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マーケティング初心者がおさえるべき「STP分析」をわかりやすく解説します!

2021.2.5
読了まで約 3

マーケティング戦略を考える中で、ビジネスの世界では「STP分析」がよく利用されます。

企業が強みを効果的に活かし、厳しい環境の中で生き残っていくためには、どの市場で、具体的にどのような価値を提供して事業を展開していくのかを分析する「STP分析」がマーケティング戦略上、大きなポイントとなります。

STP分析とはどのような分析なのか、何のため必要なのかまだよく理解できないというマーケティング初心者の方のために、今回は、STP分析の基本的な内容からSTP分析が必要な理由まで、成功事例を交えながらわかりやすく解説します。

フィリップ・コトラーのSTP分析

マーケティングの歴史を振り返ると、時代とともにマーケティングの規模や構想も変化してきたことがわかります。

1900年代を中心にとられていた構想として、マーケティング1.0があります。

これはいわゆる製品中心(プロダクト・アウト)に設定したマーケティングの考え方で、プロダクト、コスト、プロモーションなど製品を中心にして販売を展開しながら拡大していく手法です。

マーケティング1.0が効果を収めるためには、ある程度の経済成長が必要で、高度成長時代など、供給に対して需要が上回った時代にメリットを発揮し、結果的に大きな成功を収めました。しかし1900年代終盤から不況時代に陥り、需要が大きく低迷してくると、効果が見込めなくなりました。

需要に対して供給が上回り、製品が売れない時代に変化していきたのです。その結果、新しいマーケティングの立案が具体化してきました。

その当時生まれたのがマーケティング2.0であり、いわゆる消費者志向(マーケット・イン)で、現在もマーケット戦略のアプローチの中心とされている概念です。

STP分析とは、このマーケティング2.0を成功させるための手法であり、多くの企業が基本戦略としているマーケティング手法です。

※現在では、新たによりよい社会作りなどの思想を盛り込んだマーケティング3.0が、少しずつ広がりをみせつつあります。

STP分析は、マーケティング論の権威と呼ばれる、フィリップ・コトラーの提唱したフレームワークで、マーケティング2.0の消費者志向を成功させるために必要不可欠な3つの要素であると言えます。

S・Segmentation(セグメンテーション)「市場細分化」

T・Targeting(ターゲティング)「標的にするセグメントの決定」

P・Positioning(ポジショニング)「標的セグメントにおける自社の立ち位置の決定、棲み分け」

これらの頭文字をとったもので、それぞれの分析を的確に行うことで、製品やサービスの売れ行きを効果的に伸ばしていく、マーケティングに欠かせない作業であると言えます。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

 

STP分析が必要な理由

STP分析では、消費者志向の実現のため、まずは市場の細分化を行います。

実際にはセグメンテーションが最初でなければならない決まりはありませんが、セグメンテーションを確実に行うことで次工程の精度が上がるため、はじめに行うことが重要です。

セグメンテーションを行う際、市場を大きく「消費財市場」と「生産財市場」に分けて細分化を行っていきます。

消費財市場においては、人口(年齢、性別、家族構成など)、地理(地域、人口密度、文化など)、心理(ライフスタイルや価値観など)、行動(購買心理、購買契機など)などの情報(データ)を用いて細分化を行っていきます。

さらに生産財市場においては、これらの変数に加え、オペレーティング(使用頻度、顧客の能力など)、状況要因(緊急性、受注量など)、購買方法(購買方針、意欲など)、購買者の特性などが情報(データ)加わり、より的確で緻密な細分作業が求められます。

これに加え、ターゲティングでピンポイントの標的セグメントを決め、そのセグメント内での自社のポジショニングを行います。

そうすることで競合他社との差別化を図ることができ、自社の強みや優位性をポイントに明確な棲み分けを行うことで自社の製品やサービスに対する需要を確保することにつながるのです。

※STP分析についてさらに詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

用語説明【STP戦略】
https://www.profuture.co.jp/mk/words/stp-strategy

STP分析の成功事例

世界的に有名な話ですが、まずはフォード社とGM社の例を挙げてみましょう。

まず、マーケティング1.0が主流だった当時、フォード社は消費者の求める「より速く走る馬」を、車という別の製品で応えました。

消費者のニーズに対してイノベーションを起こすことで高い顧客満足を獲得し、フォード社は車の量産に成功したと言われています。

これはマーケティング1.0、いわゆるプロダクト・アウトが成功した例です。

その後次第に時代はマーケティング2.0へと移り変わっていきます。

大きな成功例として、GM社が挙げられますが、GM社は単一車種量産型でトップを走っていたフォード社に、多品車種の量産でトップの座を奪い取ることに成功します。

GM社は消費者のニーズとして、所得の差によって違いがあることに気づきました。

そして、ニーズに応じたさまざまな車種を量産することで多種多様なセグメントに対応することが可能となり、それぞれのセグメントにおける顧客を獲得していったのです。

次に、コピー機の市場で例を挙げてみましょう。

ゼロックスはコピー機の業界で大型コピー機の市場を席捲していました。

ゼロックスがマーケット・リーダーとして市場の拡大を行い活性化させる中、追随するチャレンジャー企業のキャノンやリコーが、コピー機業界の中でも発掘されていないセグメントに気づき、中小企業向けの小型コピー機を販売し成功を収めました。

もしゼロックスが(或はもっと早く)STP分析を行い、中小企業が位置するセグメントを掘り当て、早い段階で自社のカバーできていないセグメントに対する対策を講じていれば、キャノンやリコーの成功はなかったかもしれません。

【まとめ】

◆STP分析は、マーケティング論の権威と呼ばれる、フィリップ・コトラーが提唱したフレームワーク。

◆STP分析とは、消費者志向のマーケティングを成功させるための手法。

◆STP分析は、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングにより成り立っている。

◆STP分析が必要な理由は、競合他社との差別化を図り、明確な棲み分けを行うことで自社の製品やサービスに対する需要を確保するため。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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