戦略的なデジタルマーケティングを実践するにあたり、RACE(レイス)モデルをしっかり理解しておきたいと考える方も多いでしょう。モデルの内容をきちんと把握し、実践することでユーザーの購買意欲を促すことが可能です。モデルに従って、購入後もアプローチすれば、リピート率の向上や新規顧客の獲得も期待できます。
この記事では、RACEモデルとは何か、実践するメリットを詳しく解説します。具体的な活用方法や大手企業の成功事例も紹介するので、マーケティングを行う予定の方はぜひご覧ください。
目次
RACEモデルの基本概念
デジタルマーケティングを実践する際に、必ず押さえておきたいのがRACEモデルです。ここでは、RACEモデルとは何か、どのような要素で構成されているのかを解説します。
RACE(レイス)モデルとは
RACEモデルとは、ユーザーのライフサイクルを中心としたフレームワークです。4つの構成要素すべてがユーザーを中心としたものになっており、デジタルツールを最大限に活用するマーケティング手法となっています。RACEモデルは企業規模を問わず実践可能です。まずは、モデルを構成する4つの要素を押さえておきましょう。
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RACEモデルの構成要素
RACEモデルを構成する要素は以下の通りです。
● Reach(リーチ)
● Act(行動)
● Convert(転換)
● Engage(維持)
RACEモデルをもとにマーケティングを展開する際には、それぞれの要素をより詳しく知る必要があります。要素別の特徴の詳細を次で解説します。
RACEモデルの各ステージ
デジタルマーケティング手法のひとつであるRACEモデルは、Reach・Act・Convert・Engageの4つから構成されています。それぞれの要素の特徴を紹介しましょう。
Reach:リーチ
Reachとは、自社ブランドや商品に興味を持ちそうなユーザーに存在を知ってもらうことです。ターゲット層に自社ブランドや商品をアピールするSNSの投稿や広告を見てもらい、ユーザーの興味を引きつけます。
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Act:行動
Actは、ユーザーの購買意欲を促すことです。ブランドや商品に興味を持ったユーザーをWebサイトに誘導し、商品詳細のページを見てもらいます。ブランドや商品を詳しく知ってもらい、商品への購買意欲を促します。
Convert:転換
Convertは、購入見込みから購入者へと転換することです。興味を持っていても、購入に至らないユーザーも多くいます。そこで、気になる商品を安く買えるキャンペーン、クーポンの配布などによって購買意欲を後押しするのがConvertです。見込みから購入への転換を目指します。
Engage:維持
Engageは、商品を購入してくれたユーザーと長期的な関係を築くこと(エンゲージメントマーケティング)です。SNSのフォローやメールマガジンの配信など、購入者にアクションを送り続けることでリピート率の向上が期待できます。ブランドや商品に魅力を感じたユーザーはSNSでアピールしてくれるため、新規ユーザーも獲得できるでしょう。
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RACEモデルを取り入れるメリット
デジタルマーケティングにRACEモデルを取り入れたいけれど、本当に効果があるかどうか、お悩みの方も多いでしょう。ここでは、RACEモデルを取り入れることで得られるメリットを紹介します。
戦略の体系化と全体像の把握ができる
RACEモデルを取り入れることで、デジタル戦略の体系化とマーケティング全体像の把握が可能となります。複雑化しやすいデジタルマーケティングは全体像の把握が難しく、戦略が立てにくい点が課題でした。RACEフレームワークの導入によって要素別の戦略を立てれば、段階別にすべきことをすぐに理解できるでしょう。
効果測定と改善がしやすくなる
要素別にKPIを設定できるため、効果測定と内容の改善がしやすくなる点も魅力です。最終的な目標到達に必要な数字を設定し、戦略を実行して効果測定を行いましょう。設定した数字が届いていない要素があれば、全体ではなく、ステージ別に内容を改善できます。
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リソース配分の最適化が叶う
RACEモデルの要素別に内容を取り決めることで、どこにリソースを割くべきかを判断できます。デジタル戦略の全体像が雑然としていると、どこに時間を割くべきか、何人配置すべきかなどがわかりにくくなりがちです。要素別の内容が明確になっていれば、必要な時間と人員を把握できるため、リソース配分の最適化を実現できます。
顧客体験を重視したマーケティングが実現する
商品やブランドの認知・購入・購入後の関わりまで、一連の顧客体験を重視した戦略を立てることが可能です。商品やブランドによって多少戦略内容を変える必要があるものの、Reach・Act・Convert・Engageの4段階は変わりません。RACEモデルに沿って戦略を立てることで、一貫性のある施策を実現できるでしょう。
営業やカスタマーサクセスなど他部門とも連携しやすくなる
企業全体でRACEモデルを導入すれば、部署間での連携がしやすくなるでしょう。全体的な戦略を立てるのはマーケティング部門でも、Reachの段階では営業部、Engageの段階ではカスタマーサクセス部門が動く必要があります。レームワークを共有しておけば、それぞれの部署が何をすべきかをすぐに把握できるでしょう。
RACEモデルを活用したデジタルマーケティング
RACEモデルを活用したデジタルマーケティングを展開するには、各要素別にすべきことを確認することが重要です。ここでは、段階別のポイントを解説します。
Reach:リーチ
ユーザーに自社ブランドや商品を認知してもらうためにすべきことは、以下の通りです。
● GoogleやSNSへの広告出稿
● SNSへの投稿
● インフルエンサーマーケティング
● メディアを利用した大々的な宣伝
ターゲット層のユーザーが情報に触れる場所を想定し、興味を引く広告やメッセージを投稿しましょう。
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Act:行動
ユーザーに魅力的なブランド、または必要な商品だと思わせるためにすべきことをみていきましょう。
● ブログ記事の投稿や動画の製作
● ランディングページ(LP)の最適化(LPO)
● Webサイトの改善と品質向上
購買意欲を促す記事や動画の作成に加え、サイトを訪れたユーザーが快適に閲覧できるよう品質を向上させます。
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Convert:転換
ユーザーが購入を決意するためにできることは、以下の通りです。
● 購入しやすい環境を整備
● パーソナライゼーション
● リターゲティング
ユーザーが興味を持つ商品をトップページに表示する、商品を購入するプロセスに複雑な手続きを含めない、決済方法を多様化するといった工夫が必要です。
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Engage:維持
商品を購入したユーザーと長期的な関係を築くための行動として、以下の取り組みが考えられます。
● カスタマーサポート/カスタマーサクセスの設置
● ロイヤリティプログラムの導入
● コミュニティの構築
「購入商品の不明点を気軽に質問できる」「購入でポイントがもらえる」などの特典は、ユーザーのリピート率向上につながります。
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RACEモデルの成功事例
デジタルマーケティングを展開し、成功を収めている日本企業は多くあります。ここでは、大手企業2社の事例を紹介しましょう。
ユニクロ
ユニクロは、手軽に購入できるモバイルアプリをメインとした戦略を展開し、成功を収めています。実践したマーケティング戦略をRACEモデルに当てはめてみましょう。
● Reach:ハッシュタグキャンペーン
● Act:着こなし発見アプリ「StyleHint」の導入
● Convert:パーソナライズドレコメンデーションの実施
● Engage:アプリ会員を対象とした特典
SNSを使ってブランド認知度を向上させつつ、モバイルアプリ内に購入へつながる工夫を施しています。認知度の拡大や自社利益アップ、リピート率の向上など、デジタルマーケティングに成功している事例です。
参照:ユニクロ
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ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは、顧客体験を重視した戦略で成功を収めています。どのような戦略を立てたのか、RACEモデルに当てはめてみましょう。
● Reach:SNSでの広告やインフルエンサーの起用、メディアへの露出
● Act:メルマガ登録キャンペーン
● Convert:ファッションアプリ「WEAR」の提供やクーポンの配布
● Engage:レビュー投稿の促進や会員限定イベントの実施
ZOZOTOWNでは、デジタルツールを大いに活用した戦略が立てられています。ユーザーが持つオンラインショップならではの悩みを解消し、購入後の特典も用意することで、利用者数・利用率の向上を実現しました。
参照:ZOZOTOWN
まとめ
RACEモデルは、4つの要素からなるデジタルマーケティングのフレームワークです。自社で立てたマーケティング戦略に必要な作業を要素別に取り入れることで、段階別に何をすればいいかを把握できます。戦略の全体像をすぐに理解できる点も、RACEモデルの魅力です。
デジタルマーケティングを展開していきたいけれど、何から始めればいいか、どのように戦略を立てればいいかわからない方は、RACEモデルを使うことがおすすめです。ここで紹介した段階別の具体例を参考に、自社に最適な戦略を立ててみましょう。