近年、インターネット上で「SEOはオワコン」という意見を目にする機会が増えたかもしれません。このような意見が見られる背景には、SEOのアルゴリズムが近年非常に複雑化していることや、新規ドメインで参入しても、なかなか上位表示できずに苦しんでいることがあるかもしれません。しかし、SEOがオワコンというのは早計な意見で、実際のところはまったくオワコンではありません。的を射た施策を行えば、確実に上位表示を獲得でき、今もなお高い集客効果を持ちます。
そこで本記事では、そもそもなぜSEOがオワコンと言われているのかについて解説すると同時にSEOがオワコンではない理由も合わせて解説します。そして、SEOを成功させるために必要な考え方や施策も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
SEOとは?
SEOとは「検索エンジン最適化」の略称であり、主にGoogleに対して行う対策を指します。Googleの掲げる目標は「ユーザーに役立つ検索結果を提供すること」であるため、SEO対策の本質はユーザーにとって有益な記事作成やサイト構築にあります。
SEOは大きく3つの要素に分類されます:内部対策、外部対策、そしてコンテンツです。内部対策には、Googleのクローラーが効率的にサイトを巡回できるようなソースコードの最適化や、適切なサイトマップの更新などが含まれます。これらはユーザーには直接見えない部分の改善を指します。
外部対策は、被リンクの獲得やドメインパワーの向上など、サイト外部からの評価を高める施策を指します。この分野では、SEO担当者の専門知識や経験が重要な役割を果たします。
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コンテンツ面では、ブログ記事やコラムなどの作成が中心となります。各記事に対して適切なキーワード選定を行い、ターゲットとするユーザーの検索結果上位に表示されることを目指します。
SEOの特徴は、これら3つの要素を総合的に改善していくことにあります。効果的なSEO戦略を立てるには、各要素のバランスを考慮しつつ、継続的な改善を行うことが重要です。
なぜSEOがオワコンと言われているのか?
ここまで、SEOについて解説をしてきました。ところで、なぜSEOがオワコンと言われているのでしょうか。代表的な理由は6つ存在します。
・ アルゴリズムの変動が激しい
・ ドメインパワー勝負になっている
・ YouTubeなど動画コンテンツが注目されている
・ 競合が増えすぎている
・ 小手先のテクニックが通用しない
・ ある程度の予算がないと戦えない
これらの要因が複合的に作用し、SEOの効果や価値に疑問を投げかける声が出てきています。特に、頻繁なアルゴリズムの変更や、既存の大手サイトが持つドメインパワーの優位性は、新規参入者にとって大きな障壁となっています。また、動画コンテンツの台頭により、従来のテキストベースのSEO戦略だけでは不十分になってきている点も、SEOの有効性に疑問を抱かせる要因の一つです。
それぞれの理由について、順番に詳しく見ていきましょう。
アルゴリズムの変動が激しい
SEOがオワコンだと言われている最大の理由は、アルゴリズムの変動が激しいからです。アルゴリズムとは、Googleが独自に定めている上位表示するための基準のことであり、一般には公開されていません。
アルゴリズムの種類は250以上存在すると言われており、対策する際に明確な基準が存在せず、日々検索結果や競合他社の状況を鑑みながら対策する必要があるため、非常に手間がかかります。
加えて、Googleは3ヶ月〜6ヶ月に1回程度、アルゴリズムアップデートと呼ばれる、アルゴリズムの更新を行います。アルゴリズムアップデートが行われると、検索結果の順位は大きく変動し、昨日まで1位だったサイトが、翌日には圏外に飛ばされるケースも見られます。
そして、近年のGoogleはアルゴリズムアップデートの頻度を増やしており、頻繁に検索結果が変動するようになりました。この結果、上位表示できていたサイトが急に圏外に飛ばされてしまうことも珍しくなくなりました。これが、SEOがオワコンと言われている所以です。
ドメインパワー勝負になっている
ドメインパワーはGoogleの公式指標ではありませんが、AhrefsやMozなどのSEOツール企業が独自に定めている重要な指標です。検索結果の上位を獲得しているサイトは、概してドメインパワーが高い傾向にあります。特に、金融や医療などの専門性の高い分野では、上位表示を獲得するために多額の投資が必要とされ、上位表示サイトのドメインレーティング(DR)は50〜70を超えていることが多いです。
このような状況下で、新設の企業や個人が参入しても、ドメインパワーの差が大きすぎるため、上位表示を獲得することは非常に困難です。コンテンツの質や量に関わらず、ドメインパワーの高低で勝負が決まってしまうケースも少なくありません。そのため、新規参入者にとっては非常に厳しい競争環境となっており、これがSEOをオワコンだと感じさせる大きな要因の一つとなっています。
しかしながら、ドメインパワーは時間をかけて徐々に上げていくことが可能です。質の高いコンテンツを継続的に発信し、他サイトからの自然な被リンクを獲得していくことで、長期的にはドメインパワーを向上させることができます。SEOは即効性のある施策ではなく、地道な努力の積み重ねが必要な分野であると言えるでしょう。
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YouTubeなど動画コンテンツが注目されている
これは間接的な理由になるものの、テキストベースのコンテンツではなく、YouTubeなどの動画コンテンツが注目されていることも理由の1つです。テキストベースのコンテンツでは、動画に比べて表現の幅が限定されてしまうことと、活字離れを起こしている若年層にリーチしづらいことがあります。この結果、同じ予算を投下するのであれば、YouTubeなどの動画コンテンツの方が費用対効果が高い傾向にあります。
また、動画コンテンツは視聴者の興味を引きやすく、情報の伝達力も高いため、多くの企業がマーケティング戦略の一環として取り入れています。さらに、スマートフォンの普及により、いつでもどこでも動画を視聴できる環境が整ったことも、動画コンテンツの人気上昇に拍車をかけています。このような状況下で、従来のSEO対策のみに注力することは、時代の流れに逆行する可能性があると考える人もいます。
競合が増えすぎている
SEOという概念が登場してから15年以上が経過し、その重要性は広く認知されるようになりました。しかし、この認知度の高まりは同時に、SEO対策を行う競合の増加をも意味しています。2010年頃までは、ニッチなキーワードであれば自社だけが対策している状況も珍しくありませんでした。しかし、現在の検索結果では、ほぼすべてのキーワードにおいて複数の競合が存在します。
この状況は、特に新規参入者にとって大きな障壁となっています。既に確立された強力な競合サイトが存在する中で、上位表示を獲得することは容易ではありません。そのため、競合の数に圧倒され、SEOの効果に疑問を抱く人々も少なくありません。
しかしながら、競合が多いということは、そのキーワードに需要があることの裏付けでもあります。適切な戦略と継続的な努力により、競争の激しい環境下でも成果を上げることは可能です。重要なのは、自社の強みを活かしたユニークなコンテンツ作りと、長期的な視点でのSEO施策の実施です。
小手先のテクニックが通用しない
従来のSEOでは、ブラックハットSEOと呼ばれる小手先のテクニックが存在していました。厳密には、2022年9月時点でもブラックハットSEOは存在していますが、Googleのクローラーの進化やアルゴリズムの変動が頻繁に起こるようになったことから、こういった小手先のテクニックは通用しなくなっています。ユーザーに価値を提供する、本質的なSEO対策であるホワイトハットSEOのスキルがない人は、こういった状況をオワコンと表現します。
Googleは常に検索品質の向上を目指しており、ユーザーにとって価値のある情報を提供することを重視しています。そのため、キーワードの詰め込みや不自然なリンク構築などの古典的な手法は、むしろペナルティの対象となる可能性があります。今後のSEOは、質の高いコンテンツ制作と、ユーザーエクスペリエンスの向上に焦点を当てた戦略が求められるでしょう。
ある程度の予算がないと戦えない
最後に、近年のSEOはある程度の予算がないと戦えません。一昔前のSEOでは、1記事あたり1,000円で1,000本の記事を外注し、量産型のSEOで上位表示できる時代でした。しかし、近年のSEOは業界に精通していたり、高いレベルのSEOスキルを有したライターが書く記事でないと上位表示はできません。加えて、監修者を設けてE-A-Tを底上げしなければ、上位表示できないキーワードも存在します。
これらを踏まえて、記事1本あたりの外注単価が2万円円で年間200本作成すると仮定すると、これだけで400万円の予算が必要です。また、監修者に月額10万円の費用を支払うと、最低でも合計の年間予算は500万円以上必要になります。
上記の金額は、既にある程度の予算を確保できている企業にとっては、想定の範囲内の金額かもしれません。しかし、新設法人が、用意するのは難しい金額と言えるでしょう。
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SEOがオワコンではない理由
SEOがオワコンではないと言える主な理由は2つあります。1つ目は、質の高いコンテンツを作成することで、依然としてGoogleから高い評価を得られるということです。Googleは常にユーザーにとって有益な情報を提供することを目指しており、そのような価値あるコンテンツを持つサイトを高く評価します。優れたコンテンツは自然な被リンクも獲得しやすく、結果としてドメインパワーの向上にもつながります。
2つ目の理由は、SEOが動画コンテンツなど他のデジタルマーケティング手法と相性が良いことです。例えば、YouTubeの動画がGoogle検索結果に表示されることがあります。また、ブログ記事に動画を埋め込むことで、コンテンツの独自性が高まり、Googleからの評価向上につながる可能性があります。
これらの理由から、SEOは今後も有効な集客手段であり続けると考えられます。ただし、成功を収めるためには、質の高いコンテンツ制作と他のデジタルマーケティング手法との統合的なアプローチが不可欠です。
コンテンツの内容次第で高い評価を得ることができる
たしかに、SEOではドメインパワーや予算のある企業が勝ちやすい傾向にあります。しかし、質の良いコンテンツはまだまだGoogleから評価されています。そして、これから先も質の高いコンテンツの評価が落ちることはないと言えます。なぜなら、Googleはユーザーに役立つコンテンツを質の高いコンテンツと判断しているためです。
加えて、質の高いコンテンツが豊富に入っているサイトは、必然的に被リンクも獲得しやすくなり、ドメインパワーも上がります。結局は、企業のコンテンツ制作への姿勢が問われるところといえます。例えば、低単価で外注をし続けているうちはコンテンツの質も低位となり、結果的にSEOでも苦戦を強いられるでしょう。良質のコンテンツを作れる体制を備えた企業は、今後もまだまだSEOで戦うことができるでしょう。
YouTubeなどの動画コンテンツとの相性の良さ
SEOとYouTubeなどの動画コンテンツは、一見すると別物のように思われがちですが、実際には密接な関係があります。例えば、Googleの検索結果にYouTubeの動画コンテンツが表示されることがあります。また、GoogleのSEOを理解している人にとって、YouTubeSEOは比較的攻略しやすい分野です。
さらに、ブログ記事にYouTube動画を埋め込むことで、独自性の高い情報としてGoogleから評価されやすくなります。これは、テキストと動画を組み合わせることで、ユーザーにより豊かな情報体験を提供できるためです。
将来的には、動画中心のコンテンツ消費が主流になると予想されています。このトレンドを踏まえると、動画制作に取り組むことの重要性は増していくでしょう。そして、SEOと動画コンテンツを効果的に組み合わせることで、より大きな相乗効果を生み出すことができます。
このように、SEOと動画コンテンツは互いに補完し合う関係にあり、両者を統合的に活用することで、より効果的なオンラインプレゼンスを構築できるのです。
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SEOを成功させるためにはWebマーケティング全体の施策が必要
SEOを効果的に活用し、成功へと導くためには、Webマーケティング全体を見据えた包括的なアプローチが不可欠です。以下の3つのポイントに注目し、戦略的に取り組むことが重要です。
・SEOの目的を再整理する
SEO施策の効果を最大化するためには、明確な目標設定が欠かせません。月間のリード獲得目標数を具体的に定めることで、必要な予算や外注の規模を適切に判断できます。これにより、リソースの効率的な配分が可能となり、ROIの向上につながります。
・SEO以外の集客施策で見込み客を獲得する
SEOだけでなく、多角的なアプローチで見込み客の獲得を目指しましょう。例えば、YouTubeなどの動画コンテンツを活用することで、SEOでは届きにくい層へのアプローチが可能になります。複数の施策を組み合わせることで、相乗効果を生み出し、より広範囲な顧客層にリーチできます。
・SNSでブランディングし、指名検索を増やす
Googleのアルゴリズムでは、指名検索の数が重要な指標として扱われています。そのため、SNSを活用した積極的な情報発信やブランディング活動を通じて、企業名や個人名での検索回数を増やすことが効果的です。これにより、SEOの効果を間接的に高めることができます。
これらの施策を統合的に実施することで、SEOの効果を最大限に引き出すことが可能になります。また、Webマーケティング全体を俯瞰的に捉えることで、各施策の相乗効果を生み出し、より強固な集客基盤を構築することができます。SEOを単独の施策として捉えるのではなく、総合的なマーケティング戦略の一環として位置づけることが、長期的な成功への鍵となります。
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まとめ
本記事では、SEOがオワコンであるかについて解説をしてきました。結論として、SEOはオワコンではありません。ドメインパワーの重要性が上がっており、新規参入が難しくなっているのは事実ですが、質の高いコンテンツを提供し続けることで、今でも十分に効果を発揮する集客手法です。
SEOを成功させるためには、単にキーワード対策やリンク獲得だけでなく、ユーザーにとって価値のある情報を提供し続けることが重要です。また、YouTubeなどの動画コンテンツとの連携や、SNSを活用したブランディングなど、総合的なWebマーケティング戦略の一環としてSEOを位置づけることで、より効果的な結果を得ることができます。
SEOは確かに難しくなっていますが、それは同時に、真摯にユーザーのニーズに応えようとする企業にとっては、むしろチャンスとも言えるでしょう。長期的な視点を持ち、継続的に取り組むことで、SEOは今後も有効な集客手段であり続けると言えます。