この記事では、マーケティング部門が創出したリード(MQL)から確度の高い商談を生み出すための具体的な手法を解説します。その前段にある「商談」や「商談化率」の定義と基本から、リードの質を見極める「BANTC」というフレームワーク、そして営業部門との連携までを網羅します。
この記事を読めば、なぜ「商談の質」へのこだわりが組織の成長に不可欠なのか、その理由と実践方法が明確にわかるはずです。
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目次
はじめに:なぜ「商談の質」にこだわることが組織の成長を加速させるのか
多くのBtoB企業では、「リード数は目標を達成しているのに、受注が伸び悩んでいる」という課題に直面しています。この背景には、マーケティング活動が「件数の積み上げ」に偏り、営業現場での成約プロセスとの乖離が生じているという実態があります。
もちろん、母数となるリードの獲得は依然として重要ですが、市場が成熟した現代では、獲得したリードをいかに「質の高い商談」へ引き上げるかという「変換効率」が、組織全体の生産性を左右する鍵となっています。
成果直結型のマーケティングへ:調査が示す「質」へのシフト
かつてのBtoBマーケティングは、セミナーや広告を通じて広くリードを獲得することに主眼が置かれていました。しかし、顧客が自らオンラインで情報を収集・比較できるようになった現在、画一的なアプローチで獲得した大量のリードは、時に営業部門の過度な負荷となり、重要な商談機会を埋没させてしまうリスクも孕んでいます。
株式会社シーラベルが2025年11月~12月に行った調査(BtoBマーケ実態調査2026)によれば、企業が重視するKPI(重要業績評価指標)に明確な変化が現れています。
- 1位:受注数・金額(33.3%) … 前年比 +3.2pt
- 2位:案件化数(25.5%) … 前年比 +4.7pt
- 3位:新規リード数(20.6%) … 前年比 -4.6pt
この結果は、BtoBマーケティングが「リード数至上主義」から脱却し、より事業貢献に直結する「商談・案件の質」を問うフェーズへ移行していることを示唆しています。
出典リンク:【シーラベル、BtoBマーケ関連企業16社と共同調査】BtoBマーケ実態調査2026ー「脱リード偏重」「LLMO」「リアル回帰」の3つの注目動向 | 株式会社シーラベルのプレスリリース
「量」と「質」のバランスがもたらす組織への影響
単に「量」を追うアプローチと、成約を見据えた「質」重視のアプローチでは、組織に以下のような違いが生まれます。
| 比較軸 | 「量」を重視するアプローチ | 「質」を重視するアプローチ | 最適なバランスの視点(一例) |
| 主なKPI | リード獲得数、アポ数 | 商談化率、受注率、LTV | フェーズに応じたKPIの多層化 |
| 営業活動 | 確度の低い相手にも当たるため疲弊しやすい | 確度の高い相手に集中し、提案の質を深められる | 潜在層への「種まき」と、今すぐ客への「集中」の分離 |
| 顧客体験 | 画一的な情報提供になりがち | 個別の課題に寄り添った解決策の提示が可能 | 顧客の検討段階(フェーズ)に合わせた情報提供 |
| 組織の影響 | 部門間の「質の不満」による対立が起きやすい | 共通の「受注」目標に向かい、連携が強固になる | 成功事例を共有し、マーケ・営業の共通言語を作る |
【留意事項】
上記の比較は、戦略的な優先順位を整理するための一例です。「量(認知・リード獲得)」は、将来の「質」を生み出すための源泉であり、決して不要になるものではありません。「今すぐ客」だけを追い求めると、数ヶ月〜1年後のパイプラインが枯渇するリスクがあるからです。
重要なのは、自社の事業成長フェーズや商材の特性に合わせ、「将来の案件を作る種まき(量)」と「直近の受注を作る施策(質)」の配分を最適化し続けることです。
分業から「共創」へ:部門間の壁を溶かす情報の循環
「質の高い商談」は、マーケティング部門だけで完結できるものではありません。従来の「マーケティングはリード獲得まで」「営業は商談以降」といった、境界線を引いた分業体制(サイロ化)を見直す時期に来ています。
この固定化された分業制は、効率を追求する一方で、「質の低いリードばかりだ」「フォローが後手に回っている」といった部門間の責任転嫁や、共通目標の喪失を招く要因にもなり得ます。
これからのBtoB組織に求められるのは、マーケティングと営業が互いの領域に踏み込み、顧客という共通のゴールに向かってプロセスを同期させる「共創」の体制です。
関連資料:マーケと営業の対立にサヨナラ!商談化率を劇的に上げる「ホットリード」の共通定義と引き継ぎガイドブック
質の高い商談を生む「双方向」の連携イメージ
| 部門 | 役割の変化と提供価値 | 具体的なアクション例 |
| マーケティング | 「確度の高い商談」の設計 | 営業現場の「失注理由」や「顧客の生の声」を分析し、コンテンツ制作やターゲット選定の精度を向上させる |
| 営業 | 「データの武器化」による提案 | マーケティングが蓄積した「Web行動履歴」や「関心事項」を事前に把握し、顧客一人ひとりに最適化された商談シナリオを構築する |
このような部門間の壁を超えた「情報のループ(循環)」こそが、確度の高い商談を継続的に生み出し、変化の激しい市場で勝ち抜くための強力なエンジンとなります。
【戦略的な視点として】
分業そのものを否定するのではなく、「役割の専門性」を維持しつつ「情報の不透明性」を排除することが重要です。マーケティングから営業へパスを渡して終わりにするのではなく、商談の結果をフィードバックし、次の施策に即座に反映させる。この「フィードバック・ループ」の速さと精度こそが、中長期的な組織の競争力へと直結します。
【超基本】「商談」の定義と「商談化率」の正しい捉え方
この章では、マーケティング活動の成果を測り、営業プロセスを改善していく上で土台となる「商談」の定義と、その効率を示す「商談化率」について、BtoBビジネスにおける基本的な考え方を解説します。
「商談」とは何か
まず認識を合わせるべき最も重要な点は、「商談」は単なる「アポイントメント(訪問や面談の約束)」ではないということです。マーケティング部門と営業部門が連携して成果を最大化するためには、どのような状態のリードを「商談」と呼ぶのか、明確な基準を設けて共有する必要があります。
関連記事:【超基本〜実践テク】アポイントとは?テレアポ・営業・マーケターも知っておきたい基本とマナー、取り方、メール例文

一般的に、BtoBマーケティングにおける「商談」とは、次の要素を満たした状態を指します。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 課題・ニーズの顕在化 | 顧客が自社の課題を認識しており、その解決策を探している状態。 |
| 解決策の提示 | 自社の製品・サービスが、その課題を解決できる具体的な手段として提案できる段階。 |
| 担当者の関与 | 製品・サービスの導入検討に関わる担当者(情報収集者、利用者、決裁者など)との対話の機会が設定されている状態。 |
例えば、単にWebサイトから資料をダウンロードしただけのリードや、情報収集目的の問い合わせに対してアポイントが取れたとしても、それはまだ「商談」とは呼べません。インサイドセールスなどが介在し、顧客の具体的な課題や検討状況をヒアリングした上で、自社サービスによって顧客の課題解決が見込める具体的な話し合いの場となって初めて「商談」と定義できるのです。この定義を組織全体で統一することが、後の章で解説するMQLの精度向上や、部門間連携の第一歩となります。
商談化率の計算式と重要性
「商談化率」とは、獲得した見込み客(リード)のうち、どれだけの割合が質の高い「商談」に繋がったかを示す指標です。 この数値は、マーケティング施策やインサイドセールス活動の有効性を測るための重要なKPIとなります。
商談化率は、以下のシンプルな計算式で算出します。
商談化率(%) = (商談数 ÷ リード数) × 100
例えば、ある月に開催したウェビナーから100件のリードを獲得し、そのうち10件が商談に至った場合、このウェビナー経由の商談化率は10%となります。
この商談化率を正しく計測することには、主に3つの重要な意味があります。
- マーケティング施策の成果測定
広告、SEO、展示会、ウェビナーといった各施策からどれだけ質の高いリードが生まれているかを評価できます。商談化率が低い施策は、ターゲット設定やメッセージングに問題がある可能性を示唆します。 - 営業プロセスのボトルネック特定
全体のリード数は多いのに商談化率が低い場合、リードの質そのものに課題があるのか、あるいはリードを商談に繋げるインサイドセールスのアプローチに改善点があるのか、といった分析が可能になります。 - 売上予測の精度向上
商談化率を把握することは、将来の受注数や売上を予測する上で不可欠な指標です。商談化率、そしてその先の案件化率や受注率をデータとして蓄積することで、より精度の高い事業計画の立案に繋がります。
このように、商談化率は単なる中間指標ではなく、マーケティングから営業までの一連の活動が健全に機能しているかを示すバロメーターの役割を果たします。
MQLの精度を極める「BANTC」フレームワーク

この章では、数あるリードの中から確度の高い商談を生み出すために不可欠な「BANTCフレームワーク」について掘り下げていきます。BANTCは、個々のリードが持つ情報を体系的に整理し、アプローチの優先順位を判断するための思考の型です。
このフレームワークを正しく活用することで、マーケティング部門から営業部門へ引き渡すMQL(Marketing Qualified Lead)の質を飛躍的に高め、組織全体の生産性向上に繋げることができます。
関連記事:BANT(BANT条件)をBtoBにおける営業活動に活用するには?
B(Budget):予算
BtoBの取引において、予算の確認は避けて通れない重要なステップです。単に予算の有無を尋ねるだけでなく、その背景にある顧客の投資対効果への期待や、予算確保のプロセスを理解することが、質の高い商談への第一歩となります。 予算が未定の場合でも、課題解決によって得られる利益を提示し、予算化を支援する姿勢が信頼関係を築きます。
| 確認すべきポイント | ヒアリング質問例 |
|---|---|
| 予算の確保状況と金額感 | 「今回のプロジェクトにご用意されているご予算は、どの程度を想定されていますでしょうか?」 |
| 過去の関連投資実績 | 「同様の課題解決のために、これまでどのような投資をされてきましたか?」 |
| 予算決定のプロセスと時期 | 「予算の承認は、どの部署で、いつ頃行われるご予定でしょうか?」 |
A(Authority):決裁権
商談の相手が必ずしも最終決裁者であるとは限りません。特に法人営業では、複数の役職者が意思決定に関与することが一般的です。 そのため、商談の初期段階で決裁フロー全体を把握し、誰がキーパーソン(最終決裁者、導入推進者、利用者など)なのかを特定することが、商談の停滞や後戻りを防ぐ鍵となります。 決裁者や関連部署のメンバーを巻き込みながら商談を進める意識が重要です。
関連記事:商談を成功に導く鍵は【決裁権】キーパーソンを見極め、勝率を劇的に上げる戦略
| 確認すべきポイント | ヒアリング質問例 |
|---|---|
| 最終決裁者の特定 | 「最終的にご導入を決定されるのは、どなた様になりますでしょうか?」 |
| 意思決定のプロセス | 「稟議のプロセスについてお伺いできますでしょうか?関連する部署はございますか?」 |
| 担当者の役割と影響力 | 「〇〇様は、今回のプロジェクトにおいてどのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか?」 |
N(Needs):必要性
顧客が抱える「Needs(必要性)」の解像度を高めることは、BANTCの中でも特に重要な項目です。これは、一人の顧客を深く理解することで普遍的なニーズを見出す「N1分析」の考え方にも通じます。 顧客が口にする顕在的なニーズだけでなく、対話を通じてその背景にある本質的な課題や、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出すことが、他社との差別化を図り、付加価値の高い提案を可能にします。
関連記事:N1分析でわかる!本当の「選ばれる理由」と「失注理由」。なぜ1人の顧客の深掘りで勝ち筋が見えるのか
| 確認すべきポイント | ヒアリング質問例 |
|---|---|
| 現状の課題と発生原因 | 「現在、どのような点に最も課題を感じていらっしゃいますか?その原因は何だとお考えですか?」 |
| 課題解決後の理想の状態 | 「その課題が解決されることで、どのような状態になるのが理想でしょうか?」 |
| 解決策に求める要件 | 「私どものようなサービスに、最も期待されることは何でしょうか?」 |
T(Timeframe):導入時期
「いつまでに導入したいか」という導入時期は、案件の優先度を測る上で直接的な指標となります。 しかし、単に時期を尋ねるだけでは不十分です。なぜその時期に導入する必要があるのか、その背景にある事業計画や外部環境の変化といった「導入のトリガー」を把握することで、より緊急性に即したアプローチが可能になります。 導入が遅れた場合のリスクを顧客と共有することも、検討を促進する上で効果的です。
| 確認すべきポイント | ヒアリング質問例 |
|---|---|
| 具体的な導入希望時期 | 「ご導入の時期につきましては、いつ頃をお考えでいらっしゃいますか?」 |
| 導入を検討する背景・きっかけ | 「今回、ご検討を開始されたきっかけや背景についてお聞かせいただけますでしょうか?」 |
| 導入までのスケジュール感 | 「ご導入を決定されるまでの、おおよそのスケジュール感を教えていただけますか?」 |
C(Competitor):競合
競合の存在を把握することは、自社の立ち位置を客観的に理解し、戦略的な提案を行うために不可欠です。ここで言う競合とは、同業他社だけを指すわけではありません。「内製(自社で対応する)」「何もしない(現状維持)」といった選択肢も強力な競合と捉え、自社サービスを導入することの優位性を明確に伝える必要があります。 どの競合と比較検討しているかを知ることで、自社の強みを的確にアピールできます。
| 確認すべきポイント | ヒアリング質問例 |
|---|---|
| 競合他社の検討状況 | 「私どもの他に、比較検討されているサービスはございますか?」 |
| 他社サービスの評価 | 「他のサービスについては、どのような点を評価されていますでしょうか?」 |
| 現状の代替手段 | 「現在、この課題に対しては、どのように対応されていらっしゃいますか?」 |
以上のフレームワークを正しく活用することで、マーケティング部門から営業部門へ引き渡すMQLの質を飛躍的に高めることができます。
ただし、BANTC条件が揃っていないリード=「価値がない」というわけではありません。現時点で予算や時期が未定であっても、中長期的な「種まき」の対象として適切に管理・育成することが、将来の安定した受注基盤を作ります。
関連記事:決裁権を持たない担当者(橋渡し役・味方・擁護者)との商談戦略
確度の高い商談を作る「リードの循環」:MQL・SQL・営業独自開拓の連携

獲得したリード(見込み客)を点で捉えるのではなく、組織全体で連携し、価値を最大化していく「循環」の仕組みを構築することが、持続的な成長には不可欠です。この章では、マーケティング部門が創出するMQLから、営業部門が対応するSQLへの連携、そして一度商談に至らなかったリードの再育成まで、確度の高い商談を生み出し続けるための具体的なプロセスを解説します。
MQLからSQL(Sales Qualified Lead)への昇華
マーケティング活動によって創出されたリードがMQL(Marketing Qualified Lead)です。 これに対し、営業部門がアプローチすべきだと判断した、より具体的な商談見込みのあるリードをSQL(Sales Qualified Lead)と呼びます。 MQLをSQLへと昇華させるプロセスは、商談化率を大きく左右する重要な分岐点です。
この引き渡しを成功させる鍵は、マーケティング部門と営業部門間での明確な基準設定にあります。前の章で解説した「BANTC」のようなフレームワークを用いて、「どのような状態のリードをSQLとするか」という共通認識を形成することが不可欠です。
一般的に、このプロセスはインサイドセールス部門が担い、MQLに対して電話やメールでアプローチし、課題やニーズをヒアリングすることで、リードの質を見極めるリードクオリフィケーションを行います。
| 項目 | MQL(Marketing Qualified Lead) | SQL(Sales Qualified Lead) |
|---|---|---|
| 定義 | マーケティング活動で創出された見込み客 | 営業がフォローすべきと判断した見込み客 |
| 状態 | 自社サービスへの関心を示している段階 | 具体的な課題や導入意欲が顕在化している段階 |
| 主な担当部署 | マーケティング | インサイドセールス/営業 |
| 次のアクション | インサイドセールスによるヒアリング・質の見極め | フィールドセールスによる商談設定・具体的な提案 |
営業独自開拓(アウトバウンド・紹介)とのシナジー
マーケティング部門からのMQLを待つだけでなく、営業部門が独自に行うアウトバウンドでの新規開拓や、既存顧客からの紹介も、質の高い商談機会を生み出す重要なチャネルです。これらインバウンドとアウトバウンドの活動を連携させることで、相乗効果が生まれます。
例えば、マーケティング部門はMQLの傾向(業種、企業規模、役職など)を分析し、そのデータに基づいて営業部門がアプローチすべきターゲット企業のリストを作成します。営業部門はそのリストに対して戦略的なアウトバウンドコールを行うことで、効率的に類似のニーズを持つ潜在顧客へアプローチできます。
逆に、アウトバウンドで接点を持ったものの、まだ検討時期が先であるリードをマーケティング部門に引き渡し、メルマガやセミナー案内で継続的に関係を構築することも有効です。
成功の鍵は、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)といったツールを活用した、部門間のスムーズな情報共有体制の構築にあります。
関連記事:インバウンド営業とは?手法やメリット、アウトバウンド営業との違いを解説!
商談に至らなかったリードのリサイクル(再育成・ナーチャリング)
一度はSQLと判断されなかったリードや、商談後に失注してしまったリードを「確度ゼロ」として放置してしまうのは、大きな機会損失です。
BtoBビジネスにおけるリード獲得は、いわば「未来の市場を耕す行為」です。今はタイミングが合わないだけのリードも、適切な情報を届け続けることで、数ヶ月後には自社にとって替えの利かない「質の高い商談」へと成長します。こうしたリードを再び育成し、将来の商談機会へと繋げる活動が「リードナーチャリング(再育成)」です。
MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用し、リードの行動に応じて適切な情報を提供し続けることが、リードナーチャリングを成功させるポイントです。 具体的な手法には以下のようなものがあります。
- ステップメール:顧客の検討フェーズに合わせて、段階的に有益な情報をメールで自動配信する。
- ウェビナーへの招待:関連テーマのオンラインセミナーを開催し、参加を促す。
- ホワイトペーパーの案内:課題解決に役立つ新たな資料を提供し、ダウンロードを促す。
これらの活動を通じてリードの関心が再燃したタイミング(例:ウェブサイトへの再訪問、料金ページの閲覧など)を検知し、再びインサイドセールスや営業がアプローチすることで、一度は途切れた関係を価値ある商談へとリサイクルさせることが可能になります。
商談化率を底上げする「入り口(媒体)」の質
ここまでの章で、MQLの質を見極める「BANTC」フレームワークや、リードを循環させ価値を最大化する仕組みについて解説してきました。しかし、どれだけ優れた仕組みを構築しても、そもそもリードを獲得する「入り口」、すなわち媒体の質が低ければ、確度の高い商談には結びつきにくいという課題に直面します。
この章では、商談化率を根本から改善するために、リード獲得の「入り口」となる媒体の質になぜこだわるべきなのか、その重要性を解説します。
情報の正確性が「C」の対策を左右する
BANTCフレームワークにおける「C(Competitor):競合」の分析は、顧客が自社製品を他社と比較検討している段階で特に重要です。顧客は多くの場合、一つの情報源だけでなく、複数の媒体を横断して情報を収集します。その際、媒体に掲載されている自社の製品情報が古かったり、不正確だったりすると、意図せず競合に対して不利な状況を生み出してしまいます。例えば、料金プランや機能が古い情報のままでは、現在の競合製品と比較された際に魅力が半減してしまうでしょう。信頼できる媒体を選び、常に最新かつ正確な情報を発信し続けることは、顧客が比較検討を始めた初期段階で、機会損失を防ぐための不可欠な防御策なのです。
「HRプロ」を活用するメリット
それでは、質の高いリードを獲得するためには、具体的にどのような媒体を選べばよいのでしょうか。一つの有効な選択肢が、特定の業界や職種に特化した「業界特化型メディア」の活用です。
ここではその一例として、人事領域に強みを持つ当社の「HRプロ」のような媒体を活用するメリットを解説します。
当社のHRプロをはじめとした職種・業界特化型メディアには、特定の課題意識を持つユーザーが能動的に情報を求めて集まるという大きな特徴があります。 そのため、一般的な媒体と比較して、獲得できるリードの質が元々高い傾向にあります。 これが商談化率の向上に直結することは言うまでもありません。
特化型メディアを活用する具体的なメリットは、以下の表のように整理できます。
| メリット | 具体的な内容 | 商談化率への貢献 |
|---|---|---|
| リードの質が高い | 特定の課題(例:人事評価制度の見直し)を持つユーザーが情報を探しているため、ニーズが明確。 | BANTCの「N(Needs):必要性」が初期段階から高く、質の高いMQLとなりやすい。 |
| 専門性による信頼獲得 | 専門メディアに掲載されていること自体が、第三者からの評価となり、企業やサービスの信頼性を補強する。 | 顧客の安心感につながり、商談のテーブルにつきやすくなる。 |
| 効率的なアプローチ | ターゲットが絞られているため、広告やコンテンツ投下の費用対効果が高い。 | 無駄なアプローチが減り、営業リソースを確度の高いリードに集中できる。 |
もちろん、これは「HRプロ」に限った話ではありません。自社のターゲット顧客がどの媒体に集まり、どのような情報を求めているのかを見極め、質の高いリードが集まる「入り口」を戦略的に選定することが、商談化率を根本から改善する鍵となります。
まとめ:確度の高い商談が、強いチームを育てる
本記事では、MQLから確度の高い商談を生み出すための具体的な手法について、BANTCフレームワークやリードの循環といった観点から解説してきました。商談化率という指標の先にある「商談の質」にこだわることは、顧客への深い理解に繋がります。この顧客理解に基づいた活動の積み重ねこそが、強いマーケティング・営業チームを育て、組織全体の持続的な成長を牽引していくのです。


