企業のWeb担当者やマーケティング担当者なら「オーソリティ」という言葉を目にしたことがあると思いますが、具体的な意味や内容をご存じでしょうか?
「権威」を意味するオーソリティとは、SEOにおいて重視されている指標のひとつです。Webサイトのオーソリティを高めることで、サイト全体あるいはページの検索順位が上がりやすくなります。
本記事では、オーソリティの意味や種類、SEOにおける効果、調査方法、そして向上させるための戦略について詳しく解説していきます。SEO対策を効果的に進めるために、オーソリティの概念を理解し、実践に活かしていただければ幸いです。
目次
SEOにおけるオーソリティとは
オーソリティとは、特定の分野で権威を持つ人や組織を指す言葉です。「オーソリティ(authority)」を直訳すると、「権威」や「威信」という意味になります。
SEOの文脈では、オーソリティはWebサイトの信頼性や権威性を示す重要な指標として捉えられています。具体的には、あるWebサイトがその分野において信頼できる情報源であるか、専門性の高い内容を提供しているかを評価する基準となります。
オーソリティの高いWebサイトには、以下のような特徴があります。
・同じ分野の他のサイトから頻繁に引用や参照がされている
・業界や専門分野で認知度が高い
・信頼性の高い情報や独自の洞察を提供している
・長期間にわたって質の高いコンテンツを継続的に発信している
Googleのような検索エンジンは、このオーソリティを考慮して検索結果の順位付けを行います。そのため、Webサイトのオーソリティを高めることは、検索順位の向上やインデックスの促進につながる可能性があります。
ただし、オーソリティの構築には時間がかかります。一朝一夕には達成できず、継続的な努力と質の高いコンテンツの提供が必要です。SEO戦略を立てる際は、長期的な視点でオーソリティの向上を目指すことが重要です。
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E-A-Tの中のひとつ
オーソリティは、検索品質評価ガイドラインにおける重要な指標であるE-A-Tの構成要素の1つです。E-A-Tは、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取った略称です。これらの要素は、Googleがウェブページの品質を評価する際に重視している基準となっています。オーソリティは特に、Authoritativeness(権威性)の部分に深く関連しており、ウェブサイトやコンテンツの信頼性や影響力を示す重要な指標となっています。
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検索品質評価ガイドラインにおける記事品質の評価基準
Googleは、ページの品質の評価をする際にオーソリティを含むE-A-Tを重視しています。検索品質評価ガイドラインには、以下のように記載されています。
The amount of expertise, authoritativeness, and trustworthiness (E-A-T) is very important. Please consider:
・ The expertise of the creator of the MC.
・ The authoritativeness of the creator of the MC, the MC itself, and the website.
・ The trustworthiness of the creator of the MC, the MC itself, and the website.
この記述から、Googleがコンテンツ作成者の専門性、コンテンツ自体の権威性、そしてWebサイト全体の信頼性を重視していることがわかります。つまり、高品質なページを作成するためには、これらの要素を満たすことが求められているのです。
引用:検索品質評価ガイドライン
YMYLジャンルで特に重視される
オーソリティの高さは、YMYLジャンルのSEOで特に重視されます。YMYLは「Your Money or Your Life」の頭文字を取った言葉で、お金や健康、医療といった専門的な知識が必要とされるジャンルを指す言葉です。
YMYLジャンルのサイトでは検索ユーザーの命にかかわる重要なテーマを扱うことが多いため、Googleは間違った情報が掲載されているページを検索画面に表示しないようにしています。
オーソリティの低いサイトがYMYLジャンルを扱っても、検索上位表示することは難しいということです。
YMYLジャンルには、金融、医療、法律、安全性に関する情報など、ユーザーの生活や健康に直接影響を与える可能性のある分野が含まれます。これらの分野では、情報の正確性と信頼性が非常に重要であるため、Googleはオーソリティの高いサイトを優先的に評価する傾向があります。
したがって、YMYLジャンルでウェブサイトを運営する場合、オーソリティを構築することは非常に重要な戦略となります。専門家による監修、信頼できる情報源の引用、明確な情報の出典表示などを通じて、サイトの信頼性と専門性を高めることが求められます。
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オーソリティの種類
マーケティングやSEOの分野では、オーソリティに関連するいくつかの重要な用語があります。これらの用語は、ウェブサイトやページの評価や影響力を示す指標として使用されます。オーソリティを理解する上で、以下の関連概念を把握しておくことが重要です。
・オーソリティサイト
・ドメインオーソリティ
・ページオーソリティ
これらの概念は、それぞれ異なる側面からウェブサイトの信頼性や影響力を評価するものです。オーソリティサイトは全体的な信頼性を、ドメインオーソリティはサイト全体の評価を、ページオーソリティは個別のページの評価を表します。SEO戦略を立てる際には、これらの指標を総合的に考慮することが効果的です。
オーソリティサイト
オーソリティサイトとは、信頼性の高い一次情報が豊富に掲載されており、多くのユーザーや他のWebサイトから参照される権威あるサイトを指します。代表例として、厚生労働省や財務省などの公的機関のサイト、GoogleやAppleといった業界をリードする企業のサイトが挙げられます。
これらのサイトは、特定分野において正確で信頼できる情報を提供することで知られています。例えば、気象情報なら気象庁のサイト、税務情報なら国税庁のサイトというように、多くの人々が信頼性の高い情報源として利用しています。
オーソリティサイトの特徴として、以下の点が挙げられます。
・正確かつ最新の情報を提供している
・専門家や権威者による情報発信がなされている
・他のWebサイトから頻繁に引用・参照されている
・長期間にわたり安定した運営がなされている
・ユーザーから高い評価を得ている
こうした特徴を持つサイトは、検索エンジンからも高い評価を受けやすく、SEOの観点からも有利に働くことが多いです。ただし、オーソリティサイトの地位を獲得するには、長期的かつ継続的な努力が必要であり、一朝一夕には達成できないことに注意が必要です。
ドメインオーソリティ
ドメインオーソリティとは、Webサイト全体が検索エンジンから受けている評価を、MOZが提供しているSEOツールが0~100の数値で表したもので、ドメインパワーと呼ばれることもあります。MOZはドメインパワーの確認ができるツールとして知られています。
ドメインオーソリティはGoogleの公式指標ではなく、検索順位に影響を与えるものではありません。ドメインオーソリティの数値は絶対的な指標として見るのではなく、競合サイトとの相対的な数値として捉える必要があります。
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ページオーソリティ
ページオーソリティとは、特定のWebページが検索エンジンから受けている評価を数値化したものです。基本的な考え方や仕組みはドメインオーソリティと同様ですが、個別のページに対する評価を示します。
ドメインオーソリティが高いサイトであっても、個々のページによってはページオーソリティが低い場合があります。これは、サイト全体の評価と個別ページの評価が必ずしも一致するわけではないことを意味します。
ページオーソリティは、そのページの内容の質、他サイトからの被リンクの数や質、ユーザーの行動データなどさまざまな要因によって決定されます。SEO対策を行う際は、サイト全体のオーソリティとともに、個々のページのオーソリティにも注目することが重要です。
ドメイン・ページのオーソリティを調べる方法
ドメイン・ページのオーソリティは、複数のSEOツールを使用して数値化し、確認することができます。ただし、オーソリティの数値はツールによって差異が生じる可能性があるため、基本的には同一のツールを継続して使用することが推奨されます。
オーソリティを調べるための代表的なSEOツールには、MOZ、ahrefs(エイチレフス)、Ubersuggest(ウーバーサジェスト)などがあります。これらのツールは、ドメインやページのオーソリティを数値化して表示するだけでなく、自社サイトの分析や競合分析など、多様な機能を提供しています。
各ツールの特徴や使用方法は以下のセクションで詳しく説明していますが、いずれのツールも直感的に操作できるよう設計されています。ユーザーは調査したいドメインやURLを入力するだけで、オーソリティの数値を簡単に確認することができます。
これらのツールを活用することで、自社サイトのオーソリティを把握し、競合サイトと比較することが可能になります。ただし、これらの数値はあくまでも参考値であり、Googleの公式指標ではないことに注意が必要です。オーソリティの数値は、SEO戦略を立てる上での一つの指標として活用するのが良いでしょう。
MOZ
MOZは、世界中で使われているドメインパワーの確認ができるツールです。ドメインパワーだけではなく、自サイトの分析や競合分析ができます。
MOZでドメイン・ページのオーソリティを調べる手順は次のとおりです。
1. MOZの公式ページを開く
2. ログインする
3. 青いバナー内にある”Find out now”の黄色のボタンをクリック
4. 中心にある空欄に調べたいドメインを入れて、右にある”Find Competitors”をクリック
MOZは、SEO業界で信頼されている老舗ツールの一つで、多くのマーケターや企業が活用しています。ドメインオーソリティやページオーソリティの数値を0から100のスケールで提供しており、これらの指標は競合サイトとの相対的な比較に役立ちます。
また、MOZはキーワード調査、バックリンク分析、サイト監査など、包括的なSEO機能を提供しています。これらの機能を活用することで、より効果的なSEO戦略の立案や実行が可能になります。
ahrefs(エイチレフス)
ahrefsは、世界で60万人以上のユーザーに利用されている人気の高いSEOツールです。ドメイン・ページのオーソリティをチェックする機能に加え、被リンクの分析や関連キーワードの抽出など、幅広いSEO分析機能を提供しています。
ahrefsでは、ドメインオーソリティを「ドメインレーティング(DR)」、ページオーソリティを「URLレーティング(UR)」と呼んでいますが、これらの数値が示す意味は他のツールと同様です。DRとURを確認することで、サイトやページの評価を把握することができます。
また、ahrefsは競合分析や長尾キーワードの発見にも役立つため、総合的なSEO戦略の立案に活用できるツールと言えるでしょう。
公式サイト:ahrefs(エイチレフス)
Ubersuggest(ウーバーサジェスト)
Ubersuggestは、無料で利用できるSEOツールです。ahrefsと同様に、さまざまな機能が利用できます。UbersuggestではDOMAIN AUTHORITY・PAGE AUTHORITYと表示されていますが、数値の意味は同じです。
公式サイト:Ubersuggest(ウーバーサジェスト)
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オーソリティのSEO効果
オーソリティの高さは、SEOにおいて重要な要素の一つです。Webサイトやページのオーソリティが高まることで、検索エンジンからの評価が向上し、様々なSEO効果が期待できます。具体的には、検索順位の上昇やインデックスの促進などが挙げられます。これらの効果は、特にYMYLジャンルのサイトにおいて顕著に現れる傾向があります。
オーソリティが高いサイトは、Googleなどの検索エンジンから信頼性の高い情報源として認識されます。そのため、新しく公開されたページや既存のコンテンツも、より迅速かつ優先的に評価される可能性が高くなります。この結果、サイト全体のSEOパフォーマンスが向上し、より多くのオーガニックトラフィックを獲得することができます。
ただし、オーソリティはSEO対策の唯一の要素ではありません。高品質なコンテンツの作成、適切な内部リンク構造の構築、ユーザーエクスペリエンスの向上など、総合的なSEO施策と組み合わせることで、より効果的な結果を得ることができます。
検索順位が上がりやすくなる
オーソリティを高めることで、検索順位が上がりやすくなるというSEO効果が期待できます。
Googleはページの品質評価において、オーソリティを含むE-A-T(専門性・権威性・信頼性)を重視しています。そのため、サイト全体のオーソリティを向上させることは、各ページの検索順位に間接的に好影響を与える可能性があります。
高いオーソリティを持つサイトでは、新規に公開した記事も同様に高いオーソリティを有すると評価される傾向にあります。これにより、新しいコンテンツでも比較的早い段階で検索順位が上昇しやすくなります。また、既存の記事についても、サイト全体のオーソリティの向上に伴い、検索順位の改善が期待できます。
ただし、オーソリティは検索順位を決定する唯一の要素ではありません。高品質なコンテンツの作成や適切な内部リンク構造の構築など、他のSEO施策と組み合わせることで、より効果的に検索順位の向上を図ることができます。
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インデックスされやすくなる
オーソリティを高めることで、新規記事がインデックスされやすくなります。
インデックスとは、WebページがGoogleに登録されることを指します。ユーザーがキーワード検索しても、インデックスされていなければ検索結果にWebページは表示されません。
通常の場合は、Webページ公開から3日~1週間程度で自動的にインデックスされます。ただし、オーソリティが低いサイトや立ち上げたばかりのサイトでは、インデックスに時間がかかることがあります。
オーソリティが高いサイトは、Googleのクローラーに重要なサイトとして認識されるため、新規記事も素早くインデックスされる傾向にあります。これにより、作成した記事をより早く検索結果に表示させることができ、SEO効果を高めることができます。
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Webサイトのオーソリティを高める方法
Webサイトのオーソリティを高める方法は以下の3つです。
・ 長期間運営する
・ 高品質なコンテンツを作成する
・ 有益な被リンク・サイテーションを獲得する
長期間運営する
Webサイトを長期間運営することで、Webサイトのオーソリティを高めることができます。ただし、ドメインを取得して放置したままでは、Googleからの評価は得られません。WebサイトがGoogleから評価されるまでには一定の時間が必要なので、継続してサイトを更新することが重要です。
高品質なコンテンツを作成する
Webサイトのオーソリティを高めるには、高品質なコンテンツを作成することも重要です。ただし、記事を量産するのは効果的ではありません。
Googleは記事の質を評価する際に、オーソリティを含むE-A-Tを重要な指標として捉えています。低品質な記事を作成すれば、Webサイトのオーソリティが低いと評価されるでしょう。
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有益な被リンク・サイテーションを獲得する
有益な被リンク・サイテーションを獲得することで、Webサイトのオーソリティを高めることができます。
ただし、被リンクを購入したり、低品質なコンテンツから被リンクを大量に獲得したりすれば、Googleからガイドラインに違反しているとみなされ、ペナルティを受ける恐れがあります。
オーソリティを高めるには、関連性が高いサイトやオーソリティサイトから被リンクを獲得することが重要です。
まとめ
オーソリティが高いサイトは検索順位が上がりやすく、インデックスされやすいといったSEO効果が期待できます。一方、オーソリティを高めるには一定の期間が必要で、短期的な成果は見込めません。他のSEO対策と同様、コツコツ取り組むことが重要です。