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案件化率アップの秘訣!営業支援会社が実践する“商談を前進させる”ヒアリング術【エッジコネクション代表 大村氏連載 第2回】

2025.11.10
読了まで約 5

ステップ②尋問ヒアリングをしない

「予算は?」「今のお付き合い先は?」「いつまでに決定する?」などの尋問型ヒアリングはNGです。
これはまるで職務質問のようで、相手の心を閉ざしてしまいます。

ヒアリングで重要なことは、相手の過去の取り組みを追体験することです。例えば、以下の流れで整理します。

1.担当者が抱える課題
何かしら仕事上の課題が浮かんだとき、何も対策を考えない人は基本的にいないはずです。しかし、何かしら対策をしたのにその課題が解消されなかったので、その商談が行われているわけです。解消されていたら、アポイントは断られているはずです。

2.その課題に対して行った対策
眼の前の担当者の抱えている課題とそれに対して行った対策、そしてその結果として残った課題を丁寧にヒアリングしましょう。

3.それでも残った課題
最後に残った課題こそ、こちらが提案で解決すべきポイントです。そして、「予算」や「最終決裁権者」は誰かといった質問は、この課題共有の後に、「より的確な提案を行うために」という理由を添えてヒアリングすると自然です。

関連リンク:BANT(BANT条件)をBtoBにおける営業活動に活用するには?

ステップ③次のアクション設計

ヒアリングの最後には「次に何をするか」を明確に決めましょう。
事前に提案書提出や見積もり提出といった次のアクションを何とするのかを定義し、商談を進めることで、ニーズの把握から次回商談の提案の打率がぐっと高まります。

フォローや優先順位付けなどの改善アクション

商談後のフォローは、ヒアリングで「最後に残った課題」を先方担当者と共有できていれば、自ずとその後の流れが見えてきます。

なぜなら、課題を共有する過程で、先方担当者がこれまで行った対策とそこからさらに浮かび上がった課題を営業担当者は追体験しました。先方担当者からすると、そのように自分の経験を共有できた営業担当者は、最も信頼できる相手だと感じます。

伝えてくる情報に嘘が含まれている可能性がほぼなくなり、一緒に仕事を進めるためにさまざまな動きをしてくれるようになります。
この段階で重要なのが、「フォローの仕方」と「優先順位」です。

【フォロー対応の良い例・悪い例】

提案サービスについて、再来月の予算申請で進めると言われた場合。

✕「なんとか今月で意思決定してくれないでしょうか?」
→相手のスケジュールを無視。せっかく最後に残った課題を共有することで生まれた信頼関係も水の泡。待てば成約した案件を自ら潰したと言っても過言ではありません。

○「再来月の予算申請に向けて、来月中旬から準備を始めましょう」
→相手のタイミングを尊重、成約の機会を逃さない。一方、今月末の会議に諮る予定であれば、先方担当者と一緒に社内会議で通るようにスピード感をもって準備を進めるのみです。

このように、どうフォローするか、どの見込み顧客を優先するかは、初回商談の会話内容や先方担当者との関係性の中に答えが眠っています。
そのサインに忠実に動きましょう。

そして、そのようなスタンスで商談を繰り返していると、「すぐに提案書が欲しい」などと言われた場合にはこうした方が効果的という対応の仕方の中でのベストプラクティスが見えてきます。これを営業担当者同士で共有し、ブラッシュアップしていきましょう。

関連リンク:【完全版】ヒアリングの教科書:顧客のニーズを深く理解し、課題を解決する技術

ケーススタディ

●SaaS企業の改善事例

業種:BtoB向けSaaS企業
リード獲得数:月間約200件
課題:初回商談化率40%、案件化率12%で頭打ち

▼ボトルネック

観察すると、担当者のヒアリングが属人的で“これまでの取り組み”を追体験できていないことが本質的なボトルネックでした。
さらに、商談の終盤で「いつ・誰が・何をするか」という次へのアクションが定義されてなかったため、フォローは担当者の勘に委ねられ、本来は温度感の高い見込み顧客も担当者同士の相性で見過ごされる事態が発生していました。

▼改善策

このケースの打ち手として、まず、ヒアリングの方法を担当者の取り組みを追体験して「最後に残った課題」を先方担当者と一緒に特定するようにしました。
その上で、課題を放置した場合の損失を相手のKPI(例:残業時間、リードから案件化の転換率、機会損失額)に翻訳して提示。
そして、ヒアリングができた商談の次は提案書を提出すると定義づけしつつも、即決を迫らず、先方担当者のペースを可能な限り尊重し、ストレスを与えないように進めることを徹底しました。

▼結果

これら施策の結果として3か月後、初回商談化率は52%、案件化率は22%へ改善し、営業活動の効率化により総商談数は18%減少しました。

・初回商談化率:40%→52%
・案件化率:12%→22%
・総商談数:18%削減(効率化)

成果をマーケティング施策に反映する方法

営業活動を型化し、営業チーム全員で取り組んでいると、当然ながら個人差が出てきます。この「商談数」「2回目以降の商談数」「見積もり提出数」など、初回商談から成約までにたどるステップの差をカウントすることで、マーケティング改善のヒントが見えてきます。

1.営業データから見える特徴

・ 初回商談数がやたら多い
・ 初回商談から、提案書提出依頼が多い
・ 提案書提出と見積もり提出が同時に行われるケースが多い

2.みえた特徴から得られる、マーケティングのヒント

・ 初回商談数が多い→他の営業担当者とは異なる切り口でアポ取りを行ってる?
・ 提案書提出依頼が多い→他の営業担当者や営業資料にはないトークを行ってる?
・ 提案と見積もりの同時提出が多い→提案書作成の際のヒアリングが他の営業担当者と異なる?

このようなヒントを紐解くことで、現状のアポ取り方法の改善、新たなアポ取り手法の発見、より成約につながる営業トークや営業資料の改訂などと、マーケティング施策の改善につながります。

まとめ:マーケターが実務に活かせるアクション

マーケターの立場でこれまでの内容を実践するには、以下のステップをたどると良いでしょう。

①収益経路を定義する

初回商談から成約までのステップを明確に。

②各ステップに必要な資料を整える

営業資料・提案書フォーマットなどを用意。

③進捗を数字で追う

営業担当者の各ステップの進捗を数字で確認。

④異常値に注目してヒントを得る

定期的に営業担当者からヒアリングをする機会を設け、数字の進捗の中での異常値にスポットライトを当て、マーケティング施策改善のアイデアを抽出。

これらを続けることで、案件化率の向上と効率化が実現します。
まずは一つのステップを可視化するところから始めてみましょう。

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執筆者

大村 康雄

大村 康雄(おおむら やすお)

株式会社エッジコネクション 代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。
2007年、株式会社エッジコネクション創業。営業支援業を軸に、人事・財務課題にも対応するコンサルティング企業として展開。
これまでに1700社以上を支援し、継続顧客割合は75%を超える。
2024年7月には「24歳での創業から19期 8期連続増収 13期連続黒字を達成した黒字持続化経営の仕組み」を出版。

Instagram:https://www.instagram.com/edgeconnection_career/
Facebook:https://www.facebook.com/edgeconnection
YouTube:https://www.youtube.com/@consultant-juku

編集者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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