理由と実際の参加ユーザー側の評判をチェック
ここでは、リサーチパネルに参加するユーザー側の評判を紹介します。
なかなかポイントが貯まらない
もっとも多く見られるのが、思ったよりポイントが貯まらないという声です。1案件あたりで得られる報酬は数円〜数十円相当が中心で、高ポイント案件もあるものの、参加希望者が多く、すぐに枠が埋まってしまいます。
得られたポイントには有効期限がある
ポイントに有効期限が設定されている点も、不便に感じられやすい要素のひとつです。一定期間ログインしなかった場合や長期間ポイント交換を行わなかった場合、保有ポイントが失効するケースがあります。
ユーザー登録するとアンケート案内メールが大量に届く
登録後、アンケート案内のメールが多いと感じるユーザーもいます。特に、以前は案件ごとに個別で通知が届く形式だったため、煩わしさを覚えるケースが少なくありませんでした。
現在は、案内方法が一括配信に変更されており、通知頻度の調整や受け取り方の選択がしやすくなっています。
実際に開始できるまでが少し面倒
リサーチパネルの利用には、サービス登録に加え、ポイント交換サイトとの連携が必要です。この初期設定を煩わしいと感じるユーザーも一定数います。
しかし、この仕組みがあることで、重複登録や不正利用の防止につながり、調査データの信頼性が維持されています。
リサーチパネルの公式アプリは無い
リサーチパネルには専用アプリがありません(2025年12月時点)。、参加にはWebブラウザを使用する必要があります。スマートフォンアプリに慣れたユーザーにとっては、不便に感じられる点かもしれません。
ライバルとなる「ポイ活」サイトがたくさんある
リサーチパネルは、ポイント獲得を目的とする他のポイ活サイトと比較されることもあります。その際、報酬条件や操作性の違いが不満として語られるケースがあります。
しかし、リサーチパネルは娯楽要素の強いポイ活とは異なり、あくまでアンケート調査を主軸としたサービスです。そのため、企業側から見れば、調査目的に合致したユーザー層が集まりやすいというメリットがあります。
リサーチパネルにアンケート案件を出す企業があらかじめ注意しておきたいこと
ここでは、リサーチパネルに案件を出す前に知っておくべき注意点を解説します。
リサーチパネル側でユーザーに対して「セールスや勧誘を受けることはない」と明示されている
リサーチパネルでは、ユーザーがアンケートに回答したことをきっかけに、企業から直接セールスや勧誘を受けることはないと定められています。
たとえば、調査結果をもとに即座に見込み顧客へアプローチしたい場合、リサーチパネル単体ではその役割を果たせない点に注意が必要です。
あくまで、リサーチパネルは市場理解や仮説検証を目的としたリサーチ手段であり、リード獲得やナーチャリングを行いたい場合は、他の施策と組み合わせなければいけません。
案件を出した企業と回答者の間に契約関係はないため、途中離脱リスクは常にある
リサーチパネルにおけるアンケートは、企業とユーザーが直接契約を結んで行うものではありません。そのため、途中で離脱するユーザーが一定数出る可能性があります。
たとえば、数週間にわたり毎日回答を求めるような調査では、回答負荷やモチベーションの低下により、離脱が発生するリスクが高まります。
このような状況を想定したうえで、サンプル数に余裕を持たせたり、設問数や頻度を適切に設計したりすることが重要です。
▼アンケートの作り方については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
アンケートの正しい作り方|効果的に回収するコツや基本形式、例文
調査設計・運用の難易度が高い
調査の成否は、設計段階でほぼ決まると言っても過言ではなく、一定のマーケティング知識とリサーチ経験が求められます。
具体的には、必要サンプル数の算出、設問数や順序の設計、質問文の表現方法など、各要素が回答結果に大きく影響します。曖昧な設問や誘導的な表現が含まれていれば、得られたデータを誤って解釈するリスクも高まります。
まとめ:リサーチパネルはおすすめアンケート手段のひとつ
リサーチパネルは、限られたリソースの中で短期間に一次データを収集したい企業やマーケターにとって、有効な調査手段のひとつです。
あらかじめ多くのモニターが登録されており、スクリーニング調査、座談会、長期的なパネルリサーチまで対応可能な環境が整っている点は、現場の負担を抑えながら調査を始められるメリットです。
ただし、調査の実施そのものが目的化してしまうと、得られたデータも活用されずに終わってしまいます。広告施策、コンテンツ制作、Webサイト改善、人材採用・人事領域など、調査結果を具体的な施策へどう展開するかを見据えた設計が不可欠です。
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