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意思決定プロセスから逆算!すべてのBtoB商材を「経営課題解決ソリューション」に変えるリフレーミング事例10選

2025.12.5
読了まで約 11

マーケティング活動で「現場担当者(ユーザー)」のペルソナ設定を緻密に行い、リードを獲得。現場でのトライアル評価も上々。それなのに、最終的な導入決裁で「予算がない」「時期尚早」と却下されるケースは後を絶ちません。

これはプロダクトの問題ではなく、「アプローチする階層」と「意思決定プロセス」の不一致が原因です。

多くのBtoB商材において、なぜ「人事・総務・経営層」をターゲットに加えることが、受注への最短ルートなのでしょうか。企業の意思決定構造から紐解きます。

関連記事:キーマンへアプローチ!企業エグゼクティブ層リード獲得5選

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「現場は絶賛」なのに、なぜ稟議は否決されるのか?

BtoBマーケティング活動において、ターゲットとなるペルソナを「現場担当者」に設定し、緻密なコミュニケーション戦略を展開。その結果、多くのリードを獲得し、製品のトライアルでは「素晴らしい」「業務が格段に楽になる」といった絶賛の声が上がる。担当者自身も導入に前向きで、商談は順調に進んでいるように見えました。しかし、最終関門である稟議申請のフェーズで、状況は一変します。

「予算がない」「費用対効果が不明瞭だ」「導入は時期尚早ではないか」。経営層や管理部門から突き返された理由は、現場の熱量とはかけ離れた冷徹なものでした。このような経験は、SaaSやITツール、オフィス環境改善サービスなどを扱う多くのマーケターにとって、決して他人事ではないでしょう。

この「現場の評価」と「経営の判断」の間に横たわる深い溝は、決してあなたの製品やサービスの価値が低いからではありません。その根本的な原因は、アプローチすべき相手と、企業の複雑な意思決定プロセスとの間に生じた「認識のズレ」に他なりません。

BtoBにおける購買の意思決定は、現場担当者一人で完結することは稀であり、多くの場合、複数の部門や役職者が関与する複雑なプロセスを辿ります。 現場の声は、その長いプロセスにおける一つの意見に過ぎないのです。

同じ製品を評価するにあたり、現場担当者と、稟議を承認する決裁者とでは、その視点や判断基準が全く異なります。この違いを理解しないままでは、どれだけ現場で高い評価を得ても、最終的なゴールである「受注」にたどり着くことは困難です。

現場担当者と決裁者の視点の違い
評価軸 現場担当者(ユーザー)の視点 決裁者(人事・総務・経営層)の視点
機能・使いやすさ 日々の業務が「楽になるか」「効率化されるか」といった、個人の業務改善に直結する利便性(UX)を重視する。 その機能が組織全体の「生産性向上」や「コスト削減」にどう貢献するのか、経営指標へのインパクト(ROI)を重視する。
価格 個人の感覚として「高いか、安いか」で判断しがち。月額費用など、目先のコストに目が行きやすい。 TCO(総所有コスト)の観点から、初期費用、運用コスト、人件費削減効果などを総合的に評価し、投資対効果を厳しく判断する。
導入効果 「作業時間が短縮された」「ミスが減った」など、定性的・ミクロな効果を実感しやすい。 「長時間労働の是正」「従業員エンゲージメントの向上」「コンプライアンス強化」など、全社的な経営課題の解決に繋がるか、というマクロな視点で評価する。
セキュリティ・連携 自身の業務範囲で問題なく使えれば良いと考える傾向がある。 全社的な情報セキュリティポリシーに準拠しているか、既存システムとの連携は可能かなど、ガバナンスやリスク管理の観点を最優先する。

本記事では、この構造的な課題を乗り越えるために、なぜ人事・総務・経営層といった「意思決定の関所」を握る層へ直接アプローチすることが必然であるのかを、企業の意思決定プロセスから逆算して解き明かしていきます。

現場からのボトムアップ型アプローチの限界を理解し、決裁者の視点を踏まえた戦略的なマーケティングへとシフトするための具体的な道筋を示します。

「ボトムアップ型」アプローチの構造的限界

「ボトムアップ型」アプローチを会議でプレゼンする人
ボトムアップ型アプローチには限界がある…

多くのBtoBマーケターが直面する「ボトムアップ型」アプローチの構造的な課題について深掘りしていきます。現場担当者から熱烈な支持を得たにもかかわらず、なぜ最終的な意思決定に至らないのか。その背景にある3つの要因を解き明かします。

現場の限界

まず理解すべきは、現場担当者の多くは「決裁権」ではなく「起案権」しか持っていないという事実です。

関連記事:商談を成功に導く鍵は【決裁権】キーパーソンを見極め、勝率を劇的に上げる戦略

彼らは日々の業務における課題解決の当事者として、新しいツールやサービスの価値を最も深く理解できる立場にいます。しかし、それはあくまで「このツールを使えば業務が改善する」という現場視点での評価に過ぎません。

企業活動における最終的な意思決定、特に予算を伴う投資判断を下す「決裁権」は、多くの場合、部長以上の役職者や経営層が握っています。 現場担当者ができるのは、稟議書を作成し、導入の必要性を訴える「起案」までであり、その提案が承認されるかどうかは、全く別の次元の話なのです。

プロセスの壁

現場担当者が起案した稟議は、ここから「承認」という名の長い道のりを辿ります。これは、単にハンコをもらう作業ではなく、部門や階層ごとに異なる判断基準を持つ承認者たちを説得し続ける「スタンプラリー」に他なりません。

一般的なBtoBの購買プロセスでは、現場担当者に加え、その上長、関連部署、情報システム部門、そして最終決裁者である経営層など、複数の関係者が意思決定に関与します。 それぞれの立場が持つ関心事の違いを下の表にまとめました。

役職・部門 主な判断基準・関心事 ボトムアップ提案が直面する課題
現場担当者 業務効率化、使いやすさ(UX)、個人の課題解決 組織全体の課題や費用対効果への視点が欠けがち。
課長・部長 チーム・部署の目標達成(KPI)、管理コスト、既存システムとの連携 提案が部署の目標達成にどう貢献するかの説明が求められる。
情報システム部門 セキュリティ、コンプライアンス、全社的なシステム整合性 個別最適化されたツールが、全社的なITガバナンスを乱すリスクを懸念される。
経営層・役員 投資対効果(ROI)、経営戦略との整合性、中長期的な企業価値向上 現場のミクロな改善提案が、経営マターとして認識されにくい。

このように、稟議が進むにつれて、判断基準は「個人の課題解決」から「組織全体の経営課題」へとシフトしていきます。この「プロセスの壁」を、現場担当者の熱意だけで突破するのは極めて困難です。

情報の希釈

この長い承認プロセスの中で、もう一つ深刻な問題が発生します。それが「情報の希釈」です。現場担当者が最初に感じた製品への熱意や、導入によって得られるであろう定性的な価値(例:「コミュニケーションが活性化する」「業務のストレスが減る」)は、伝言ゲームのように人から人へと渡るうちに、その熱量を失っていきます

稟議書というフォーマットに落とし込まれる過程で、数値化しにくい価値は削ぎ落とされ、承認者のもとへ届く頃には、単なる機能と価格が記載された無味乾燥な資料と化してしまうのです。その結果、最終決裁者が目にするのは「よくわからないが、また新たなコストがかかるツール」という情報だけになり、「費用対効果が不明」「今はその時期ではない」といった理由で、あっさりと否決されてしまうのです。

意思決定の「関所」を守る人事・総務部門

HR部門
HR部門は意思決定の関所

ボトムアップ型のアプローチが構造的な限界を抱える一方で、稟議プロセスの最終段階には、ほぼ必ず「管理部門」という存在がいます。この章では、多くのBtoBマーケターが見過ごしがちな、意思決定の重要な「関所」である人事・総務部門の役割を分析し、彼らをいかにして攻略すべきかについて解説していきます。

逆算の思考

商談が最終局面で停滞する原因の多くは、意思決定のプロセスをゴールから逆算できていない点にあります。現場担当者から一つひとつ承認のスタンプを集めていくのではなく、まず「最終的に全社導入のハンコを押すのは誰か?」を特定することから始めなくてはなりません。多くの日本企業において、その役割を担うのが人事部や総務部といった管理部門です。

彼らは、単に申請書類を右から左へ流すだけの存在ではありません。全社的な視点から、その投資が本当に企業価値向上に繋がるのかを判断する最終フィルターの役割を担っています。だからこそ、営業プロセスの初期段階から彼らをペルソナとして設定し、彼らの関心事や課題に直接アプローチすることが、結果的に承認プロセス全体をショートカットする最も合理的な戦略となるのです。

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彼らの判断基準

現場担当者と人事・総務部門では、新しいツールやサービスを評価する際の判断基準が根本的に異なります。現場が「個人の業務効率」というミクロな視点で見るのに対し、人事・総務部門は「組織全体への影響」というマクロな視点で評価します。この視点の違いを理解しないままでは、決して彼らの承認を得ることはできません。

両者の判断基準の違いを、以下の表に整理します。

評価項目 現場担当者の視点(ミクロ) 人事・総務部門の視点(マクロ)
導入効果 日々の業務が楽になるか、使いやすいか(UX) 生産性向上、コスト削減、離職率低下など経営指標(KPI)に貢献するか(ROI)
コスト できれば安価な方が良い 費用対効果は妥当か、既存システムとの連携コストは、全社展開時の総額は
セキュリティ ログインが面倒でないか 情報漏洩リスクはないか、セキュリティポリシーや各種法令(個人情報保護法など)を遵守しているか
組織への影響 自分のチームで活用できるか 全社的な導入は可能か、既存の業務プロセスをどう変更する必要があるか、社員教育は必要か

このように、人事・総務部門が求めているのは「便利な機能」の紹介ではなく、「経営課題をどう解決できるか」という明確な答えなのです。

ゲートキーパー機能

人事・総務部門は、その立場上、新しいツールの導入を阻む「壁」にもなれば、逆に経営層への導入を強力に推進する「高速道路」にもなり得る、二つの側面を持っています。彼らは、企業のヒト・モノ・カネといった経営資源を最適化する責任を負う「ゲートキーパー」なのです。

現場からの「このツールは便利です」というだけの起案に対しては、「前例がない」「費用対効果が不明確」「全社的な運用ルールが定まっていない」といった理由で、彼らは容易に「壁」となります。これは、組織全体の秩序とガバナンスを守るという彼らの重要な職務です。

しかし、もし提案するサービスが彼らのミッション、すなわち「生産性向上」「コンプライアンス強化」「従業員エンゲージメント向上」といった経営課題に直接的に貢献すると理解させることができれば、状況は一変します。彼らは自らそのツール導入の旗振り役となり、経営層を説得するための強力な味方、つまり「高速道路」へと変わるのです。彼らを初期段階で巻き込み、味方につけることこそ、稟議という長いスタンプラリーを回避する唯一の方法と言えるでしょう。

「機能」を売るな、「経営課題ソリューション」を売れ!「サービス別リフレーミング戦略」12事例

相手に合わせて訴求メッセージを変換(リフレーミング)するセールスパーソン
コーヒーサーバー導入提案例:総務向けにはメンテナンスの軽減、意思決定層には従業員エンゲージメント向上を訴求

ペルソナを「現場担当者」から「人事・総務・経営層」などの決裁権者に変える際、絶対に欠かせないのが訴求メッセージの変換(リフレーミング)です。

現場担当者は「個人の業務がいかに楽になるか(機能)」を見ますが、決裁者は「組織の課題がいかに解決されるか(経営インパクト)」を見ています。ターゲットを変えるならば、言葉も変えなければなりません。

具体的な変換事例を見てみましょう。

変換事例1:SFA(営業支援システム)

・現場担当者(営業)への訴求: 日々の面倒な入力作業が劇的に減るだけでなく、自分の活動状況を簡単に分析・可視化できるため、目標達成への道筋が見えやすくなります。

・決裁権者への訴求: 営業活動のデータが蓄積され、属人化を排除。成功事例に基づく標準化された教育プログラム構築が可能となり、新入社員の戦力化期間を短縮します。

変換事例2:名刺管理ツール

・現場担当者(営業)への訴求: 名刺交換後すぐにデータが反映され、商談相手の部署異動情報などが自動更新されるため、機会損失を防ぎ、スピーディなフォローアップが可能です。

・決裁権者への訴求:社員の退職や異動時にも顧客データが企業資産として確実に引き継がれ、情報セキュリティポリシーの遵守と、組織的な顧客関係維持を両立させます。

変換事例3:MA(マーケティングオートメーション)ツール

・現場担当者(マーケ)への訴求: 煩雑なステップメールや顧客リスト抽出作業から解放され、パーソナライズされたナーチャリングを自動実行。より戦略的なコンテンツ企画に時間を割けます。

・決裁権者への訴求: ルーティン業務をシステムが担うことで、従業員がコア業務に集中でき、長時間労働を是正。特定のスキルを持つ担当者が不在でも運用可能な拡張性の高い体制を構築します。

変換事例4:プロジェクト管理ツール

・現場担当者(制作・進行)への訴求: 口頭やメールでの進捗確認が不要になり、誰が何をやっているかがリアルタイムで把握可能。無駄な会議時間を削減し、タスクの優先順位が明確になります。

・決裁権者への訴求: 部門横断的なリソース配分計画が可能になり、特定の個人への負荷集中を未然に防ぎます。これにより、恒常的な残業体質を改善し、メンタルヘルス不調のリスクを軽減します。

変換事例5:AI制作支援ツール

・現場担当者(エンジニア)への訴求: コードの自動生成・補完機能により、単調な記述作業から解放され、開発スピードが向上します。より高度なロジック設計に集中できます。

・決裁権者への訴求: 先進的な開発環境は、優秀なエンジニア採用における強力な武器となります。また、開発チームの生産性向上により、新サービスの市場投入期間(Time-to-Market、TTM)を短縮します。

変換事例6:チャット・コラボレーションツール

・現場担当者(情シス・IT部門)への訴求:社内メールの返信待ちや煩雑なCC/BCCに悩まされず、カジュアルなコミュニケーションを通じて迅速に問題を解決できます。

・決裁権者への訴求: 意思決定スピードを加速させるとともに、部署の垣根を超えた横断的な情報共有を促し、組織のサイロ化を解消します。

変換事例7:Web会議システム

・現場担当者(情シス・IT部門)への訴求: 接続の遅延や切断といった通信トラブルのストレスから解放され、高品質な環境で円滑な商談やチーム討議に集中できます。

・決裁権者への訴求: 安定した通信環境はテレワーク定着の必須条件であり、多様な働き方を認めることで、育児・介護世代の離職防止とダイバーシティ推進を実現します。

変換事例8:経費精算システム

・現場担当者(経理)への訴求: 各社員からの不備申請のチェックや、領収書の照合作業が自動化され、月次決算処理の工数を劇的に削減できます。

・決裁権者への訴求: AIによる不正検知機能で経費のガバナンスを強化。電子帳簿保存法に完全対応し、経理部門の監査対応工数を削減することで、総所有コスト(TCO)の視点から投資効果を証明します。

変換事例9:電子契約サービス

・現場担当者(法務)への訴求: 契約書の作成から承認、締結後の保管・管理に至るまでの契約ライフサイクル全体を一元管理でき、法的なリスク管理を強化します。

・決裁権者への訴求: 印紙税コストを大幅に削減できるだけでなく、紙の保管や郵送コストもゼロに。全社的なペーパーレス化を推進し、内部統制と監査対応の強化に貢献します。

変換事例10:オンライン研修(eラーニング)

・現場担当者(人事・人材開発部)への訴求: 全社員への研修の割り当てと進捗管理、達成度の計測が容易になり、育成プログラムの効果をデータで把握できます。

・決裁権者への訴求: 人的資本開示(人事データの可視化)の流れを受け、全社的なスキルマップの不足領域をデータに基づいて補強。研修完了率や定着率を計測可能にし、投資対効果の明確な評価を実現します。

変換事例11:福利厚生代行サービス

・現場担当者(総務)への訴求: 多様な福利厚生メニューを個別に管理する手間が不要になり、利用率レポートに基づいた効果検証が可能になります。

・決裁権者への訴求: 給与以外のEVP(従業員価値提案)を強化し、特に若い世代のオフィスへの帰属意識を高めます。採用面接時の強力な訴求材料としても機能します。

変換事例12:オフィス用コーヒーサーバー

・現場担当者(総務)への訴求: 在庫管理やメンテナンスの負担が軽減され、高い社員満足度を低コストで維持できます。

・決裁権者への訴求: 「出社したくなるオフィス作り(マグネットスペース)」の一環として、偶発的な会話を生み出し、部署間の壁を解消。従業員エンゲージメントを高めます。

これらの事例が示すように、どのような商材であっても、その提供価値を多角的に捉え、決裁者の視点に立ってリフレーミングすることで、「人事課題」や「経営課題」を解決するサービスとして提案することが可能です。

自社の商材が、単なる機能の集合体ではなく、企業の未来を創るための戦略的投資であるという文脈を構築することこそが、意思決定のプロセスを最短で突破する鍵となるのです。

HRメディアを「決裁者への直通ライン」として使う

これまでの分析で、ボトムアップ型アプローチの限界と、人事・総務部門、ひいては経営層という「意思決定の関所」をいかに攻略するかが重要であるかをご理解いただけたかと思います。しかし、ここで新たな課題が生まれます。それは、「どうすれば多忙な決裁者に、的確にアプローチできるのか?」という問題です。

この章では、その具体的な解決策として、なぜHR(ヒューマンリソース)領域に特化した専門メディアが、決裁者への「直通ライン」となり得るのかを、具体的な戦略と共に解説していきます。

一般的なWeb広告では、なぜ決裁者を狙いにくいのか?

まず、多くのマーケターが最初に検討するであろう、一般的なWeb広告の限界について触れておく必要があります。例えば、検索広告やSNS広告で「部長職以上」や「人事部所属」といったセグメント設定を試みても、多くの場合、期待した成果には繋がりません。その背景には、以下のような構造的な問題が存在します。

  • 役職・部署データの不正確さ: ビジネスSNSを除き、多くのプラットフォームが保有するユーザーの役職や部署データは、自己申告に基づくものであり、情報が古い、あるいはそもそも登録されていないケースがほとんどです。
  • プライベートと仕事の分断: 特にSNS広告では、ユーザーはプライベートな情報収集や交流を目的としており、そこにBtoBの経営課題に関する広告が表示されても、クリックはおろか、自分事として認識されにくい傾向にあります。
  • ターゲティングの広さ: 「人事」というキーワードでターゲティングしても、その中には新入社員から役員まで、さまざまな階層の担当者が含まれてしまいます。本当にアプローチしたい決裁権を持つ層だけに、メッセージを届けることは極めて困難なのです。

「垂直型メディア」であるHRメディアが解決策となる理由

こうした課題を乗り越えるための鍵が、「HRメディア」の活用です。HRメディアとは、人事・労務・採用・組織開発といった「ヒト」に関するテーマに特化した専門メディア(垂直型メディア)を指します。なぜ、ここが決裁者への直通ラインとなり得るのでしょうか。

その最大の理由は、読者の属性と訪問目的が、極めて明確である点にあります。HRメディアを日常的に閲覧しているのは、言うまでもなく企業の「組織のヒト・モノ・カネ」を管理する人事・総務の担当者、管理職、そして経営層です。彼らは、自社の経営課題を解決するための情報を能動的に探しに、そのメディアを訪れています。つまり、HRメディアは、彼らにとっての「仕事場」であり、「経営課題」という共通言語で対話できる唯一の場所と言っても過言ではありません。

国内主要HRメディアの特徴

日本国内にも、それぞれ特徴の異なる複数のHRメディアが存在します。貴社の商材とターゲットに応じて、最適なプラットフォームを選択することが重要です。

メディア名 読者層・特徴 主なコンテンツ・強み
HRプロ 人事部門の担当者から管理職、経営層まで幅広く網羅。特にセミナーやイベント情報が豊富で、課題解決意欲の高いアクティブな読者が多い。 セミナー情報、専門家による記事、サービス資料のダウンロードなど、リード獲得に直結するコンテンツが充実している。
日本の人事部 人事担当者同士のネットワーク形成やQ&Aコミュニティも活発。 網羅的なニュース記事、調査レポート、人事用語集など、人事担当者の日常業務に寄り添うコンテンツに強みを持つ。
@人事 人事・労務の最新ニュースやトレンドに強いメディア。法改正などの実務的な情報収集を目的とする読者が多い。 速報性の高いニュース、実務家へのインタビュー記事、サービス比較記事などが特徴。

HRメディアを活用した具体的なマーケティング戦略

では、具体的にHRメディアをどう活用すればよいのでしょうか。ここでは3つの戦略をご紹介します。

戦略1:記事広告による課題提起と解決策の提示

貴社商材を、前の章で解説した「リフレーミング戦略」を用いて、「人事課題解決ソリューション」として紹介する記事広告を掲載します。単なる機能紹介ではなく、「なぜ今、この経営課題に取り組むべきなのか」という課題提起から入り、その解決策として自然な形で商材を提示するストーリーテリングが効果的です。

戦略2:ウェビナーによる直接的な関係構築

HRメディアが主催、あるいは共催するウェビナー(オンラインセミナー)に登壇する方法です。メディアの集客力を活用し、一度に多くの決裁者候補と接点を持つことができます。ウェビナーのテーマは「勤怠管理システムの選び方」ではなく、「『働き方改革関連法』に対応する、これからの労務管理とは」といった、より上位の経営課題に設定することが成功の鍵です。

戦略3:ホワイトペーパーによるリード獲得と育成

「テレワーク導入後の課題と対策」「従業員エンゲージメントを高めるオフィス環境とは」といった、決裁者が関心を持つテーマのホワイトペーパー(お役立ち資料)を作成し、HRメディアに掲載します。現場担当者向けの機能紹介資料とは一線を画し、導入事例や費用対効果(ROI)の試算などを盛り込むことで、質の高いリードの獲得が期待できます。

これらの戦略は、これまで続けてきた現場担当者向けのマーケティング活動を止めるものではありません。むしろ、ボトムアップの活動と並行して、決裁者へのトップダウンアプローチという「もう一つのパイプライン」を作ることこそが、BtoBマーケティングの勝率を劇的に高めるのです。

まとめ:現場の「熱量」を経営の「論理」へ変換し、最短ルートで受注を掴もう

これまで解説した通り、失注の真因はプロダクトそのものではなく、アプローチする「相手」と「メッセージ」の不一致にあります。現場担当者からのボトムアップに頼るだけの営業活動は、もはや限界です。

「現場の利便性」を訴えるだけでは、稟議の壁は越えられません。製品価値を「経営課題の解決(生産性・リスク・組織)」へと翻訳(リフレーミング)し、決裁者へ直接届けること。現場の熱量を無駄にせず、経営層と同じ言語で対話することこそが、受注への最短ルートとなります。

この「決裁者への直接アプローチ」を実現する最適解が、日本最大級の人事ポータルサイト「HRプロ」です。

課題解決意識の高い人事責任者や経営層が多く利用するHRプロであれば、貴社の商材を単なるツールではなく「経営ソリューション」として、決裁権を持つ層へダイレクトに提案可能です。

終わりのない稟議プロセス(スタンプラリー)をショートカットし、確実な成果を手にするために、意思決定の中枢へ直結するパイプラインとして、「HRプロ」の活用をぜひご検討ください。

HRプロ

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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