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【初心者向け】Looker Studio使い方ガイド:他BIツールとの比較・メリットを解説

2025.5.1
読了まで約 24

Looker Studioは、Googleが提供する無料のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。大量のデータを統合し、分かりやすいレポートやダッシュボードを簡単に作成できるのが特徴です。この記事では、Looker Studioの使い方、ほかのBIツールとの比較、そしてそのメリットを解説します。

この記事を読むことで、Looker Studioの基本を習得し、データ分析業務を効率化できます。煩雑なデータ処理から解放され、データに基づいた意思決定を実現しましょう。

Looker Studioとは?基礎知識と概要

Looker Studioとは、Googleが提供するクラウド型の無料ビジネスインテリジェンス(BI)ツールです。ここでは、Looker Studioの基礎知識と概要を解説します。

出典:Looker Studio: Business Insights Visualizations | Google Cloud

Looker Studioの定義と基本概念

Looker Studioは、Googleアカウントがあれば誰でも利用できます。利用料金は基本無料です。なお、エンタープライズ(大企業)向けの高度な機能や技術サポートが利用できる有料版の「Looker Studio Pro」もあります。

旧Google Data Studioからの変遷

Google Data Studioとは、Looker Studioの前身となるサービスです。2015年5月に大企業向け有料Web解析ツール「Google Analytics 360 suite」の製品の一つとして発表され、2016年に日本版がリリースされました。その後、2018年にGoogleデータポータルへと名称が変更されます。

そして、2020年にBIツールLookerを開発・提供していたLooker Data Sciences.incをGoogleが買収し、2022年10月にGoogleデータポータルとLookerが統合され、Looker Studioへと改称されました。

LookerとLooker Studioの違い

Looker Studioとよく似たものにLookerがありますが、両者は異なる製品です。違いを以下にまとめました。

機能

Looker StudioはGA4Google広告などからデータを引き出し、データを図表や画像で可視化します。直感的な操作ができるため、初心者でもすぐに利用できるでしょう。
一方、Lookerは複数のデータベースと直接接続してデータの検索や操作ができるため、柔軟性が高く高度な分析もできます。ただし、使いこなすためにはSQLなどのデータベースの操作に関する知識が必要です。

料金

Looker Studioは基本的に無料で利用できますが、Lookerは有料のツールです。料金は企業規模や需要に応じて変わりますが、具体的な金額はGoogleの営業担当者との相談が必要になります。

サポート

Looker Studioはヘルプセンターやコミュニティフォーラム、Looker Studioデベロッパーサイトなどでサポートを受けられます。一方、Lookerはヘルプドキュメントを検索できるほか、チャットによる専門のサポートを受けられます。

ビジネスインテリジェンス(BI)ツールとしての位置づけ

Looker Studioは無料で全ての機能を利用できる点が特徴であり、初めての導入や中・小規模の組織での導入に向いています。また、クラウドベースのため、導入や運用も簡単です。

機能面では、データの可視化とレポーティングに特化しており、Googleサービスとも連携しやすくなっています。こうした特徴から、SEOや広告運用などのWebマーケティングで活用できるでしょう。

ビジネスインテリジェンスツールについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:BIツールとは? 基本的な解説とおすすめ10選をご紹介します!

Looker Studioの主な特徴とメリット

ここでは、Looker Studioの主な特徴とメリットを解説します。無料でありながら機能が充実しており、使いやすさや連携・共有のしやすさも兼ね備えている点が特徴です。

直感的なインターフェースと使いやすさ

Looker Studioは直感的に使用できるように設計されている点が特徴です。レポートエディタにはドラッグ&ドロップ機能が備わっており、表やグラフのテンプレートも豊富に用意されているため、すぐにデータを可視化できます。

データソース連携の豊富さ

800種類以上のデータソースと連携できます。Googleサービスはもちろん、各種SNSやデータベースにも対応しています。これにより、さまざまなデータの統合・可視化が可能です。

リアルタイムでのデータ可視化機能

接続しているデータが更新された場合、レポートも自動で最新の情報に更新されます。そのため、リアルタイムでのデータの可視化・分析が可能です。これにより、迅速な意思決定や戦略の策定が実現できます。なお、デフォルト(初期設定)では12時間で更新となっていますが、データソースによっては最短で1分に設定可能です。

無料で使える機能の充実度

多くのBIツールは有料で提供されており、無料で利用できる場合も機能やデータ容量に制限があるのが一般的です。しかし、Looker StudioはGoogleアカウントがあれば基本無料で全ての機能を利用できます。データマイニング機能やシミュレーション機能はないものの、レポーティング機能に特化しているため、レポートを作成して分析を行いたい場合の利用に最適です。

共有・コラボレーション機能

Looker Studioはリアルタイムでの共同編集・閲覧も可能です。編集権限と閲覧権限も個別に設定できるため、セキュリティを確保しながらデータを共有できます。また、SNS・URL・PDFでの共有やWebサイトへの埋め込みも可能です。これにより、データ共有の手間を減らし、業務効率化につなげられます。

他のBIツールと比較した際の強み

Looker Studioではドラッグ&ドロップで直感的にレポートを作成でき、テンプレートも豊富に用意されているため、専門的な知識は不要です。また、従来のBIツールは自社で構築・運用する形態をとっていますが、Looker Studioはクラウド上で動作するため、導入しやすいでしょう。さらに、Googleサービスとシームレスに連携できる点も強みです。

Looker Studioの基本的な使い方ガイド

ここでは、Looker Studioの基本的な使い方を解説します。利用する際は最初にアカウントの作成が必要です。

出典:Looker Studio の使い方を確認する  |  Google Cloud

アカウント作成とログイン方法

Looker Studioを利用する際は、以下の手順が必要です。

1. Looker Studioにアクセスする
2. 「空のレポート」を選択する
3. 国と会社名を入力し、利用規約に同意して「続行」をクリックする
4. 更新情報に関する設定を選択して「続行」をクリックする
3・4のアカウントの設定は、初回レポート作成時にのみ表示されます。なお、接続したいデータソースのアクセス権を持たないGoogleアカウントの場合、データソースは表示されません。

基本的なインターフェースの説明

ホーム画面は主に8つの要素で構成されています。構成内容は以下の通りです。

画面上部

画面最上部には、Looker Studioアセット(レポート・データソース)の検索欄があります。その下にはアセットタイプのタブがあり、レポート・データソース・データ探索が表示されます。

画面右上

左からGoogle Cloud Platform、ヘルプ、ユーザー設定、Googleアカウントの順にボタンが配置されています。

画面左部

画面左上には、新しいアセットを作成するボタンがあります。その下はワークスペースです。さらにその下には、アセットリストのフィルタがあり、最近使用したアセットを表示できます。

画面中央

アセットタイプのタブの下には、新しいレポートを作成するボタンとチュートリアルとレポートのテンプレートがあります。

画面下部

アセットリストがあり、クリックすると内容が表示されます。

レポート作成の基本ステップ

以下の手順を踏むことで、レポートを作成できます。

1. ホーム画面左上の「作成」から「レポート」を選択する
2. 「データのレポートへの追加」パネルからデータを選択する
3. 左上の「無題のレポート」をクリックして名前を変更する

「データのレポートへの追加」パネルでは、「データに接続」と「マイデータソース」の2つがあります。「データに接続」の場合、コネクタを選択して新しいデータソースを作成し、そのデータソースをレポートに追加することでレポートの作成が可能です。「マイデータソース」の場合、すでにあるデータソースをレポートに追加できます。

また、テンプレートからもレポートの作成が可能です。

データソースの追加方法

データソースを追加する際は、以下の手順が必要です。

1. ホーム画面左上の「作成」から「データソース」を選択する
2. コネクタの一覧から接続したいデータソースを選択する
3. データソースの種類に応じて必要な情報を入力して「接続」をクリックする
4. データソースのフィールド一覧が表示されたら追加完了

データソースのフィールド一覧は適宜編集・抽出が可能です。また、右上の「レポートを作成」から追加したデータソースを使ってレポートを作成できます。

ダッシュボード作成の基礎

以下の部分を編集することで、ダッシュボードを作成できます。

テーマとレイアウト

画面上部のバーの「テーマとレイアウト」から、ダッシュボードに関する設定ができます。「テーマ」タブでは、ダッシュボードの色や雰囲気を選択できるほか、オリジナルのダッシュボードの作成も可能です。「レイアウト」タブでは、ヘッダーの表示やダッシュボードのサイズを設定できます。

グラフ

画面上部の「グラフを追加」から、使用したいグラフを追加できます。表・棒グラフ・円グラフなど、さまざまなグラフを追加可能です。

また、グラフの「設定」タブから使用するデータ項目を選択できます。「スタイル」タブでは、軸や背景や枠線に関する設定が可能です。

コントロール

画面上部の「コントロールを追加」から、好きな要素を追加できます。例えば、「設定期間」を選択した場合、開始日と終了日を設定することでグラフに期間を反映できます。

Looker Studioのデータソース連携

ここでは、Looker Studioのデータソース連携を解説します。多くのデータソースと連携可能ですが、特にGoogle製品との親和性が高い傾向です。

出典
データソースについて  |  Looker Studio  |  Google Cloud
データソースのコネクションを編集する  |  Looker Studio  |  Google Cloud

対応しているデータソース一覧

データソースはGoogle純正のLooker Studioコネクタとパートナーコネクタの2種類に分かれます。Looker Studioコネクタの一覧は以下の通りです。

● Looker
● Googleアナリティクス4(GA4)
● Google広告
● Googleスプレッドシート
● BigQuery
● AppSheet
● ファイルのアップロード(CSVファイル)
● Amazon Redshift
● キャンペーンマネージャー360
● Cloud Spanner
● Cloud SQL for MySQL
● ディスプレイ&ビデオ360
● データの抽出
● Googleアドマネージャー360
● Googleクラウドストレージ
● Microsoft SQL Server
● MySQL
● PostgreSQL
● 検索広告360
● Googleサーチコンソール
● Youtubeアナリティクス

Google製品との親和性(GA4、スプレッドシートなど)

Looker StudioはGoogleが提供するサービスであるため、Google製品との親和性が高い傾向です。そのため、GA4でユーザーの属性や流入経路やコンバージョンなどのデータを収集し、それをLooker Studioで可視化するといった連携が容易にできます。

また、Googleスプレッドシートにまとめた売上データや顧客リストなどもデータソースとして簡単に活用可能です。このように使い慣れているGoogle製品をシームレスに連携できる点は、初心者にとって大きなメリットといえます。

BigQuery連携の方法と活用例

BigQueryの連携方法は以下の通りです。

1. ホーム画面左上の「作成」から「レポート」を選択する
2. 「データのレポートの追加」パネルの「データの接続」からBigQueryを選択する
3. 対象のプロジェクトを選択し、それに属するデータセットと表を選択する
4. 「追加」をクリックする

BigQueryと連携するメリットは、データ分析の効率化が進む点です。例えば、GA4にはAPI制限が設けられており、上限に達すると収集したデータが欠落してしまいます。しかし、BigQueryにデータを転送すれば、API制限を回避しながらデータの収集が可能です。

また、BigQueryは大量のデータセットも扱えるため、BigQueryにデータを蓄積してLooker Studioで可視化するという手法も取れます。

APIを使ったカスタムデータソースの接続

Looker Studioには豊富なコネクタがありますが、接続したいデータソースがリストにない場合もあるでしょう。その場合はGoogle Apps Scriptを使ってAPIに接続するためのプログラムを自作することで、カスタムデータソースを扱えるようになります。

基本的にインターネット経由でアクセスできるデータソース・サービスであれば、Looker Studioへの接続が可能です。ただし、コネクタの自作には専門知識が必要となるため、開発者向けといえます。

複数データソースの結合テクニック

Looker Studioには、複数のデータソースを結合して1つのデータとして扱うデータの統合機能があります。例えば、名前・出身地のデータと名前・会社名のデータがある場合、共通している名前を結合条件にすることでデータの結合が可能です。

なお、結合する際は結合演算子を選択する必要があります。結合演算子とその機能は以下の通りです。

左外部結合

左側のテーブルは全ての行を、右側のテーブルは条件が一致した行のみを返します。

右外部結合

左側のテーブルは条件が一致した行のみを、右側のテーブルは全ての行を返します。

内部結合

左右両方とも条件が一致した行のみを返します。

完全外部結合

条件にかかわらず左右両方のテーブルから全ての行を返します。

クロス結合

左右両方のテーブルから可能な表の組み合わせを全て返します。

Looker StudioとGoogle Analytics 4(GA4)の連携ガイド

ここでは、GA4との連携方法を解説します。GA4と連携することで、マーケティング施策の評価や改善につなげられます。

出典:Google アナリティクスに接続する  |  Looker Studio  |  Google Cloud

GA4データをLooker Studioに取り込む方法

GA4のデータをLooker Studioに取り込む方法は以下の通りです。

1. ホーム画面左上の「作成」から「データソース」を選択します
2. Googleアナリティクスを選択する
3. アカウントへのアクセス権の許可を求められたら「承認」をクリックする
4. 連携するアカウントとプロパティを選択して「接続」をクリックする

以上の手順を踏むことで、接続したGA4のプロパティのデータを基にレポートを作成できます。

GA4専用のテンプレート活用法

Looker Studioには、GA4に対応しているテンプレートが用意されています。これを利用することで、ユーザー数やセッション数やコンバージョンなど、主要な指標が整えられた状態でレポートを作成できます。そのままの使用はもちろん、テンプレートを基にカスタマイズも可能です。

試してみたい方は、Looker Studio公式レポートギャラリーにあるGA4のテンプレートを使ってみましょう。

計測データの効果的な可視化方法

GA4の計測データを効果的に可視化するためには、グラフを適切に使い分けることが重要です。ユーザー数やコンバージョン数などの推移を可視化したい場合は、折れ線グラフが適しています。

流入元の割合を可視化したい場合は円グラフが最適です。主要な指標を一目で把握させたい場合はゲージやスコアカードを使うとよいでしょう。

このようにグラフを使い分けることで、データを視覚的かつ直感的に把握できるようになります。

よくあるGA4連携のトラブルと解決法

GA4の連携に失敗する場合は、Googleアカウントの閲覧権限を確認しましょう。GA4プロパティの「閲覧者」以上の権限を持っていない場合、GA4プロパティが一覧に表示されなくなります。

また、一部の指標・ディメンションは探索レポート専用に分類されるものがあり、これらはLooker Studioでは使用できません。そのため、ファネル分析や経路分析の利用は難しいでしょう。

さらに、GA4はAPIのリクエスト数に制限が設けられており、上限に達するとエラーとなってしまいます。リクエスト数が上限に達する場合は、リクエストの頻度を減らしたりGA4の有料版にアップグレードしたりするなどの対策が必要です。

実践的なマーケティングレポート作成例

例えば、目標の達成度や成果を可視化する場合はコンバージョン数とコンバージョン率を基にレポートを作成するとよいでしょう。ECサイトであれば、売上・購入数・購入率・購入単価などを使うことで購入状況を可視化できます。

アクティブユーザー数や新規ユーザー数、ページビュー数やエンゲージメント率などの指標と組み合わせれば、さらにデータを深掘りできるでしょう。これにより、マーケティング施策の評価や改善につなげられます。

関連記事:CPOとは?CPAとの違いや計算方法を解説します!

Looker Studioとスプレッドシートの連携テクニック

ここでは、Googleスプレッドシートとの連携方法を解説します。Googleスプレッドシートと連携することで、売上目標や進捗管理などの分析を効率的に進められます。

出典:Google スプレッドシートに接続する  |  Looker Studio  |  Google Cloud

スプレッドシート連携の基本設定

Googleスプレッドシートとの連携方法は以下の通りです。

1. ホーム画面左上の「作成」から「データソース」を選択する
2. Googleスプレッドシートを選択する
3. スプレッドシートとワークシートを選択する
4. 必要に応じてオプションを選んだら「接続」をクリックする

オプションでは、「先頭行をヘッダーとして使用する」「非表示のセルやフィルタ処理されたセルを含める」「(任意)範囲指定」が設定できます。

「先頭行をヘッダーとして使用する」をONにすると、データソースのフィールド名がワークシートの1行目になります。それぞれの1行目にフィールドのカテゴリーが記載されている場合は、ONにするとよいでしょう。

「非表示のセルやフィルタ処理されたセルを含める」では、対象のデータをデータソースに含めるかどうかを選択できます。「(任意)範囲指定」では、選択したワークシート内のセル範囲を指定できます。

リアルタイム更新の仕組みと活用法

連携したスプレッドシートのデータは、自動でリアルタイム更新されます。Googleスプレッドシートの場合、更新頻度は最短で15分まで変更可能です。そのため、スプレッドシート側でデータを更新するだけで、Looker Studioのレポートを定期的に最新の情報に更新できます。

例えば、日々の売上データや在庫数をスプレッドシートで管理している場合、連携することで商品別の売れ筋や切れそうな在庫が一目で把握できるようになるでしょう。また、SNSや広告の効果をスプレッドシートで管理している場合、連携することで全SNSの効果や広告費に対する利益率などをリアルタイムで可視化できます。

スプレッドシート関数を活用したデータ加工

例えば、スプレッドシートに記載されている日付がLooker Studio側の日付フォーマットと異なる場合、日付として認識できません。この場合、TEXT関数を使用して日付フォーマットを統一させる必要があります。

また、「東京都新宿区」のように都道府県と市区町村が一緒になっているデータを別にして集計したい場合はLEFT関数とMID関数で分割が必要です。このようにデータを加工しておくことで、データが正しく認識され、分析しやすくなります。

連携時のパフォーマンス最適化

スプレッドシート関数を活用するとデータを加工できますが、Looker Studio側で計算を行うとパフォーマンスが落ちる恐れがあります。その場合は、適宜データ量やグラフ数を減らす必要があるでしょう。

不要な列を削除したり過去のデータを別のシートに移動させたりすることで、データ量が最適化されます。計算が必要な処理はスプレッドシート側で行うのが重要です。また、グラフ数は1ページあたり6つを目安にし、重要度の低いものは別ページに分けるのも大切になります。

実践的な使用例と注意点

スプレッドシートとの連携は売上目標や進捗管理やアンケート結果の集計など、さまざまなシーンで活用できます。ただし、スプレッドシートと連携する際はいくつかの注意点があります。

基本的に、接続するスプレッドシートは縦長の形式に整えることが重要です。横長の形式の場合、Looker Studioでうまく反映されない恐れがあります。

また、データの合計や中央値など余計な行を入れると間違った計算結果が出るかもしれません。セルの結合や同じフィールド名の使用も正しく認識されなくなる原因となるため、避けた方が無難です。

Looker Studioの無料版とPro版の違いと選び方

ここでは、Looker Studioの無料版とPro版の違いや選び方を解説します。Pro版は組織向けの機能が充実しており、サポートも手厚い傾向です。

出典:Looker Studio Pro について  |  Google Cloud

無料版で利用できる機能の範囲

無料版でもレポートの作成やデータの接続・可視化、共有や共同編集は可能です。しかし、レポートの自動配信設定は1件までとなっており、組織単位でのアセットの管理も難しいため、個人や小規模な組織での利用にとどまるでしょう。また、Google公式のテクニカルサポートも提供されません。

Pro版の追加機能と利点

Pro版には以下の機能が追加されています。詳細は後述します。

● チームワークスペース
● レポート配信機能
● テクニカルサポート

これらの追加機能により、組織全体でのレポート共有や共同編集が効率的にできるようになります。また、技術的な問題もスムーズに解決できるようになるでしょう。

Pro版の料金体系と費用対効果

Pro版の料金体系は、使用状況に関係なくプロジェクトごとのユーザー1人あたり月額で課金されます。大規模な組織は組織単位のサブスクリプションも利用でき、組織内の全ユーザーがPro版を利用可能です。料金は月間アクティブユーザー数によって変動する仕組みで、具体的な金額はGoogle Cloud営業担当者と相談する必要があります。

ビジネス規模別の最適な選択肢

無料版が適しているかPro版が適しているか、ビジネスの規模別にまとめました。

無料版が適しているケース

個人で利用する場合やフリーランスの場合は無料版の機能だけで十分です。小規模な組織の場合でも、メンバー数が少なくレポートの共有範囲が限定的であれば無料版でも問題ないでしょう。

Pro版が適しているケース

中・大規模な企業や組織のようにメンバー数が多く、組織的に管理・共有する必要がある場合はPro版を利用すべきです。また、ビジネス上重要なレポートを関係者に配信したい場合や問題発生時にサポートが必要な場合もPro版が適しているでしょう。

アップグレードのタイミングと判断基準

以下の状況に陥った場合は、Pro版へのアップグレードの検討をおすすめします。

レポートの管理が難しい

レポートが増えすぎてオーナーや共有しているユーザーがわからないケースや、権限の設定や
移譲が難しいケースを指します。これらのケースでは、チームワークスペースによる一元管理が必要です。

情報伝達に遅れが生じている

レポートを複数の宛先に人力で定期的に送信する作業や重要な指標が特定の条件を満たしていないか確認する作業により、情報伝達に遅れが生じているケースです。このケースでは、レポート配信機能やアラート機能を利用すべきでしょう。

トラブルの解決に時間がかかっている

原因不明のエラーを解決できず、ビジネスに大きな影響を与えているケースです。このケースでは、テクニカルサポートが必要でしょう。

Looker Studio Proの詳細解説と活用シナリオ

ここでは、Looker Studio Proの機能や料金や契約方法を詳しく解説します。月額9ドルから、チームワークスペースやレポート配信機能やテクニカルサポートなどを利用できます。

出典:Looker Studio の典型的なワークフロー  |  Google Cloud

Pro版の拡張機能の詳細

Pro版の拡張機能の詳細は以下の通りです。

チームワークスペース

組織で共同作業する共有のスペースです。メンバーを招待し、権限を付与することで、一元的な管理を実現しています。

レポート配信機能

無料版では1件までしか配信スケジュールを設定できませんが、Pro版では最大で20個まで設定可能です。事前に設定した条件を満たしたタイミングで自分や関係者に通知するアラート機能も利用できます。

テクニカルサポート

Google Cloudサポートチームによるテクニカルサポートを受けられます。利用する際はGoogle Cloudカスタマーケアの契約が必要ですが、いずれのプランでもテクニカルサポートは受けられます。

エンタープライズレベルのセキュリティ

Pro版では、チームワークスペースにより誰がどのアセットにアクセスできるかを組織単位で管理できるため、意図せず情報を共有してしまうリスクを回避できます。また、Pro版で作成・管理されるアセットの所有権は個人のアカウントではなく、ひもづけられたGoogle Cloudプロジェクトです。そのため、アセットの作成者が退職してもスムーズな引き継ぎや継続的な管理を実現できます。

チーム管理と権限設定

Pro版では、部署やプロジェクト単位で複数のチームワークスペースを作成可能です。それぞれのチームワークスペースは独立した管理領域となります。
それぞれのチームワークスペースには、Googleアカウントを持つユーザーやGoogleグループを招待でき、任意の権限を持つメンバーとして追加できます。チームワークスペースの権限と主な機能は以下の通りです。

閲覧者

アセット・フォルダ・ごみ箱の閲覧ができる権限です。

投稿者

閲覧者の権限に加え、アセットの作成・編集やフォルダの作成・移動が可能です。また、ワークスペースのメンバーと権限を閲覧でき、ワークスペース内のアセットに編集者と閲覧者を追加できます。

コンテンツ管理者

投稿者の権限に加え、ワークスペースの投稿者の追加・削除が可能です。また、同一チームワークスペース内にあるフォルダ間でアセットを移動できるほか、チームワークスペースのフォルダの名前も変更できます。

マネージャー

コンテンツ管理者の権限に加え、コンテンツ管理者の追加・削除やメンバーのアクセスレベルの変更が可能です。また、チームワークスペース内のフォルダを別のチームワークスペースのフォルダに移動できます。さらに、アセット・フォルダ・チームワークスペースを完全に削除できます。

なお、それぞれのアセットに付与できる権限は以下の通りです。

閲覧者

アセットの閲覧・コピー・ダウンロードができる権限です。

編集者

閲覧者の権限に加え、アセットの編集・共有ができる権限です。

オーナー

編集者の権限に加え、アセットの削除や他の権限の管理、オーナー権限の譲渡などができる権限です。

高度なサポートオプション

Pro版では、Google Cloudカスタマーケアを受けられます。プランに応じてWebフォーム・チャット・電話など、さまざまな方法を通じてサポートへの問い合わせが可能です。

技術的な質問やトラブルシューティングなどを専門のサポートエンジニアから直接サポートを受けられるため、迅速な問題解決が期待できます。特に、ビジネス上重要なレポートを運用している場合、高度なサポートを受けられることは安定した運用を行ううえで重要です。

Pro版を最大限活用するためのヒント

Pro版を利用する際は、組織の体制やプロジェクトに合わせてワークスペースの構成を考え、適切な権限を設定することが重要です。定期的に権限を見直すことで、情報漏えいのリスクを回避でき、安全な状態を維持できます。

また、レポートの自動配信機能を活用して定期的に使用するレポートや日々の進捗を示すダッシュボードなどの共有を自動化しましょう。重要な指標はアラートを設定しておくことで、目標達成や異常値の発生などの変化をタイムリーに把握できます。

料金プランの詳細と契約方法

基本的に、料金はPro版を利用するプロジェクトごとのユーザー1人あたり月額9ドルです。支払い方法はクレジットカードのドル建て決済となっており、代理店を経由しない限り請求書払いや円建てでの支払いはできません。

契約方法は以下の通りです。

1. Google Cloudプロジェクトを選択する
2. サブスクリプションにユーザーを追加する
3. Looker Studio Proライセンスを追加購入する

Pro版へのアップグレードは、Looker Studioのホーム画面やGoogle Cloudコンソールなどから行えます。そこからGoogle Cloudプロジェクトを選択し、利用するユーザーの追加やライセンスの割り当て数を指定したら、アップグレードは完了です。ただし、Pro版にアップグレードするには以下の要件を満たす必要があります。

● 対象のプロジェクトが組織に属している
● 対象のプロジェクトが請求先アカウントに接続されている
● 対象のプロジェクトに対してマネージャーの権限を持っている
● 現在Proサブスクリプションで使用されていない
● 対象のプロジェクトを所有する組織と同じ組織に属している

Looker Studioの計算フィールドと関数の活用ガイド

ここでは、Looker Studioの計算フィールドと関数を解説します。計算フィールドと関数を活用することで、レポートの表現の幅が広がります。

出典:計算フィールドで関数を使用する  |  Looker Studio  |  Google Cloud

計算フィールドの基本概念

計算フィールドとは、既存の項目を基に四則演算や関数や条件分岐を使って、独自の項目を作成する機能です。これにより、複雑な計算も容易に行えるようになり、より詳細な分析結果を得られます。関数や条件分岐を活用すれば、作業の効率化にもつながるでしょう。

よく使う関数の解説と例

ここでは、よく使う関数の解説と例を紹介します。

HYPERLINK関数

表内にクリックできるテキストや画像リンクを作成できます。第一引数はURL、第二引数はテキストまたは画像ファイル・URLです。
例えば、以下の関数を実行することで商品ページのリンクを持つテキストを作成できます。

HYPERLINK(商品ページのURL,商品名)

以下のようにすれば、クリックできる画像も作成可能です。

HYPERLINK(商品ページのURL,商品の画像)

REPLACE関数

文字列の置換や削除ができます。第一引数は対象のフィールド、第二引数は置換の対象となる文字列、第三引数は置換後の文字列です。
例えば、「ID_213232」のように先頭に決まった文字列が含まれている場合は、以下のようにすれば不要な文字列を削除できます。

REPLACE(ID,”ID_”,””)

また、以下の関数を実行することで英語を日本語に書き換えられます。

REPLACE(event,”click”,”クリック数”)

REGEXP_REPLACE関数

機能自体はREPLACE関数と一緒ですが、こちらの関数では正規表現が使えます。正規表現とは、文字列のパターンを表現するための特殊な記法です。第一引数は対象のフィールド、第二引数は正規表現を含む文字列、第三引数は置換後の文字列となっています。

例えば、以下の関数を実行することでクエリパラメータ(URLの末尾に追加される文字列)の削除が可能です。

REGEXP_REPLACE(URL,”(¥¥?.*)” , “”)

CASE関数

条件分岐を行う関数です。CASE~END文で構成され、WHENで条件を、THENで条件に合致した場合に返す値を、ELSEで条件に合致しない場合に返す値を指定します。
例えば、以下の関数を実行することで、価格別にグループ分けが可能です。

CASE
    WHEN price < 1000 THEN “安価”
    WHEN price between 1000 and 5000 THEN “普通”
    WHEN price > 5000 THEN “高値”
    ELSE “エラー”
END

高度な数式とカスタム指標の作成方法

四則演算を使うことで、カスタム指標の作成が可能です。例えば、売上と利益の項目がある場合、計算式に「利益/売上*100」と入力することで、利益率を算出できます。具体的な手順は以下の通りです。
1. 対象のデータソースを見つけたら「編集」をクリックする
2. 「データソースのフィールド」パネルの「フィールドの追加」をクリックする
3. フィールド名や数式を入力して「保存」をクリックする

データ変換のためのテクニック

データには文字列・数値・日付などの型があり、データ同士の型が異なるとエラーが発生する恐れがあります。例えば、「売上」の項目で「”10000”」のデータがある場合、現状では文字列型のため数値として計算できません。

データ型を変換する際は、CAST関数を使いましょう。CAST関数は、あるフィールドのデータの型を変換できる関数です。例えば、「売上」の項目のデータを文字列型から数値型に変換する場合は「CAST(売上 AS NUMBER)」となります。

なお、データ型によって変換できる型は以下のようになっています。

変換元の型 変換先の型
文字列 日付・日付時刻・数値
数値 文字列
日付 日付時刻・文字列
日付時刻 日付時刻・文字列

トラブルシューティングとベストプラクティス

計算フィールドの数式にエラーがある場合、警告メッセージが表示されます。エラーメッセージが出た場合は、それぞれに合った対策を講じましょう。

「フィールド名が無効です。」

フィールド名に誤字脱字や特殊文字がある恐れがあります。

「関数名が無効です。」

関数名のつづりが間違っている恐れがあります。

「引用符が抜けています。」

文字列が引用符(「”」または「`」)で適切に囲まれていない恐れがあります。

「括弧が一致していません。」

開き括弧と閉じ括弧が適切に配置されていない恐れがあります。

「引数のタイプが一致していません。」

関数に正しい値を指定していない恐れがあります。例えば、文字列型のディメンションで日付関数を使用した場合、このエラーとなります。

「再集計の指標はサポートされていません。」

集計関数はすでに集計されているデータには使用できません。例えば、GA4の「Sessions」はデータセットですでに合計されているため、SUM(Sessions)という数式はエラーとなります。

「式には指標またはディメンションを指定できますが、両方は指定できません。」

関数の引数にディメンションと指標を同時に指定している恐れがあります。

「この式に指標の式と集計値は一緒に使用できません。」

グラフ固有の計算ディメンションを作成している際、指標の数式を入力している恐れがあります。

Looker Studioのダッシュボードデザインとベストプラクティス

ここでは、Looker Studioのダッシュボードデザインを解説します。

出典:ユーザー定義ダッシュボードの作成  |  Looker  |  Google Cloud

また、「ダッシュボード」について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

関連記事:ダッシュボード(dashboard)とは?主な機能紹介とツール10選

効果的なダッシュボードデザインの原則

効果的なダッシュボードデザインを作成するためには、以下のポイントを抑える必要があります。

目的を定義する

何のためにダッシュボードを作るのか、見る人は誰なのか定義しましょう。見る人が求める情報を整理することで、適切なデザインが定まります。

KPIを設定する

KPIとは、ビジネスやプロジェクトの目標の達成度を測定する指標です。目的を定義すれば、ダッシュボードで表示すべきKPIも設定できます。

関連記事:KPIの意味とは?初心者にもわかる徹底解説と設定事例

無駄なデータを削る

手当たり次第にデータを可視化すると、かえってダッシュボードが見にくくなります。そのため、可視化させるデータは重要なものに絞ることが大切です。

統一性を持たせる

ダッシュボードデザインに統一性を持たせることで、視覚的に理解しやすくなります。文体やフォント、配色やレイアウトなど総合的に考慮することが重要です。

ビジュアル要素(グラフ、チャート)の選び方

KPIのように重要な指標は、数値を大きく表示させるスコアカードを使いましょう。これにより、ダッシュボードのどこを見ればいいのか一目でわかります。

また、数量を比較する際は棒グラフを、時系列や傾向などのデータを示す際は折れ線グラフを、割合を示す際は円グラフを使いましょう。それぞれの特性に合わせてグラフを選ぶことで、わかりやすいダッシュボードを作成できます。

カラースキームとブランディングの統一

色数が多すぎるとデザインが複雑になり、伝えたい内容がわかりにくくなるため、色数は3色程度に抑えましょう。色数を増やさなくても色の明度を調整することで、特定の部分を強調できる場合もあります。反対色で目立たせるのも効果的でしょう。

また、ブランドカラーと色を統一させるのも重要です。これにより、見る人に企業や製品・サービスのイメージを持たせられます。

関連記事:現代の企業にとって最重要となる「ブランディング」を徹底解説! おすすめの施策や成功事例なども紹介

見やすいレイアウトの作り方

ユーザーの視線は「Z」や「F」の字に移動する傾向があります。この傾向を利用して上部や中心に重要なものを配置することで、ユーザーの認知的負荷を抑えられます。重要なものを大きく表示させるのも単純かつ効果的な方法です。

また、縦・横の線はそろえ、同じ色や形を繰り返し使うことも大切になります。関係性の近い要素は近づけ、大きさや色にメリハリをつけるのも重要です。上下左右に情報を詰め込まず、適度に余白を持たせるのもポイントになります。

Looker Studioの高度な機能:ドリルダウンとパラメータ

ここでは、Looker Studioのドリルダウンとパラメータの機能を解説します。ドリルダウンやパラメータを活用すれば、ダイナミックレポートも作成できます。

出典
データをドリルダウンする  |  Looker Studio  |  Google Cloud
グラフにドリルダウンを追加する  |  Looker Studio  |  Google Cloud

ドリルダウン機能の設定と活用法

ドリルダウン機能とは、1つのグラフで複数の階層を動的に切り替える機能です。例えば、商品のカテゴリーごとの売り上げを表示しているグラフがある場合、ドリルダウンを使えば商品ごとの売り上げに切り替えられるようになります。
ドリルダウンを設定する手順は以下の通りです。

1. 画面右上の「編集」から編集モードに切り替える
2. グラフを選択して設定タブの「ディメンション」の「ドリルダウン」をONにする
3. ディメンションを追加してドリルダウンのレベルを選択する

設定すると、グラフ上の「↑」「↓」からドリルアップ・ドリルダウンができるようになります。矢印が表示されない場合は、グラフのスタイルタブの「グラフのヘッダー」を「常に表示」に切り替えましょう。

パラメータの種類と設定方法

パラメータとは、ユーザーが入力した値に応じてレポートの表示内容を動的に変更する機能です。例えば、売上額の項目と売上目標額の差額を求めたい場合、パラメータとして売上目標額を作ることで金額に応じて差額を表示できます。

パラメータの追加方法は以下の通りです。なお、パラメータはBigQueryのカスタムSQLクエリやコミュニティコネクタの用途でも使われますが、ここでは計算フィールドを想定しています。

1. レポートの編集画面を開く
2. 「リソース」から「追加済みのデータソースの管理」をクリックする
3. 対象のデータソースの「編集」から「パラメータを追加」をクリックする

また、以下の方法でもパラメータを追加できます。

1. レポートの編集画面を開く
2. 画面右のデータパネルの「パラメータを追加」をクリックする

「パラメータを追加」をクリックすると、パラメータ名(ID)やデータタイプ、使用可能な値やデフォルト値などを設定する画面が出てきます。データタイプでは、テキスト・数値(整数)・数値(小数)・ブール値が使用可能です。ブール値とは、True・Falseのどちらかを表す形式を指します。

使用可能な値では、ユーザーが任意の値を入力するか一覧から選ぶかを設定します。デフォルト値を設定すれば、初期状態で任意の値の表示が可能です。

インタラクティブな分析環境の構築

ドリルダウンを活用することで、レポート全体のグラフ数を削減でき、目的の情報にアクセスしやすくなります。また、パラメータを活用することで、レポートの計算結果や表示内容を動的に変更できるようになります。

データのフィルタリングや操作ができるコントロールや複数のグラフを連携させるグラフインタラクションも、双方向性のある分析環境を構築するうえで重要な機能です。

ユーザー入力を活用したダイナミックレポート

ダイナミックレポートとは、リアルタイムでデータを操作して自由にカスタマイズできるレポートを指します。パラメータを活用すれば、ダイナミックレポートの作成も可能です。

出典:ボタンを追加する  |  Looker Studio  |  Google Cloud

例えば、目標値を入力するパラメータを作れば達成率の算出が容易になります。商品名を入力するパラメータを作って入力された文字列を含むデータのみを表示するようにすれば、ユーザーはデータを素早く見つけられるようになるでしょう。

ダイナミックレポートの作成は、データやその数値を変えて結果がどのように変化するかをシミュレーションするWhat-if分析に効果的です。

なお、「ダイナミック」は「動的な」「活動的な」などの意味を持ちます。ダイナミックに関連するマーケティング用語「ダイナミックプライシング」の意味や仕組みを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ダイナミックプライシングとは?基本的な仕組みと事例を解説

実践的なユースケース

例えば、売上分析ダッシュボードの場合、地域を「都道府県>市区町村>各店舗」にドリルダウンすることで、地域・店舗別の売上を確認できるようになります。パラメータを活用して「売上」「利益」「来店数」など指標を動的に変更できるようにすれば、よりデータを可視化できるようになるでしょう。このようにドリルダウンやパラメータを組み合わせることで、データを多角的かつ直感的に分析できるようになります。

Looker Studioのテンプレート活用とカスタマイズ

ここでは、Looker Studioのテンプレートを解説します。テンプレートを活用することで、効率的に高品質なレポートを作成できます。

公式テンプレートの紹介と入手方法

テンプレートはGoogle公式の下記のテンプレートギャラリーから入手可能です。

参考リンク
Looker Studio(テンプレートギャラリー)
テンプレートからレポートを作成する  |  Looker Studio  |  Google Cloud

公式テンプレートを基にカスタマイズすることで、効率的に高品質なレポートを作成できます。主な公式テンプレートは以下の通りです。

● GA4 Report
● Firebase Events Report(BigQuery)
● 世界人口データ(Googleスプレッドシート)
● Youtube Channel Report(Youtubeアナリティクス)
● Google Ads Overview(Google広告)
● Search Console Report(Googleサーチコンソール)
● Display & Video 360 Account Summary(ディスプレイ&ビデオ 360)
● Search Ads 360 Data Driven Attribution(検索広告360)
● Apigee API Analytics(Apigee)

業界別おすすめテンプレート

例えば、EC業界であればGoogleアナリティクス・Google広告の「e コマース(クリック単価)」がおすすめです。Webマーケティングであれば、Googleアナリティクスの「GA4 Report」やGoogle広告の「Google Ads Overview」がよいでしょう。

また、動画制作業界であればYouTube アナリティクスの「YouTube Channel Report」もおすすめです。

テンプレートのカスタマイズ方法

テンプレートは自身の目的に合わせてカスタマイズすることで、真価を発揮します。使用されているデータソースの変更だけでなく、レポート全体のテーマの変更や不要なグラフの削除なども行いましょう。

ページの追加や計算フィールドの活用も重要です。それぞれの要素を調整し、目的に応じて拡張することで、実用的なレポートを作成できます。

オリジナルテンプレートの作成と共有

作成したレポートを基にオリジナルのテンプレートとして作成・共有することで、レポートの品質を標準化できます。特に、頻繁に同じフォーマットのレポートを作成する場合に効果的です。ミスをしにくくなり共有・管理も容易になるため、業務効率化につながります。

テンプレート活用による時間短縮効果

テンプレートを活用する最大のメリットは作業時間の短縮です。テンプレートを利用する場合、レイアウトやグラフの種類やデザインを考える必要はありません。特に、GA4やGoogle広告のように多くの指標を持つデータソースであればその効果は大きいでしょう。

Looker Studioのよくある課題と解決策

ここでは、Looker Studioでよくある課題とその解決策を解説します。動作が重い場合や使いにくい場合などは、以下の対処法・改善策を試してみましょう。

パフォーマンスが重い場合の対処法

動作が重い場合は、以下の対処法を試してみましょう。

データの更新頻度を低くする

データの更新頻度が高いと動作が重くなる恐れがあります。レポートの目的によっては1日に1回データを更新するだけで十分なケースもあるため、動作が重い場合はデータの更新頻度を低くしましょう。

抽出されたデータソースを使う

既存のデータソースから特定のフィールドだけを抽出したデータソースを使うことで、レポートの読み込みやデータの探索が速くなる可能性があります。

BigQuery BI Engineを使う

BigQuery BI Engineとは、BigQueryで利用できるメモリ内分析サービスです。頻繁に利用されるデータをインメモリにキャッシュしてくれるため、SQLクエリの実行速度が大幅に向上する可能性があります。

出典
Looker Studio のパフォーマンスを改善する  |  Google Cloud
クエリのキャッシング  |  Looker  |  Google Cloud

関連記事:キャッシュとは?初心者でも分かる仕組みやキャッシュクリア(削除)の方法

使いにくいと感じる要素の改善方法

Looker Studioを利用していてデータソースの接続が難しいと感じる場合は、データの標準化やデータクレンジングなどの前処理をおすすめします。これにより、データソースの接続が簡素化される可能性があります。

また、思うように可視化できない場合はテンプレートを活用しましょう。一般的に、テンプレートは適切なグラフやデザインが使用されているため、テンプレートを基にカスタマイズすることで可視性を向上させられる可能性があります。

データ更新の遅延問題と対策

大量のデータを扱う場合、データの更新が遅延する恐れがあります。その場合は、クエリの最適化やキャッシュの活用がおすすめです。また、データ量の制限も単純ながら処理負荷の軽減に大きく役立ちます。

エラーメッセージの解読と対応

エラーメッセージ別の対処法は以下の通りです。

「データセットの設定エラー」「Looker Studioではデータセットに接続できません」

このエラーが出た場合は、ブラウザのキャッシュを無視してWebサーバーから最新のデータを読み込むスーパーリロードをしてみましょう。一般的に、スーパーリロードはShiftを押しながら更新ボタンを押すことで可能です。それでもエラーが出続ける場合は、データソースを再接続したり数十分~1時間程度待ったりしましょう。

(other)

「(other)」が出た場合、下位のデータがother行にまとめられています。これはディメンションの行数が上限を超えている場合やレポートが複雑な場合に出るケースが多いため、データの削減やレポートの簡略化を試してみましょう。それでも直らない場合は、BigQueryやGA4の有料版の利用をおすすめします。

大規模データ処理時の最適化テクニック

大規模なデータを処理する際は、データ構造の見直しや最適化が欠かせません。不要なデータの削除やインデックスの適切な設定も重要です。また、データのパーティショニングを行うとパフォーマンスが改善される可能性もあります。

Looker Studio活用事例と成功のためのロードマップ

ここでは、実際の活用事例と成功のためのロードマップを解説します。活用事例や成功のポイントなどを参考に、Looker Studioを活用しましょう。

企業の活用事例紹介

パナソニックグループは社内レポーティングやマーケターのPDCAに役立たせていくことを目的に、Looker Studioを導入しています。数あるBIツールからLooker Studioを選んだ理由は、ストレスなくタイムリーに使える点やライセンスを管理しやすい点です。

導入により、ユーザーのアクセス分析が効率的にできるようになり、広告経由でWebサイトにアクセスしたユーザーの直帰率を90%以上から80%前半に抑えられました。広告側のデータと自社Webサイト側のデータを横並びにして可視化し、ターゲティングの実施にもつなげています。

また、SBCメディカルグループはBigQuery上に統合したデータを自社のデータウェアハウスに連携させ、Looker Studioで可視化しています。GA4と併せてLooker Studioを導入したことで、データ分析の専門家でなくてもダッシュボードを通して最新のデータ・成果を確認できるようになりました。

段階的な導入と拡張のステップ

Looker Studioをビジネスで利用する場合は、Pro版の利用が望ましいでしょう。しかし、いきなりシステムを導入すると運用に関するさまざまな問題が発生する恐れがあるため、最初は無料版から始めるのが一般的です。

初期コストを抑えつつ、基本的な機能や使い勝手を理解できるため、リスクを抑えられます。一部の部署で導入し、徐々に拡張することで、Looker Studioを効果的に利用できます。

ROIを最大化するためのポイント

Looker Studioの導入でROI(投資利益率)を最大化するためには、導入目的の明確化や定期的な評価・改善が重要です。どのような問題を解決したいのか、どの業務を効率化させたいのかなどを明確化することで、Looker Studioを効果的に利用できるようになります。

また、導入後も定期的に業務の評価や改善を行うことで、Looker Studioの効果を最大化できます。

学習リソースと参考文献の紹介(本、公式ドキュメントなど)

Looker Studioの主な学習方法は以下の通りです。

公式ドキュメント

Google Cloudの公式ドキュメントには、Looker Studioに関するさまざまな情報が記載されています。チュートリアルやヘルプ・サポートはもちろん、各機能の操作方法や設定なども詳細に説明されているため、実際にLooker Studioを操作しながら学習できるでしょう。

Looker Studioに関する本もいくつか出版されています。内容の信頼性も高く、詳しく体系化して説明されている点が特徴です。

講座やセミナー

Looker Studioに関する講座・セミナーも開催されており、利用するうえで重要なポイントを短期間で学習できます。疑問点を直接質問できる点や最新の情報が手に入りやすい点もメリットです。

動画

Google公式の動画やLooker Studioに精通しているユーザーの動画からも学習できます。わからない部分や復習したい部分を繰り返し視聴できる点がメリットです。

今後のアップデート予測と将来展望

2024年のアップデートでは、グラフや表示形式のカスタマイズやグラフの追加に焦点が当てられています。今後はより直感的で柔軟なデータの可視化ができるようなアップデートが来るでしょう。また、AIを活用した機能の追加も期待されます。

まとめ:Looker Studioでデータドリブン経営を実現するために

Googleが提供するクラウド型のBIツールであるLooker Studioは、Googleアカウントがあれば誰でも無料で利用できます。直感的なインターフェースや充実した機能を備えており、多くのデータソースと接続可能です。また、Pro版ではチームワークスペースも利用でき、スムーズに共有しながら権限を一元管理できます。Looker Studioを活用して、データを基にした経営を実現しましょう。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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