リード獲得後の「商談→案件化」は、マーケティング投資の回収率を左右する最重要ポイントです。私たち営業支援の現場では、同じリードでも「初回接触の質」と「次アクションの設計」だけで、案件化率が倍近く変わることを何度も確認してきました。
本記事では、現場で実証したテクニックと、マーケティング施策に接続する改善アクションを具体的に解説します。
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著者プロフィール:大村 康雄 (おおむら やすお)
マーケと営業の対立にサヨナラ!商談化率を劇的に上げる「ホットリード」の共通定義と引き継ぎガイドブック
マーケターの皆さん! 「苦労して獲得したリードなのに、営業の反応がイマイチで、なかなか商談につながらない…」 そんな悩みを抱えていませんか? もしかするとマーケティング部門と営業部…
案件化が進まない背景
案件化が進まない主な要因は、以下の3つに集約されます。
① 初回商談でやるべきことの設計不足
どの営業担当者も当たり前のように理解していると思われる「初回商談では何を行うのか。」という問いに対し、実はよくわかっていない営業活動が散見されます。
「成約を取りたい」「“提案書が欲しい”と言ってくれれば良いな」など、同じ企業の中でも営業担当者ごとに目的意識が異なります。そういったバラバラなマインドで商談に臨んでいる場合、商談で何をやるかもばらつきが出ます。
その結果、ノウハウの共有も進まず、商談スキルが上がりにくくなります。
②プロセスの見える化不足
商談の終盤で「次はいつ・誰が・何をするのか」という次のアクションが明確に決まらないまま商談が終わっているケースも少なくありません。
そうすると、フォローのタイミングも適切さを欠き、即時フォローすべきタイミングを逃したり、逆に早すぎる催促で反発を生んだりします。
③属人化の放置
属人化の問題も見過ごせません。営業活動が個々の経験や勘に依存していると、勝ちパターンが共通言語化されず再現性が生まれません。
新人や他メンバーへ勝ち筋を移植できないため、案件化率は担当者の巧拙に左右され、組織全体の営業成績は伸びていきません。
要するに、案件化が進まない根っこは以下の3点です。
・ 「初回商談でやるべきことの設計不足」
・ 「プロセスの見える化不足」
・ 「属人化の放置」
初回商談でやるべきことが明確に定められていなければ、眼の前の担当者の話に付き合うことに終止する可能性も高くなります。初回商談の後にどういう流れで成約するのかがわかっていなければ、初回商談をどのような形でまとめれば良いかわかりません。属人化された営業スタイルが問題なのは説明不要です。
これらを改善することが、案件化率アップのポイントです。
商談を前進させるヒアリング術
ステップ①ヒアリング前の“防御反応”を防ぐ
商談の冒頭で、「うちは特に問題なく運用できてますね」など、一切困りごとがないというリアクションをされた経験はありませんか?
相手から問い合わせが入ったり、押し売りではなくテレアポできちんと商材の説明をしてアポイントを取得したりにも関わらずです。
実はこれは、人間の防御本能による反応で、こう言われると相手は“ニーズがないモード”に入りますので、ヒアリングをしても本音が出てきません。
そこで、ヒアリングに入る前に、次のようなフレーズを使いましょう。
“あなたが承諾したからこの商談はある”と認識させ、ニーズがないモードに入るのを防ぐのです。
「本日お時間をいただけたということは、〇〇関連(自社商材の関連分野)で何かしら課題やお困りごとなど、情報収集する必要性がおありということかと思ったのですが、いかがでしょうか?」
この一言で、相手は「自分の行動(商談を承諾した)」と矛盾しないように振る舞うため、高い確率で「困ってない。」と言えなくなります。

