オウンドメディア(Owned Media)は、企業が所有・運営する自社メディアを指します。近年、オウンドメディアは企業規模に関わらず、広報やマーケティングにおける重要なツールとして注目を集めています。多くの企業が顧客獲得や企業・商品のブランディングにオウンドメディアを活用し、経営戦略の一環として位置付けています。
本記事では、オウンドメディアの重要性から立ち上げまでの流れ、そして運用における注意点までを詳しく解説します。自社でオウンドメディアを立ち上げたい方はもちろん、すでに運用されている方にも参考になる情報を提供します。
オウンドメディアの名前を決める際は、企業のブランドイメージや発信するコンテンツの特徴を反映させることが重要です。例えば、社名を活用した「〇〇ラボ」や「〇〇研究所」といった名称や、コンテンツのテーマに沿った独自の名前を付けるなど、工夫することで読者の記憶に残りやすくなります。
オウンドメディアを効果的に活用することで、企業の認知度向上や顧客との関係構築、さらには新規顧客の獲得にもつながります。継続的なコンテンツ制作と戦略的な運用を通じて、企業の価値を高める強力なツールとしてオウンドメディアを位置付けていくことが重要です。
人事・経営層のキーパーソンへのリーチが課題ですか?
BtoBリード獲得・マーケティングならProFutureにお任せ!
目次
なぜオウンドメディアが注目されているのか?
オウンドメディアは、企業や組織が自社で所有・運営するメディアとして、近年ますます注目を集めています。その背景には、従来の広告手法の効果低下や、デジタルマーケティングの進化があります。オウンドメディアを活用することで、企業は自社のブランディングを強化し、顧客との長期的な関係構築を図ることができます。
特に、消費者の情報収集行動が変化し、一方的な広告よりも、有益なコンテンツを求める傾向が強まっています。オウンドメディアは、そうした消費者ニーズに応える手段として効果的です。また、SEO対策の観点からも、質の高いコンテンツを継続的に発信することで、検索エンジンでの上位表示が期待できます。
さらに、ソーシャルメディアの普及により、優れたコンテンツが自然と拡散されやすい環境が整っています。オウンドメディアで発信した情報が、ユーザー間で共有されることで、より多くの潜在顧客にリーチできる可能性が高まっています。
このように、オウンドメディアは、企業の情報発信力を高め、顧客との接点を増やすための重要なツールとして、その重要性が認識されているのです。
広告手法の限界
第一に、従来の広告手法が通用しなくなっているのがオウンドメディア注目の理由です。消費者が広告を無視したり、広告を見ても反応しなかったりする現象が起きています。
インターネットのバナー広告は、2000年頃には10%程度のクリック率がありましたが、現在では1%を大きく下回っています。さらに、今後のスマートフォンには、広告ブロック機能が搭載されつつあります。
このような状況下で、企業は新たな集客手段としてオウンドメディアに注目しています。オウンドメディアを通じて、自社の魅力や価値を直接的に伝えることで、従来の広告手法の限界を乗り越えようとしているのです。
オウンドメディアでは、ユーザーが求める情報を提供することで、自然な形で企業や製品への興味を喚起できます。これにより、広告を無視する傾向にある現代の消費者にも、効果的にアプローチすることが可能となります。
従来の集客施策の中心であった広告が機能しなくなったことで、オウンドメディアの必要性が高まっているのです。企業は、オウンドメディアを通じて、より持続可能で効果的な顧客獲得の手段を模索しています。
検索エンジン対策のトレンドに対応するため
従来、検索エンジン対策(SEO)は、専門のSEO業者に頼んで、自社サイトにリンクをはってもらう、いわゆる被リンク(人工リンク、リンクファームなどとも呼ぶ)という手法が一般的でした。
しかし、検索の最大手企業であるGoogleがこの手法の取り締まりを強化。
特に2011年以降に、Googleは、「パンダ」や「ペンギン」、「ハミングバード」と呼ばれる多くのアルゴリズム変更を行い、現在は、質の高いコンテンツが上位に表示されるようになっています。
このような状況下で、オウンドメディアの重要性が高まっています。オウンドメディアを活用することで、自社の専門性や独自の視点を活かした質の高いコンテンツを継続的に発信できます。これにより、検索エンジンからの評価を高め、自然検索での上位表示を狙うことができます。また、オウンドメディアの名前を工夫することで、ブランド認知度の向上にも繋がります。
広告費の適性化を図るため
これまで企業は、即効性の高いリスティングに依存してきましたが、実は、ユーザーは、広告をクリックしなくなっているというデータもあります。
2012年時点の調査ですが、自然検索は、広告の4倍もクリックされているにも関わらず、使われているお金はリスティングの1/10にとどまっていました。
現在、企業は、リスティング広告予算は抑えて、自然検索からの流入を増やすための投資を増やしています。オウンドメディアも、そのトレンドに乗っていると言えるでしょう。
オウンドメディアを活用することで、広告費の適正化を図ることができます。質の高いコンテンツを継続的に発信することで、自然検索からの流入を増やし、広告費に依存しない集客手法を確立できます。また、オウンドメディアの名前を工夫することで、ブランド認知度の向上にも繋がります。
SNSやキュレーションメディアなどのトレンドに対応するため
今では日本でもFacebookやTwitterなどのSNSが広く使われるようになりました。質の高い記事は、ユーザーが自らFacebookやTwitterなどでシェアをするのが一般的となり、「口コミ」経由で、記事が伝わるようになりました。このような状況下で、オウンドメディアの重要性が高まっています。
オウンドメディアを活用することで、SNSやキュレーションメディアなどのトレンドに効果的に対応できます。例えば、自社のオウンドメディアで魅力的なコンテンツを発信し、それをSNSで拡散することで、より多くのユーザーにリーチすることが可能になります。また、キュレーションメディアに取り上げられるような質の高いコンテンツを制作することで、さらなる露出機会を得ることができます。
このように、オウンドメディアは現代のデジタルマーケティング環境において、企業の情報発信力を高め、ブランド認知度を向上させる重要なツールとなっています。
企業がオウンドメディアに取り組むメリットとは
企業がオウンドメディアに取り組むことには、多くのメリットがあります。オウンドメディアは、企業が自社で所有・運営するメディアであり、ブランディングや顧客獲得に大きな効果をもたらします。
広告宣伝費をカットできる
あなたのビジネスは広告依存になっていませんか?
リスティングの費用がかさむ、ショッピングモールでの広告費支払いがかさむなど、広告依存は頭の痛い問題です。オウンドメディアに取り組む事で、この広告費依存体質から脱出する事ができます。
オウンドメディアに、コンテンツを蓄積すると自然検索での流入が増えて行きます。広告は止めてしまうと、売上が落ちますが、オウンドメディアは、ストック効果があるので、広告と違って更新を止めても、アクセスが維持されます。
過去の記事であっても、検索やSNS経由で読まれるからです。オウンドメディアは、まさに、顧客を生み出すコンテンツ資産を貯める事と同じなのです。オウンドメディアの名前を工夫することで、ブランド認知度も向上させることができます。
効果的なオウンドメディアの運用により、従来の広告費を大幅に削減しつつ、持続的な集客が可能になります。さらに、オウンドメディアを通じて提供する価値ある情報は、潜在顧客との信頼関係構築にも役立ちます。このように、オウンドメディアは広告宣伝費の削減だけでなく、長期的な企業価値向上にも貢献する重要なマーケティングツールなのです。
圧倒的なブランディング
2つめの重要なポイントは、ブランドの構築です。
オウンドメディアに専門性の高い記事を蓄積する事で、読者が繰り返し訪問して記事を読むようになります。これにより、オウンドメディアの名前と共に、企業のブランド認知度も向上していきます。
記事による「役に立つ情報の提供」によって、皆さんの会社が「専門家」として認識され、信用されるようになるのです。オウンドメディアを通じて、企業の専門性や独自の視点を示すことで、他社との差別化を図ることができます。
米国でコンテンツマーケティングに取り組んだプールの工務店では、ブログを30ページ読んだ人は成約率が80%だったそうです。ブログでブランディングができているので、売込みが不要だからです。このように、オウンドメディアを通じて構築されたブランドは、営業活動の効率化にも貢献します。
さらに、オウンドメディアの名前を工夫することで、より効果的なブランディングが可能になります。例えば、企業名と関連づけたり、提供する情報の特徴を反映させたりすることで、記憶に残りやすい独自のブランドを確立できるでしょう。
顧客のロイヤルティを高められる
3つめのポイントは、顧客ロイヤルティ(忠誠心や愛着)を高められることです。
顧客に役に立つ情報を出し続けると、「こんなに役立つ情報を惜しげもなく提供してくれるなんて、いい会社に違いない」という印象を与え、顧客のロイヤルティが高まっていくのです。
オウンドメディアを通じて質の高いコンテンツを継続的に発信することで、顧客との信頼関係を構築し、ブランドへの愛着を深めることができます。これは単なる一時的な購買行動を超えた、長期的な関係性の構築につながります。
ロイヤルティの高い顧客は、ビジネスにさまざまなメリットをもたらします。たとえば、他社との比較検討がされにくい、価格競争に巻き込まれにくい、継続発注をもらいやすいなどです。さらに、オウンドメディアを通じて顧客との対話を促進することで、顧客ニーズをより深く理解し、製品やサービスの改善にも活かすことができます。
このように、オウンドメディアは顧客ロイヤルティを高める強力なツールとなり、持続可能な事業成長の基盤となるのです。
幅広い地域を対象にできる
4つめは、幅広い地域をターゲットにビジネスを展開できることです。
オウンドメディアを活用することで、地理的な制約を超えたビジネス展開が可能になります。例えば、宮崎の企業が東京の一流企業と取引をしたり、東京の会社が地方のメーカーと取引をしたりする例が増えています。また、これまで海外進出は非常にハードルの高いものでしたが、オウンドメディアを多言語で展開することで海外からの問い合わせを獲得する事も可能です。
オウンドメディアの名前を工夫することで、より幅広い地域からのアクセスを集めることができます。例えば、地域性を感じさせない名前や、グローバルな印象を与える英語の名前を選ぶことで、国内外問わず多くの人々の興味を引くことができるでしょう。
ジャストシステムが2015年7月に実施した、オウンドメディアの運用目的に関する調査「オウンドメディア活用実態調査2015」によると、運用目的の中で回答が多いのは、ブランド認知と顧客・リードの獲得で、全体の8割弱になっています。ついで、リード育成やエンゲージメント(それぞれ50%、61%)、SEOやウェブサイトへの流入増加(44%、56%)と続きます。顧客のロイヤリティ向上や採用目的も、3割弱程度いるのが興味深いところです。このように、オウンドメディアは幅広い目的で活用されており、地域を問わず様々な効果が期待できるのです。
優秀な人材の確保
「オウンドメディアリクルーティング」という言葉をご存じでしょうか。
近年注目されている採用手法で、オウンドメディアを活用した積極的な情報発信によって優秀な人材を引き寄せるのが特徴です。
オウンドメディアリクルーティングでは、従来の求人広告では到底書き切れなかった圧倒的な量の情報を、オウンドメディアで発信します。例えば、企業理念、創業ストーリー、代表者の考え方、社員インタビューなど、「その企業や働く人たちの肌感」をリアルに伝えていきます。
結果、「この会社が好きだ」「この会社で働きたい」と感じる人が増え、効果的な母集団形成に繋げることが可能です。同時に、深く企業を理解したうえで入社を希望する人物を採用できるため、入社後のマッチング精度を向上させることも見込めます。
オウンドメディアの名前を工夫することで、より多くの優秀な人材にアプローチできます。例えば、「キャリア」や「働き方」といったキーワードを含めた名前にすることで、就職・転職を考えている人々の目に留まりやすくなります。また、オウンドメディアの内容を充実させることで、企業の魅力や独自の文化を効果的に伝えることができ、結果として優秀な人材の確保につながるのです。
タイプ別のオウンドメディアの事例
オウンドメディアには、その特徴や目的によって様々なタイプがあります。ここでは、主要な4つのタイプについて解説します。それぞれのタイプには独自の特徴があり、自社の目的や強みに合わせて適切なタイプを選択することが重要です。オウンドメディアの名前や内容も、選んだタイプに合わせて検討する必要があります。
以下に、4つの主要なタイプとその特徴、そして自社メディアとの相性について説明します。これらの情報を参考に、自社に最適なオウンドメディアのタイプを選択し、効果的な運用を行うことができるでしょう。各タイプには代表的なオウンドメディアの例も挙げていますので、実際の成功事例を参考にすることもできます。
検索型
特徴:SEOに強く、検索からの流入が安定して多い。
自社メディアとの相性:美容などの商材を扱っている場合〇
代表的なオウンドメディア:LIGブログ、スキンケア大学など
検索型のオウンドメディアは、その名前が示す通り、検索エンジンからの流入を重視したメディアです。SEO(検索エンジン最適化)に注力することで、Googleなどの検索結果で上位表示を狙い、安定した集客を実現します。このタイプのオウンドメディアは、「オウンドメディア 名前」のような特定のキーワードで検索されやすい内容を提供することが多いです。
特に美容や健康などの商材を扱う企業にとって、検索型オウンドメディアは効果的です。これらの分野では、ユーザーが悩みや疑問を検索エンジンで調べる傾向が強いため、それらの需要に応える情報を提供することで、潜在顧客との接点を作りやすくなります。
代表的な事例として挙げられているLIGブログやスキンケア大学は、それぞれの分野で高い専門性を持つコンテンツを提供し、多くの検索流入を獲得しています。これらのメディアは、オウンドメディアの名前も検索されやすいものを選択し、ブランディングと検索流入の両立を図っています。
ソーシャルメディア型
特徴:Facebookを中心としたSNS経由で集客できる。
自社メディアとの相性:面白いコンテンツが制作できる場合〇
代表的なオウンドメディア:TABILABO、サイボウズ式など
ソーシャルメディア型のオウンドメディアは、FacebookやTwitterなどのSNSを主な集客チャネルとして活用します。この型のオウンドメディアの名前は、SNSでシェアされやすい印象的なものが多いです。ユーザーの興味を引く魅力的なコンテンツを提供し、SNS上で自然に拡散されることを目指します。
この型のオウンドメディアは、ビジュアルや動画を効果的に使用し、ユーザーの感情に訴えかけるような記事作りが重要です。また、SNSの特性を活かし、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを促進することで、エンゲージメントを高めることができます。
ソーシャルメディア型のオウンドメディアを成功させるには、SNSの各プラットフォームの特性を理解し、それぞれに適した投稿戦略を立てることが不可欠です。例えば、Instagramでは視覚的に魅力的な画像や短い動画が効果的ですが、LinkedInではより専門的なコンテンツが求められます。
ブランド型
特徴:大手BtoC企業が得意。
自社メディアとの相性:既存のブランドが確立している
代表的なオウンドメディア:Beauty &Co.など
ブランド型のオウンドメディアは、既に強力なブランド力を持つ大手BtoC企業が特に得意とするタイプです。これらの企業は、自社の確立されたブランドイメージを活かし、オウンドメディアを通じてさらにブランド価値を高めることができます。
例えば、化粧品ブランドのShiseidoが運営する「Beauty &Co.」は、美容に関する幅広い情報を提供しています。このようなオウンドメディアは、製品の直接的な宣伝だけでなく、ブランドの世界観や価値観を伝えることで、顧客との深い絆を築くことができます。
ブランド型オウンドメディアの名前は、多くの場合、企業名やブランド名を含むか、それらを連想させるものが選ばれます。これにより、読者は即座にそのメディアが特定のブランドと関連していることを認識できます。
バランス型
特徴:集客経路が一極集中していない
自社メディアとの相性:上記3つを網羅してから使うと〇
代表的なオウンドメディア:エンジニアtype、FASHIONなど
バランス型のオウンドメディアは、その名の通り、複数の集客経路をバランス良く活用する特徴があります。検索型、ソーシャルメディア型、ブランド型の要素をうまく組み合わせることで、安定した集客を実現します。このタイプのオウンドメディアは、多様なコンテンツを提供し、幅広い層にアプローチできるため、オウンドメディアの名前選びも重要になってきます。
バランス型のオウンドメディアは、SEO対策やSNS活用、ブランディングなど、複数の戦略を同時に展開することができます。そのため、多角的なマーケティングアプローチが可能となり、より多くのユーザーにリーチすることができます。ただし、このタイプのオウンドメディアを成功させるには、各戦略を適切に管理し、バランスを保つ必要があります。
オウンドメディア立ち上げまでの流れ
オウンドメディアを立ち上げる際は、しっかりとした計画と準備が必要です。オウンドメディアの名前を決めることも重要ですが、それ以前に以下のステップを踏むことが大切です。まず、目的やミッション、投入可能なリソースを明確にします。次に、メディアのコンセプトとターゲット層を設定し、どのようなコンテンツを提供するか検討します。そして、サイト構成を考え、要件を定義した上で、実際の制作開発に移ります。これらのステップを丁寧に進めることで、効果的なオウンドメディアの立ち上げが可能となります。各段階で十分な時間をかけ、専門家の意見も取り入れながら進めることをおすすめします。オウンドメディアの成功は、この立ち上げ時の準備に大きく左右されるのです。
目的・ミッション・リソースの決定
オウンドメディア立ち上げのファーストステップは、「目的・ミッション・リソース」を決めることです。ここで決めたことが、オウンドメディアの根幹になります。オウンドメディアの名前を決める前に、まずはこれらの要素を明確にしましょう。
目的:オウンドメディアを通じて何を達成したいのか、具体的な目標を設定します。例えば、ブランド認知度の向上、リード獲得の増加、顧客エンゲージメントの強化などが考えられます。
ミッション:オウンドメディアが果たすべき役割や提供する価値を定義します。読者にとってどのような意義があるのか、どのような体験を提供するのかを明確にします。
リソース:オウンドメディアの運営に必要な人材、予算、時間などのリソースを把握します。これにより、実現可能な規模や更新頻度を見極めることができます。
これらの要素を慎重に検討し、決定することで、オウンドメディアの方向性が明確になり、効果的な運営が可能になります。また、これらの要素は、後のコンセプト設定やターゲット選定の基礎となるため、十分な時間をかけて検討することが重要です。
コンセプト・ターゲットの設定
次に、オウンドメディアのミッションを踏まえながら、オウンドメディアの在り方をより具体的に定義していきます。この段階では、オウンドメディアの名前や全体的なテーマ、ビジュアルイメージなどを含めたコンセプトを決定します。
オウンドメディアのコンセプトを決めることで、ターゲット像を具体的に設定します。ターゲットの設定は、年齢や性別、職業といった基本的な属性だけでなく、興味・関心、ライフスタイル、価値観なども考慮に入れることが重要です。例えば、「20代後半〜30代前半の働く女性で、美容や健康に関心が高く、自己投資を惜しまない層」というように、できるだけ具体的に設定することで、効果的なコンテンツ制作や集客施策につながります。
また、オウンドメディアの名前は、ターゲットに訴求しやすく、かつ記憶に残りやすいものを選びましょう。コンセプトとターゲットが明確になれば、オウンドメディアの方向性が定まり、以降の施策がスムーズに進むでしょう。
コンテンツの検討
設定したターゲットに合わせて、具体的にどんなコンテンツを掲載していくか、コンテンツの大きな方針を検討します。オウンドメディアの名前や特性を踏まえ、ターゲット層に響くコンテンツを企画することが重要です。例えば、業界動向や最新トレンド、ハウツー記事、ユーザー事例など、読者にとって価値ある情報を提供することを心がけましょう。また、オウンドメディアの目的に沿って、自社製品やサービスに関連するコンテンツも適切に織り交ぜていくことで、ブランディングや顧客獲得につなげることができます。コンテンツの質と量のバランスを考慮し、継続的に魅力的な記事を発信できる体制を整えることが、オウンドメディア成功の鍵となります。
サイト構成の検討
コンテンツをサイト内で、どのように構成するか決めます。
例えば各ページをカテゴリに分け、サイトマップを作成するなど、ユーザーにとってコンテンツが探しやすいことが重要です。オウンドメディアの名前や構成を工夫することで、ユーザーの利便性を高めることができます。
同時に、Googleなどの検索エンジンからの集客を狙ううえでは、SEOにも配慮する必要があります。オウンドメディアの名前や構成がSEO対策に与える影響も考慮しましょう。例えば、適切なURLやディレクトリ構造を設計し、内部リンクを効果的に配置することで、検索エンジンからの評価を高めることができます。
要件定義
ここまでに決めた内容を、Webサイトの要件として定義します。
これは、WebプログラマーやWebデザイナーに共有するため必要です。
オウンドメディアの要件定義では、コンセプトやターゲット、コンテンツ構成などの基本的な要素に加え、デザインや機能面での具体的な仕様を明確にします。例えば、レスポンシブデザインの採用や、SNSシェア機能の実装、オウンドメディアの名前の表示位置などを細かく指定します。また、SEO対策の観点から、メタタグの設定やURL構造についても要件に含めることが重要です。要件定義書を作成することで、制作チームと認識を合わせ、スムーズな開発プロセスにつなげることができます。
制作開発
要件定義を基に、WebプログラマーやWebデザイナーが実際に制作開発を行います。オウンドメディアの名前や外観、ユーザビリティなどを考慮しながら、細部まで丁寧に作り込んでいきます。この段階では、SEO対策も重要な要素となります。適切なキーワード配置やサイト構造の最適化など、検索エンジンに評価されやすいサイト設計を心がけましょう。また、モバイルフレンドリーなデザインや高速な読み込み速度など、ユーザー体験を重視した開発も欠かせません。完成後は十分なテストを行い、バグや不具合がないか確認します。これらのプロセスを経て、オウンドメディアの立ち上げまでのフェーズが完了します。
オウンドメディア運営の流れ
オウンドメディアの運営は、戦略的かつ継続的なプロセスです。その最初のステップは、効果的なキーワード選定です。ターゲットとなる読者のニーズを探り、適切なテーマを決定します。これはオウンドメディアの方向性を決める重要な段階です。
キーワードが決まったら、次はコンテンツの方針をプランニングします。ここでは、選定したキーワードを軸に、どのような内容で読者に価値を提供するか具体的に考えます。オウンドメディアの名前や全体的なトーンも、この段階で検討するとよいでしょう。
プランニングの後は、実際にコンテンツを制作します。テキスト、画像、動画など、様々な形式のコンテンツを、オウンドメディアの目的に沿って作成します。質の高いコンテンツは、読者の信頼を獲得し、ブランド価値を高める重要な要素となります。
次に、コンテンツからユーザーが顧客化(コンバージョン)するための仕組みを作ります。これは「コンバージョン設計」と呼ばれ、読者をどのように望ましいアクションへ導くかを計画します。例えば、メールマガジン登録や商品購入などが考えられます。
運営が軌道に乗ったら、効果測定を行い、データに基づいた改善を実施します。アクセス数、滞在時間、コンバージョン率など、様々な指標を分析し、オウンドメディアの成果を検証します。
この一連のプロセスは以下のように循環します:
- キーワード選定
- プランニング
- コンテンツ制作
- コンバージョン設計
- 効果検証
- 改善
オウンドメディア運営は、基本的にこのサイクルの繰り返しです。各段階で得られた知見を次のサイクルに活かし、継続的に改善を重ねることで、より効果的なオウンドメディアへと成長させていくことができます。
オウンドメディアの名前の例
オウンドメディアを立ち上げる際、適切な名前を選ぶことは非常に重要です。名前はメディアの顔となり、読者に強い印象を与えます。オウンドメディアの名前を決める際は、以下の点に注意しましょう。
- 覚えやすさ: キャッチーで印象に残る名前を選びましょう。
- 内容の明確さ: 発信する内容が一目で分かる名前が理想的です。
- ブランドとの一貫性: 自社のブランドイメージと合致した名前を選びましょう。
- 検索性: オウンドメディアの名前がSEOに配慮されていると、検索エンジンでの露出が増えます。
オウンドメディアの名前は大きく2つのアプローチに分けられます。1つは「社名+α」型で、もう1つは「コンテンツテーマ重視」型です。それぞれのアプローチには長所があり、企業の戦略や目的に応じて選択することが重要です。
「社名+α」型は企業のブランド力を活かし、既存の顧客との関係性を強化するのに適しています。一方、「コンテンツテーマ重視」型は新規顧客の獲得や、特定のテーマに関する専門性をアピールするのに効果的です。
オウンドメディアの名前を決める際は、ターゲット層や発信するコンテンツの性質、そして長期的な運用戦略を考慮に入れることが大切です。適切な名前を選ぶことで、オウンドメディアの認知度向上や、効果的な情報発信が可能となります。
社名+α
- くらしの良品研究所(良品計画)
- ローソン研究所(ローソン)
- UNIQLO COMMUNITY(ユニクロ)
- Sony Select(ソニー)
- CLUB Panasonic(パナソニック)
- Starbucks Coffee Blog(スターバックス)
- Meet Recruit(リクルート)
オウンドメディアの名前を考える際、多くの企業が社名を活用しています。これは、ブランド認知度を高め、企業のアイデンティティを強調する効果的な方法です。上記の例では、各企業が自社の名前に特徴的な言葉を組み合わせることで、オウンドメディアの目的や内容を明確に示しています。
例えば、「くらしの良品研究所」は、良品計画の製品が日常生活に密接に関わっていることを強調しています。「UNIQLO COMMUNITY」は、ユニクロが顧客とのつながりを重視していることを表現しています。このようなネーミングは、オウンドメディアの性格を端的に表現し、ユーザーの興味を引くのに効果的です。
オウンドメディアの名前を決める際は、企業のブランドイメージや発信したい内容を考慮し、社名と組み合わせる言葉を慎重に選択することが重要です。これにより、企業の個性を活かしつつ、ユーザーにとって親しみやすく、記憶に残りやすい名前を作ることができます。
コンテンツテーマ重視
- 食物アレルギーネット(日本ハム)
- TRY家コラム(大和ハウス工業)
- FASHION HEADLINE(三越伊勢丹)
- Beauty & Co.(資生堂)
- ウェルネス研究所(カゴメ)
オウンドメディアの名前を決める際には、コンテンツのテーマを重視したアプローチも効果的です。このような名前は、メディアの内容や目的を端的に表現し、ターゲット読者の興味を引きつけやすいという特徴があります。例えば、「食物アレルギーネット」は、アレルギーに関する情報を求める人々に明確にアピールしています。同様に、「TRY家コラム」は住宅に関する情報を提供することが一目で分かります。オウンドメディアの名前選びは、ブランディングと読者への訴求力を高める重要な要素となります。
オウンドメディアが対象とする顧客層は?
オウンドメディアを使った情報発信は、すでに買いたいものが決まっている人よりも、ニーズが顕在化していない潜在顧客、見込み顧客に訴えかけることに適しています。
プロフェッショナルな視点に基づいた質の高いコンテンツを用意しておけば、検索やソーシャルメディアなど何かのきっかけでその情報を見た人や企業が、すぐに購入することがなくても、なんとなくサイトやお店を覚えていることがあります。その会社が提供しているサービスや製品が実現しようとしているコンセプトや解決しようとしている課題にまずは気づいてもらうこと、ここにオウンドメディアの重要な役割があります。
また、認知だけでは売り上げに結びつきませんので、その後どういうステップで購入に至るかを想定したカスタマージャーニー(顧客が商品に関連する情報や接点をどのように経由して最終的に購入まで結びつくかを旅になぞらえたもの)の考え方を取り入れるとよいでしょう。つまり一緒に旅をしながら「顧客を育成」するのです。
その後、購入してくれるロイヤルカスタマー、ブランドを愛し積極的な情報発信をしてくれるファン、他の人にもすすめてくれるアンバサダーになってくれるのが理想です。
コンテンツの内容にはどのような種類がある?
おおよそ次の4つのパターンが考えられます。
まず、企業経営者がどんな思いで事業に取り組んでいるか、業界動向についてどのように考えているか、働き方やスキルアップについてどのような意見を持っているかが書かれているいわゆる「社長ブログ」。
2つ目がサービスに関連する情報をコンテンツ化するオウンドメディア。
サービスの活用情報や業界の最新ニュースを配信することで、自社サービスへの誘導を図るものです。
3つ目がサービスの導入事例や活用事例についてインタビュー取材を行い、記事風にまとめるもの。
実際に導入した企業の担当者の生の声や写真、動画を交えることで生き生きとしたコンテンツになります。
4つ目が、生活の知恵から最新の便利ツール紹介まで特定の分野に特化したハウツー系の記事。
大きなアクセス数がなくても、本当にその情報を必要としている人が訪れるので、ロングテールのコンテンツ戦略が可能になります。
オウンドメディアの運用にはどんな人材が必要?
ブログメディアを運用する上で欠かせない作業と役割を例にとって、どのくらいの作業と人が必要なのか見ていきましょう。
まずコンテンツ全体の編集責任を負い、ブログ全体の方向性やターゲットの選定、予算確保と配分、他部署との調整を行う編集長。それから企画に従って関係者の調整や成果物の最適化を行う編集者。それから記事の執筆や図版の作成、写真撮影、コーディングなどを行うコンテンツ制作者、公開したコンテンツのアクセス、ユーザーの行動などを分析して評価するアクセス解析担当者などです。
いろいろな企業のオウンドメディアの運用体制を聞いてみると、1~5人くらいの小規模で運用している場合がほとんどで、他業務との兼務である場合も少なくありません。中小企業の場合、最初から大きな予算をコンテンツ制作に充てるのは難しいので、まずは内部でコンテンツ制作と公開を行い、反応をみて外部委託するのか判断するのがよいでしょう。
基本は編集担当者が1人で、記事の執筆は各部署が持ち回りでやるケースが想定されますが、注意したいのは更新が止まらないように気をつけることです。そのためには、空いた時間で仕方なくやるのではなく、本業と同等のタスクとして取り組む体制を構築しなければなりません。経営者のリーダーシップのもと、オウンドメディアの運用を全社的に推進していく意思を社内で共有することが大切です。
オウンドメディア活用時のインターネット上の画像使用の注意点は?
オウンドメディアでの記事投稿で、注意するべきは「著作者人格権(著作権)」「肖像権」「商標権」の3つです。
他の人が撮影した写真、制作したイラストなどを使うときは、利用の許諾を得る、または購入するようにしましょう。人物の撮影をするときは、被写体となる人に撮影の同意を得るようにします。その際同時に、写真の利用目的や利用媒体についても説明してください。商標権は、登録されている商標を排他的に利用できる権利で、知的財産権の一部になります。商品やサービス、ロゴなどが画像に写り込んでいる場合、権利者の確認が必要になる場合があります。
繰り返すようですが、第三者の著作物を許可なく利用したり、個人の許可なく撮影したりすることは絶対に避けてください。仮に写り込んでしまった場合は、加工して処理するといった対応をとり、判断に迷う場合は、公開しないようにしましょう。写真素材サイトなどで販売されている画像は、こうした権利の問題がクリアになっているものがほとんどなので、そうしたサイトの利用を検討するのも選択肢の一つです。
関連記事:商標登録を徹底解説します!円滑に進めるためのやり方とは?
まとめ
企業が自社サイトを中心に、オウンドメディアを持つことが当たり前になった現在でも、「オウンドメディアでどのように収益を上げればよいかわからない」という声はよく挙がります。オウンドメディアで収益化を図っても成果が出るまでには一定の時間がかかるケースがほとんどです。
ただ、オウンドメディアの運営を始めてみたものの頓挫してしまったという話も珍しくないので、きちんとした活用法を習得する必要があります。
オウンドメディアをマーケティングに活用するには、ブランディング、採用、ナーチャリングなどを鑑みて、仕掛けていくのが重要となります。

