カオスマップはさまざまな組織・機関の調査成果として公表されることが多く、マーケティング戦略時にも活用されています。自社のマーケティングにカオスマップの導入を検討しているものの、「カオスマップの概要や特徴が分からない」「事業向けの活用方法が分からない」といった悩みを持つ方もいるかも知れません。
本記事では、カオスマップとはそもそもどういった情報なのか、ビジネスにおいてどのように使われるものなのかなどを解説します。
目次
マーケティング知識として重要な「カオスマップ」の基礎と代表的なカテゴリのカオスマップ例を紹介
カオスマップの基礎知識やビジネスでの活用方法、代表的なカテゴリのカオスマップの事例を解説します。
カオスマップとは
カオスマップとは、企業やサービス、製品などについて、関連するもの同士の関係性やカテゴリーなどを図でまとめたうえで、一覧として表示したものです。
カオスマップという言葉は和製英語であり、英語では「industry landscape map」「industry cloud」などと呼ばれ、こちらを和訳した「業界地図」という呼称も一般的です。
カオスマップはさまざまな調査機関・メディアなどからデジタルマーケティング分野における有用な情報源・調査成果として公表されることが多く、それぞれ特定の業界・サービスに特化して作成されることがほとんどです。特にデジタル広告やデジタルマーケティング系の業界での作成事例が多いものの、インターネット上などでは幅広い産業や分野のカオスマップが提供されています。
カオスマップによって、企業やサービス、製品などの業界内における立ち位置を俯瞰できるほか、特定の業種・業態に参入している企業やサービスの全体像や住み分けの把握が可能となります。
カオスマップは年を追うごとに企業や製品、ブランドのロゴがめまぐるしく入れ替わるのが特徴です。マップ内で記載される分類も出現・消滅を繰り返すことが常であり、また情報量が多く一覧内で小さな図がひしめき合って、一見すると混沌とした印象を受けることから、「カオス(混沌)」と表現されています。
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1枚の図の中で、特定の業種・業態へ参入している様々な企業ロゴやサービスロゴが配置される
カオスマップは、まず1枚の図の中で大カテゴリ、中カテゴリ、小カテゴリに分かれた区分の中で、各企業や製品、サービスのロゴが分類されているのが特徴です。
たとえば大カテゴリが「セールステック」の場合、中カテゴリとして「インサイドセールス」「フィールドセールス」「セールスイネーブルメント」「カスタマーサクセス」「グループウェア」などに分けられます。
さらにそれぞれの中カテゴリのなかに小カテゴリとして「インサイドセールス」なら「MA」「商談ツール」「電話アプリ」などのように区分され、それぞれの小カテゴリの中に該当する企業や製品、サービスのロゴが記載されています。
1枚の図の中にすべての企業や製品、サービスのロゴが描かれることから、細分化されるカテゴリや参入している企業・製品の数が多ければ多いほど、ロゴの大きさは小さくなるのが特徴です。業種や分野によっては、ロゴが点ほどの大きさで散見されるカオスマップも存在します。とはいえインターネット上などでデジタルデータとして配布されている場合は、当然のことながら拡大表示が可能です。
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ひとつのカオスマップで、必ずしも「その市場に参入するすべての企業やサービス」が掲載されているわけではないことに注意
すでに世間に提供・公表されているカオスマップの製作者や制作意図は様々なため、必ずしもカオスマップの客観性が担保されているわけではないことに注意しましょう。ひとつの業種・業態について正確な、あるいは客観的な情報を得たいときには、なるべく複数のカオスマップを確認しつつ、「不足している情報があったり、誤情報が含まれていたりするかもしれない」ということを念頭に置いて、確認することが大切です。
カオスマップに掲載されている企業やサービスの競合を自分自身であらためて検索し、カオスマップ上で不足している情報を補足していくなどの方法もおすすめです。
ビジネス戦略におけるカオスマップ活用
カオスマップは、営業戦略においても活用されています。カオスマップによってビジネス上での全体像と、自社の位置や競合の状況、顧客の心理状態などを可視化できます。可視化した情報から戦略判断がしやすくなり、立案に役立てることが可能です。
カオスマップから得た情報を社内で可視化および共有を行うことで、戦略の一貫性をもたせることもできます。経験や勘に頼らず、情報やデータを活用した客観的な判断を元にした、営業活動が展開できるでしょう。カオスマップを活用することで、ターゲットを絞り込むことによるターゲティング強化や、効果的な提案の立案、ROI(投資対効果)の向上といった、営業活動の効果を最大化させることも可能です。
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自社でのカオスマップの作り方
自社でカオスマップを作成する場合、以下の手順で行います。
・分析対象の企業やサービスについての情報を集める
・評価軸を設定する
・データを整理する
・フォーマットを設定する
・ロゴのマッピングをする
情報収集には、業界レポートや各社のIR資料、市場調査データなどが活用できます。作成ツールとして、マインドマップツール、ホワイトボードツールなどを導入すると、効率的にカオスマップ作成ができるでしょう。
▼マインドマップの書き方や無料のおすすめツールなどは、こちらの記事で詳しく解説しています。
マインドマップの書き方と無料おすすめツールを紹介
【2025年最新版カオスマップの例:1】IT業界
IT業界では、以下のようなカオスマップが作成されています。
・ハニカム(蜂の巣)状のカテゴリをタップまたはクリックすると、小カテゴリとロゴのカオスマップが作成される「B2B IT / SaaSカオスマップ」の事例
https://www.itreview.jp/chaosmap
・国内外の主要92ソリューションを網羅的に把握でき、パートナー選定やマーケティング分析に役立つ「モバイルアプリテクノロジーカオスマップ」の事例
https://www.i3design.jp/download/mobile-app-technology-chaos-map-2025/
・業界の動向整理がしやすい、「2025年版ノーコード開発ツールのカオスマップ」の事例
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2502/19/news077.html
【2025年最新版カオスマップの例:2】飲食業界
飲食業界では、以下のようなカオスマップが作成されています。
・冷凍食品やミールキットなど、選択肢が広がる宅食サービスの中から、消費者が自分に合うサービスの選定や発見につなげることを目的とした「宅食サービスカオスマップ」の事例
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000558.000055900.html
・モール型EC 、 D2C・サブスク・B2Bと多岐にわたる食品EC市場を1枚にまとめることで可視化し、競合や最新トレンド整理にも役立つ「食品ECカオスマップ2025」の事例
https://www.nishinippon.co.jp/item/1323463/
【2025年最新版カオスマップの例:3】不動産業界
不動産業界では、以下のようなカオスマップが作成されています。
・用途やAIカテゴリ別に全82事例を掲載した、「建設・不動産業界AI導入事例カオスマップ 2025」の事例
https://aismiley.co.jp/ai_news/construction-realestate-chaosmap-2025/
・未成熟な空き家市場と、空き家の流通促進に関連するソリューションの全体像を整理した「空き家ビジネスカオスマップ」の事例
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000216.000042601.html
・事業者が状況に応じた適切な入居支援サービス活用を促し、高齢者が賃貸物件を借りにくいという課題の解決につなげる「高齢者向け入居支援サービス カオスマップ 2025年」の事例
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000068855.html
まとめ:カオスマップは利用するサービスの選定時にも、自社商品・サービスの戦略立案時にも有効
カオスマップの基本情報やビジネス戦略での活用方法、作成方法、各業界や分野でのカオスマップ事例などをまとめて紹介しました。
カオスマップは製品やサービス、企業のロゴを1枚にまとめることで業界全体を俯瞰し、利用するパートナー企業やサービスの選定から、自社商品やサービスの戦略立案、営業活動にまで役立てるツールです。カオスマップを活用し、マーケティングや営業活動の効果を最大化しましょう。
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