近年、「メタバース」という言葉をよく耳にするようになりました。特に、世界的に有名なFacebook社が社名を「Meta」に変更したことは大きなニュースとなり、メタバースが今後の社会に革新的な影響を与えると注目を集めています。
しかし、これほど話題になっているメタバースについて、「実はよく分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、メタバースの意味や概要、メタバースがもたらすメリット、そして今後の発展について詳しく解説していきます。
メタバースとは、「メタ(超)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語で、インターネット上に構築された3次元の仮想空間を指します。この仮想空間では、ユーザーはアバターと呼ばれる自分の分身を通じて、他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、様々な活動を行ったりすることができます。
メタバースの技術的基盤には、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などが使われており、これらの技術の進歩によって、より没入感のある体験が可能になっています。また、ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)や仮想通貨の導入により、メタバース内での経済活動も活発化しています。
このような特徴を持つメタバースは、ゲームやエンターテインメントの分野だけでなく、ビジネスシーンでも急速に活用が広がっています。例えば、バーチャルオフィスでのリモートワークや、仮想空間での商品展示、オンラインイベントの開催など、多岐にわたる活用事例が登場しています。
メタバースの世界的な注目度の高まりに伴い、多くの大手企業がこの分野に参入しています。アップル、ナイキ、マイクロソフトなどの海外企業はもちろん、日本でもソニー、パナソニック、ローソンなど、様々な業種の企業がメタバース関連のサービスや製品の開発に取り組んでいます。
このように、メタバースは私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらす可能性を秘めています。今後、テクノロジーの進化とともに、メタバースの活用範囲はさらに拡大していくことが予想されます。次のセクションでは、メタバースの具体的な活用事例について、より詳しく見ていきましょう。
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目次
メタバースとは
メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間のことを指します。「メタ(超)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語で、現実世界とは異なる、デジタル技術によって創造された空間を意味します。
この仮想空間では、ユーザーは自身の分身であるアバターを通じて、他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、様々な活動を行ったりすることができます。メタバースの概念は、1992年に発表された小説『スノウ・クラッシュ』で初めて登場し、その後、テクノロジーの進歩とともに現実味を帯びてきました。
近年、メタバースは単なるゲームやエンターテインメントの領域を超え、ビジネス、教育、医療など、幅広い分野で注目を集めています。特に、新型コロナウイルスの影響でリモートワークやオンラインコミュニケーションの需要が高まる中、メタバースはより現実的で没入感のある交流の場を提供する可能性を秘めています。
メタバースの実現には、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術が重要な役割を果たしています。これらの技術により、ユーザーはより臨場感のある体験を得ることができ、現実世界と仮想空間の境界線がより曖昧になっていくと考えられています。
インターネット上の仮想空間に作られた世界
メタバースとはインターネット上に構成された3次元の仮想空間のことで、「メタ(超)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語です。元は1992年に『スノウ・クラッシュ』という小説に登場する架空の仮想空間サービスの名称のことでした。
メタバースの世界を表現している作品はいくつか存在しており、例えば「ソードアート・オンライン」という人気漫画が挙げられます。この作品では、主人公たちがフルダイブ型VRMMORPGと呼ばれる没入型の仮想現実ゲームの世界で冒険を繰り広げます。
仮想空間を作り出す技術としては、主にARやVRが用いられています。ARは現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術で、VRは完全に仮想の世界を作り出す技術です。これらの技術を駆使することで、メタバースはより現実感のある体験を提供することが可能となっています。
メタバースの概念は、単なるゲームやエンターテインメントの枠を超えて、ビジネスや教育、医療など様々な分野に応用される可能性を秘めています。今後、テクノロジーの進化とともに、メタバースはより一層私たちの日常生活に浸透していくことが予想されます。
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なぜ世界的に注目されているのか
メタバースがこれほどまでに注目されているのにはいくつか理由はありますが、新しいビジネスチャンスがあることが大きな理由といえるでしょう。具体的には、近年の「ブロックチェーン」の技術により絵画などをNFTにして取引を行ったり、その取引の際の通貨も仮想通貨も使用可能にしたりしています。また、メタバースは現実世界の制約を超えた新しい体験や交流の場を提供することができるため、エンターテインメントや教育、ビジネスなど幅広い分野での活用が期待されています。
具体的に参入している企業としてアップル、ナイキ、アディダス、マイクロソフト、マリオット、ディズニー、サムスンなどが挙げられます。また、日本の企業ではソニー、パナソニック、ローソン、テレビ朝日などが参入しています。これらの大手企業がメタバースに注目し、積極的に投資を行っていることも、メタバースの潜在的な可能性と重要性を示しています。
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メタバースが活用されている事例
では今世界的に注目されているメタバースですが、実際にはどのような場面で活用されているのでしょうか?ここからはメタバースが実際に活用されている事例について解説していきます。メタバースの活用は、エンターテインメントからビジネスまで幅広い分野に及んでいます。
特に注目すべきは、従来のオンラインサービスとは異なり、メタバースでは3D空間内でより没入感のある体験が可能になっている点です。ユーザーはアバターを通じて仮想空間内を自由に移動し、他のユーザーとリアルタイムでインタラクションを取ることができます。これにより、単なる情報のやり取りを超えた、より豊かなコミュニケーションや体験が実現しています。
メタバースの活用事例は日々進化しており、今後さらに多様化していくことが予想されます。以下では、代表的な活用事例をいくつか紹介していきます。
オンラインゲーム
まず、メタバースが活用されている事例としてオンラインゲームが挙げられます。
例えば「フォートナイト」や「マインクラフト」、「あつまれどうぶつの森」、「ポケモンGO」などが代表的です。これらのゲームに共通するのは、仮想空間でアバターを介して他者とコミュニケーションをとれる点やアイテムなどの売買ができる点です。メタバースの特徴である没入感や相互作用性を活かし、プレイヤーは現実世界とは異なる体験を楽しむことができます。さらに、これらのゲームではメタバース内でのイベントや企業とのコラボレーションも行われており、新しいエンターテインメントの形を提供しています。
バーチャルイベント
オンラインゲームのような活動を、現実世界で行えるようにしたものが「バーチャルイベント」と呼ばれています。具体的にはコンサートやライブなど、その場にいないと成立しない物をバーチャル的に味わえるようになってきています。メタバースを活用したバーチャルイベントでは、アバターを通じて参加者同士が交流したり、3D空間内で様々な体験ができたりするのが特徴です。
他にも、日本の百貨店の三越伊勢丹は「仮想伊勢丹新宿店」というサービスを展開し始めました。このサービスは実際にその場を訪れているかのように、アバターを介して店員や他のお客様と会話できる体験です。実際に欲しいと思った商品はお店のECサイトから直接購入することができるようになっています。
ビジネスシーン
メタバースは現実世界のビジネスシーンでも活用されています。特に注目されているのが、仮想空間のオフィス「バーチャルオフィス」です。このバーチャルオフィスでは、従業員がアバターで出社し、会社のメンバーと会議などのコミュニケーションや業務を行います。近年では、オンライン会議やテレワーク、リモートワークが主流となってきており、メタバースを活用したバーチャルオフィスはこのトレンドに合致しています。
例えば、大規模な企業会議や研修をメタバース上で実施することで、物理的な距離を超えて多くの従業員が参加できるようになります。また、製品開発においても、3D模型をメタバース上で共有し、リアルタイムで協働作業を行うことが可能です。さらに、営業活動においても、メタバース上で顧客とバーチャル商談を行うなど、新たなビジネスの可能性が広がっています。
このように、メタバースはビジネスシーンに革新をもたらし、従来の働き方や企業間のコミュニケーションを大きく変革する可能性を秘めています。
メタバースのメリット4選
ここからはメタバースを使うことによるメリットについて解説していきます。とても便利なメタバースですが私たちにどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか?メタバースの活用は、個人の生活からビジネスまで幅広い分野で革新的な変化をもたらす可能性を秘めています。以下では、メタバースがもたらす主要な4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。これらのメリットを理解することで、メタバースの潜在的な価値や将来性をより深く把握することができるでしょう。
オンラインで現実と同じようなコミュニケーションが出来る
メタバースでは、従来の顔が見えないメールとは異なり、アバターを介してその場にいる人とリアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。これまでは文面だけでは感情が伝わりにくく、発言の意図を正確に理解することが難しい場面も多くありました。しかし、メタバース上では、アバターを通じて表情やボディーランゲージを読み取りながら会話することが可能です。これにより、オンライン上でも現実世界に近い自然なコミュニケーションが実現できるようになりました。さらに、メタバースの特性を活かして、距離や時間の制約を超えた交流も可能となり、グローバルなコミュニケーションの機会が広がっています。このように、メタバースは私たちのコミュニケーションの在り方に革新をもたらしているのです。
非日常な体験ができる
メタバースは仮想空間なのでゲームやアニメなどの非日常的な世界に入ることができます。
先ほども紹介したように実際に「フォートナイト」や「マインクラフト」などのゲームの世界に入ることができますし、旅行なども体験することができます。
メタバースの仮想空間は現実と同じようなリアルな空間を創り出すこともできれば、現実ではありえないような非日常な空間を創り出すこともできます。さらに技術が進歩していけば本当に想像もつかないようなサービスをメタバース上で創り出すこともできるようになるかもしれません。
仮想空間内でも催事を体験できる
メタバースの仮想空間内で催事やイベントを体験できることは、大きな特徴の一つです。実際に、多くの企業が会社の会議や忘年会、各種イベント、不動産の内覧などを仮想空間で実施するようになってきています。例えば、メタバースを活用したバーチャル展示会では、参加者がアバターを通じて展示ブースを訪れ、製品やサービスについて詳しく知ることができます。また、コンサートやライブイベントもメタバース上で開催され、世界中のファンが一つの空間に集まって、臨場感あふれる体験を共有することが可能になっています。このように、メタバースは物理的な制約を超えて、様々な催事やイベントを新しい形で提供し、参加者に魅力的な体験をもたらしています。
新たなビジネスの発展
メタバースの最大のメリットといえばやはり新たなビジネスチャンスがたくさんあるという点でしょう。実際にメタバースを活用したバーチャル店舗や、NFT技術を利用した絵画のデータの売買などがもうすでに行なわれています。さらに、メタバース内での広告ビジネスや、仮想通貨を用いた経済システムの構築など、従来のインターネットビジネスとは異なる新たな収益モデルが生まれつつあります。これらのビジネスチャンスは、企業だけでなく個人クリエイターにとっても大きな可能性を秘めており、メタバースが新たな経済圏を形成する可能性も指摘されています。
メタバースのデメリット3選
メタバースの可能性や魅力を知ってもらったところで、ここからはデメリットについても解説します。メタバースにもデメリットが存在しますが、デメリットをきちんと把握した上で利用すれば、安心してメタバースを活用することが出来るのでしっかりと確認しておきましょう。メタバースとは仮想空間上の世界ですが、現実世界と同様にリスクや課題が存在します。以下では、メタバースの主な3つのデメリットについて詳しく見ていきます。これらのデメリットを理解することで、メタバースをより安全かつ効果的に活用できるようになるでしょう。
メタバースへの依存のリスク
これほどの価値が今の時点で存在しているため、仮想空間に没頭しすぎてしまう人間も多いのではないかと懸念されています。アニメやゲームの世界のような刺激的で非現実的な体験が多くできることで、没頭してしまうことが依存する原因として挙げられています。メタバースの世界では、現実世界では体験できないような魅力的なコンテンツが豊富に用意されているため、ユーザーが長時間没頭してしまう可能性が高くなります。特に若年層や社会的な孤立感を感じている人々にとっては、メタバースが現実逃避の手段となりかねず、日常生活や人間関係に支障をきたす恐れがあります。このようなメタバースへの依存は、心身の健康や社会性の発達に悪影響を及ぼす可能性があるため、適切な利用時間の管理や現実世界とのバランスを保つことが重要です。
コストが多くかかる
メタバースの仮想空間に滞在する人が増えると、当然それだけ管理するパソコンの数やパソコンの電気代など莫大なコストがかかってくることが予測できます。特に高品質なグラフィックスや大規模な仮想環境を維持するためには、高性能なサーバーやネットワーク機器が必要となり、これらの設備投資や運用コストは決して安くありません。さらに、メタバースの世界をより魅力的にするためのコンテンツ制作にも多額の費用がかかります。企業や個人がメタバースに参入する際は、これらのコストを十分に考慮し、長期的な視点で投資計画を立てる必要があるでしょう。
セキュリティ問題
当然、メタバースを利用する人が増えればセキュリティにも細心の注意を払わないといけないでしょう。具体的にメタバース内で危惧されているセキュリティ問題はなりすまし、データの改ざん、情報漏洩などがあります。これらの問題は、メタバースの仮想空間内でのユーザーの安全性や個人情報の保護に大きな影響を与える可能性があります。特に、メタバース内での取引や個人間のコミュニケーションが増加するにつれ、セキュリティリスクも高まることが予想されます。そのため、メタバースの運営企業や利用者自身が、適切なセキュリティ対策を講じることが重要となってきています。
メタバースは今後どうなるか
メタバースはここ数年で異常な急成長を遂げており、もはや止まることはないでしょう。2020年の市場規模は4787億ドルですが2024年までには7833億ドルまで成長するといわれています。これは年平均成長率が13.1%で異常な成長速度です。
メタバースの発展に伴い、様々な産業分野での活用が期待されています。例えば、教育分野では、仮想空間を利用した没入型学習体験が可能となり、従来の教育方法を革新する可能性があります。また、医療分野では、遠隔診療や手術シミュレーションなど、メタバースを活用した新たな医療サービスの展開が見込まれています。
さらに、エンターテインメント業界においても、メタバースを活用したバーチャルコンサートや映画体験など、これまでにない形のコンテンツ提供が増えていくでしょう。ビジネス分野では、バーチャルオフィスやリモートワークの進化により、働き方改革がさらに加速すると予想されます。
このように、メタバースは私たちの生活や社会のあり方を大きく変える可能性を秘めています。今後、技術の進歩とともに、メタバースの利用範囲はますます広がり、新たな価値創造や経済活動の場として重要性を増していくことでしょう。
参考:CYBERNET AR/VRソリューション「メタバース市場の今後の将来性と活用例」
まとめ
今回の記事では、メタバースの意味や概要、メタバースがもたらすメリットや今後の発展について解説しました。メタバースはまだまだ発展途上でどうなるか分かりません。ですがまず間違いなく言えることは、今は時代の転換点にいるということです。メタバースが私たちの生活に当たり前になってくることで、良い面に働くこともあれば、悪い面に働くこともあるでしょう。しかし、世界的に見てもこれだけ様々な企業がメタバースをチャンスと捉え、ユーザーにとって魅力的なサービスを展開していこうと考えています。
私たちができることは、少しでもメタバースの情報や知識を入手し、時代の流れに対応できるように準備しておくことです。その中でチャンスだと思うことや、自らにとってメリットがあると思うことは積極的に活用していくと良いでしょう。メタバースは単なる仮想空間ではなく、現実世界とデジタル世界をつなぐ架け橋となる可能性を秘めています。ビジネスや教育、エンターテインメントなど、様々な分野での革新的な活用が期待されています。
ぜひメタバースの時代をチャンスと捉え、今後もメタバースに注目し続けましょう。そして、メタバースがもたらす新たな可能性を探求し、自分自身や社会にとって有益な形で活用していくことが重要です。メタバースの世界は日々進化しており、私たちの想像を超える未来が待っているかもしれません。その可能性に目を向け、積極的に学び、適応していくことで、メタバースがもたらす恩恵を最大限に享受できるでしょう。