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B2Bマーケターは売り手市場!若手ビジネスパーソンは今すぐ自己投資してスキルアップをしよう

2024.2.1
読了まで約 7

日本のB2B(Business to Business)マーケティングは、世界レベルから大きく引き離されている。強い製品、強い営業が牽引してきたB2B企業では、マーケティングの重要性にこれまで目を向けていなかったからだ。しかしB2C(Business to Customer/Consumer)企業よりも圧倒的に社数が多いB2B企業が本気でマーケティングに取り組むとしたら、B2Bマーケティングができるマーケターは引く手あまたで、報酬も爆上がりになるだろう。そんな、マーケターにとって朗報ともいえる話をしてくれたのは、B2Bマーケティング専業でコンサルティングを行うシンフォニーマーケティングの庭山一郎氏だ。

今回は、現役のB2Bマーケターや、これからB2Bマーケターを目指す若手のビジネスパーソンに向けて、現状の課題と今後の活躍に向けたヒントを庭山氏に伺った。

インタビュイー:シンフォニーマーケティング株式会社 庭山一郎氏
インタビュアー:東洋経済新報社 編集局次長 山田俊浩氏

B2BマーケティングではAIを使える人がAIを使えない人の仕事を奪う

山田 前回は、「企業の経営層がB2Bマーケティングを成功させるために行うべき対策」というテーマでお話を伺いました。今回は、マーケター自身や、これからマーケターになりたいと考えている人にとっての今後の指針について、お話を聞いていきます。

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それでは簡単に、日本のB2Bマーケティングの状況について聞かせてください。

庭山 日本では消費者向けのB2Cマーケティングは盛んですが、法人向けのB2Bマーケティングは50年間行われてこなかった。強い製品と強い営業力でやってこられたからです。

しかし2008年ごろに発生したリーマンショックの影響で、グローバルでの競争力が弱体化してきた。外資系企業と比較して日本企業に不足しているのはB2Bマーケティングだと多くの人が気づいたのです。そこでにわか仕立てで組織をつくり、マーケティング・オートメーション(MA)ツールを導入してB2Bマーケティングを始めた。しかし、マーケティングをわかっている経営者がおらず、全社にナレッジがないまま活動してきたので、成果が出なかった。それが今日の姿です。

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山田 それは残念な状況ですが、見方を変えれば今後の伸びしろが大きいと言えそうですね。欧米などB2Bマーケティングが盛んな国々では、ChatGPTをはじめとする生成AIが、B2Bマーケティングに取り入れられていると聞きます。

庭山 欧米では2000年ごろからMAが普及し、ツールを使いこなしてB2Bマーケティングを行うことが定着しています。MAツールの世界では次々と新しいテクノロジーが開発されており、その多くに生成AIが組み込まれています。

山田 マーケティングにおいても、AIに仕事を奪われるということが起きますか。

庭山 マーケティングには、個人情報などを扱うデータマネジメントと、メールや文章・Webページの作成などを行うクリエイティブがあります。このうち、クリエイティブは生成AIができる仕事が急速に増えていますから、クリエイティブの人手は減少する方向です。

山田 そうすると今後、B2Bマーケターは活躍の場が無くなってしまう?

庭山 Webサイトのタイトルや文章の作成、写真の作成、写真の選択、コーディングなど、これまで人手がかかっていた作業は、すでにAIに切り替えられています。そうした作業だけを行っている人は不要になってしまいますが、AIを使ってこれらの作業全般を統括的に行う人は必要です。つまり、AIは職を奪わないけれど、AIを使いこなす人間がAIを使えない人間の職を奪うのです。

山田 なるほど。クリエイターは、AIやツールが何をできるかを熟知し、コンテンツの方向性を決めるディレクターや、どういうフォーメーションでその仕事を行うかを決めるプロデューサーなど、上流の仕事にシフトしていかなければなりませんね。

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1万種以上のMAツールの選定・活用がトップマーケターの役割に

庭山 MAツールの発展は非常に目覚ましく、2023年時点で世界中には11,000種ものツールが存在します。

山田 11,000種! もの凄い数ですね。

庭山 欧米では、自社のマーケティング戦略を実現するためには、11,000種ものなかからどのツールを選び、どのように組み合わせて使うかが、成功の可否を決めるようになってきています。マーケティング・オペレーション(Mops モップス)は、従来はその名の通りマーケティングの実行部隊だったのですが、今ではテクノロジーを熟知して経営にレポートし、自社がどのテクノロジーを取り入れるかを判断できるようになり、ポジションが上がってきています。特にアメリカはAIの影響で進化が速いので、専門部隊が注視していないと追いつけなくなってしまうのです。

山田 マーケティング・テクノロジーが進化しているから、その専門家も必要なのですね。

庭山 その通りです。テクノロジーの進化にあわせて、人もより付加価値が高い人が求められているのです。

B2Bマーケターは今後20年間売り手市場になる

山田 日本のB2Bマーケティングの人材市場でこれから起きることとは?

庭山 マーケターにとって素晴らしいことが1つあります。たとえばトヨタは、消費者に自動車を販売するB2C企業です。トヨタ1社に対して部品を供給しているサプライヤーは6万社ある。これが全部、B2Bです。B2Bの会社数の方が圧倒的に多いのです。そして今、もしマーケティングがワークしていない(正しく機能してない)としたら、経営・全社で本気で取り組んで、ワークするマーケティングに仕立てていくことが必須です。

ところが日本でマーケティングをやっている人はほとんどB2Cで、腕時計やジュエリー、洋服などのマーケターなのです。工作機械、半導体、半導体デバイスや樹脂などのマーケティングができる人はほとんどいない。ということは、B2Bマーケティングをできる人の需給は、20年間バランスしない(確率が変わらない)。つまり向こう20年間、B2Bマーケターは売り手市場となるわけです。

山田 マーケター自身にとっては、うれしい話ですね。

庭山 ですからB2Bマーケターなら仕事は選び放題、転職し放題、報酬は爆上がりすることが目に見えている。だから自分に投資をする価値があるのです。

現役マーケター・志望者は自己投資をしてB2Bマーケティングの基礎と最先端を学べ

山田 B2Bマーケターとして活躍するために、何をどのように学んだらいいでしょうか。

庭山 まず、マーケティングの基礎を徹底的に学ぶことです。テクノロジーやSEOといったことではなく「マーケティングとは何か」を学ぶのです。

マーケティングの要諦は「Right Person, Right Information, Right Timing」(正しい人に、正しい情報を、正しいタイミングで届ける)で、私がマーケティングに関わり始めた40年前から全く変わっていません。11,000種もあるMAツールは、アプローチすべき人は誰なのか、その人が欲しい情報は何なのか、それを喜んで受け取ってくれるタイミングはいつなのかを見つけ出す道具に過ぎません。

山田 道具を知る前に、何のために道具が必要なのかをわかっていなければならないのですね。

庭山 それを知ることができるのは、マーケティングの古典です。セオドア・レビット、フィリップ・コトラー、デビッド・アーカー、ピーター・ドラッカーといった先達が、数多くの論文を残しています。これらを徹底的に学んでください。

山田 マーケティングの古典は書籍で学ぶことができますね。

庭山 こうした古典を会得しているということは、音楽に例えるなら五線譜が読める、音楽の基礎がわかっているということです。今、成功していないマーケティング組織は、五線譜が読めないけれどギターが弾ける、太鼓が叩ける、といって集まっているオーケストラで第九を演奏しようとしているようなものです。共通言語が無いとシンフォニーは奏でられません。

山田 なるほど。私もアマチュアオーケストラで楽器を吹いているので、とても納得できます。共通言語をわかっていることが最低条件ですね。

マーケターは職人。自分のスキルとネットワークに投資する

山田 ほかにも自己投資をする方法はありますか。

庭山 私は年間数十本のマーケティング講義をしているのですが、そういう講座に参加したり、大学院で学んだりすることもできます。弊社では定期的にマーケティング・カンファレンスを開催し、海外のトップ・マーケターをゲストにお呼びすることもありますので、アンテナを高くして、世界のトップが発信する情報にぜひ触れてほしいですね。

山田 それはいい機会ですね。

庭山 一番良いのは、そうした世界のトップ・マーケターが集まるカンファレンスに、現地で参加することです。参加費が高いですし、渡航の費用もかかりますが、それだけの価値があります。私と当社の副社長は、年に4、5本海外のカンファレンスに参加して、常に最先端のマーケティングの情報を吸収しています。

また、マーケターは音楽家と同じで、職人なのです。自分の腕だけで勝負するため、アメリカやヨーロッパのマーケターは自分のスキルにこだわっています。だから自分に対してもの凄い投資をして、自腹でカンファレンスに参加して勉強しています。自分のスキルとネットワークに対して貪欲なのです。日本人でそこまで積極的な人は多くない。でもそういう人達と闘わなければなりません。

山田 そこは、これから期待したいところでしょうか。

庭山 そうですね。私も悲観はしていません。私が若いころ、ゴルフ界で活躍したジャンボ尾崎は、海外においては成績がかんばしくありませんでした。でも近頃は松山英樹が登場し、世界を舞台に大活躍しています。野球界では、日本人が大リーグで活躍するなんて夢にも思っていませんでした。でも今は大谷翔平が(アメリカン・リーグで)MVPを取っている。

時代は変わり、日本からも世界を舞台に活躍するスーパースターのようなマーケターが登場するかもしれません。遠い未来の出来事かもしれませんが、日本人はそういうポテンシャルをもともと持っています。

山田 そうなってほしいですね。

庭山 ただ、日本のマーケティングの世界においては受難の時代が続くでしょう。知識や実力の差、学ぶ貪欲さの差を、多くの日本人は実感していない。セールスフォースやハブスポットなどのベンダーのカンファレンスには、ベンダーから招かれた日本人がいますが、一番レベルが高いパブリッシャー系やアドバイザリーファーム系のカンファレンスには、日本人が来ていません。でも韓国や台湾の参加者はたくさんいます。

日本のマーケターは、これから海外の洗礼や衝撃を受け、少し落ち込み、でもそこから這い上がっていく。そういうプロセスが待っているかもしれません。

山田 若いマーケターにとっては今がチャンスですし、自分に投資して日本のB2Bマーケティングのレベルを上げてほしいですね。それが日本企業の再浮上につながると思います。

マーケ部門だけでは会社は変われない。他部門にもマーケティング・ナレッジを

山田 最後に、今B2Bマーケティングをしていて何かうまくいかない、変えていきたいと考えている人たちにアドバイスをいただけますか。

庭山 日本のB2Bマーケティングがうまく行っていない理由の一つは、社内でマーケティングのあるべき姿が共有されていないことです。B2Bマーケティングのミッションは、営業活動でアプローチできていない見込み客を集めて選別し、案件を営業に渡すことです。

私の著書『BtoBマーケティング偏差値UP』に、「マーケティングがワークしている会社の来期の予算会議」と、「マーケティング部門があるが社内で浮き上がっていて、売上に貢献していない会社の来期の予算会議」の様子を書きました。「マーケティングがワークする(機能する)というのはこういうことか」とマーケティング以外の部門の人にも理解してもらうことが重要です。マーケティング関連の書籍を読んでもらったり、マーケティング研修に参加してもらったりして、会社全体のマーケティング偏差値を向上するのが成功への近道だと思います。

山田 B2Bマーケティングは、マーケティング部門だけでなく、会社全体で取り組むことが肝だと理解しました。マーケターにとって役に立つヒントをたくさん提示していただき、ありがとうございました。

画像:著者 庭山一郎氏の本

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【特別インタビュー】日本におけるBtoBマーケティングの成功とABM(アカウント ベースド マーケティング) 後編
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プロフィール

庭山 一郎

シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役
中央大学大学院ビジネススクール客員教授
1990年にシンフォニーマーケティング株式会社を設立。1997年よりB2Bにフォーカスした日本初のマーケティングアウトソーシング事業を開始。製造業、IT、建設業、サービス業、流通業など各産業の大手企業を中心に国内・海外向けのマーケティングサービスを提供している。海外のB2Bマーケティングエージェンシーやツールベンダーとの交流も深く、長年にわたって世界最先端のマーケティングを日本に紹介。ライフワークとして、ブナの植林活動など「森の再生」に取り組む。著書に『BtoBマーケティング偏差値UP』『究極のBtoBマーケティング ABM(アカウントベースドマーケティング)』(ともに日経BP)『ノヤン先生のマーケティング学』(翔泳社)などがある。

インタビュアー

山田俊浩

東洋経済新報社 編集局次長
2020年10月から現職。2014年5月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。就任時には月間3000万PVだった東洋経済オンラインを月間2億PVを超える大手新聞社に匹敵する大型ニュースサイトへと引き上げた。2019年1月から2020年9月までは週刊東洋経済編集長。著書に『稀代の勝負師 孫正義の将来』(東洋経済新報社)がある。また不定期でAbemaTV の『ABEMA Prime』(アベプラ)にコメンテーターとして出演中。趣味はオーボエ演奏で都民交響楽団に所属。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

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