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実践で学んだマーケティング概念〜第1回「音楽業界における企画開発」|合同会社デフムーン黒岩利之 連載

2024.3.4
読了まで約 4

大手レコード会社で宣伝畑を歩み、老舗音楽事務所スマイルカンパニーの代表を務めた後、合同会社デフムーンを設立した黒岩利之氏。メディアプロモーション、アーティストプロモーションの専門家が見た音楽業界のマーケティングとは?今回から3回に渡って、音楽業界における企画開発、プロデュース、リーダーシップについて語ってもらう。

はじめに―音楽業界の変遷とマーケティング

はじめまして。合同会社デフムーン代表の黒岩利之と申します。僕のプロフィールを簡単にご説明すると、1991年に株式会社ソニーミュージックエンタテインメントに入社。営業、制作部門を経て宣伝畑に異動後は約30年、メディアプロモーション、アーティストプロモーションの現場を歩んでまいりました。

なので、僕のマーケティングロジックは実戦に基づいた直感型と申しますか、音楽の専門家としてスタジオに籠っていたわけではないので、リスナー目線でトレンドを分析し、どう楽曲ヒットを生み出していくか、そのトライ&エラーの積み重ねから導き出されたものといっても過言ではないでしょう。

でも、これって人に一言で説明するのは難しい。音楽業界も日々変化していて、ハードもレコードやCDの時代から配信、サブスクリプションサービス(定額聞き放題サービス)へと変遷し、その度に構造革命が起きて、我々はそれに対応するのに常に大わらわといった状態です。昨日の当たり前が今日の当たり前でなくなってしまっている。王道だった理論があっという間に色褪せて、邪道とされたものが本筋のロジックにとって代わっていく、そんな経験を何度もしました。

ただ、そうした変化にさらされている中でも、不変なモノはあるはずで、それを指針としてトレンドにアップセットしていくことが重要であり、そのブレない何かというものが大事なのだということも思い知ってきたつもりです。

そんな中、ソニーミュージック~ワーナーミュージック~スマイルカンパニーと続いたサラリーマン生活にピリオドを打ち、起業した2022年、ふと立ち止まって色々考える機会に恵まれたときに、そんな日々の中で培ってきた大切な何かを形に残そうと、本を書くことを思い立ちました。

それが先日発売となった【「桜」の追憶 伝説のA&R吉田敬・伝】になります。僕の恩師であり、宣伝・マーケティングの師匠でもある吉田敬氏の功績をヒットさせたアーティスト事例のエピソードを織り交ぜながら、構成した書物です。是非、レコード会社の若手宣伝マンに読んでもらいたい。ひいては、マーケティングを志す人たちのヒントと刺激と、モチベーション向上のお役に立てたらという密かな野望で書きました。

制作サイドはアーティストとともに作品を残すことができるけど、売る側の僕たちの歴史は意外と今までは語られることがなかった。そこに焦点を当てたつもりです。

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音楽業界における「企画開発」と勝つために必要な要素

さて、本連載の最初のテーマである「企画開発」についてです。厳密に言うと、アーティストという商材は、ビッグアーティストの移籍やブレイクしているバンドのソロプロジェクトなど、実績から売上規模を予測できることもありますが、それは非常に稀で、 “海のモノでも山のモノでもわからない”アーティストをまずは、直感力をもとに、市場に問うてみること。どう料理して売るかは走りながら考えて軌道修正していくというパターンがほとんどのような気がします。

昨今はインディーズマーケットが充実しているので、そこからの青田買いやブレイク直前のアーティストを好条件の契約で獲得し、最初から鳴り物入りのプロジェクトで売り出すというようなやり方も、かつては王道のやり方としては成立していました。しかし、企画力・発想力・ブランディングなどの要素も当然、必要になります。そこで問われるのが、そのアーティストを担当する制作者(プロデューサーやディレクター)やアーティスト担当(アーティストの宣伝戦略を考える担当)の今までの実績(しかも最近ヒットアーティストに関わっているか)というのが重要な判断材料となってきます。

逆に言うと、どんなに現在のマーケットを的確に分析し、売り出すためのロジックを持っていたとしても、それは机上の空論になってしまいがちで、経験値をもとにメディアにも顔が利き、アーティストを売り出す上での技を多彩に持っている人が手掛ける、誰々案件のアーティストがマーケティング以上の説得力を持ち、未だに受け止められているのが実情となっています。そんな一見、不公平な状況の中で、世に打って出るための「企画開発力」には何が必要か、ということになっていくのだと思います。

まずは、多彩な情報ソースを持っていて、現在の音楽トレンドを立体的に分析できる人脈を持つことが重要です。広告代理店やリサーチ会社などの市場調査だけでは伝わらない生の声をいかにキャッチするか。新人開発という観点からいくと、情報網を持っているライブハウスのオーナーや、全国インベンターの声に耳を傾けるのも重要ですし、今だとロックフェスに集うような若者たちの生の声をSNS等で丁寧に掬い取り、“界隈で熱い”アーティストに辿り着くように発掘作業を繰り返していくということも大事です。昔は足で情報を稼ぎましたが、今はスマホやインターネットが重要なツールとなってきます。

そして、そのアーティストを売り出す的確な道を見つけること。他者にプレゼンテーションする際の明確な指標を持つことが重要です。マネージメント時代に新人を見つけるのが得意な後輩に「このアーティストは何丁目何番地に位置するか」を問われたことがあり、そこが曖昧だった僕はぐぅの音も出なかったことがあります。

拙著【「桜」の追憶 伝説のA&R吉田敬・伝】で、僕の師匠、吉田敬さんが持論として展開した「椅子取りゲーム理論」もその一つであると思います。「マーケットは常に似たタイプのアーティストでのシェア争いが行われている。まるで椅子取りゲームのように。そんなマーケットが開拓され、確立したジャンルのアーティスト群に対し、似たようなアーティストをぶつけてその席を狙っていく」。

原始的な言い方でいくと「誰々っぽい」はそれだけで企画開発の武器にもなり得るし、その「誰々に」対抗できる明確な武器を持つことで、“椅子取りゲーム”に参戦し、勝つためのロジックを得ることができるのだと思います。

また、僕が宣伝畑を通して強く感じたことは、どのメディアで売り出すかという選択も非常に重要な気がします。登場感を選出するためのブランディングこそがメディアの選択とも言えます。ハードの変化とともに都度アップセットが必要なように、ユーザーへの情報を伝達する手段であるメディアも時代の要請に応じて、その“旬”が変化していきます。

外国語を駆使するDJが、洋楽テイストのJ-POPを紹介するJ-WAVEやFM802等の第2FMからヒットが生まれた時代、ミュージックビデオをオンエアするスペースシャワーやMTV等の衛星音楽チャンネルからヒットが出た時代などを経て、今はUGC(User Generated Content)全盛の時代で、TikTokなどのSNSメディアが熱いし、楽曲ヒットを生み出す発信基地として注目を集めています。

一方、オールドメディアと言われていたラジオやテレビが、radiko、TVerというアプリの普及により、現代風に変容していき、新たな影響力を行使していく様も見逃せません。そんなメディアのトレンドをしっかりキャッチアップして、売出し戦略を考えることもセットで要求されるのが企画開発のためのプランニングとなってきます。

以上の3点をベーシックな要素として踏まえながら、自分独自の方法で企画開発をして、その中から時代を牽引するアーティストを生み出していく。そんな流れが、時代を経ても変わらない核となっていくのだと思います。第2回(実践で学んだマーケティング概念〜第2回「音楽業界におけるプロデュース」|合同会社デフムーン黒岩利之 連載)では、音楽業界におけるプロデュースについてお伝えします。

関連リンク
ブランディングの本当の意味を知る!正確に把握して始めよう!
Amazon.co.jp:「桜」の追憶 伝説のA&R 吉田敬・伝:黒岩利之

執筆者

黒岩 利之(くろいわ としゆき)

合同会社デフムーン代表
1991年にソニーミュージックエンタテインメントに入社。営業や制作部門を経て、宣伝部門でメディアプロモーション及びアーティストプロモーションに従事。その後、ワーナーミュージック・ジャパンの宣伝部長などを歴任後、スマイルカンパニーの代表を務め、2022年に合同会社デフムーンを設立。宣伝コンサルタント業を営みながら、音楽業界での長年の経験を活かして新人アーティストの発掘・プロデュースを行っている。

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