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トラッキングのマーケティングにおける使われ方とは?活用の方法とデバイス側での設定を解説

2022.2.9
読了まで約 12

株式会社電通の行っている「日本の広告費」という調査(日本国内で1年間に使われた広告費の統計 1947年より調査を行っている)によると、2019年度は、調査開始後はじめて「インターネット広告費」が、テレビメディアの広告費(地上波・衛星放送)を上回った年となった。

これは直近の調査結果である2020年度(2021年発表)も同じ傾向にあり、20年度に日本の各企業が支出した広告費は総額で6兆1,594億円となっていて、コロナ禍の影響もあり、前年度比88.8%と落ち込んでいる。
この内、新聞、雑誌、テレビ(衛星メディア関連も含む)、ラジオといったいわゆる「4大媒体広告費」が2兆2,536億円で前年度比86.4%とさらに大きく落ち込み、6年連続の減少となったのに対して、インターネット広告費は2兆2,290億円(前年比105.9%)となり、1996年の調査開始以来一貫して成長を続けている。

つまり、インターネット広告費が4大媒体広告費に匹敵する大きさになってきており、2021年には逆転する可能性すらあるわけだが、20年度調査についていえば、コロナ禍における外出・移動の自粛により、巣ごもり需要が活発化したこともインターネット広告費を押し上げていると考えられるだろう。

中でもデリバリーやネット通販といった販売関連の広告が大きく伸びただけでなく、オンライン会議やオンラインイベント、ウェビナー、リモートワーク、キャッシュレス決済などビジネスや社会生活におけるあらゆる場面でDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に加速したことが大きな要因であることは間違いない。

そして、こうしたインターネット広告拡大の背景に、ひとつの技術が支えとなっているという事実も見逃せない。
それが、トラッキング・テクノロジーだ。
トラッキングとは、ユーザーの情報を取得するために、自動的にユーザーの行動を追跡・分析することであり、これは新聞やテレビなど従来のメディアでは実現できない技術でもある。

インターネット広告によるマーケティングを展開する際には、トラッキングを最大限に活用することで、マーケティング効果を高め、さらに有効な施策を策定するためのPDCAを回すことができるようになる。
まさに、トラッキングはインターネット広告の「キモ」ともいえる技術なのだ。
特にBtoB分野におけるWebマーケティングを展開するにはトラッキングは不可欠な要素となっている。

一方で、近年ではトラッキングが「プライバシーを侵害する」として規制されたり、追跡をブロックされたりするという動きも出てきている。
そこで本稿では、トラッキングの概要やメリット、Cookieを利用したトラッキングの仕組み、そのほかのトラッキング技術について解説。さらに、トラッキングで追跡できる仕組みと、どうすれば拒否することができるのかについてデバイスごとに解説していくこととする。

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グラフ:日本の媒体別広告費の推移

目次

トラッキングの意味とは? その用途とは?

トラッキングの3つの意味

英語のトラッキング(Tracking)を日本語に直訳すると「追跡」や「追従」「軌跡」となる。そこから派生して、現在では主に下記の3つの業界でそれぞれ異なる意味合いとして使われることが多い。

ロジスティクス(物流)業界でのトラッキング

ロジスティクスの分野におけるトラッキングとは荷物を配送する際にその状況を追跡することや現在地の特定といった意味で使われる。最近では宅配業者などが配送状況を利用者にメールで知らせるなどのサービスにも用いられている。

IT業界でのトラッキング

IT業界でもトラッキングという言葉が使われるが、主にシステム開発時、プログラムの動作状況やデータの動向などについてのログを収集し監視することを意味することが多い。

マーケティング業界でのトラッキング

Web広告など、デジタルマーケティングの施策を展開する際に、ユーザーニーズにマッチした情報を効率的に・効果的に訴求するために、ユーザーのWeb上での動きを追跡して分析を行うこと。

これ以外にも医療業界など多くの分野で使われる言葉だが、本稿におけるトラッキングとは、上記のマーケティング業界における言葉であることを前提として話を進めたい。
中でも、従来から行われていた印刷物などに印となる数字や文字を埋め込んでおく「キー・コード」という手法などによるトラッキングではなく、インターネット上で自動的にユーザーのデータを入手して解析する仕組みであるトラッキングについて解説していくこととする。

トラッキングの用途

では、マーケティングにおけるトラッキングはどのような用途に活用できるのだろうか。
さまざまな用途が考えられるが、主なものとしては以下に挙げたアクセス情報によるユーザーの傾向性の特定と、効果測定という2つの用途がある。

アクセス情報の取得と解析

トラッキングを用いることで、Webサイト内でユーザーが閲覧したページの特定や、滞在時間などの情報を入手することができる。
これらの情報を利用してアクセス解析をすることで、ユーザーの志向や興味などを推測し、的確なマーケティング施策に結びつけることができる。

コンバージョンの計測によるコンテンツの効果測定

トラッキングのもうひとつの用途は、Web上で配信しているコンテンツのクリック数や閲覧時間などのコンバージョンを計測することだ。これを行うことにより、その配信の効果を測定することができる。トラッキングによってコンバージョンに貢献している広告を把握することで、売上を向上させるためのコンテンツの改善に役立てることができる。

関連記事:トラッキングって何?インターネット利便性の向上に寄与している手法とは?

トラッキングの代表的な技術Cookieとは?

Cookieは何のための技術か?

トラッキングを理解する上で、避けて通れないのが「Cookie」である。
Cookieとはサイトの閲覧者の情報をブラウザに一時的に記録しておくためのファイルのことで、ひとことで言えば「Webサイトのブラウジングをスムーズに行えるようにしたり、そのユーザーに最適化した広告が表示されるようにする仕組み」であるといえる。
これはなにも企業側のニーズだけから生み出されたものではない。さらにいえば、そもそもCookieはトラッキングのために開発された技術ですらないのだ。

Cookieの生い立ちを少し詳しく説明しよう。
Web情報のやり取りを行うためのプロコトルであるHTTPは、ステートレス性という特徴を持ち、過去のデータを反映せずいつも同じレスポンスが返ってくる仕組みとなっている。そのため、例えばインターネットの黎明期、会員制Webサイトのログイン情報などはCookieが実用化されるまではその都度ユーザー側でIDとパスワードを入力してログインする必要があった。

これではユーザーはログインするたびにキーボードから入力するという面倒な手続きが必要となり、推測されやすい同じパスワードの使い回しやテキストのコピペによる情報漏えいなど、セキュリティー上の問題も多かった。
そこで、Webサーバー側とブラウザーとの間で状態を管理するためのプロコトルとしてCookieが開発されたのだ。

これによってサーバーとブラウザーは、いわば簡単な共通のパッケージとしてのCookieで情報を共有し、お互いに現在のステータスを知ることができるようになった。
ユーザーがWebサイトを訪れた際に、WebサーバーからブラウザーにCookieが発行され、保存されることで、次回から一定期間、Cookieのデータがサーバーとブラウザー間の共通の情報として利用される。

先程の会員制Webサイトの例では、その会員のIDとパスワードがCookieによるログイン情報としてWebブラウザー上に記録され、これをサーバー側が受け取ることによって再度同じWebページを閲覧した際にその会員のステータスが表示されるようになるのだ。
現在ではECサイトのショッピングカート情報などがCookie情報としてWebブラウザーに記録されるのはごく当たり前となっており、TwitterやFacebookなどでのログイン維持などにも利用されているので、ユーザー側の利便性向上にも大いに役立っている。

その一方で、Cookieの技術がユーザーの閲覧履歴や行動履歴などの取得にも利用できることが分かると、マーケティング分野で転用されることが多くなっていった。こうして、「トラッキング=Cookieによるユーザーのインターネット上の行動履歴の追跡」という認識が一般化されていったのだ。

関連記事:Cookieの基礎知識と規制や廃止の流れについて

Cookieとキャッシュの違い

ここで、Cookieと混同されやすい「キャッシュ」との違いも確認しておこう。
キャッシュもCookieも、Webブラウザに一時保存されるデータであるという点では同じような機能のように思えるが、CookieはIDやパスワードなどのユーザー情報を保持するのに対して、キャッシュは表示されるページそのもののレイアウトや画像、フォントといったWebページそのものの情報を保持しているという点で大きく異なる。

通信回線速度が高速になった現代では考えられないが、インターネットの黎明期、回線速度の遅い時代には画像の表示だけで数十秒かかる、といったことも頻発した。しかもキャッシュという技術がなかった頃は、サイトを遷移するたびに画像をサーバーから読み込むことになるため、同じサイトへの再訪であっても同じだけの時間がかかっていた。
これを解決したのがキャッシュである。

一度訪問したサイトのビジュアル情報をキャッシュとしてデバイスに保存しておけば、再訪時にはデバイス側のデータを使ってサイトを表示できるため表示速度を大きく短縮できるようになったのだ。
また、余談ではあるがキャッシュという技術はインターネット上でのWebサイト表示に限ったものではなく、コンピュータにおける仮想的データ保管場所という広い概念としてさまざまな場面で活用されている。

例えばハードディスクの中で頻繁に使用されるデータをキャッシュに保存してアクセスを速めたり、OSの処理速度を高速化するために応用されていたりするなど、今ではデバイスを高速に動作させるための重要な技術となっている。

図:Cookieとキャッシュの違いとは?

Cookieの種類

普段あまり意識されることはないが、Cookieには2つの種類がある。それは、「ファーストパーティ(1stParty)Cookie」と「サードパーティ(3rdParty)Cookie」だ。
それぞれに特長と用途を見ていこう。

ファーストパーティCookie
ユーザーが訪問したWebサイトのドメインから直接発行されるCookieをファーストパーティCookieという。
例えば、会員制サイトにアクセスした場合、そのサイトがIDやパスワードなどを保存するために発行するログイン情報に関するCookieは、そのサイトのドメインから直接発行されたものなのでファーストパーティCookieである。
その他、訪れたサイトの閲覧履歴や、eコマースや通販サイトの場合はカート内の商品情報などを保持する目的で使用されており、基本的には単一のサイト内でのみ活用されるのがファーストパーティCookieだ。

サードパーティCookie
ユーザーが訪れたWebサイト以外、つまり第三者のドメインから発行されるCookieのことをサードパーティCookieという。
例えば、A社という食品メーカーのWebサイトを閲覧したあとにBという旅行会社のWebサイトというまったく異なるジャンルを訪問しているにも関わらず、そこにA社の食品に関するバナー広告が表示されたような経験は誰にでもあるだろう。これがサードパーティCookieだ。

このように、異なるサイトを訪問したときに以前閲覧したサイトのバナー広告が表示されているような場合、その広告は当該サイトのドメイン以外から配信されていて、ここで発行されるCookieはサードパーティCookieである。
サードパーティCookieはこうした広告配信のほかにも、あるサイトAから別のサイトBに移動した人数を計測するなど、マーケティングに使えるさまざまなトラッキングデータの収集に活用されている。

しかし、サードパーティCookieは複数のサイトを跨いでユーザーのアクセスデータを収集する能力があるため、見方によってはまるで広告に追いかけられているようで不快に感じるという人もいる。
事実、サードパーティCookieはプライバシー保護の観点から規制すべき、といった議論がアメリカから起こっていて、日本でもこれに同調する動きがある。

また、すでにプラットフォームベンダーでは、実際にそのための技術も開発している。
例えばApple社の製品に組み込まれているブラウザーである「Safari」は、ITP(IntelligentTrackingPrevention)と呼ばれる技術によって、徐々にサードパーティCookieの働きを大きく制限あるいは無効化・削除するようにしてきていた。
ITPはすでに複数回アップデートがされていて、アップデートのたびに規制が強化されてきたが、ついに2020年3月に公開されたバージョンのITPでは、例外なくあらゆるサードパーティCookieをブロックするようになっている。

また、GoogleChromeを提供するGoogle社も2020年1月にChromeブラウザーにおけるサードパーティCookieのサポートを廃止すると発表している。同時に新しいトラッキング方法としてプライバシーを保護したうえでデータを扱うことができる技術の1つである「PrivacySandbox」への取り組みが進められていると公表されていることから、トラッキングという手法そのものが否定されているわけではないが、サードパーティCookieを規制しようという動きはプラットフォームベンダーを中心にこれからも進んでいくと考えられるのだ。

関連記事
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図:Cookieの仕組み

Cookie以外のトラッキング技術

ここまでCookieについて解説をしたが、Cookie以外にもトラッキング技術は存在し、組み合わせて用いられる場面も多い。Cookie以外のトラッキングの仕組みについて見ていこう。

ブラウザーフィンガープリント

フィンガープリントとは、「指紋」のことで、ITの世界における「指紋」とは、ユーザーが使用しているデバイスを特定するためのデータや技術のことを指す。
ブラウザーフィンガープリントはブラウザーを通じて得られる情報からハッシュ化することで、ユーザーを特定する技術だ。

ブラウザーフィンガープリントで識別する情報は大きく分けて以下の3種類になる。ただし、実際には組み合わせる技術などによってその内容は異なるので、ここで紹介するのはあくまで代表的な例であることをお断りしておく。

・ブラウザーフィンガープリントで識別できる情報
◇使用しているOS、ブラウザーの設定言語・バージョンなど、そのデバイスで利用しているソフトウェアに関する情報
◇CPUの情報、スピーカーやマイクの数、スクリーンサイズなど、そのデバイスのスペックに関する情報
◇IPアドレスや直前に見ていたページのURLなど、そのデバイスのネットワークに関連する情報

これを見ておわかりの通り、ブラウザーフィンガープリントで識別する情報はデバイス(ブラウザー)に関する情報であり、個人を特定するものではない。
それでもサードパーティーCookieに対する規制が厳しくなった近年では、トラッキングにおけるCookieに代わる代替方法としてフィンガープリントは注目を集めている。

スマートフォンアプリが行うトラッキング

スマートフォンにアプリをインストールする際に、連絡先や位置情報などさまざまな端末情報へのアクセス許可を要求される場合が多い。アクセスを許可された情報をもとに、スマートフォンアプリを介してユーザーを常にトラッキングすることが可能となっている。

広告ID(広告識別子)

モバイル端末を識別するための特定のIDを広告ID(広告識別子)と呼ぶ。
広告IDはプラットフォームごとに生成されており、AppleのiOS端末では「IDFA」と呼ばれる広告IDが使用され、Android端末では「AAID」という広告IDが利用されている。この2種類はアプリ間での共通のIDだが広告配信のためだけに使うことが認められている。
広告IDをトラッキングに活用すれば、端末単位で情報を追跡できるため、ユーザーを細かく設定した広告戦略などを行うことができる。

トラッキングの計測方法

また、トラッキングに利用される計測方法は、「ダイレクト計測」と「リダイレクト計測」の2つに大別されるので、これも押さえておこう。

ダイレクト計測

Webサイトのページ内に設置した計測タグが読み込まれるごとに、1クリックとしてカウントするという計測方法がダイレクト計測だ。
これはGoogleのサービスであるGoogleアナリティクスやAdWordsで採用されている計測方法である。後述するリダイレクト計測と異なり、サーバーを用意する必要がないため、コストを抑えることができることと、外的要因での不具合が少ないことがメリットといえる。

反面、タグを読み込んだ後にカウントがされるためタイムラグが発生する場合があることと、カウントしたいページのすべてに計測タグを設置する必要があるという工数の多さがデメリットだ。

リダイレクト計測

ランディングページに遷移する前にトラッキング用のサーバーを設置し、これを経由した際に、1クリックとしてカウントされる計測手法がリダイレクト計測だ。
タイムラグの少なさがメリットである反面、サーバーを介するのでトラッキング用のサーバーにトラブルが生じると計測不能になる場合があることと、サーバーの設置にコストが発生するというデメリットもある。

これら2つの計測方法はどちらが優れているということではなく、運用するサイトの用途や運用媒体の状況などに応じて選択することが望ましいといえる。

関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説

トラッキングを利用するメリット

次に、トラッキングを実施することのメリットについて、ユーザー側と企業側・Webマーケティングの観点からそれぞれ見ておこう。

ユーザー側から見たメリット

トラッキングがもたらすユーザーにとってのメリットは、大きく分けて次の2つだ。

利便性の向上

前述の通り、Webサイトを訪問するたびにログイン情報を最初から入力しなければならないという状況はユーザーにとって面倒でストレスフルだ。ファーストパーティーCookieを用いれば、自動でログインするようにできるためこうしたストレスをなくすことができる。

興味にマッチした広告が表示される

インターネットを閲覧している時に表示される広告が、ユーザー自身の興味や関心を反映していれば有益な情報となることもメリットといえるだろう。頻出すれば煩わしく思うかもしれないが、トラッキング技術により、基本的に「自分の趣味・嗜好にマッチしている広告」が表示されるので、まだ自分の知らなかったより良い製品やサービスに関する情報を得るチャンスであるという側面もあるのだ。

運営側から見たメリット

一方、企業やWebマーケティングを行う運営側から見たメリットは以下の2つだ。

マーケティングに役立てられる

Cookieをはじめとしたトラッキング技術を活用することよって、企業は管理しているサイトに訪問したユーザーがどのようなページを見て、どういった行動を起こしているのかといった詳細な情報を容易に入手することができる。GoogleアナリティクスなどのWebサイトの分析ツールを使ったマーケティングもトラッキング技術によって支えられているのだ。

リターゲティング広告の配信ができる

他のサイトを訪問している自社とマッチ度の高いユーザーへ対して自社の広告配信をすることができるリターゲティング広告はトラッキングによって実現されている。特に、年齢・性別・購買傾向などの細かいセグメント化をもとにしたマーケティングを行っている企業にはトラッキングのメリットが大きいといえる。

トラッキングを利用するデメリット

一方、トラッキングにはデメリットもあるのでこれも押さえておきたい。
メリットと同様にユーザー側と企業やWebマーケティングを行う側からの観点で見ていこう。

ユーザー側から見たデメリット

トラッキングがもたらすユーザーにとってのデメリットは以下の2つだ。

セキュリティリスクがある

会社や組織でパソコンを共有する場合に、Cookieに保存されている情報が自分以外の利用者に盗まれ、これを不正利用される、などといった大きなセキュリティリスクが生じることが考えられる。

自身の行動が監視されている不快さ

トラッキングは便利であるとともに、常に自身の行動データをもとにした広告表示やコンテンツの配信が行われるため、自身の行動が監視されているようで不快になることも考えられる。このため、後述するようにWebブラウザーの設定から追跡をブロックしたり、定期的にCookie情報を削除するなどの対策を施すことが必要となる。

運営側から見たデメリット

トラッキングを行うことによって企業やWebマーケティングを行う側に影響を与えるデメリットは以下の2点だが、どちらもユーザー側のデメリットの裏返しだといえる。

セキュリティリスクの増加

トラッキングを利用している時に気をつけなければならないセキュリティリスクとして、「セッションハイジャック」があげられる。
セッションとはWebサーバーとブラウザー間で交わす一連の通信処理のことだ。セッションハイジャックとはこの通信に関わる識別情報(セッションID)を盗み出し、ユーザーになりすまして不正アクセスを行うサイバー攻撃の総称だ。

セッションIDが盗み出されると、なりすましだけでなく、ユーザーとサーバーのやり取りを推測され、Webサイト内にある住所や氏名、クレジットカード番号などの個人情報が流出する事態にもなりかねない。

過度のリターゲティング広告が反感を招く

サードパーティーCookieを用いたリターゲティング広告は、ディスプレイ広告の中でも反響率が高いため採用している企業は多い。しかしユーザー側から見れば、しつこいと感じたり、監視されていると感じるなど不愉快な思いを抱きかねない手法でもある。インターネット広告の市場が大きくなる一方で、過度な広告表示に辟易しているユーザーも増加している。サードパーティーCookieへの依存は脱却すべき時に来ているようだ。

画像:トラッキングを利用するメリットとデメリット

トラッキングを拒否する設定とは

トラッキング活用のコツ

ユーザー側がトラッキングを活用するコツは、過度なトラッキングを防ぎ、快適さとのバランスを保つということに尽きる。
トラッキングは上手に活用すれば、インターネットユーザーにとっての利便性向上に寄与し、広告主にもマーケティング効果をもたらす。しかし、過剰なトラッキングは個人情報の流出やなりすましなど不正利用の温床にもなりかねない。
ユーザー側でトラッキングを拒否したりコントロールしたりするには次のような方法がある。

トラッキングを拒否する設定

トラッキングを拒否する設定についてデバイスごとに解説しよう。

端末ごとにプライバシー設定を行う

PCやスマホなど使用している端末やブラウザーで、それぞれプライバシーに関する設定ができるようになっているため、トラッキング拒否をオンにすることで、トラッキングをコントロールすることができる。

ツールの導入

現在は広告をブロックするツールも数多くある。そうしたツールの中には、広告の非表示機能とともにトラッキングをブロックする機能を持つものもあるのでこれを活用するのもトラッキング拒否には有用だ。
ただし、トラッキングのコントロールには有効な手段であるが、数が多いため信頼できるツールを厳選する必要があるので注意したい。

関連記事:広告ブロックの解説と最新のおすすめのコンテンツブロッカーを解説

以上、トラッキングについて解説してきたが、企業がトラッキングによって取得したデータをマーケティングで十分に活用するには、事前に目的をしっかりと明確化にしておくことが重要となる。例えば「コンバージョンしたユーザーの流入経路を調べるため」という設定などが考えられる。
一方ユーザー側ではトラッキングの持つ快適さ、便利さを失うことなく、プライバシーを守りセキュリティーを向上させる設定方法を理解することで、トラッキングを上手にコントロールすることができるようになるだろう。

まとめ

・インターネット広告費が4大媒体の広告費を超えた現在にあっては、Webマーケティングでは、トラッキングを積極的に活用し、ユーザーの行動を正確に把握して施策や広告改善につなげることがますます重要となっている。特にBtoB分野におけるWebマーケティングを展開するにはトラッキングは不可欠な要素だといえる。

・トラッキングを活用することにより、ユーザー側には情報入力の自動化・簡略化によるストレスの低減や、自分の趣味・嗜好にマッチしている広告が表示されるので、自分の知らなかったより良い製品やサービスに関する情報を得るチャンスが得られるなどのメリットがある。一方で、ユーザー側、企業側ともにセキュリティリスクが高まり、個人情報流出の可能性があるというデメリットも存在する。

・メリットもデメリットもあるトラッキングだが、そのバランスをどう取るかは企業側ではマーケティング施策の柱としてしっかりと策定しておくべきだ。ただし、ユーザー側もその役割と仕組みを理解し、適切に対処する必要がある。常にプライバシーやアプリの権限許可に関する設定を見直すなどの対処をしながらトラッキングを上手に活用することが、インターネットをより快適に、より安全に利用することにつながるに違いない。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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