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コストリーダーシップ戦略とは?意味や企業の成功事例などを解説

2024.3.5
読了まで約 7

ビジネス戦略のひとつとして、「コストリーダーシップ戦略」というものがあります。コストリーダーシップ戦略とは、競合他社よりも安い価格帯で商品やサービスを提供する、あるいは原価を抑えて利益率を増大させることで、競争における優位性を確立する戦略のことです。

本記事では、コストリーダーシップ戦略の具体的な考え方や、他のビジネス戦略との違い、企業の成功事例などについて詳しく解説します。

コストリーダーシップ戦略とは?

コストリーダーシップとは、ハーバード大学教授で世界的に有名な経済学者であるマイケル・ポーター氏が提唱したビジネス戦略のひとつです。ここでは、下記についてそれぞれ解説していきます。

コストリーダーシップ戦略とは、競合他社よりも安い価格帯で商品やサービスを提供する、あるいは原価を抑えて利益率を増大させることで、競争における優位性を確立する戦略です。

「大量生産して単価を安くする(ボリュームディスカウント)」「生産工程の効率化」「材料原価の低減」「直接仕入れ」「人件費や固定費の削減」といったさまざまなコスト削減を行うことで、他社と同じようなクオリティの商品、あるいはサービスを安価で提供できるようになります。仮に価格を下げなくても、原価を下げることで利益率がアップします。

● コストリーダーシップ戦略の意味
● コストリーダーシップ戦略が重要視される背景
● 安売りとの違い
● 「差別化戦略」「集中戦略」との違い
● 「プライスリーダーシップ」との違い

コストリーダーシップ戦略が重要視される背景

コストリーダーシップ戦略がマイケル・ポーター氏によって1980年に提唱されてから、2023年時点で43年が経ちます。しかしながら、いまだ多くの企業に重要視されているビジネス戦略であり、実際に多くの企業が現在もなお導入しています。その理由のひとつとして挙げられるのが、近年の「市場の変化」です。

例えば、証券業界ではコモディティ化が進み、ネット証券各社においては手数料の引き下げ競争が激化しています。そういった背景から、証券業界ではコストリーダーシップ戦略がビジネス戦略の要とも言える状況となっています。

こういった価格競争はあらゆる市場で発生しており、コストリーダーシップ戦略はこのような市場の変化に柔軟に対応できるビジネス戦略だと考えられているのです。

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安売りとの違い

コストリーダーシップ戦略と「安売り」は似ているようで異なるものです。安売りとは、あくまで「売価を下げる」のみの施策です。

在庫を処分するためにセールを行って一時的に価格を下げる、オープン記念や閉店セールなど、一時的な集客のために利益度外視で価格を下げるといった施策は「安売り」と言えます。

一方、コストリーダーシップ戦略は、原価を抑える仕組みを構築した上で価格を下げる、または利益率をアップさせるという戦略です。

「差別化戦略」「集中戦略」との違い

マイケル氏は「コストリーダーシップ戦略」以外にも、「差別化戦略」「集中戦略」という戦略を提唱しています。この3つの戦略のいずれかを選択することで、企業は他社に対して優位性を確立できるとされています。

差別化戦略は、コストリーダーシップ戦略とは真逆と言える戦略です。つまり、高価格で質が高い、あるいは希少性の高い商品やサービスを提供するのです。高級ブランドや高級レストランなどは、この差別化戦略をとっています。

集中戦略とは、小さい市場をターゲットにして集中的に商品やサービスを投下する戦略です。
万人受けするものを提供するのではなく、ニッチな需要を満たすものを提供することで、独自の市場を確保するのです。

  基本的な考え方 市場規模 原価 販売価格
コストリーダーシップ戦略 競合他社よりも低価格で商品・サービスを提供する
差別化戦略 高価格で付加価値が高い商品・サービスを提供する
集中戦略 ニッチな需要を満たす商品・サービスを提供する 低~高 低~高

まとめると、それぞれの違いは上記の図のようになります。企業の基本的な戦略は、「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」の3つと言えるでしょう。

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「プライスリーダーシップ」との違い

コストリーダーシップ戦略は、主に競合他社より安い価格で商品やサービスを提供し、業界において競争上の優位に立つことを目的としたビジネス戦略です。

一方で、「プライスリーダーシップ」という業界用語もあります。プライスリーダーとは、日本語で「価格先導者」という意味で、寡占的な業界において、商品やサービスの価格を決定する際に他企業に大きく影響を与えるようなリーダー的企業のことを指します。

プライスリーダーは業界でもっとも大きなシェアを持ち、流通チャネルも他企業を圧倒します。このようなプライスリーダーが決定した価格は、事実上の標準価格となります。

そしてプライスリーダー以降の2番手企業などは、「プライスフォロワー=価格追随者」と呼ばれ、プライスリーダーが決定した価格を基準にして、商品やサービスの価格を決定していきます。

このように、プライスリーダーシップは特定の企業が業界内で価格を先導していくものですが、コストリーダーシップは特定の企業が市場内での価格を決定づけるわけでありません。あくまでコストが「リーダーシップ=最優先事項」と捉えているビジネス戦略である、という点が、プライスリーダーシップとの違いです。

関連記事:チャネルって何?販売における意味を徹底解説します!

コストリーダーシップ戦略のメリットとリスク

次に、コストリーダーシップ戦略を採用するメリットと、そのリスクについて考えてみましょう。

● コストリーダーシップ戦略のメリット
● コストリーダーシップ戦略のリスク

コストリーダーシップ戦略のメリット

「安い」というのは顧客にとっては大きな魅力です。「良い商品を安く購入したい」というのは誰もが考えることであり、価格は大きな判断材料となります。

コストリーダーシップ戦略をとって販売価格を競合他社よりも抑えられた場合、集客アップが見込めます。また、利益率の向上も期待できるでしょう。

原価80円のものを100円で売っていた場合、利益率は20%です。これを例えば安い材料に変えて原価70円に抑えられれば、利益を10%増大させることができます。

コストリーダーシップ戦略のリスク

コストリーダーシップ戦略にはリスクもあります。価格を下げることで競合他社が追随して値下げをし、価格競争に発展してしまうケースも少なくありません。価格を下げ過ぎたあまり、利益が出せず、値上げもできないという状況に陥ることも考えられます。

また、コストリーダーシップ戦略を過剰に進め、価格を極端に抑えたり、品質が悪くなってしまったりすることで、「安っぽい」「安いけど品質もそれなり」という企業イメージが定着してしまうリスクも考えられます。行き過ぎたコストリーダーシップ戦略は、自社の首を絞めることにもなりかねないのです。

コストリーダーシップ戦略を導入する方法

コストリーダーシップ戦略は以下の手順で導入します。

1. 自社の現状を把握し評価する
2. 競合他社を調査する
3. 原材料費を見直す
4. 生産工程を見直す
5. 流通チャネルを見直す
6. 自社商品やサービスの価格を決定する

1.自社の現状を把握し評価する

自社で取り扱っている商品やサービスの粗利益から、現在自社にどのぐらいの余裕があるのかを評価します。

2.競合他社を調査する

市場における競合他社の存在は無視できないため、競合他社がどのくらいの価格で商品やサービスを提供しているのかを調査します。

3.原材料費を見直す

自社で商品を提供している場合は原材料費、サービス業の場合は外注費などを見直します。

4.生産工程を見直す

生産工程に無駄な工程がないかを見直します。基本的に生産工程が長いほど、運転資金も上がっていくと考えられます。

5.流通チャネルを見直す

流通チャネルとは、商品が自社から顧客に届くまでの流通経路を指します。この間に仲介する業者が多ければ多いほど、流通コストは上がっていきます。無駄なコストが発生している流通経路があれば、そこを削減していきます。

6.自社商品やサービスの価格を決定する

1から5までを総合的に勘案し、自社商品やサービスの価格を決定します。

コストリーダーシップ戦略のポイント

コストリーダーシップ戦略を成功させるためのポイントとしては、主に以下があります。

● 原材料の調達方法を工夫する
● 生産規模を拡大する
● 自社独自の技術を活かす
● 運転資金の見直しを行う
● 業務の効率化を図る

原材料の調達方法を工夫する

コストリーダーシップ戦略では、まず原材料費を抑えることを考えます。商品を製造するたびに調達しなければならない原材料費を抑えることは、事業を長期継続していく上で要と言えます。

そのためには例えば、「自社農園を持つ」「直接生産者と契約する」「代替品を模索する」などの工夫が必要となってくるでしょう。

生産規模を拡大する

生産規模を拡大し、一度に生産する量を増やすことでスケールメリットの効果が生まれます。同じ商品の製造をルーティン化、または機械化し、一度に大量に生産することで工数の削減につながります。現在より短い工程で商品を製造できるため、作業効率・作業スピードともにアップし、コストの削減も見込めるようになります。

自社独自の技術を活かす

自社にできて競合他社には真似できない独自の技術を保有していれば、優位性確立の一助となります。自社独自の技術で知的財産権を取得することにより、一定期間競合他社が利用できないようにすることも十分可能です。

また特許を取得すれば、その技術を販売することもできるようになります。こういった自社独自の技術は後々財産となることもあります。

運転資金の見直しを行う

水道やガス、電気、人件費といった固定費を削減するのはなかなか難しいですが、例えば空調を省エネのものに入れ替えたり、機械設備等をリース契約にしたりすることによって、少しでも運転資金を削減できるか否かを模索してみましょう。

しかし、人件費を減らす目的で給与を下げたり、福利厚生の質を落としたりしてしまうと、従業員の不満が募り、従業員エンゲージメントの低下を引き起こしてしまいます。それが引き金となり、業務パフォーマンスの低下、ひいては企業パフォーマンスの低下につながってしまうこともあるでしょう。

そのような結果にならないよう、人件費の削減については慎重に検討し、現在在籍している従業員を第一に考えながら行うことが重要です。

関連記事:エンゲージメントを向上させる具体的な方法、事例とは?|内定者・新入社員2021年度版

業務の効率化を図る

業務の効率化を図ることも、長期的にはコストリーダーシップ戦略に必要となってきます。業務を効率化し、従業員の作業時間が短縮されれば、残業代などのコスト削減にもつながります。

また業務の効率化によって工数も削減できれば、その分のコストも削減できます。そのためには、業務アプリケーションなどのITの活用や、作業をルーティン化するためのAIロボットの導入などを積極的に行っていくのもひとつの方法です。

コストリーダーシップ戦略を導入した企業の成功事例

コストリーダーシップ戦略をうまく取り入れて経営に成功している事例をいくつか見ていきましょう。

● マクドナルドの例
● サイゼリヤの例
● すき家の例
● ユニクロの例
● ニトリの例
● Amazonの例
● ソフトバンクの例
● HISの例

マクドナルドの例

マクドナルドは、コストリーダーシップ戦略に成功している代表的な企業と言えます。物流システムや徹底したマニュアル化によって、モスバーガーやバーガーキングといった競合他社と比較して圧倒的な低価格を実現しています。

しかし、過去にはコストリーダーシップ戦略が行き過ぎたあまり、過当な価格競争に陥って業績が悪化したこともありました。現在ではコストリーダーシップ戦略をとりつつも、魅力的な商品の開発やサービスの付加価値などをアップさせ、コストと質のバランスが取れたビジネス展開をしています。

サイゼリヤの例

サイゼリヤもコストリーダーシップ戦略によって成功を収めている外食チェーンです。徹底した品質管理や、流通・オペレーションの効率化によってコストダウンを実現しています。

敷居が高かったイタリアンを圧倒的な安さで提供し、「サイゼリヤ=安い」というイメージを定着させ、学生を含めた若年層の取り込みに成功しています。

すき家の例

すき家は、同じ外食チェーンでもマクドナルドやサイゼリヤとは別の角度でコストリーダーシップ戦略を実践している企業です。食材の大量仕入れや店舗の少人数オペレーション、多店舗化によって原価を抑えることで低価格な牛丼を提供してきました。

しかし、一時期はワンオペによる強盗被害、低賃金・過労といった労働環境の悪化によるバイト離れが問題となりました。

そこで、現在ではコストリーダーシップ戦略を維持しつつ、品質を向上して値上げをする差別化戦略に舵を切りつつあります。

ユニクロの例

ユニクロの魅力は、手軽な価格で品質の高い衣服が買えることです。高いコストパフォーマンスを実現している秘訣は、SPA(製造小売業)という仕組みにあります。

ユニクロでは商品の開発、製造、販売までを一貫して自社で行っています。卸売などの中間業者が存在しないことでマージンも発生しないため、効率的な物流が可能となりました。浮いたコストは販売価格として還元されています。

ニトリの例

ニトリはユニクロと同様、SPAによるコストリーダーシップ戦略を採用しています。家具業界においてはいち早くSPA方式を導入し、パイオニア的存在と言えます。

「お、ねだん以上。」というキャッチコピーを全面に打ち出し、コストパフォーマンスの良さを効果的にアピールすることで、集客にも成功しています。

Amazonの例

世界規模で通販事業を展開しているAmazonは、物流センターを土地代の安い郊外に置くことでコストの削減に成功しました。

またAmazonは、強力な流通チャネルを持ち、第三者が出品する商品以外は在庫管理から梱包、発送までをすべて自社倉庫内で行います。このようなワンストップ体制も、コストリーダーシップ戦略の成功につながっています。

ソフトバンクの例

ソフトバンクは、学生をターゲットにした格安料金設定や割引プランを展開したことで、コストリーダーシップ戦略を成功させました。

また、それ以前に行っていたブロードバンド事業においては、ADSL回線での維持管理費や広告費を削減することで、圧倒的な低価格を実現しています。

HISの例

HISは、格安で旅行に行きたいというニーズを持った顧客層に狙いを定め、創業期より格安航空券の販売を行ってきました。当時は海外向けの航空券は非常に高価であったため、HISはこれをいかにリーズナブルな価格で提供できるかを模索してきました。

そういったコストリーダーシップ戦略が奏功し、格安航空券の提供という販売チャネルが確立されたのです。

関連記事:ニーズとは一体何?ウォンツやシーズとの違いも解説

まとめ

◆コストリーダーシップ戦略は競合他社よりも安い価格で商品・サービスを提供する、あるいは利益率をアップさせる戦略のことである。

◆「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」のいずれかを採用することで、競合他社との優位性を確立できる。

◆コストリーダーシップ戦略では、原価を抑える仕組みを構築することが重要である。

◆行き過ぎたコストリーダーシップ戦略は、価格競争や商品・サービスの質の低下、企業イメージの悪化を招くリスクも伴う。

◆コストリーダーシップ戦略の導入に成功した事例としては、マクドナルドやユニクロ、Amazonなどが挙げられる。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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