展示会は出展するだけで一度に大量のリードを獲得できるチャネルです。その見込み顧客のなかから、すぐに商談化するリードの割合は5~10%と言われており、それ以外のリードは商談化しません。
今回は、展示会の費用対効果を最大化させる、商談に至らないリードに対しやるべきナーチャリングについて紹介します。
展示会の費用対効果を高めるためには、出展時の取り組みだけでなく、展示会後のフォローアップが非常に重要です。展示会で獲得したリードの多くは即時の商談化には至らないため、継続的なナーチャリングが必要となります。効果的なナーチャリングを行うことで、展示会の投資に対する長期的な見込み客の育成と、最終的な受注につなげることができます。
展示会後のナーチャリングでは、獲得したリードを適切にセグメント分けし、それぞれのニーズや興味関心に合わせたコンテンツを提供することが重要です。例えば、製品やサービスに関する詳細な情報、業界のトレンド分析、事例紹介などを、メールマガジンやウェビナー、ホワイトペーパーなどの形で定期的に配信することで、リードとの継続的な接点を維持し、信頼関係を構築していきます。
また、展示会の費用対効果を正確に測定するためには、展示会直後の成果だけでなく、その後のナーチャリングを通じて獲得した商談や受注も含めて評価することが大切です。長期的な視点で費用対効果を捉えることで、展示会への投資の真の価値を把握し、今後の出展戦略の最適化につなげることができます。
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目次
来場者の展示会参加目的は情報収集メイン
2020年7月に発表された「製造業における展示会実態調査」の結果によると、展示会の参加目的のトップは「市場動向調査、定期的な情報収集」95.6%となり、ほとんどの回答者が情報収集を目的に来場しています。これは展示会の費用対効果を考える上で重要なポイントとなります。
次点には「出展企業に直接詳しい説明を聞く」87.9%が上がったものの、「出展企業との具体的な商談」は41.7%となり、導入を検討している来場者は半数以下という結果となっています。このデータは、展示会の費用対効果を最大化するための戦略立案に役立ちます。
この結果から見ても分かるように、ほとんどの来場者が情報収集を目的に展示会に参加しています。来場者のうち4割が商談目的に参加したとしても、一部の企業ブースのみ訪れることができないため、自社の展示ブースに来る来場者数、商談化する見込み顧客数はさらに少なくなるでしょう。
ほとんどのリードがナーチャリングを前提に獲得する形になるため、展示会の費用対効果を最大化させるためには、展示会後のフォローが重要となります。このフォローを効果的に行うことで、展示会への投資から最大限の成果を得ることができます。
製造業の展示会、オンライン参加に93.5%が関心。一方で、リアル展示会の参加は来年以降か(アペルザ調査)
展示会後のメール送付とフォロー
展示会が終了した後は、展示会の費用対効果を最大化するためにも、事前に決定したセグメントに基づいてリードを振り分け、適切なフォローを行うことが重要です。獲得したすべてのリードに対して御礼メールを送付しますが、そのタイミングは営業日で翌日または翌々日が最適です。展示会初日の場合は会期中のメール送付となるため、事前にメールの送信設定をしておくなどの準備が必要です。
各セグメントに応じた内容のメールを送ることで、より効果的なフォローアップが可能となります。メール以外のフォロー方法についても、セグメントと同時に決定しておくことが推奨されます。これにより、展示会で獲得したリードを効率的に育成し、最終的な商談や成約につなげることができます。
展示会の費用対効果を高めるためには、フォローアップの質と量の両方が重要です。適切なタイミングと内容でコミュニケーションを取ることで、リードとの関係性を強化し、商談化の可能性を高めることができます。また、展示会後のナーチャリングプロセスを通じて、リードの興味関心や購買意欲の変化を継続的に把握することが、長期的な成果につながります。
【フィールドセールス】
フィールドセールスに割り当てられるリードは、商談希望など製品・サービスへの興味関心が強く受注見込みの高いリードです。展示会の費用対効果を最大化するためには、このセグメントへの適切なフォローが重要です。名刺交換や対応したスタッフから企業ごとに、すでに決定した商談日(あるいは候補日)やブース内で会話した内容を沿えてメールを送ります。このメールには、展示会で紹介した製品・サービスの主要な特長や、顧客企業にとっての具体的なメリットを簡潔に記載するとよいでしょう。
メールを送った後はすぐに後追いの電話を架け、商談日を確定させ、次へと確実につなげていきます。電話では、展示会でのやり取りを振り返りながら、顧客の課題や要望を再確認し、商談に向けた準備を進めます。このようなきめ細かいフォローにより、展示会で得たリードを効果的に活用し、受注につなげることができます。
【インサイドセールス】
インサイドセールスに割り当てられるリードは、資料希望など製品・サービスへの興味関心はあるものの、そこまで受注見込みの高くないリードです。フィールドセールスと同様に名刺交換や対応したスタッフから企業ごとに、製品・サービス資料とブース内で会話した内容を沿えてメールを送ります。
メールを送った後は1週間以内に後追いの電話を行います。サービス資料を見ているかどうか確認をしながら、改めて製品・サービスの紹介とヒアリングを行いながら見極め、商談の提案を行います。この段階で、展示会での費用対効果を高めるために、リードの質や興味度合いを慎重に評価することが重要です。
商談の獲得ができればフィールドセールスへ繋ぎ、また、商談が断られれば、マーケティングのナーチャリングへ組み込み、継続的に接点を作るようにします。このプロセスを通じて、展示会で得たリードを最大限に活用し、長期的な顧客関係構築につなげることで、展示会の費用対効果を最大化することができます。
【マーケティング】
マーケティングに割り当てられるリードは製品・サービスへの興味関心はなく、受注見込みの低いリードです。展示会のフォローセミナーやホワイトペーパーの案内を沿え、メールを次の日に対象リードに一斉に送ります。
マーケティングでナーチャリングを行うリードに対しては、必ずフォローセミナーに招待し来場者ともう一度コミュニケーションを取る機会を作ります。この際、展示会での費用対効果を最大化するため、セミナーの内容は展示会で紹介した製品・サービスに関連するトピックを選びます。必要に応じてインサイドセールスから架電を行い、フォローしても良いでしょう。また、定期的なメールマガジンの配信や、ソーシャルメディアでのエンゲージメント向上など、長期的な視点でのナーチャリング施策も展開し、将来的な商談化の可能性を高めていきます。
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展示会の後も繋がりやすくなるためのポイント
展示会での印象的な出会いも、時間が経つと記憶が薄れてしまうことがあります。展示会の費用対効果を最大化するためには、展示会後も継続的な関係性を築くことが重要です。しかし、ブース内での好反応が必ずしもその後の商談につながるとは限りません。このギャップを埋めるために、以下のような理由を考慮する必要があります。
- 来場者が製品・サービスの詳細を忘れてしまった
- 個人的な興味と実際の業務ニーズにズレがあった
- 礼儀上の反応だった可能性
これらの課題を克服し、展示会後も効果的なコミュニケーションを維持するためには、以下の3つのポイントに注目することが大切です。これらのアプローチを組み合わせることで、展示会の費用対効果を高め、長期的な顧客関係の構築につながる可能性が高まります。
①ブースやノベルティで記憶しやすく
展示会では多くの企業が出展しているため、来場者が全てのブースを覚えることは困難です。そのため、自社ブースの記憶に残りやすさを高めることが、展示会の費用対効果を向上させる重要なポイントとなります。ブースデザインやコスチュームの色を統一し、視覚的な一貫性を持たせることで、来場者の印象に残りやすくなります。また、特徴的なノベルティを配布することも効果的です。例えば、自社の製品やサービスに関連したユニークなグッズや、実用性の高いアイテムを選ぶことで、来場者が日常的に使用する機会が増え、自社の存在を思い出すきっかけになります。さらに、ノベルティにQRコードを付けて自社サイトに誘導したり、展示会後のフォローアップに使用できる情報を記載したりすることで、展示会後のコミュニケーションにも活用できます。このように、ブースやノベルティを戦略的に活用することで、来場者の記憶に残りやすくなり、展示会後のフォローアップや商談につながりやすくなります。
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②呼び込みの質問でターゲットか判断する
ブースの前を通る来場者に声をかける際、製品・サービスのターゲットかどうかを確認する質問を行い、ターゲットであるかを判断することが重要です。これは展示会の費用対効果を高めるための重要なステップです。ターゲットであればブース内へ誘導し、詳しい説明を行います。一方、ターゲットでない場合は、必要最低限の話に留めることで、時間を効率的に使うことができます。
ブース前での会話は通常10~30秒という短い時間で行わなければなりません。そのため、ターゲットであるかどうかを2~3つの質問で迅速に判断できるような内容を事前に準備しておくことが大切です。これにより、限られた時間内で効果的なコミュニケーションを図ることができ、展示会の費用対効果を最大化することができます。
また、ターゲットを見極めるための質問は、来場者の興味や課題を引き出すきっかけにもなります。例えば、「御社では〇〇に関する課題はありますか?」といった質問を通じて、来場者のニーズを把握し、より適切な提案につなげることができます。このように、適切な質問を用意することで、効果的なリード獲得と、その後のナーチャリングにつながる情報を得ることができるのです。
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③展示会で完結させず、提案の余地を残す
ブースで製品・サービスの紹介と来場者への提案を1から10すべて行ってしまい、商談を行う前から来場者が「不要」と判断してしまっている場合があります。これとは別に、出展社側はなるべく多くの来場者とコミュニケーションを取り、商談を獲得していく必要があります。
BtoBの製品・サービスは展示会でのコミュニケーションだけでは、受注に至るケースはほとんどありません。展示会の費用対効果を最大化するためには、展示会をきっかけとした継続的な商談プロセスを設計することが重要です。そのため、展示会ではすべてを話す必要はなく、あくまで商談を獲得するのに必要な内容を留め、商談での提案の余地を残しておきます。
そうすることで、製品・サービスの説明を短縮し、1件でも多く商談を獲得できるように他の来場者への対応に時間を作ることができます。また、展示会後のフォローアップの際に、新たな提案や追加情報を提供することで、見込み客との関係性を深めることができます。これにより、展示会の費用対効果を高め、長期的な顧客獲得につながる可能性が高まります。
まとめ
- 展示会の費用対効果を最大化するためには、展示会後のナーチャリングとフォローが重要となります。多くのリードは情報収集目的で来場しており、即時の商談化は困難なため、継続的なアプローチが必要です。
- 展示会後は全てのリードに対して御礼メールを送付します。タイミングは営業日で翌日または翌々日が最適です。メールの内容はセグメントに応じて適切にカスタマイズしましょう。
- マーケティング部門でナーチャリングを行うリードには、フォローセミナーへの招待など、再度コミュニケーションを取る機会を設けることが重要です。これにより、展示会で得た接点を維持・強化できます。
- BtoB製品・サービスの場合、展示会での短時間のコミュニケーションだけでは受注に至ることは稀です。展示会では必要最小限の情報提供にとどめ、商談での提案の余地を残すことが効果的です。これにより、より多くの来場者と接点を持つことができます。
- 展示会の費用対効果を高めるには、ブースデザインやノベルティの工夫、効果的な呼び込み手法の活用など、展示会中の施策も重要です。これらの取り組みにより、来場者の記憶に残りやすくなり、その後のフォローがスムーズになります。
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