スマートフォンの普及により、ユーザーが自らコンテンツを発信することが日常的になりました。企業が発信するコンテンツよりも信頼されやすいユーザー生成コンテンツ(UGC)は、企業のマーケティング活動において欠かせない存在となっています。
UGC(User Generated Content)とは、ユーザーが作成し発信するコンテンツのことを指します。具体的には、個人のSNSに投稿されるテキストや画像、ブログやメディアに投稿される口コミやレビューなどが含まれます。例えば、「じゃらん」の旅館ホテルのレビュー、「食べログ」の飲食店の評価、「アットコスメ」の化粧品の口コミ、「価格.com」の家電の感想など、これらもすべてUGCの一種です。
UGCが注目されている理由の一つに、Googleが提唱したZMOT(Zero Moment Of Truth、ズィーモット)の概念があります。ZMOTは、「顧客は店舗に足を運ぶ前に、インターネット上で購入する商品をすでに決定している」という考え方です。この概念が広まるにつれ、UGCの重要性が高まっています。
UGCは、企業との利害関係のない中立的なコンテンツであるため、ユーザーの信頼感を得やすいという特徴があります。ある調査では、ユーザーが発信したコンテンツが「本物である」と答える割合が高いというデータも示されています。
今回は、このようなUGCについて、注目されている理由や活用する具体的な手法を詳しく解説していきます。UGCを効果的に活用することで、企業のマーケティング戦略をより強化し、顧客との信頼関係を築くことができるでしょう。
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目次
UGCとは?
UGC(ユージーシー)とは、User Generated Contentの略であり、ユーザーが作成したコンテンツのことを指します。UGCは、個人のSNSに投稿されたテキストや画像、ブログやメディアに投稿された口コミやレビューなど、幅広い形態のコンテンツを含みます。
具体的なUGCの例としては、「じゃらん」の旅館ホテルのレビュー、「食べログ」の飲食店のレビュー、「アットコスメ」の化粧品の口コミ、「価格.com」の家電の口コミなどが挙げられます。これらはすべてUGCとして分類されます。
UGCは、企業が発信するコンテンツとは異なり、一般ユーザーによって自発的に作成されるため、多くの場合、より信頼性が高いと認識されます。このため、UGCはマーケティング戦略において重要な役割を果たすようになっています。
UGCと混同されやすい概念として、CGM(Consumer Generated Media)があります。CGMは、UGCを中心としたメディアのことを指し、先述の「じゃらん」「食べログ」「アットコスメ」「価格.com」といったプラットフォーム自体を指します。UGCはコンテンツそのものを指すのに対し、CGMはそのコンテンツを集約するメディアを指す点が異なります。
近年、UGCの重要性が高まっている背景には、消費者の情報収集や購買行動の変化があります。多くの消費者は、商品やサービスを購入する前に、他のユーザーの体験や意見を参考にする傾向が強まっています。このため、UGCは消費者の意思決定プロセスに大きな影響を与える要素となっています。
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UGCが注目されている理由
UGCは「顧客は店舗に足を運ぶ前に、インターネット上で購入する商品をすでに決定している」というGoogleが提唱したZMOT(Zero Moment Of Truth、ズィーモット)の考えが広がるとともに、重要視されるようになりました。UGCの活用は、消費者の購買行動に大きな影響を与えています。
また、アライドアーキテクツの調査によると、新型コロナの感染拡大の影響によりSNSの利用時間が増え、「商品やサービスの情報収集や口コミ検索にSNSを利用したい」意向が70%という結果が明らかになりました。UGCは、こうした消費者のニーズに応える重要なコンテンツとなっています。
そのため、SNS上でのUGCの生成や、さらにSNS上での情報からスムーズに購買まで繋げる導線設計などマーケティング施策への活用がより重要になっています。UGCを活用したマーケティングは、企業と消費者のコミュニケーションを促進し、ブランドの信頼性を高める効果があります。
参照:ニューノーマル時代、企業はSNSをどう活用すべき?「新型コロナがもたらした【新しい生活様式】における消費者のSNS利用実態調査」結果発表
また、ユーザー心理として、広告に対する嫌悪感が高まっていることも影響しています。テレビだけではなく、アプリ、動画、SNSなどあらゆる場所で企業広告に接することが多くなり、広告に対しての煩わしさとともに、広告そのものに懸念を持つユーザーが増えています。
そのため、ユーザーが作成して発信されたUGCは、企業との利害関係のないフラットなコンテンツであるため、ユーザーの信頼感は強くなりやすい特徴があります。ある調査からもユーザー発信のコンテンツが「本物である」と答える割合が高いというデータもあります。UGCは、こうした消費者の信頼を獲得するための重要な手段となっているのです。
UGCを活用するメリット
UGC(User Generated Content)を活用することは、企業にとって多くのメリットがあります。まず、UGCは消費者の生の声を反映しているため、高い信頼性を持ちます。これにより、潜在顧客の購買意欲を刺激し、コンバージョン率の向上につながる可能性があります。また、UGCを活用することで、企業のマーケティング活動に多様性と真正性をもたらすことができます。
さらに、UGCは低コストで効果的なコンテンツ制作の手段となります。ユーザーが自発的に生成するコンテンツを活用することで、企業は制作コストを抑えつつ、豊富なコンテンツを獲得できます。これは特に、リソースの限られた中小企業やスタートアップにとって大きな利点となります。
加えて、UGCは消費者とのエンゲージメントを促進します。ユーザーの投稿を取り上げることで、企業と消費者の間に双方向のコミュニケーションが生まれ、ブランドロイヤリティの向上につながります。このような相互作用は、長期的な顧客関係の構築に貢献します。
最後に、UGCは貴重な市場洞察の源となります。ユーザーの投稿や口コミを分析することで、企業は製品やサービスに対する消費者の本音を把握し、改善点や新たなニーズを発見することができます。これにより、より効果的な製品開発やマーケティング戦略の立案が可能となります。
①エンゲージメントを無料で高められる
UGC(User Generated Content)を活用することで、企業は無料でエンゲージメントを高めることができます。UGCによって、ユーザー同士が商品を推薦し合ったり、UGCを投稿したフォロワーの間でも商品が認知されるなど、商品に対するエンゲージメントや認知度が向上します。これは広告費用をかけることなく実現できる大きなメリットです。さらに、UGCは信頼性が高いため、潜在顧客の購買意欲を刺激し、コンバージョン率の向上にも貢献します。また、UGCを通じて、ブランドとユーザーとの関係性を深めることができ、長期的な顧客ロイヤリティの構築にもつながります。このように、UGCは効果的かつ経済的なマーケティングツールとして、多くの企業から注目を集めています。
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②新たなアイデアや発見がある
UGCの中には、企業が考えつかなかったような斬新なアイデアや新たな発見が含まれていることがあります。これらのUGCは、SNSの投稿やUGCを活用した広告クリエイティブの参考になるだけでなく、製品やサービスの新たな使い方や価値をユーザーが見出してくれることもあります。例えば、ある化粧品のUGCで、想定外の使用方法が紹介され、それが多くのユーザーに支持されるケースがありました。このようなUGCから得られた洞察は、製品開発やマーケティング戦略の改善に活かすことができます。さらに、UGCを通じて顧客の声を直接聞くことで、ニーズや課題をより深く理解し、顧客満足度の向上につなげることができます。このように、UGCは企業にとって貴重な情報源となり、イノベーションや競争力強化の鍵となる可能性を秘めています。
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UGCを活用したマーケティング手法
UGC(User Generated Content)を活用したマーケティング手法は、企業にとって効果的な戦略となっています。UGCはユーザーが自発的に作成するため、企業側では主にUGCを活用する方法を考える必要があります。UGCを活用した主要な手法には以下の3つがあります。
1つ目は、企業のWebサイトやオウンドメディアにUGCを掲載する方法です。これにより、訪問者の購買意欲を刺激し、購入へと導くことができます。UGCの活用は制作コストを抑えつつ、サイトの信頼性を高める効果があります。
2つ目は、SNS広告のクリエイティブや公式アカウントの投稿にUGCを活用する方法です。UGCを使用することで、広告がより自然に受け入れられ、エンゲージメント率の向上が期待できます。
3つ目は、EC通販などで商品と一緒に同梱物としてUGCを活用する方法です。他のユーザーの使用例や感想を共有することで、顧客満足度の向上や信頼感の醸成につながります。
これらのUGC活用手法は、ユーザーの声を効果的に取り入れることで、より信頼性の高いマーケティング活動を展開することができます。UGCの活用は、従来の企業主導のマーケティングと比べて、より真実性があり説得力のあるコンテンツとなるため、今後ますます重要性が高まると考えられます。
①Webサイトやオウンドメディアに掲載
WebサイトやオウンドメディアにUGC(User Generated Content)を掲載することで、そこへ訪れたユーザーの購買意欲を刺激し購入まで誘導することができます。UGC自体に制作費用は発生しないため、最小限のコストでサイト制作ができ、また、サイト内で口コミを掲載することでサイト外への離脱防止にも効果的です。
UGCをWebサイトに掲載する際は、商品やサービスに関するユーザーの生の声や体験談を効果的に配置することが重要です。例えば、商品詳細ページにUGCを組み込むことで、潜在顧客の信頼感を高め、購入決定を後押しすることができます。
また、オウンドメディアにUGCを活用する場合、ユーザーの投稿を特集記事として紹介したり、UGCを中心としたコンテンツを定期的に更新することで、サイトの魅力度を向上させることができます。これにより、リピーターの増加や新規顧客の獲得につながる可能性が高まります。
さらに、UGCを活用したWebサイトやオウンドメディアは、検索エンジン最適化(SEO)の観点からも有効です。ユーザーが作成した多様なコンテンツは、検索エンジンにとって新鮮で価値のある情報として認識されやすく、サイトの検索順位向上に寄与する可能性があります。
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②SNS広告のクリエイティブや公式アカウントの投稿に活用
UGC(User Generated Content)はSNS広告のクリエイティブや公式アカウントの投稿に効果的に活用できます。SNSの投稿フィードに他のユーザーの投稿と違和感のないクリエイティブで掲載されるため、ユーザーに受け入れられやすくなります。これにより、広告効果の改善やエンゲージメントの向上が期待できます。UGCを活用することで、自然な形で商品やサービスの魅力を伝えることができ、ユーザーの信頼を得やすくなります。また、UGCを活用したSNS広告は、従来の企業主導の広告と比べて、より親近感があり、ユーザーの共感を得やすい特徴があります。さらに、UGCを公式アカウントの投稿に取り入れることで、ユーザーとのコミュニケーションを活性化させ、ブランドとユーザーの距離を縮めることができます。このように、UGCを活用したSNSマーケティングは、企業のブランド価値向上や顧客獲得に大きく貢献する可能性があります。
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③商品の同梱物に活用
EC通販で商品と一緒に入れる同梱物にUGCを活用できます。UGCを通じて「他のユーザーがどのように使っているのか」を伝えることで顧客満足につながりますし、また他のユーザーの存在を知ることでユーザーに安心感や信頼感を醸成することができます。例えば、商品パッケージにQRコードを印刷し、スキャンするとUGCを閲覧できるようにする方法も効果的です。これにより、UGCの活用範囲が広がり、オフラインでもUGCの効果を最大限に引き出すことができます。また、UGCを活用した同梱物は、リピート購入を促進する可能性も高まります。ユーザーが他の顧客の使用体験を知ることで、自身の購入に対する満足度が向上し、継続的な利用につながる可能性があるためです。さらに、UGCを活用した同梱物は、ソーシャルメディア上での話題喚起にも貢献し、新規顧客の獲得にも効果を発揮する可能性があります。
UGC活用の注意点
UGC(User Generated Content)は制作コストがかからず、ユーザーにも信頼されやすいコンテンツですが、マーケティングに活用する際に注意しなければいけないことが3つあります。1つ目は著作権の問題です。UGCを活用する際には、必ずユーザーから利用許可を得る必要があります。2つ目はステルスマーケティングの回避です。UGCを利用する際は、広告であることを明確に示し、消費者を欺くような行為は避けなければなりません。3つ目は薬機法の広告規制表現への注意です。UGCを含むLPや広告クリエイティブは薬機法の対象となるため、法令順守が求められます。これらの注意点を守ることで、UGCを効果的かつ適切に活用することができます。また、UGCの活用にあたっては、ユーザーのプライバシーにも十分配慮する必要があります。
①著作権
UGC(ユーザー生成コンテンツ)をマーケティングに活用する際には、著作権に関する注意が必要です。ユーザーが作成したコンテンツを企業が利用する場合、必ずユーザーから利用許可を取得しなければなりません。これはUGCの著作権がコンテンツを作成したユーザーに帰属するためです。ただし、モニター利用やインフルエンサーなど、事前に利用許諾を得ている場合は必ずしもこの限りではありません。UGCの活用においては、著作権法を遵守し、適切な手続きを踏むことが重要です。また、UGCの著作権に関する社内ガイドラインを策定し、従業員に周知徹底することも有効な対策といえるでしょう。
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②ステルスマーケティング
ステルスマーケティングは消費者に宣伝広告であることを隠し、悟られないようにセールスプロモーション活動を行うことです。UGCとは異なり、広告ということを隠して高評価の体験談を投稿したり、SNSや口コミサイトのコメントを操作するのはルール違反であり、信用失墜につながります。UGCを活用する際は、このようなステルスマーケティングとの境界線に注意が必要です。
UGC投稿をモニターやインフルエンサーに依頼した際には、投稿上に関係性や提供した商品などを明示するように注意しなければいけません。これは、UGCの信頼性を保つために重要な点です。UGCの本質は、ユーザーが自発的に作成したコンテンツであり、その透明性と信頼性が価値の源泉となっています。
企業がUGCを活用する際は、ステルスマーケティングとの違いを明確にし、コンテンツの真正性を保つことが重要です。UGCの活用においては、ユーザーの声を尊重しつつ、適切な開示と透明性を確保することで、より効果的なマーケティング戦略を展開することができます。
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③薬機法の広告規制表現
LPや広告クリエイティブは薬機法の対象となり、そのなかに掲載されたUGCも含まれます。UGCを掲載する際には薬機法に抵触していないか十分に注意しなければいけません。特に、UGCとは顧客が作成したコンテンツであるため、薬機法の規制に関する知識が不足している可能性があります。そのため、企業側でUGCを活用する際には、薬機法の広告規制表現に関する厳密なチェックが必要です。例えば、UGCに含まれる商品の効能や効果に関する表現が、薬機法で認められた範囲を超えていないかを確認することが重要です。また、UGCを活用したマーケティングを行う際には、法的リスクを回避するために、専門家や弁護士に相談することも検討すべきでしょう。
まとめ
- UGCとは、User Generated Contentの略であり、ユーザーが作成したコンテンツのこと。個人のSNSに投稿されたテキストや画像、ブログやメディアに投稿された口コミやレビューを含む
- UGCはGoogleが提唱したZMOTの考えが広がるとともに重要視されるようになり、また新型コロナの影響によりSNS上でのUGCの生成やマーケティング施策への活用の重要度が増している
- UGCを活用した手法はWebサイトやオウンドメディアに掲載、SNS広告のクリエイティブや公式アカウントの投稿、商品の同梱物への活用がある
- UGCをマーケティングに活用する際には「著作権」「ステルスマーケティング」「薬機法の広告規制表現」に注意しなければいけない
- UGCは企業のマーケティング戦略において重要な要素となっており、ユーザーの信頼を得やすい特徴がある
- UGCを効果的に活用することで、企業は顧客とのエンゲージメントを高め、ブランド価値を向上させることができる
- UGCの活用には、法的・倫理的な配慮が必要であり、適切に管理・運用することが重要である
- UGCは今後も進化し続けるデジタルマーケティングにおいて、ますます重要性を増すと予想される