ビジネスシーンや日常生活でも、口コミという言葉をよく耳にするかもしれません。しかし、口コミの具体的な定義が分からない人は多いのではないでしょうか。
本記事では、口コミの概要やレビューとの違いを解説します。また、消費者や企業のそれぞれの立場から見た口コミのメリット・デメリットも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
口コミとは?
口コミとは、商品やサービスを購入・利用した消費者の声のことです。また、口づてで人から人に情報を共有すること自体を指す場合もあります。
インターネットが普及した現在では、口コミサイトと呼ばれる、店舗・商品・サービスを対象にした消費者が気軽に感想や批評を投稿できるプラットフォームも多く見られるようになりました。
口コミは消費者の正直な感想を反映したものであるため、商品・サービスを購入する際の参考にしたり、事業者側が消費者のリアルな声を参考にしたい場合に活用されることが多いです。
関連記事:コロナ禍で変化する消費者インサイト/ニューノーマル時代に必要なマーケティングとは
口コミとレビューの違い
口コミと同じように、消費者の声や感想を反映するものとして「レビュー」という言葉があります。
時折、混同されてしまう「口コミ」と「レビュー」ですが、細かなニュアンスの違いがあります。このため、参考にする際は下記の理由で消費者側・事業者側の双方に注意が必要です。
口コミには、投稿者ではない第三者の噂話を含む伝聞の情報も含まれます。一方で、レビューは投稿者本人の体験をもとにしています。このため、レビューのほうが信憑性のある情報だと言えます。
関連記事:口コミで広がるバイラルマーケティング!そのメリットや実施のポイントとは?
消費者から見た口コミのメリット
口コミには、消費者・事業者から見たメリット・デメリットがそれぞれあります。消費者がなぜ、どのように口コミを利用するかを知ることは、消費者心理を理解するうえで重要です。
消費者から見た口コミのメリットは、下記のとおりです。
・ 商品やサービスを扱う前に情報をイメージできる
・ 無駄な損失をしてしまう可能性が低くなる
それぞれ順番に説明します。
商品やサービスを扱う前に情報をイメージできる
商品やサービスを購入・検討する際に、事前に口コミを調べることでサービス内容や使用感をイメージできるため、利用および購入後の失敗を回避できるメリットがあります。
サービス内容や使用感がイメージしづらいものの場合は、口コミによる第三者の感想を知ることで、消費者が自分自身に置き換えた際にどのようなメリットがあるのかを追体験できます。
第三者が対象の商品・サービスに対してメリット・デメリットに感じたことを、口コミを参考にする本人がどのように捉えるかイメージし、購入するかどうかを決定します。
無駄な損失をしてしまう可能性が低くなる
高価なもの、バリエーションやラインナップが多いもの、使用感や効果をイメージしづらい商品は口コミを見て、ほかの消費者の体験を参考にする場合が多いです。
消費者本人の主観だけで購入した際、思わぬ欠点があったり似たような商品でより自分に合うものが見つかったりする場合もあるため、事前に口コミを参照することでリスクを低減させる効果があるのです。
商品のデメリットから目を背けたり買い直すことは、消費者にとって精神的・金銭的に損失となってしまうため、失敗しないための予防線として口コミを活用します。
関連記事:ウィンザー効果とは?マーケティング、人事マネジメント等での活用例
消費者から見た口コミのデメリット
もちろん、口コミはメリットだけではありません。商品を取り扱う企業や口コミサイトによっては、いわゆる「サクラ」と呼ばれる自作自演の口コミに当たる可能性があります。
そのため、自演の口コミを見分けるリテラシーが要求されます。本物の良質な口コミと、自作自演の口コミを見分けることができなければ、消費者が損をすることになりかねないのです。
ECサイトのレビュー機能や口コミサイトを利用する際は、サクラを見分けるツールを利用する等、自演のクチコミから自衛する手段を活用しましょう。
関連記事:リテラシーとは?ITリテラシーの意味も含め解説します
事業者から見た口コミのメリット
口コミには、事業者にとっても嬉しいメリットがあります。口コミを味方につけることで、多くの消費者に認知され、より売上を伸ばすことも期待できます。
事業者から見た口コミのメリットは、主に「商品やサービスの価値が高まる」「より多くのユーザーに無料でリーチできる」という2点があります。どちらもマーケティングの観点で重要であるため、下記で詳しく解説します。
商品やサービスの価値が高まる
口コミが多い商品・サービスほど、多くの消費者が利用したとも捉えられます。また、口コミの内容が高評価であればあるほど消費者心理をくすぐり、購入の意思決定に影響するため、より宣伝効果が上がります。
消費者が主体となって商品やサービスの認知を広めてくれるため、事業者側は消費者が口コミをしやすい環境作りに努めましょう。
より多くのユーザーに無料でリーチできる
事業者からはあまり良くない内容の口コミであったとしても、口コミで伝えられるということは、それだけ認知度が上がり、商品やサービスをより多くの人にリーチできます。
また、口頭での口コミはもちろんのこと、口コミサイトも無料で利用できるため、事業者にとってはコストを割かずに多くのユーザーに宣伝できるのも魅力です。
関連記事:ポジショニングとは?マーケティングに活用できる基礎知識を徹底解説
事業者から見た口コミのデメリット
当たり前のことですが、口コミは事業者にとって都合の良いことだけではなく、悪いことも広められてしまう可能性があります。
特に、多くの人に共有された口コミや、影響力の強い人の口コミ等の広く認知される口コミは、その分だけ消費者を動かす力も強いです。そのような影響力のある良くない口コミが広まってしまうと、事業者にとっては損失につながるおそれもあるため、口コミの内容には注意を払う必要があります。
関連記事:リサーチパネルとは?評判や口コミの安全性について解説します!
マーケティングに口コミを活かす方法
口コミが良い形で広まれば、事業者にとっては心強い味方となってくれます。口コミをマーケティングに上手に組み込み、活用していきましょう。
口コミをマーケティングに活かす方法は、下記のとおりです。
・ 大前提:良い口コミを獲得するには良いサービスを提供する
・ 良い口コミを書いてもらった際は自社でも拡散する
・ 悪い口コミは原因の究明とサービス改善を行う
それぞれ順番に解説します。
大前提:良い口コミを獲得するには良いサービスを提供する
事業者としては当然の話ですが、良い商品やサービスを提供しなければ、良い口コミは獲得できません。自信を持って商品やサービスを消費者に提供し、消費者に好意的に受け入れてもらうことで、口コミは広まっていきます。
消費者に受け入れられやすく、上質なものを提供することを心がけ、良い口コミを広げてもらう下地作りをしましょう。
良い口コミを書いてもらった際は自社でも拡散する
良い口コミであっても、その口コミが広がらなければ宣伝効果はありません。良い口コミを書いてもらえた際は、その口コミをより広げることを意識して、消費者の目につく施策を行いましょう。
自社でSNSやブログを運用している場合は「お客様の声」として良い口コミを引用すると、アピールしたいポイントをより強調できます。
ただ引用するのではなく「どうしたら拡散されるか」も施策を打つうえで重要なポイントとなります。SNSであれば共有・拡散機能をいかに有効に活用できるかに重点を置き、工夫して投稿しましょう。
悪い口コミは原因の究明とサービス改善を行う
悪い口コミは耳が痛いものですが、上手に活用してサービス改善に活かしましょう。
悪い口コミのなかには、商品やサービスの改善となるような事業者にとってはありがたい情報も含まれています。悪い口コミだからといって無視はせずに「改善できる箇所はないか」という目線で見る姿勢が重要です。
もちろん、サービス改善につながる口コミと誹謗中傷の切り分けをして、業務妨害になる不当な誹謗中傷は削除申請をしましょう。
コストをかけずに消費者の声を聞けるのが口コミのメリットです。商品・サービスの品質改善につなげ、良い口コミにつなげられるよう、悪い口コミも進んで活用しましょう。
関連記事:紹介・口コミによる新規顧客は既存顧客1人につき0.67人(マーケティングデザイン調査)
口コミを活用したマーケティング手法
口コミは消費者が主体となって商品・サービスの販売促進につながります。その性質を利用して、マーケティングを上手に活用しましょう。口コミを活用したマーケティング手法は、下記のとおり2種類あります。
・ バズ・マーケティング
・ バイラルマーケティング
それぞれ順番に説明します。
バズ・マーケティング
バズ・マーケティングとは、昨今頻繁に耳にするようになった「バズ」「バズる」を利用したマーケティング手法です。
ブログ・Instagram・Twitter・YouTube等のSNS上で、事業者側が口コミを含んだ情報を意図的に拡散させて、多くのターゲットにアプローチすることが狙いです。
バズ・マーケティングは下記のような流れをとります。
1. 売りたい商品・サービスに興味を持つフォロワー層を形成している人物(インフルエンサー)を探し、PRを依頼する。必要に応じて口コミの書き方のディレクションも行う。
2. 実際にインフルエンサーが商品・サービスを使用し、良い口コミをまとめてSNS上に投稿する。
3. インフルエンサーの投稿を見たフォロワーからフォロワーへと、爆発的に拡散されます。良い口コミがシェアされて、結果的に売り上げにつながる。
以上の流れにより、意図的かつ効率的に口コミを流布することができます。そして、一回「バズ」らせてしまえば、事業者側の想定以上に認知度が広がるメリットがあります。
化粧品や衣服であれば美容系インフルエンサーに、ゲームであればゲーム実況系動画投稿者に、自社の商品がリーチしやすいフォロワーを抱えるインフルエンサーの選定も重要です。
バズを獲得できるかはインフルエンサーの手腕とタイミング次第ですが、比較的コストがかからないため、試す価値はあるでしょう。
バイラルマーケティング
バイラルマーケティングとは、インターネット上で消費者が「誰かにこの商品をシェアしたい」という気持ちを利用して口コミを広げる手法のことです。
たとえば、商品ページにSNSやLINEに共有するボタンを設置しておき、それを見た消費者が「この商品がほしい」「利用したい」「使用感が良くておすすめ」等の口コミをシェアすることもバイラルマーケティングの一種です。
バズ・マーケティングは事業者側が意図的に口コミを投稿してもらうことに対して、バイラルマーケティングは消費者が自身の意思で自然に投稿するという違いがあります。
バイラルマーケティングは消費者の意思に委ねられるものであるため、大きな売り上げに直結するかどうかは不確実ですが、コストがかからない点がメリットです。
関連記事:「インフルエンサーマーケティング」とは?得られるメリットから成功のポイントまで徹底解説
まとめ
本記事では、口コミの概要とメリット・デメリット、口コミを活用したマーケティング手法について紹介しました。
口コミは消費者が主体となって認知度を高めてくれるという点で、コストがあまりかかりません。また、事業者にとって、良い口コミだけではなく悪い口コミも糧にできるため、まずは内容にかかわらず口コミを広げてもらえるような施策を行いましょう。
口コミを味方につけたマーケティング手法は、他の広告宣伝費と比較するとコストがかからず、気軽に始められます。ぜひ本記事を参考にして、口コミを用いたマーケティングに活用してください。