「誰にでも」向けた施策では効果が出ず、お悩みではありませんか?現代のマーケティングで成果を出す鍵は、顧客を深く理解し、狙いを定める「ターゲットマーケティング」の実践です。本記事では、その中核となるSTP分析のやり方を初心者にも分かりやすく3ステップで解説。費用対効果や顧客満足度を高める具体的な方法から成功事例まで網羅し、明日から使える戦略立案のヒントを提供します。
目次
ターゲット マーケティングとは?今さら聞けない基本を解説
ターゲット マーケティングは、現代のビジネスにおいて成功の鍵を握る重要な戦略です。市場に存在するすべての人を対象とするのではなく、自社の商品やサービスを最も必要とし、価値を感じてくれる特定の顧客層に焦点を当てることで、限りある経営資源を効果的に活用します。この章では、ターゲット マーケティングの基本的な概念から、その重要性、そして実践することで得られる具体的なメリットまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
ターゲット マーケティングの基本的な意味
ターゲット マーケティングとは、市場全体を何らかの基準で細分化(セグメンテーション)し、その中から自社が狙うべき特定の市場(ターゲット)を選定し、そのターゲットに対して集中的にアプローチするマーケティング手法のことです。言い換えれば、「誰に、どのような価値を提供するか」を明確にするプロセスそのものと言えます。
この対極にあるのが、テレビCMに代表されるような、不特定多数の消費者に同じメッセージを届ける「マスマーケティング」です。両者の違いを理解することで、ターゲット マーケティングの輪郭がよりはっきりと見えてきます。
ターゲット マーケティング | マスマーケティング | |
---|---|---|
対象 | 特定の顧客層(セグメント) | 不特定多数の消費者全体 |
アプローチ | 顧客のニーズに合わせた個別のアプローチ | 画一的なアプローチ |
目的 | 顧客との深い関係構築、LTV向上 | 広範な認知獲得、大量販売 |
代表的なメディア | Web広告、SNS、メールマガジン、専門誌など | テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4大マスメディア |
後の章で詳しく解説する「STP分析」というフレームワークを用いることで、この「誰に」という部分を論理的に決定していくのが、ターゲット マーケティングの基本的な進め方となります。
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なぜ今ターゲット マーケティングが重要なのか
かつての高度経済成長期のように「作れば売れる」時代は終わりを告げ、現代の日本市場は成熟期を迎えています。このような状況下で、なぜターゲット マーケティングの重要性が叫ばれているのでしょうか。その背景には、主に2つの大きな環境変化があります。
一つ目は、顧客ニーズの多様化と価値観の変化です。モノが溢れる豊かな社会では、消費者は単に機能的な価値だけでなく、「自分らしさ」や「共感できるストーリー」といった情緒的な価値を求めるようになりました。ライフスタイルや趣味嗜好は細分化し、万人に受け入れられる商品やサービスを作ることは極めて困難になっています。
二つ目は、デジタル化の進展です。総務省の調査によれば、2021年時点で個人のインターネット利用率は9割を超えており(出典:総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」)、人々はスマートフォンを通じて常に膨大な情報に接しています。その結果、ありきたりな広告やメッセージは顧客に届きにくくなりました。企業は、顧客一人ひとりにとって「自分ごと」と感じられる有益な情報を、適切なタイミングで届けなければなりません。
こうした環境変化に対応し、厳しい市場で生き残るために、「誰にでも」ではなく「特定のあなたに」というメッセージを届けるターゲット マーケティングが不可欠となっているのです。
ターゲット マーケティングで得られる3つのメリット
ターゲット マーケティングを正しく実践することで、企業は多くのメリットを享受できます。ここでは、代表的な3つのメリットを具体的に見ていきましょう。
メリット1 費用対効果の向上
企業が使える広告宣伝費や販売促進費、人材といった経営資源には限りがあります。ターゲット マーケティングでは、自社の商品やサービスを本当に必要としている、購買意欲の高い顧客層にリソースを集中投下できます。これにより、関心の薄い層へのアプローチに費やしていた無駄なコストを大幅に削減し、マーケティング活動全体の費用対効果(ROI:Return on Investment)を高めることが可能です。少ない投資で、より大きな成果を生み出すための賢い戦略と言えるでしょう。
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メリット2 顧客満足度の向上とLTV最大化
ターゲットを絞り込むことで、その顧客層が抱える具体的な悩みや欲求(ニーズ)を深く理解できます。その深い理解に基づいて商品開発やサービス改善、情報発信を行うため、顧客は「自分のことを分かってくれている」と感じ、満足度や企業への信頼感(エンゲージメント)が高まります。高い満足度を得た顧客は、リピート購入してくれる優良顧客(ファン)へと成長しやすくなります。結果として、一人の顧客が生涯にわたって自社にもたらす利益の総額である「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」の最大化に繋がるのです。
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メリット3 競合との差別化
すべての顧客を狙うのではなく、特定の市場に特化することで、競合他社との無用な争いを避け、独自のポジションを築くことができます。例えば、大手企業が参入するには市場規模が小さい「ニッチ市場」をターゲットにすれば、その領域における第一人者としての地位を確立しやすくなります。自社の強みを最も評価してくれる顧客層に選ばれることで、価格競争から脱却し、独自の価値で選ばれる強いブランドを構築することが可能になります。これは、特に経営資源の限られる中小企業にとって非常に有効な戦略です。
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ターゲット マーケティングの要 STP分析とは
ターゲットマーケティングを成功に導く上で、欠かすことのできない強力なフレームワークが「STP分析」です。STP分析は、自社の商品やサービスを「誰に」「どのような価値」で提供するのかを明確にするための思考の羅針盤であり、マーケティング戦略全体の土台となります。この章では、STP分析の基本的な概念と、ターゲットマーケティングにおけるその重要な役割について詳しく解説します。
STP分析の概要と3つの構成要素
STP分析とは、近代マーケティングの父と称されるフィリップ・コトラー氏が提唱した、マーケティング戦略を立案するための基本的なフレームワークです。Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)という3つの英単語の頭文字を取って名付けられました。これら3つの要素はそれぞれ独立しているのではなく、セグメンテーションからターゲティング、ポジショニングへと順に進めることで、一貫性のある戦略を構築できます。
各要素の概要は以下の通りです。
要素 | 概要 |
---|---|
S:Segmentation(セグメンテーション) | 市場細分化。年齢、性別、価値観、購買行動といった様々な切り口で、不特定多数の顧客が存在する市場を、共通のニーズや性質を持つ小さなグループ(セグメント)に分割するプロセスです。 |
T:Targeting(ターゲティング) | 標的市場の選定。細分化したセグメントの中から、自社の強みや事業戦略と照らし合わせ、どの市場を標的として狙うのかを選び出すプロセスです。 |
P:Positioning(ポジショニング) | 自社の立ち位置の明確化。選定したターゲット市場の顧客に対し、競合製品・サービスと比較して、自社が提供できる独自の価値(差別化ポイント)を明確にし、顧客の心の中に特別な位置を築くためのプロセスです。 |
ターゲット マーケティングにおけるSTP分析の役割
では、なぜターゲットマーケティングにおいてSTP分析がこれほどまでに重要視されるのでしょうか。その役割は、単に市場を分析することに留まりません。STP分析は、「すべての顧客を満足させることはできない」という現実を直視し、自社が最も価値を提供でき、かつ収益を最大化できる「勝てる場所」を見つけ出すための戦略的なアプローチです。
STP分析が果たす具体的な役割は、主に以下の4つです。
- 戦略の明確化と一貫性の確保
「誰に(Targeting)、どのような独自の価値を(Positioning)」提供するかが明確になるため、製品開発、価格設定、プロモーションといった具体的なマーケティング施策(マーケティングミックス)に一貫性が生まれます。 - 経営資源の効率的な配分
広告費、販売促進費、人材といった企業の限られたリソースを、最も反応が期待できるターゲットセグメントに集中投下できます。これにより、無駄なコストを削減し、費用対効果(ROI)を最大化させることが可能です。 - 顧客理解の深化とニーズへの的確な対応
市場を細分化し、ターゲットを絞り込む過程で、顧客の隠れたニーズや課題、購買に至るまでのインサイトを深く理解することができます。その結果、顧客の心に響くメッセージや、本当に求められている商品・サービスを提供できるようになります。 - 競争優位性の構築と差別化
競合他社の動向を分析しながら自社の立ち位置を決定することで、熾烈な価格競争を避け、独自の価値で選ばれるブランドを構築できます。競合がいない、あるいは競合の強みが及ばないポジションを見つけることが、持続的な成長の鍵となります。
このように、STP分析は感覚や経験だけに頼るのではなく、客観的な分析に基づいてマーケティング戦略の精度を高めるための不可欠なプロセスです。次の章からは、このSTP分析を具体的にどのように進めていくのか、3つのステップに分けて詳しく解説していきます。
3ステップで実践 ターゲット マーケティングの始め方
ターゲット マーケティングの重要性を理解したところで、いよいよ実践です。ここでは、ターゲット マーケティングの根幹をなすフレームワーク「STP分析」を用いて、具体的な進め方を3つのステップで解説します。この手順に沿って進めることで、初心者の方でも論理的に自社のターゲットと立ち位置を明確にできます。
ステップ1 セグメンテーション(市場細分化)
最初のステップは「セグメンテーション」です。これは、不特定多数の顧客が存在する市場を、共通のニーズや性質を持つ固まり(セグメント)に分割する作業を指します。顧客のニーズが多様化する現代において、すべての顧客を同じように満足させることは不可能です。市場を細分化することで、自社が最も効果的にアプローチできる顧客層を見つけ出すことが目的です。
セグメンテーションで用いる4つの変数
市場を細分化する際には、主に以下の4つの変数が用いられます。これらの変数を単体で使うのではなく、複数組み合わせることで、より精度の高いセグメンテーションが可能になります。
変数名 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
地理的変数 (ジオグラフィック) |
国、地域、都市規模、人口密度、気候、文化、政府による規制など、地理的な要因で市場を分割する。 | 国、地方(関東、関西など)、都道府県、市区町村、気候(温暖、寒冷)、沿線、文化圏 |
人口動態変数 (デモグラフィック) |
年齢、性別、家族構成、所得、職業、学歴、宗教など、客観的なデータで測定しやすい属性で市場を分割する。 | 年齢(10代、20代)、性別、世帯年収(500万円未満、1000万円以上)、職業(会社員、主婦)、家族構成(独身、夫婦のみ、子どもあり) |
心理的変数 (サイコグラフィック) |
ライフスタイル、価値観、性格、購買動機、興味・関心など、個人の心理的な特性で市場を分割する。 | ライフスタイル(アウトドア派、インドア派)、価値観(環境配慮、ステータス重視)、性格(社交的、内向的)、興味(健康、ファッション、ガジェット) |
行動変数 (ビヘイビアル) |
購買履歴、利用頻度、求めるベネフィット、ブランドへのロイヤルティなど、製品やサービスに対する実際の行動パターンで市場を分割する。 | 利用頻度(毎日、週1回)、購買経験(新規、リピーター)、求める便益(価格、品質、デザイン)、ロイヤルティ(熱心なファン、離反予備軍) |
地理的変数(ジオグラフィック変数)
地理的変数は、顧客が住んでいる場所や働く場所の地理的特徴に基づきます。例えば、コンビニエンスストアが地域ごとに品揃えを変えたり、自動車メーカーが寒冷地仕様の車を販売したりするのは、この変数に基づいたセグメンテーションです。
人口動態変数(デモグラフィック変数)
人口動態変数は、最も一般的に使用される変数です。公的な統計データなどから客観的な情報を得やすく、比較的簡単にセグメントを定義できます。例えば、化粧品は性別や年齢で、生命保険は家族構成やライフステージでセグメントされることが多くあります。日本の人口に関する詳細なデータは、総務省統計局の人口推計などで確認できます。
心理的変数(サイコグラフィック変数)
心理的変数は、顧客の内面的な要素に着目します。同じ年齢・性別・年収のグループでも、価値観やライフスタイルは異なります。例えば、「健康志向」や「環境意識が高い」といった価値観で市場を分けることで、オーガニック食品やエコ製品のターゲットを明確にできます。アンケート調査やインタビューを通じてデータを収集します。
行動変数(ビヘイビアル変数)
行動変数は、顧客の製品に対する実際の行動に基づきます。ECサイトの購買履歴や閲覧履歴、店舗のポイントカード情報などがデータソースとなります。「高頻度で購入するロイヤルカスタマー」「価格に敏感でセール時のみ購入する顧客」のように分けることで、顧客のロイヤルティに応じたアプローチが可能になります。
関連記事:顧客セグメンテーションとは?概要や分類例、実践方法まで解説!
BtoBにおけるセグメンテーションのポイント
BtoB(企業間取引)のマーケティングにおいてもセグメンテーションは重要ですが、BtoCとは用いる変数が異なります。BtoBでは、個人の属性ではなく、企業や組織の属性で市場を分割します。代表的な変数には以下のようなものがあります。
BtoBで用いる変数 | 具体例 |
---|---|
企業規模 | 売上高、従業員数、資本金、拠点数 |
業種 | 製造業、情報通信業、建設業、医療・福祉など |
地理的要因 | 本社所在地、事業所の展開エリア(国内、海外) |
購買行動 | 決裁プロセスの特徴(トップダウンか、現場主導か)、取引量、新規取引か継続取引か、導入目的(コスト削減、業務効率化) |
ステップ2 ターゲティング(ターゲット市場の選定)
セグメンテーションによって市場を細分化したら、次のステップは「ターゲティング」です。これは、分割したセグメントの中から、自社が狙うべき市場(ターゲット市場)を具体的に選定するプロセスです。すべてのセグメントを狙うのは非効率であり、経営資源の無駄遣いにつながります。自社の強みや事業戦略と照らし合わせ、最も収益性が高く、持続的に価値を提供できる市場を見極めることが重要です。
関連記事:ターゲティングとは?戦略的なターゲット設定の方法と成功例
ターゲティングの評価基準「6R」とは
どのセグメントをターゲットにするか決定する際には、「6R」と呼ばれるフレームワークを用いて多角的に評価するのが有効です。これにより、勘や思い込みに頼らない、客観的な市場選定が可能になります。
評価基準 | 評価する内容 |
---|---|
Realistic Scale(有効な規模) | その市場は、事業として成立するだけの十分な規模(顧客数や売上)があるか? |
Rate of Growth(成長性) | その市場は、今後拡大していく可能性があるか?縮小傾向にないか? |
Rival(競合の状況) | 競合他社の数や強さはどうか?自社が参入して勝ち抜ける優位性はあるか? |
Rank(優先順位) | その市場は、自社の経営戦略やブランドイメージと合致しているか? |
Reach(到達可能性) | その市場の顧客に対して、製品やサービス、情報を効果的に届けられるか?(物理的・地理的な制約はないか) |
Response(測定可能性) | アプローチ後の顧客の反応(購買率、満足度など)を測定し、効果検証できるか? |
代表的な3つのターゲティング手法
ターゲット市場の選定には、大きく分けて3つのアプローチ手法があります。自社の経営資源や製品特性、市場の状況を考慮して最適な手法を選びましょう。
無差別型マーケティング
セグメンテーションで分けた市場の違いを無視し、すべての市場に同じ製品・同じマーケティング戦略でアプローチする手法です。大量生産・大量販売を前提とし、コストを抑えられるメリットがあります。ただし、多様なニーズに応えきれず、競争が激化すると不利になりやすいです。かつてのコカ・コーラや、塩・砂糖といったコモディティ商品が代表例です。
関連記事:商品やサービスの「コモディティ化」ってどんな意味? 問題視される理由や原因・対策を解説
差別型マーケティング
複数のセグメントを選び、それぞれのニーズに合わせて異なる製品やマーケティング戦略を展開する手法です。例えば、自動車メーカーがセダン、ミニバン、SUV、スポーツカーなど、異なるターゲット層に向けた車種をラインナップするのがこれにあたります。幅広い顧客層を獲得でき、売上拡大が期待できる一方、開発・生産・マーケティングのコストが増大するデメリットがあります。
集中型マーケティング
特定のセグメント一つに絞り込み、そこに経営資源を集中させる手法です。「ニッチ戦略」とも呼ばれます。特定の市場で深い専門知識と強力なブランドを築くことができ、中小企業やスタートアップでも大手企業と渡り合える可能性があります。高級スポーツカーメーカーや、特定の趣味に特化した専門店などが例として挙げられます。ただし、その市場が縮小した場合のリスクが大きいという側面もあります。
ステップ3 ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)
最後のステップは「ポジショニング」です。これは、選定したターゲット市場の顧客の頭の中に、「競合製品と比べて、自社製品はどのような独自の価値を持つ存在なのか」を明確に認識させるための活動です。単に製品の機能や価格を伝えるだけでなく、顧客の心の中に「〇〇といえばこのブランド」という独自のポジションを築くことがゴールです。
関連記事:ポジショニングとは?マーケティングに活用できる基礎知識を徹底解説
ポジショニングマップの作り方と活用法
ポジショニングを検討する際に非常に役立つのが「ポジショニングマップ」です。これは、顧客が製品を選ぶ際の重要な判断軸(例:価格、品質、機能性など)を縦軸と横軸に取り、市場における自社と競合の立ち位置を視覚的に表した図です。
以下の手順で作成します。
- KBF(購買決定要因)の洗い出し:ターゲット顧客が製品・サービスを選ぶ際に重視する要素(価格、品質、デザイン、機能、サポート体制、ブランドイメージなど)をできるだけ多くリストアップします。
- ポジショニングの軸の選定:リストアップしたKBFの中から、顧客にとって重要度が高く、かつ競合製品との違いを明確に示せる重要な2つの軸を選びます。
- マップの作成と競合の配置:選んだ2つの軸で四象限のマップを作成し、自社と競合他社がそれぞれどの位置にいるかを客観的なデータや顧客の認識に基づいてプロットします。
- 空白地帯(ブルーオーシャン)の発見:マップ上で競合が存在しない、魅力的なポジション(空きポジション)を見つけます。この空白地帯が、自社が狙うべき独自のポジションの候補となります。
ポジショニングマップを活用することで、自社の強み・弱みを客観的に把握できるだけでなく、新たな市場機会の発見や、今後のマーケティング戦略の方向性を定める上で大きなヒントを得ることができます。
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差別化できる軸を見つけるポイント
ポジショニングの成否は、マップの「軸選び」にかかっていると言っても過言ではありません。効果的な軸を見つけるためのポイントは以下の通りです。
- 顧客視点で考える:企業側の思い込みではなく、ターゲット顧客が本当に価値を感じ、購買の決め手としている軸を選びます。
- 競合を意識する:競合がひしめく軸で勝負するのではなく、自社の強みを活かして戦える、異なる土俵(軸)を探します。
- 自社の強みを活かす:自社が持つ独自の技術、ノウハウ、ブランドイメージなど、他社には真似できない強みと連動する軸を選びましょう。
- 具体的でわかりやすい言葉を選ぶ:「高品質」「高機能」といった曖昧な表現ではなく、「バッテリー持続時間」「サポートの手厚さ」「成分の純度」など、顧客が具体的に価値を判断できる軸を設定することが重要です。
関連資料:ポジショニングマップの作り方とパワポテンプレート【×5パターン】