リードを供給するマーケティングと、供給されたリードを商談に変化させ、最終的に受注につなげるセールスは、それぞれ異なる役割を果たします。両者は対立的な関係になりがちですが、本来は売上への貢献という共通の目標を持っているはずです。今回は、売上の最大化を目指すマーケティングとセールスの連携ポイントについて詳しくご紹介します。
マーケティングとセールスは、企業の収益を生み出す重要な機能です。しかし、両者の連携が上手くいかないと、せっかくの努力が無駄になってしまう可能性があります。そこで、両者の強みを最大限に活かし、効果的に連携させる方法が求められています。
本記事では、マーケティングとセールスの連携、いわゆる「スマーケティング」の概念や重要性、そして具体的な連携ポイントについて解説します。これらの知識を活用することで、より効果的な営業戦略を構築し、企業の成長につなげることができるでしょう。
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目次
マーケティングとセールスが連携するスマーケティング
マーケティングとセールスが連携することをスマーケティング(Smarketing)と言います。マーケティング(Marketing)とセールス(Sales)を組み合わせた造語です。
マーケティングとセールスは売上達成という本来、同じ目標を掲げ、それぞれの役割を果たします。マーケティングはターゲット企業に対してあらゆる施策を打って見込み顧客を獲得し、セールスは見込み顧客と商談を行い、コミュニケーションを取りながら受注につなげます。
見込み顧客がなければセールスは商談を行うことができませんし、受注を獲得できなければマーケティング施策は意味がありません。売上の最大化にはマーケティングとセールスの連携が必要不可欠です。
このような連携を通じて、両部門は互いの強みを活かし合い、より効果的な顧客獲得と売上向上を実現することができます。マーケティングは市場動向や顧客ニーズの分析に長けており、セールスは個々の顧客との直接的なコミュニケーションに強みがあります。これらの特性を組み合わせることで、より精度の高い顧客アプローチが可能となります。
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スマーケティングのメリット
スマーケティングを実践することで、企業は多くの恩恵を受けることができます。主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
まず、マーケティングとセールスの強みを最大限に活かすことが可能になります。両部門の特性を生かし、互いの弱点を補完し合うことで、より効果的な顧客アプローチが実現できます。
次に、業務効率の大幅な向上が見込めます。マーケティングとセールスが密接に連携することで、重複した作業や無駄なコミュニケーションを削減し、それぞれの本来の役割に集中できるようになります。
最後に、新たなアイデアの創出と改善サイクルの加速が期待できます。両部門間で情報や知見を共有することで、より革新的な戦略や施策を生み出すことができ、市場の変化にも迅速に対応することが可能になります。
これらのメリットは、企業の競争力を高め、最終的には売上の最大化につながる重要な要素となります。
①マーケティングとセールスの強みが活かせる
マーケティングは業務の特性上、パソコン上での作業が多く分析がメインとなり、分析から得られた結果やインサイトをセールス活動に活かすことができます。しかし、セールスと比べると顧客の接点量は少なく、顧客の解像度は低くなりがちです。
顧客と頻繁に接点を持つセールスは顧客の解像度は高く、製品・サービスに対するニーズなどの顧客情報をマーケティングへ定期的に共有することで、マーケティングの顧客解像度を上げることができます。
このように両者の強みをマーケティング・セールス活動に活かすことで、見込み顧客を増やしたり、商談化率を高めたりすることができます。さらに、マーケティングとセールスが互いの強みを理解し、それぞれの専門性を尊重することで、より効果的な連携が可能となります。
例えば、マーケティングが収集したデータや市場トレンドをセールスと共有することで、セールスは顧客との会話をより深く、的確に進めることができます。一方、セールスが得た顧客の生の声や具体的なニーズをマーケティングにフィードバックすることで、マーケティングはより精度の高いターゲティングや効果的なコンテンツ作成が可能となります。
このような相互補完的な関係を築くことで、顧客への価値提供が最大化され、結果として売上の向上につながります。
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②業務効率が上がる
そもそも、マーケティングとセールスは売上最大化を目指すために分業しています。マーケティングは見込み顧客の獲得や育成、セールスは案件化やクロージングに集中します。この分業体制により、それぞれが専門性を発揮し、効率的に業務を遂行できます。
マーケティングとセールスの連携が強化されれば、余計な情報収集やコミュニケーションが不要となり、それぞれの業務に集中することができ業務効率アップにつながります。例えば、マーケティングが獲得した質の高いリードをセールスに引き継ぐことで、セールスは商談の準備時間を短縮し、より多くの見込み客にアプローチすることが可能になります。
また、両部門間で情報共有が円滑に行われることで、重複作業や無駄な調査を削減できます。これにより、リソースを有効活用し、より戦略的な活動に時間を割くことができるようになります。結果として、組織全体の生産性向上につながり、最終的には売上増加に貢献することが期待できます。
③新しいアイデアが促進され、改善サイクルを早められる
顧客の業種業態や企業規模などの属性や、担当者の部署、名前、連絡先などの名刺情報はマーケティングからセールスへ流れますが、顧客の置かれている環境や抱えている課題、ニーズなどの商談情報はセールスからマーケティングへ流れます。
マーケティングとセールスの連携がスムーズであれば、情報の共有もスムーズです。そのため、マーケティングは顧客像を最新の状態で維持することができ、施策にも即座に反映することができます。この双方向の情報流通により、新たな視点やアイデアが生まれやすくなります。
さらに、セールスからのフィードバックを迅速に取り入れることで、マーケティング施策の効果測定や改善のサイクルを加速させることができます。これにより、市場の変化や顧客ニーズの変化に対して、より柔軟かつ迅速に対応することが可能となります。
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マーケティングとセールス連携ポイント
マーケティングとセールスの効果的な連携は、企業の売上最大化に不可欠です。両部門が協力して取り組むことで、より効率的な顧客獲得と収益向上が可能となります。ここでは、マーケティングとセールスの連携を強化するための重要なポイントを5つ紹介します。これらのポイントを押さえることで、両部門の協力体制を築き、より効果的な営業活動を展開することができます。連携を強化することで、顧客ニーズへの理解が深まり、適切なアプローチが可能となります。また、情報共有の促進により、迅速な意思決定と戦略の立案が可能になります。結果として、顧客満足度の向上と売上の増加につながることが期待できます。以下に、具体的な連携ポイントを詳しく解説していきます。
①共通のペルソナとカスタマージャーニーを作る
「マーケティングが獲得した見込み顧客がまったく製品・サービスの対象企業ではなかった」という声はセールスから度々上がってきます。これはマーケティングが正しいターゲット顧客を認識できていない可能性があります。
この状態を防ぐためにも、マーケティングとセールスで共通のペルソナとカスタマージャーニーを作成します。同じペルソナを共有することで、ターゲット顧客のずれを防ぐだけではなく、見込み顧客に関する両者の会話がスムーズになります。また、共通のカスタマージャーニーを作成することで、顧客の購買プロセスにおける各段階での両部門の役割や連携ポイントが明確になり、より効果的なアプローチが可能になります。
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②SLAを策定する
SLAとはService Level Agreementの略で、受注・契約などの最終的なゴールに至るまでにマーケティングとセールスが達成しなければならない事項を明文化したものです。言わば、マーケティングとセールスとの契約書です。
具体的には下記の項目が含まれています。
- マーケティングからセールスへ渡す見込み顧客の条件
- 渡された見込み顧客へのアプローチ頻度やタイミングなどのフォロー条件 など
SLAを策定することでそれぞれの目標への貢献度を明らかにし、互いのパフォーマンスを確認するツールともなります。また、SLAは定期的に見直しを行い、市場環境や顧客ニーズの変化に応じて適宜更新することが重要です。このプロセスを通じて、マーケティングとセールス間のコミュニケーションが活性化され、より効果的な連携が実現できます。
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③共通の目標を持ち管理をする
マーケティングとセールスで共通の売上目標を設定し、そこからそれぞれのKPIを設計します。共通の目標を持つことでマーケティング施策の効果を確認したり、また、セールスに渡した見込み顧客はパイプラインで管理することで、売上目標に対する進捗を確認します。この共通目標の設定と管理は、両部門の連携を強化し、組織全体のパフォーマンスを向上させる重要な要素となります。定期的な進捗確認ミーティングを実施することで、目標達成に向けた課題や改善点を早期に発見し、迅速に対応することができます。
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④共通のツールを導入する
マーケティング施策の効果やパイプラインの管理には共通のツール(CRMツール・SFAツール)を導入することでスムーズに行えるようになります。また、目標の進捗管理もツール内にダッシュボードを作り確認することができます。これらのツールを活用することで、マーケティングとセールス間のデータ共有や情報の一元管理が可能となり、両部門の連携がより強化されます。
導入するツールは自社に合ったものを選びます。例えば、企業規模や業種、取り扱う製品やサービスの特性に応じて、最適なツールが異なる場合があります。また、導入した後もきちんと活用できるようなオペレーション設計が必要となります。具体的には、ツールの使用方法や入力ルールの統一、定期的なデータクレンジングなどが挙げられます。これにより、ツールの効果を最大限に引き出し、マーケティングとセールスの連携をさらに促進することができます。
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⑤コミュニケーションの頻度を高める
マーケティングとセールスでのコミュニケーションを増やし連携をより強化します。特にマーケティングは、これまで行った施策や見込み顧客に対してのフィードバックをセールスからもらうことで、顧客の解像度を上げ施策の改善に活かすことができます。
また、マーケティングとセールスで共通の言葉で会話できるようにそれぞれの業務プロセスを共有したり、セールスの商談にマーケティングのメンバーが参加したり、コミュニケーションの質を高めることもより効果的です。
定期的なミーティングの実施や、情報共有のためのプラットフォームの活用も、コミュニケーションの頻度を高める有効な方法です。例えば、週1回の進捗報告会や月1回の戦略会議を設けることで、両部門の連携を強化できます。
さらに、マーケティングとセールスのメンバーが互いの業務を体験する機会を設けることも、相互理解を深める上で重要です。このような取り組みにより、両部門の視点や課題をより深く理解し、より効果的な協力体制を構築することができます。
まとめ
- マーケティングとセールスの連携、通称スマーケティング(Smarketing)は、売上最大化という共通目標達成のために不可欠です。両部門の協力なくしては、効果的な顧客獲得や収益向上は困難です。
- スマーケティングには3つの主要なメリットがあります:
- マーケティングとセールス双方の強みを相乗的に活用できる
- 業務効率が大幅に向上する
- 新たなアイデアの創出と迅速な改善サイクルの実現が可能になる
- 共通のペルソナを設定することで、ターゲット顧客に関する認識のズレを防ぎ、部門間のコミュニケーションをスムーズにします。これにより、より効果的な顧客アプローチが可能になります。
- SLA(Service Level Agreement)の策定は、マーケティングとセールス間の責任と期待を明確化します。これにより、各部門の目標への貢献度を測定し、相互のパフォーマンスを客観的に評価できるツールとなります。
- 共通の目標設定、統一されたツールの使用、そして頻繁なコミュニケーションは、部門間の連携を強化し、より効果的な顧客獲得と売上向上につながります。
- このような取り組みを通じて、マーケティングとセールスの連携を強化することで、企業全体の競争力向上と持続的な成長が期待できます。

