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PPM分析とは? マーケティングの基本戦略策定フレームワークを解説

2023.5.1
読了まで約 7

PPM分析(プロダクトポートフォリオマネジメント分析)とは、市場成長率と市場占有率(マーケットシェア)の2軸からなる座標に、自社の事業・製品・サービスを分類し、経営資源の投資配分を判断するための方法で、自社や競合他社の立ち位置を確認し、戦略を練る際に役立ちます。

この記事では、PPM分析の方法や、花形、金のなる木などの意味、メリットとデメリット、企業の具体的な事例などについて解説します。

PPM分析とは?

PPM分析とは、ボストン・コンサルティング・グループが1970年代に提唱した分析手法で、「Product Portfolio Management(プロダクトポートフォリオマネジメント)」の略称です。

「市場成長率」と「市場占有率(マーケットシェア)」の2軸からなる座標上で事業や製品、サービスを分類することにより、経営資源の投資配分を判断するための手法です。

PPM分析では自社事業を下記の4つのポジションに分類します。

● 花形(Star)
● 金のなる木(Cash Cow)
● 問題児(Problem Child)
● 負け犬(Dog)

これらの4つのポジションで自社の事業の将来性を把握するとともに、競合企業との売上の格差を可視化することができます。

※PPM分析の用語説明は下記のリンクも参照ください。
用語説明【PPM分析】

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PPM分析の4つのポジションの意味

PPM分析における4つのポジションそれぞれの意味を見てみましょう。

● 花形(Star)
● 金のなる木(Cash Cow)
● 問題児(Problem Child)
● 負け犬(Dog)

花形(Star)

花形は、市場成長率および市場占有率(マーケットシェア)ともに高く、まさに「花形」と呼べる事業です。

市場占有率(マーケットシェア)が高いために利益を出しやすいものの、市場成長率が高いために競争が激しい状態となっています。

市場での競争に打ち勝つためには、積極的な投資を継続することが望まれます。

例えばIT関連企業におけるソフトウェアやアプリケーションの開発、サブスクリプション方式における音楽やゲームの配信事業などが花形として挙げられます。

こういった事業は、投資することを躊躇した途端に競合他社にマーケットシェアを奪われ、それまでの優位から一転して立場が逆転する可能性もあります。

マーケットシェアを維持し、競合他社に抜かれないためにも継続的かつ積極的な投資が必要不可欠です。

関連記事:サブスクリプションビジネスとは? 市場規模やメリット、成功のポイントも徹底解説

金のなる木(Cash Cow)

金のなる木は、市場成長率が低く新規参入も少なくなっているために競争は穏やかになっていて、積極的な投資は必要とされません。

その一方で市場占有率(マーケットシェア)が高く、安定した利益が出しやすい状態です。

したがって金のなる木に分類される事業から得られる利益は、その事業へ再投資するのとともに、花形や問題児の事業に振り分けていくことが必要とされるでしょう。

例えば鉄道や航空、電気、ガスといったインフラ関連事業などが、金のなる木に該当します。

新規参入企業も限られており、一度利益を発生させる仕組みを構築すれば、あとは同様の作業を行うだけで利益が発生します。

事業運営に伴う利益余剰金は、鉄道事業であればホームの改修、航空事業であればターミナルの増改築などに充当できます。

また電力会社やガス会社なども、設備投資や株主配当金、異なる方面への事業展開に充てることができます。

問題児(Problem Child)

問題児は、市場成長率が高く、競争が激しく、積極的な投資が必要とされる一方、市場占有率(マーケットシェア)が低いために利益が出しにくい状態です。

ただし市場占有率(マーケットシェア)を高められれば、将来的に花形や金のなる木になる可能性があるといえます。

したがって問題児に分類される事業に対しては、他の事業によって得られた余剰の資金を積極的に振り分けていくことが重要です。

例えばSaaSやネット証券、AIなどの関連事業が問題児に該当します。こういった事業は市場が急拡大しながらも自社シェア率を伸ばしづらい特徴があります。

2021年から2022年における業界別成長ランキングは以下のようになっています。

<業界別 成長率ランキング(2021〜2022年)>
● 1位:SaaS…成長率22.6%
● 2位:ネット証券…成長率19.3%
● 3位:AI…成長率18.4%

出典:業界動向サーチ 業界別成長ランキング

ですが、こういった業界はマーケットシェアを獲得できれば花形へと成長させられる可能性があります。

関連記事:SaaSとは!読み方や意味、基本的な概念を解説!

負け犬(Dog)

負け犬は、市場成長率が低いために投資は必要とされないかわり、市場占有率(マーケットシェア)が低いために利益も出ない状態です。

事業の成長が見込めないため、事業を整理し、それによって余剰となった資金を花形や負け犬の事業に分配していくことが、経営判断として適切な場合があります。

例えば出版業界や製造業界、観光業界などが負け犬に該当します。特に出版業界は顕著でデジタル書籍の普及により紙媒体によるマーケットシェアは年々減少の一途を辿っています。

参考資料:公益社団法人 全国出版協会 出版科学研究所 日本の出版販売額

製造業界においては年々AIやロボットなどを導入する企業が増えており、製造工程の自動化に伴う人員削減が進んでいます。

また観光業なども新型コロナをきっかけに市場規模が縮小しました。インバウンド観光客が戻ってきてはいるものの、新型コロナ前の状態には回復しておらず、主要旅行会社の取り扱い額も近年縮小の傾向にあります。

参考資料:観光庁 主要旅行会社取扱額の推移

また少子高齢化に伴う日本人の旅行客減少も顕著で、こういった要因から成長が見込めない業界となってきているのです。

関連記事:インバウンドとは!どういう意味なのか解説します!

PPM分析のメリットとデメリット

PPM分析を行うことによるメリットとデメリットを見てみましょう。

PPM分析のメリット

PPM分析のメリットは、自社の各事業の立ち位置、および自社の事業の競合他社との立ち位置を確認できることです。

それにより、経営資源の投資配分について優先順位をつけることが可能となり、事業の強化や維持・撤退などの経営判断がしやすくなります。

PPM分析のデメリット

PPM分析のデメリットは、限られた財務指標のみを使用して分析を行うため、事業のさまざまな側面を汲み尽くしていないことです。

たとえばPPM分析では、生産面からの経験曲線などの指標についてはまったく考慮されておらず、各事業のシナジー効果も含まれません。

また財務指標のみにより分析を行うため、新規事業の立ち上げなどには向いているとはいえません。

こういった特性から、PPM分析を基にしたビジネス戦略ではイノベーションを起こしにくいのです。

企業における破壊的イノベーションを起こすことは、自社が市場に影響を与え競合他社からマーケットシェアを獲得できるだけでなく、日本の技術革新力を総合的に底上げすることにも貢献します。

関連記事:イノベーションとは?意味や種類、事例を簡単に

PPM分析のやり方

PPM分析の分析方法について見ていきましょう。分析方法は下記の4つのステップで行います。

1. 市場成長率を算出する
2. 市場占有率(マーケットシェア)を算出する
3. 自社の事業の立ち位置を確認する
4. 競合他社と自社の立ち位置を確認する

詳しい内容を確認していきましょう。

市場成長率を算出する

市場成長率は、本年度の市場規模を昨年度の市場規模で割ることにより算出できます。

市場成長率 = 本年度の市場規模 / 昨年度の市場規模

市場規模のデータについては、公的機関やシンクタンクが発表している統計データを利用することができます。

もし市場規模のデータが入手できない場合には、自社の売上高を市場占有率(マーケットシェア)で割ることにより推定(フェルミ推定)することもできます。

市場占有率(マーケットシェア)を算出する

市場占有率(マーケットシェア)は、売上高を市場規模で割ることにより算出できます。

市場占有率(マーケットシェア) = 売上高 / 市場規模

ここで重要なのは、市場占有率(マーケットシェア)については自社のものだけでなく、競合他社のものも算出することです。

競合他社の売上高は、一部上場企業であれば有価証券報告書から拾うことができます。

また業界ごとの市場占有率(マーケットシェア)が公開されているサイトも存在します。

自社の事業の立ち位置を確認する

市場成長率と市場占有率(マーケットシェア)を算出したら、最初に自社の各事業についてPPM分析の座標に表示します。これにより、自社の事業の立ち位置が確認できます。

競合他社と自社の立ち位置を確認する

次に事業ごとに、自社と競合他社とをPPM分析の座標に表示します。それにより、競合他社と自社との市場における立ち位置を確認することができます。

企業をPPM分析した場合の事例

以下では第三者目線から、実際企業をPPM分析した場合の事例を解説します。実際に自社のPPM分析をする際、参考にしてください。

花王のPPM分析事例

流通科学大学ではPPM分析から花王の経営戦略及び競争戦略を分析しています。花王の2012年における製品状態をPPM分析で表すと以下のようになります。

花形:
「住居・家具用洗剤」「石鹸」「入浴剤」「シャンプー・ボディシャンプー」「メイクアップ製品」

金のなる木:
「粉末衣料合成洗剤」「制汗剤」「ヘアケア」「スキンケア製品」

問題児:
「軽度失禁用品」「ベビー用おむつ」「ハンドソープ」「歯磨き」「生理用品」「液体衣料用洗剤」

負け犬:
「台所洗剤」「男性用化粧品」「大人用紙おむつ」

この製品状態から住居・家具用洗剤は市場シェアの5割を占めていることが分かり、競合他社に対して競争優位の状態を保っていると分析されています。

一方の負け犬では、男性用化粧品の場合、市場シェアの15%程度しか占めていないことが分析結果として出ています。

こういった製品状態をPPM分析することにより、どこに経営資源を費やせばよいかが分かるのです。

参考資料:流通科学大学 PPM分析を通じた花王の経営戦略と競争戦略研究

ユニクロのPPM分析事例

1994年にユニクロはフリースの販売でヒットし、これが「金のなる木」となりました。このときの資金をもとに2002年の秋に生鮮野菜を生産から販売まで一貫して手がける「SKIP」をいう新たな事業を立ち上げました。

この野菜事業は「ユニクロが保有しているノウハウで勝機がある」と当時の責任者だった柚木氏は判断しており、初年度売上目標16億円を見込んでいました。

しかし、いざ事業を開始してみると思ったように売上は伸びず、わずか1年半での事業撤退となり「負け犬」に分類されることになってしまいました。

この失敗から、自社の強みを生かした海外展開や低価格アパレル事業「GU」の立ち上げなどに経営資源の投入先を変更し、これが見事「金のなる木」となり黒字化に貢献することに成功しました。

有名芸能事務所のPPM分析事例

アイドルや有名人などもPPM分析によって立ち位置を把握できます。例えば以下のように分類ができます。

花形:
グループとして、あるいは個人として勢いがあり、売り込むことで利益が発生する状態です。知名度は「金のなる木」に分類されているタレントよりは認知されておらず、競合が多いため出演枠を奪い合っている状態です。成長率に伸び代がある分、競争は激化します。

金のなる木:
本人たちのキャラクターがすでに国民よって認知されており、知名度を上げるための活動を行う必要がない状態です。個人のブランディングもできているため「その人でなければだめ」と業界が求めている場合が多く、新規参入は少ない状態です。テレビやラジオなど、各方面に出演するだけで大金が動きます。

問題児:
問題児は、最近デビューしたてのタレントや、芸歴が長いものの認知度が低いタレントが該当します。残念ながら業界ではまだそれほど必要とされていない状態です。

「花形」や「金のなる木」になる可能性を秘めているものの、ファン層が限られているため、積極的な投資を続ければ利益が出しにくい状態であると言えます。

負け犬:
業界からの需要がなく、固定ファンも少ない状態のタレントが負け犬です。持ち前の特技や才能が業界からは求められておらず、番組などにも出演させてもらう機会がありません。アイドルや芸人としての成長率が見込めず、業界から撤退したほうが無難と言える状態です。

このようにアイドルや有名人などもPPM分析を行うことにより、各々の立ち位置を把握できます。

そのほかの基本戦略策定に役立つフレームワーク

PPM分析のほかに、基本戦略を設定する際に役に立つフレームワークをご紹介します。

SWOT分析

SWOT分析とは、「スウォット分析」と読むビジネスフレームワークの一つです。もともと米国で戦略を立てるツールとして使われていたもので、スタンフォード大学で確立したといわれます。

SWOTとは、「Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)」の頭文字を取ったものです。

SWOT分析の詳細は下記のページにて解説していますので、参考にしてください。

関連記事
SWOT分析とは?やり方や事例、注意点をわかりやすく解説
SWOT分析とは?やり方や分析例を図とテンプレート付きで簡単に

3C分析

3C分析とは、マーケティング戦略を講じる際に指針となる分析方法です。

3C分析の詳細は下記のページにて解説していますので、参考にしてください。

関連記事:3C分析とは?やり方や手順、テンプレートも紹介

PEST分析

PEST分析とは、マーケティングの立案でよく利用されるメソッドです。「自社が業界のなかでどのような方向性を見据えるべきか」という、中期的な方針を検討するのに役立つと考えられています。

PEST分析の詳細は下記のページにて解説していますので、参考にしてください。

関連記事:PEST分析とは?戦略に活かす分析のやり方や具体例を解説

まとめ:特徴を理解してマーケティング戦略にPPM分析を取り入れよう

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)分析とは「市場成長率」と「市場占有率(マーケットシェア)」の2軸からなる座標上で、事業や製品、サービスを分類することにより、経営資源の投資配分を判断するための手法です。

PPM分析では自社事業を「花形(Star)」「金のなる木(Cash Cow)」「問題児(Problem Child)」「負け犬(Dog)」の4つのポジションに分類し、自社の事業の将来性を把握するとともに、競合企業との売上の格差を可視化することができます。

PPM分析のメリットは、自社の各事業の立ち位置、および自社の事業の競合他社との立ち位置を確認できることです。デメリットは、限られた財務指標のみを使用して分析を行うため、事業のさまざまな側面を汲み尽くしていないことです。

それぞれの特徴をよく把握した上でPPM分析をマーケティング戦略に取り入れましょう。

PPM分析を実施する際は下記のテンプレートをぜひご活用ください。エクセルなどでも分析はできますが、下記のテンプレートを印刷すれば手書きでプロダクトを書き込むこともできて便利です。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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