コンテンツやSEOに注力しているのにアクセスが伸びず、離脱率が高い。
その原因の一つが「ページ表示速度」です。たとえばスマートフォンでの読み込みが数秒遅れるだけで、7割以上のユーザーが離脱するといわれています。
この課題に対処する手段としておすすめなのが、Googleが無料で提供する「ページスピードインサイト」です。
本記事では、ページスピードインサイトの基本的な使い方や診断項目、改善策、モバイル対応のポイントまでを解説します。表示速度の重要性を理解し、離脱されないWebサイトへと改善していきましょう。
参考サイト:PageSpeed Insights(Google公式)
目次
ページスピードインサイト(PageSpeed Insights)ってどんなツール?
まずは、ページスピードインサイトの基礎を整理しましょう。
無料で利用できるGoogle公式ツール
ページスピードインサイトは、Googleが公式に提供する「Webサイト表示速度分析ツール」です。アカウントの作成やログインは不要で、診断したいサイトのURLを入力するだけで、すぐに解析が始まります。
Googleの検索アルゴリズムに関係する指標に基づいて評価されるため、SEOとの親和性も高く、Web担当者にとって信頼性の高いツールといえるでしょう。
▼以下の関連記事でも、ページスピードインサイトについて詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
PageSpeed Insights(ページスピードインサイト)の使い方を徹底解説!WEBサイトの表示速度を改善する方法
Webサイトの「表示速度」を測定できる
ページスピードインサイトの大きな特徴は、Webページの表示速度を数値可できる点にあります。表示速度とは、ユーザーがページにアクセスしてから、画面が視認できるようになるまでの時間のことです。
ページスピードインサイトでは、読み込み遅延の原因を要素ごとに分解し、ボトルネック(業務の停滞や生産性の低下を招いている要因や箇所)となっている部分を明確に把握できます。
スコア・改善が必要な箇所の表示で対策も簡単
ページスピードインサイトのもう一つの特長は、診断結果が100点満点のスコアで表示される点にあります。点数を見るだけでページの現状を直感的に把握できるうえ、主要な指標の詳細も確認可能です。
さらに、改善が必要な具体的項目もリスト形式で提示されるため、Web制作や開発に詳しくない担当者でも、提示された改善内容をもとに、技術専門のチームなどと連携しながら効率的な対策が進められます。
Webサイト運営にあたって表示速度が重要な理由
ここでは、なぜ表示速度がこれほど重要視されているのか、3つの観点から解説します。
UX(ユーザー体験)に直接影響する
ページの表示速度は、UXにおける初期印象を大きく左右します。配信に数秒かかるだけで、「使いにくい」「情報にたどり着けない」といった悪印象につながるおそれがあるのです。
Googleが提唱するコアウェブバイタル(ページの読み込み速度や操作性などユーザー体験に関わる指標)の中でも「LCP(メインコンテンツが表示されるまでの時間)」はUXの観点から特に重要視される指標です。これは、ユーザーが「ページの読み込みが終わった」と視覚的に感じるまでの時間を示しており、快適な閲覧体験の目安となります。
つまり、表示速度は単なる技術的な指標ではなく、ユーザーにとってストレスの少ない体験を提供できているかどうかを測る基準でもあります。
SEOの面でも影響が大きい
Googleは、検索ランキングの評価基準として表示速度を正式に導入しています。特に2021年の「ページエクスペリエンスアップデート」以降は、LCPやCLS(Cumulative Layout Shift:視覚要素のズレ)といった指標をもとに、UXの質が検索順位に反映されるようになりました。
このアップデートにより、表示速度が遅いページは、たとえコンテンツの内容が優れていても検索順位で不利になる可能性があります。言い換えれば、表示速度の改善は即効性の高いSEO施策であり、競合との差別化にもつながるわけです。
さらに、検索結果をクリックした後の表示が遅い場合、ユーザーは離脱しやすくなり、直帰率の上昇を招きます。これも検索評価に悪影響を及ぼすため、SEOとUXは切り離せない関係にあるといえるでしょう。
関連記事:【超入門】「ブログって何?」から始める企業ブログ〜若手社員のための法人ブログ設計・運用ガイド〜(実践!法人ブログコンテンツ作成の基本とSEOのコツ)
クローラーやインデックス時にもページ速度が影響する可能性がある
表示速度はユーザーにとってだけでなく、Googleのクローラー(検索エンジンの巡回プログラム)にとっても重要です。
Googlebotは、クロールバジェット(1サイトあたりに割り当てられる巡回量)に基づいて動作しており、表示速度が遅いとクロール効率が下がり、ページがインデックスされにくくなるおそれがあります。
高速かつスムーズな読み込み環境は、検索上位にランクインするための土台ともいえるでしょう。
ページ表示速度とユーザー離脱の関係性
Webサイトのパフォーマンスにおいて、表示速度がユーザーの離脱(ページを離れる)率に大きく影響することは、多くの調査で示されています。中でもGoogleが公表したデータは、その傾向を明確に表しています。
以下の表は、ページの読み込み時間が長くなるにつれて、離脱率がどの程度上昇するかを示したものです。
表示時間 | 離脱率 |
1秒から3秒に増加 | 32%増加 |
1秒から5秒に増加 | 90%増加 |
1秒から6秒に増加 | 106%増加 |
1秒から10秒に増加 | 123%増加 |
このデータが示すように、読み込みがわずか数秒遅れるだけで、離脱リスクが急激に高まるという現実です。
言い換えれば、表示速度はコンテンツの質以前に「読まれるための前提条件」といえます。
ページスピードインサイトを活用するメリット
ここでは、ページスピードインサイトを使うことで得られる主なメリットを4つの観点からご紹介します。
コアウェブバイタルを容易に確認できる
ページスピードインサイトでは、Googleが検索ランキングの評価に用いる重要なUX指標「コアウェブバイタル(Core Web Vitals)」を自動的にチェックできます。
対象となるのは、以下の3つの指標です。
● LCP(Largest Contentful Paint):主要なコンテンツが表示されるまでの時間
● FID(First Input Delay):ユーザーの操作に対する応答の速さ
● CLS(Cumulative Layout Shift):読み込み中のレイアウトのズレ(視覚的な安定性)
これらは検索順位だけでなく、ユーザー体験の質を評価するうえでも重要です。
ページスピードインサイトでは、モバイルとデスクトップの両方についてスコアが表示されるため、どのデバイスに課題があるのかをひと目で確認できます。
測定結果がわかりやすく点数表示される
ページスピードインサイトのレポートは、100点満点のスコア形式で表示されており、ページの状態を直感的に把握できます。
さらに、スコアは以下の3色に分けられており、改善の優先度が視覚的にわかりやすくなっています。
● 90点以上(緑):良好
● 50〜89点(オレンジ):要改善
● 0〜49点(赤):重大な問題
このようなスコア表示により、社内の関係者や経営層にも状況を共有しやすく、改善施策を進めるための説得材料としても活用できます。
具体的な改善箇所を提示してもらえる
ページスピードインサイトの最大の強みは、スコアの背後にある要因を詳細にレポートしてくれる点です。
たとえば、「画像の最適化が必要」「JavaScriptの読み込みに時間がかかっている」といった、具体的で実行可能な改善提案が自動で提示されます。
これにより、どの部分を優先的に修正すべきかが一目でわかり、効率的な改善につなげやすくなります。
競合サイトの分析も可能
ページスピードインサイトでは、自社サイトだけでなく、競合他社のURLも分析可能です。
たとえば、同業他社と比較して自社のモバイル表示速度が明らかに劣っている場合、ユーザーが比較検討する段階で不利になるおそれがあります。
このように、競合をベンチマークとして活用することは、戦略的にも有効です。
ページスピードインサイトの主な確認項目
ここでは、ページスピードインサイトで表示される主な5つの確認項目について、それぞれの役割と読み解き方を解説します。
1. フィールドデータ(実際のユーザー環境に基づくデータ)
フィールドデータとは、実際のユーザーが使用しているブラウザやネットワーク環境に基づいた実測値を指します。Google Chromeの利用データをもとにしており、実利用に基づくため信頼性が高いのが特長です。
ここでは、LCP、FID、CLSといったコアウェブバイタルの数値が表示され、ユーザーが感じるパフォーマンスを可視化できます。
2. ラボデータ(シミュレーション環境での測定)
ラボデータは、ページスピードインサイトが疑似環境で実行した速度測定結果で、開発者ツール「Lighthouse」に基づいて生成されます。
たとえば、4G接続かつ中程度の性能を持つデバイスという標準的な条件下で、読み込み時間や操作可能になるまでの時間を計測します。
主に表示される指標は以下のとおりです。
● First Contentful Paint(FCP):最初のテキストや画像が表示されるまでの時間
● Speed Index:画面が視覚的に完成するまでの平均速度
● Time to Interactive(TTI):ページが操作可能になるまでの時間
● Total Blocking Time(TBT):ユーザー操作を妨げた合計時間
これらの指標は、改善の方向性を見極めるうえで有効であり、技術的な最適化ポイントの発見にも役立ちます。
3. 改善できる項目
「改善できる項目」のセクションには、表示速度を改善するために優先度の高い技術的課題が一覧で表示されます。
各項目には「1.5秒の短縮が見込まれます」といった推定改善時間も表示されるため、どの修正がサイト速度に最も大きく影響するかを判断しやすくなっています。
4. 診断
「診断」のセクションでは、ページ構成や開発におけるベストプラクティス(最適な方法)に関するチェック結果が表示されます。
表示速度に直接関係しない項目も含まれますが、「アクセシビリティ」「モバイル対応」「ARIA(Accessible Rich Internet Applications)属性の適切な使用」など、Webサイト全体の品質改善につながる指摘が得られます。
これらはユーザー体験の底上げだけでなく、検索エンジンからの評価向上にも寄与する重要なポイントです。
5. 合格した監査
「合格した監査」のセクションでは、ページがすでに満たしている項目が一覧で表示されます。
合格項目が多いほど、サイトの技術的な基盤が整っていると判断でき、表示速度や安定性の面でも好影響が期待されます。
そのため、これらの項目を定期的にモニタリング(経過観察)し、良好な状態を維持することが重要です。
ページスピードインサイトの診断で表示されるスコアの見方・考え方
ページスピードインサイトのスコアは複数の評価基準をもとに算出されており、点数が低いからといって一概に悪いと判断するのは適切ではありません。重要なのは、どの要因がスコアに影響しているのかを正しく理解し、改善につなげる視点を持つことです。
以下は、スコアの色分けによる評価基準です。
スコア範囲 | 評価 | 表示色 |
90〜100 | 高速 | 緑 |
50〜89 | 改善が必要 | オレンジ |
0〜49 | 低速 | 赤 |
ページスピードインサイトで表示される「改善できる項目」の見方・考え方と具体的な対策
ここでは、各改善できる項目が意味する内容と、実際にどのような改善が必要なのかを詳しく解説します。
HTML/CSS/JavaScriptのサイズ
HTML、CSS、JavaScriptなどのファイルサイズが過剰になっている点が指摘されます。
主な要因としては、未使用コードの残存や外部ライブラリの過剰な読み込みが挙げられます。
主な改善策
● 使用していないCSSやJavaScriptを削除する(例:PurgeCSS、Tree Shaking)
● ファイルを圧縮(ミニファイ)して、コメントや改行を除去する
● 必要なライブラリのみを選別し、読み込み対象を見直す
画像の最適化
画像はWebページ内で最も容量が大きくなりやすく、読み込み遅延の主な原因の一つです。「画像の最適化」は、解像度・形式・ファイルサイズの見直しが必要であることを示しています。
主な改善策
● WebP(ウェッピー)やAVIF(AV1 Image File Format)などの次世代フォーマットに変換する
● 不要に高解像度な画像を縮小し、必要なサイズのみ表示する
● 圧縮ツールを使って容量を削減する
画像圧縮に関連した記事:JPEGとは?圧縮・変換する方法や無料ツールを解説
ブラウザのキャッシュ活用
ページの再訪問時にもファイルが毎回ダウンロードされているため、キャッシュが適切に機能していないことが指摘されます。
主な改善策
● .htaccessやcache-controlヘッダーを設定し、画像・CSS・JavaScriptなどの静的ファイルに有効期限を指定する
● WordPressなどのCMSを使用している場合は、W3 Total Cacheなどのキャッシュ系プラグインを導入する
レンダリングを妨げるJavaScriptの削除
JavaScriptがHTMLより先に読み込まれると、ページの描画がブロックされ、画面が表示されるまでの時間が遅くなります。
主な改善策
● <script>タグにdeferやasync属性を追加し、非同期読み込みに変更
● 不要な外部JSの削除や読み込み位置の見直し(フッターへの移動など)
● インラインスクリプトの削減
サーバーの応答時間の短縮
ブラウザがサーバーにリクエストを送信してから最初のバイトが返ってくるまでの時間が長いことを示しています。多くの場合、サーバー側の処理能力や応答速度に起因します。
主な改善策
● サーバースペックの見直し、およびCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の導入
● WordPressサイトであれば、不要なプラグインの削除やデータベースの最適化
● PHPなどバックエンド処理の軽量化・見直し
リンク先ページのリダイレクトをなくす
リンクが不要なリダイレクトを経由している場合、ページの表示速度が遅くなる原因となります。リダイレクトを挟むことで、ユーザーのリクエストが複数回サーバーを経由し、初期表示が遅延するためです。
主な改善策
● URLの正規化を行い、最短経路で目的のページに到達できるリンク構造に変更
● サイト全体で統一されたURLルールを採用し、不要なリダイレクトを排除
表示可能コンテンツの優先順位
ファーストビュー(ユーザーがサイトにアクセスして最初に目にする画面領域)に表示されるべきコンテンツが後回しになっている場合に警告されます。
主な改善策
● 最初に表示すべきテキスト・画像をHTMLの上部に記述
● それ以外の下部コンテンツは遅延読み込み(Lazy Load)設定
● CSSのクリティカルパス(上部表示に必要なCSS)だけを先読みさせる構成へ変更
ページスピードインサイトの診断でモバイルだけ遅い場合はどうすべき?
ページスピードインサイトを使っていると、「デスクトップでは良好なのに、モバイルのスコアだけが著しく低い」といった結果が出ることがあります。
以下では、モバイル特有の表示遅延が起こる原因と、それに対する具体的な改善策を解説します。
配置している画像を最適化する
モバイルでは表示領域が限られているにもかかわらず、PC向けと同じ高解像度の画像を読み込んでいるケースがよく見られます。
その結果、無駄な通信が発生し、表示速度が低下する要因となります。
主な改善策
● <picture>タグや srcset 属性を用いた、画面サイズに応じた画像の読み込み
● WebPなど軽量な画像フォーマットの導入
● 遅延読み込み(Lazy Load)を設定し、ファーストビュー以外の画像は後から読み込む設計にする
キャッシュ活用を優先する
モバイル回線は通信環境に左右されやすいため、毎回すべてのファイルを読み込む構成では遅延が発生しやすくなります。
主な改善策
● HTMLヘッダーやサーバー設定で、CSS・JavaScript・画像ファイルにキャッシュ期間を明示的に指定する
● Service Workerを導入し、PWA対応によって一部の動作をオフラインでも可能にする
ファーストビューを最適化する
ファーストビューとは、ユーザーがページにアクセスした際に最初に画面に表示される範囲を指します。この部分の表示が遅れると、ページが正しく読み込まれていないと誤解され、離脱につながるおそれがあります。
主な改善策
● 必要なコンテンツは可能な限りHTMLに直接記述
● 外部CSSやJavaScriptへの依存を減らし、遅延読み込みが必要な要素はページ下部に配置
● ロゴ、見出し、CTAボタンなど、ユーザーの行動を促す要素を優先的に表示
JavaScriptやCSSを遅延読み込みする
スマートフォンはPCに比べてCPU(データの演算や制御などを行う装置)性能が低いため、JavaScriptやCSSの処理が表示速度の低下につながる要因になります。
特に、ページ上部で不要なJavaScriptがレンダリングを妨げているケースは多く見られます。
主な改善策
● JavaScriptには defer または async 属性を付与し、非同期で読み込む設定にする
● CSSはファーストビューに必要な部分をインラインで記述し、それ以外は後から読み込む(Critical CSS)
● jQueryや外部ウィジェットの使用を見直し、より軽量な代替手段へ置き換える
サーバーの応答時間を改善する
モバイル環境では通信遅延が起こりやすく、加えてサーバーの応答速度が遅い場合、ページの表示パフォーマンスが大きく低下します。とくに共有サーバーを利用している企業のWebサイトでは、この影響が顕著に表れやすい傾向があります。
主な改善策
● 高速なWebサーバーやCDNの導入
● レンタルサーバーからVPSやクラウド環境への移行
● 画像や動画の外部ストレージ化、データベースクエリの最適化によるサーバー負荷の軽減
関連記事:レンタルサーバーとは?仕組みやレンタルサーバーを選ぶ際のポイントを徹底解説
Google無料ツール「ページスピードインサイト」はWebサイト運営者の強い味方
近年、Google検索では表示速度がランキング要因のひとつとされており、SEOとUXの両面からパフォーマンスの最適化が求められています。
しかし、ページスピードインサイトの改善項目を正しく理解し、実行に移すには技術的・マーケティング的な知見が必要となる場面も少なくありません。
こうした課題に対しては、Profutureが提供するSEO改善支援サービス「HRSEO」の活用が有効です。表示速度の診断から改善提案、キーワード設計、実装支援までを一貫して提供し、単なるスコア改善にとどまらず、ビジネス成果に直結するSEO施策を支援します。
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