本記事では、従来のマーケティングファネルに代わる新しい成長戦略として注目される「フライホイールモデル」の全貌を解説します。なぜ顧客を満足させるだけでなく、その成功を支援することが、企業が選ばれ続ける真の理由となるのか。その核心を、モデルの基本概念から具体的な実践ガイド、そして国内外の成功事例まで交え、初心者の方にも分かりやすくお伝えしていきます。
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目次
フライホイールモデルとは何かを5分で理解する
この章では、多くのBtoB企業で従来の主流であった「マーケティングファネル」との違いに触れながら、現代のビジネスにおいてなぜ「フライホイールモデル」が重要視されるのか、その基本的な考え方を分かりやすく解説していきます。

マーケティングファネルはもう古い?
かつてのマーケティングや営業活動では、「ファネル」と呼ばれるモデルが一般的でした。これは、漏斗(ろうと)のような形状で、上から「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」へと、見込み客が段階的に絞り込まれていく様子を表したものです。 このモデルでは、いかに多くの見込み客をファネルの入り口に集め、最終的な「購入」というゴールまで導くかが重視されていました。
しかし、このファネルモデルには大きな課題があります。それは、「購入」がプロセスの終点となってしまい、顧客になった後の関係性が考慮されていない点です。エネルギーは常に新規顧客獲得のために上から注がれ、購入に至った顧客はモデルの外に排出されてしまいます。 情報が溢れ、顧客自身がインターネットで容易に比較検討できる現代において、企業からの一方的な情報発信を前提としたこのモデルは、顧客との長期的な関係構築が求められるSaaSビジネスなどでは限界が見え始めています。
| 観点 | マーケティングファネル | フライホイールモデル |
|---|---|---|
| モデルの形状 | 一方向の漏斗(ろうと)型 | 循環する円盤(弾み車)型 |
| 顧客の位置づけ | プロセスの最終的な「成果物」 | 成長の中心にいる「原動力」 |
| エネルギーの考え方 | 新規顧客獲得のために常に投入が必要 | 満足した顧客が新たなエネルギーを生み出す |
| 主なゴール | 購入・契約 | 顧客の成功と、それによる持続的な成長 |
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顧客の成功が自社の成功になるフライホイールモデル
ファネルモデルが抱える課題を解決する新しい概念として登場したのが「フライホイールモデル」です。 フライホイールとは、日本語で「弾み車」を意味し、一度回転させるとその勢いで回り続ける部品のことです。このモデルは、米国のHubSpot社によって提唱され、顧客中心のビジネス成長を実現するフレームワークとして注目されています。 (参考: HubSpot「フライホイール」)
フライホイールモデルの最大の特徴は、顧客を円の中心に置き、その周りを「Attract(惹きつける)」「Engage(信頼関係を築く)」「Delight(満足させる)」という3つのフェーズが絶えず回転し続ける点にあります。 そして最も重要なのは、顧客を満足させ、その成功を支援することで生まれるポジティブな体験(口コミ、紹介、高評価など)が、フライホイールをさらに速く、力強く回転させるエネルギーになるということです。
つまり、顧客はもはや単なる「出口」ではなく、ビジネスを成長させるための最も重要な「エンジン」となります。顧客の成功が自社の成功に直結し、その好循環が企業を持続的な成長へと導くのです。 これこそが、フライホイールモデルが「顧客中心主義の究極形」と呼ばれる理由です。
あなたの会社はどこを目指す?フライホイールモデル導入のメリット
この章では、従来のマーケティングファネルに代わる新たな成長モデルとして注目される「フライホイールモデル」が、貴社にどのような恩恵をもたらすのかを解説します。顧客をビジネスの中心に据えることで生まれる3つの大きなメリットを理解し、自社の目指すべき方向性を見定めていきましょう。

企業の成長スピードを加速させる
フライホイールモデル最大のメリットは、顧客の成功体験そのものを企業の成長エネルギーに転換できる点にあります。従来のファネルモデルでは、顧客を獲得した時点でその関係性が一旦途切れてしまいがちでした。しかし、フライホイールモデルは顧客を「成長の原動力」と捉えます。満足した顧客が生み出す力が、はずみ車(フライホイール)を回すように、ビジネス全体の勢いを増していくのです。
この好循環が生まれ始めると、広告費のような外部からの力だけに頼る必要がなくなります。顧客満足度という内部のエネルギーによって、ビジネスは自律的かつ持続的に成長スピードを上げていくことが可能になります。
口コミや紹介による新規顧客の獲得
製品やサービスに心から満足した顧客は、単なるリピーターに留まりません。彼らは自社の製品を周囲に推奨してくれる「推奨者(プロモーター)」へと変わります。第三者である顧客からのポジティブな口コミや紹介は、企業が発信する広告よりもはるかに高い信頼性を持ちます。
これにより、質の高い見込み客が自然と集まるようになり、結果としてCAC(顧客獲得コスト)を大幅に抑制することが可能になります。 顧客が新たな顧客を呼び込むという理想的なサイクルが、事業の安定的な拡大を支えます。
| 施策の種類 | 具体例 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| オンラインレビュー | 比較サイトやGoogleマップ、SNS上での高評価レビュー | 検討段階にある潜在顧客の意思決定を後押しする |
| 紹介プログラム | 既存顧客が知人を紹介すると特典が得られる制度 | 質の高いリードを低コストで獲得できる |
| 導入事例コンテンツ | 顧客の成功事例を記事や動画で紹介する | 具体的な活用イメージを提供し、信頼性を高める |
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解約率の低下とリピート率の向上
フライホイールモデルでは、顧客を「Delight(満足させる)」フェーズが極めて重要視されます。これは、一度契約して終わりではなく、カスタマーサクセスなどを通じて顧客が製品・サービスを最大限に活用し、成功を実感できるよう継続的に支援し続けることを意味します。
このような能動的な働きかけは、顧客エンゲージメントを高め、チャーンレート(解約率)を効果的に抑制します。顧客との長期的な信頼関係が構築されることで、アップセルやクロスセルの機会も自然と増加し、結果としてLTV(顧客生涯価値)の最大化に直結するのです。 これは、特にSaaSをはじめとするサブスクリプションモデルのビジネスにおいて、収益性を安定させるための生命線となります。
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明日から始めるフライホイールモデル実践ガイド
この章では、フライホイールモデルを構成する3つのフェーズ「Attract」「Engage」「Delight」について、それぞれ明日からでも取り組める具体的な実践方法を解説していきます。自社の状況と照らし合わせながら、どこから着手できるか検討してみましょう。
フェーズ1 Attract 見込み客を惹きつける具体的な方法
Attract(惹きつける)フェーズの目的は、自社のターゲットとなる潜在顧客に対して、彼らが抱える課題やニーズに応える有益な情報を提供し、自社の存在に気づいてもらうことです。売り込みではなく、価値提供を通じて自然に惹きつけることが重要となります。
SEOに強いブログ記事の作成
BtoBマーケターが情報収集する際、まず利用するのが検索エンジンです。そのため、彼らが検索するであろうキーワードで上位表示されるブログ記事は、極めて有効な接点となります。「商談化率 向上」「SaaS LTV」といった具体的な課題や目標に関するキーワードで、実践的なノウハウや課題解決のヒントを提供する質の高いコンテンツを作成しましょう。これはコンテンツマーケティングの基本であり、フライホイールを回し始める最初の力となります。
SNSでの有益な情報発信
ビジネス用途での利用が活発なX(旧Twitter)やFacebook、LinkedInなどを活用し、ブログ記事の更新情報だけでなく、業界の最新ニュースや調査データ、セミナーの案内などを発信します。重要なのは一方的な宣伝で終わらせず、コメントや質問に真摯に回答するなど、見込み客との双方向のコミュニケーションを意識することです。これにより、企業やブランドへの親近感を醸成します。
| 施策 | 目的・ポイント |
|---|---|
| SEOコンテンツ | 潜在顧客の課題解決に役立つ情報を提供し、検索エンジン経由での発見を促す。 |
| SNS | 業界トレンドやノウハウを共有し、見込み客との接点を増やし関係性を構築する。 |
| ホワイトペーパー/eBook | より専門的で深い情報を提供し、質の高い見込み客の連絡先情報を獲得する。 |
関連記事:SNSとは?2025年版の最新一覧:種類・特徴・目的別に徹底比較
フェーズ2 Engage 信頼関係を築くためのアプローチ
Engage(信頼関係を築く)フェーズでは、惹きつけた見込み客との関係を深め、ビジネス上の課題解決を支援するパートナーとしての信頼を構築します。ここでは、一人ひとりの状況に合わせた個別のアプローチが求められます。
チャットボットによる即時対応
Webサイトに訪れた見込み客が抱いた疑問や関心に、24時間365日いつでも即座に対応できるチャットボットは、機会損失を防ぐ上で非常に効果的です。 単純なQ&Aだけでなく、課題に合わせた資料ダウンロードへ誘導したり、必要に応じて有人対応へスムーズに切り替えたりする仕組みが、顧客体験を向上させます。
インサイドセールスによる課題解決支援
Webサイトでの行動履歴や問い合わせ内容から関心度が高いと判断された見込み客に対し、インサイドセールスが能動的にアプローチします。 電話やWeb会議システムを通じて、見込み客が抱える具体的な課題を深くヒアリングし、その解決策として自社製品・サービスを提案します。この段階での目的は売り込むことではなく、あくまで顧客の課題解決を支援する姿勢が信頼獲得の鍵となります。
| 施策 | 目的・ポイント |
|---|---|
| チャットボット/Web接客 | サイト訪問者の疑問に即時対応し、エンゲージメントを高め離脱を防ぐ。 |
| インサイドセールス | 見込み客の課題をヒアリングし、個別最適な解決策を提案して信頼関係を構築する。 |
| メールマーケティング | 見込み客の興味関心に合わせた有益な情報を継続的に提供し、関係を維持・育成する。 |
フェーズ3 Delight 顧客をファンにするための仕組み
Delight(満足させる)フェーズの目的は、既存顧客に製品・サービスを通じて成功体験を提供し、期待を超える満足度を創出することです。満足した顧客は、サービスを継続利用してくれるだけでなく、熱心な推奨者(ファン)となり、新たな顧客を呼び込むフライホイールの強力なエネルギー源となります。
カスタマーサクセス部門の役割
カスタマーサクセスは、問い合わせに対応する受動的なカスタマーサポートとは異なり、顧客のビジネス成功に向けて能動的に働きかける役割を担います。 定期的な活用状況のヒアリングや、新機能の紹介、さらなる成果向上のための活用提案などを通じて、顧客が製品価値を最大限に引き出せるよう伴走します。この活動が解約率の低下とLTVの向上に直結します。
ユーザーコミュニティの運営
顧客同士が活用ノウハウを共有したり、成功事例を学び合ったりできるユーザーコミュニティは、顧客ロイヤルティを高める上で非常に有効です。 オンラインフォーラムや定期的なユーザー会などを通じて、顧客が孤独を感じることなく、他のユーザーと共に成長できる環境を提供します。企業にとっては、製品改善に繋がる貴重なフィードバックを得られる場ともなります。
| 施策 | 目的・ポイント |
|---|---|
| カスタマーサクセス | 能動的なサポートで顧客の成功を支援し、サービスの継続利用とLTV向上を促進する。 |
| ユーザーコミュニティ | 顧客同士の交流を促し、ロイヤルティを高めると共に、製品改善のヒントを得る。 |
| 顧客アンケート/NPS® | 顧客の声を収集・分析し、サービス改善や顧客満足度の向上に活かす。 |
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フライホイールモデル導入でよくある失敗とその対策
この章では、フライホイールモデルを導入し、その効果を最大化しようとする過程で、多くの企業が直面しがちな典型的な失敗例を3つ取り上げます。そして、それらの課題を未然に防ぎ、あるいは乗り越えるための具体的な対策について、詳しく解説していきます。
短期的な成果を求めすぎる
フライホイールモデルは、顧客との長期的な関係を築き、その満足度を企業の成長エネルギーへと変換する考え方です。しかし、従来のマーケティングファネルの視点から抜け出せず、導入後すぐにリード数や売上といった短期的な成果だけを追い求めてしまうと、モデルはうまく機能しません。顧客を「ファン」へと育成する前に関係が途切れ、フライホイールが回転する前に勢いを失ってしまうのです。
この失敗を避けるためには、まず経営層や関連部署に対して、フライホイールモデルが短期的な成果ではなく、LTV(顧客生涯価値)やNPS®(ネット・プロモーター・スコア)といった長期的な指標の向上を目指すものであることを十分に説明し、理解を得ることが不可欠です。その上で、各フェーズにおける適切なKPI(重要業績評価指標)を再設定し、全社で目標に対する共通認識を持つことが成功への鍵となります。
部門間の連携が取れていない
フライホイールモデルでは、「Attract」「Engage」「Delight」の各フェーズがシームレスに連携し、一貫した顧客体験を提供することが極めて重要です。しかし、実際には「マーケティングは集客だけ」「セールスは販売だけ」「サポートは問い合わせ対応だけ」といったように、部門間のサイロ化が顧客体験の分断を招いているケースが少なくありません。これでは、せっかく惹きつけた顧客の期待を裏切り、信頼を損なう原因となります。
対策としては、各部門の役割と連携のポイントを明確に定義し、共有することが有効です。特に、部門間でSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)を締結し、リードの質や対応速度に関する具体的な目標値を定めることで、責任の所在が明確になり、連携がスムーズになります。
| 部門 | 主な役割 | 連携のポイント |
|---|---|---|
| マーケティング | 価値あるコンテンツで潜在顧客を惹きつける (Attract) | セールス部門がアプローチしやすい、質の高いリードの基準を共有し、その基準を満たすリードを創出する。 |
| セールス | 顧客の課題解決を支援し、信頼関係を築く (Engage) | マーケティング部門からのリード情報に基づき、顧客に最適化された提案を行う。また、顧客の生の声をカスタマーサクセス部門に共有する。 |
| カスタマーサクセス | 顧客の成功を支援し、ファンにする (Delight) | 顧客の成功事例や満足度の高い声をマーケティング部門のコンテンツ作成に活かす。また、アップセルやクロスセルの機会をセールス部門に連携する。 |
関連記事:SLAとは?セールス・マーケティングで交わす内容と運用ポイント
顧客データの活用ができていない
フライホイールを力強く回転させるエネルギーの源泉は「顧客」です。顧客一人ひとりを深く理解し、そのニーズや状況に合わせて最適なアプローチを行うためには、顧客データの活用が欠かせません。しかし、データが各部門に散在していたり、そもそも必要なデータが収集・分析されていなかったりするために、勘や経験だけに頼った非効率な施策に終始してしまう失敗は後を絶ちません。
この課題を解決するためには、まずCRM(顧客関係管理)やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)のようなツールを導入し、顧客に関するあらゆる情報を一元的に管理できる基盤を整えることが第一歩です。その上で、収集したデータを分析し、「どのような情報を提供すれば顧客は喜ぶのか」「どのタイミングでアプローチすれば関係が深まるのか」といった仮説を立て、施策を実行・検証するサイクルを回していく文化を組織に根付かせることが重要になります。
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事例で学ぶフライホイールモデルの威力
この章では、理論だけでなく、実際にフライホイールモデルを導入し、目覚ましい成果を上げている国内外の企業事例を具体的に見ていきます。成功の裏側にある戦略を学ぶことで、自社への導入イメージをより明確にしていきましょう。
海外企業の例
HubSpot:提唱者が示す顧客中心の成長エンジン
フライホイールモデルの提唱者であるHubSpotは、自社がその最も優れた実践者です。 同社は、従来のファネル型モデルから脱却し、顧客を成長のエネルギー源と位置づけることで、持続的な成長を遂げています。
その戦略の中心にあるのが、無料でありながら高機能なCRM(顧客関係管理)ツールを提供し、膨大な数の見込み客を惹きつける(Attract)ことです。 ツールを利用する中で顧客が自社の課題に気づき、より高度な機能が必要になったタイミングで、自然な形で有料プランへの移行(Engage)を促します。さらに、豊富な学習コンテンツ「 HubSpot Academy」や手厚いサポート体制を整備することで顧客の成功を支援し、満足度を最大化(Delight)させています。 この満足した顧客が新たな顧客を呼び込むという、まさに理想的な循環を生み出しているのです。
| フェーズ | 具体的な施策 |
|---|---|
| Attract | 無料CRMツールの提供、SEOに強いブログ、ebookなどのコンテンツマーケティング |
| Engage | CRMプラットフォームによる顧客情報の一元管理、インサイドセールスによる課題解決支援 |
| Delight | HubSpot Academyでの学習機会の提供、カスタマーサポート、ユーザーコミュニティの運営 |
Amazon:徹底した顧客体験の追求
Amazonの成長戦略の根幹にも、フライホイールの思想が深く根付いています。 創業者ジェフ・ベゾスが描いた有名なループ図は、顧客体験を起点とした成長サイクルそのものです。 低価格で豊富な品揃えを実現することで、より多くの顧客がサイトを訪れます(Attract)。 顧客数の増加は、より多くのサードパーティ出品者を惹きつけ、品揃えをさらに充実させ、価格競争を促進します。
そして、Amazonプライムに代表される迅速な配送、簡単な返品プロセス、精度の高いレコメンデーション機能といった優れた顧客体験が、顧客満足度を高め、リピート購入と顧客の定着(Engage/Delight)を促します。 この一連のサイクルが強力な遠心力を生み出し、Amazonを世界的な企業へと押し上げたのです。
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日本企業の例
Sansan株式会社:データとコミュニティが生む相乗効果
法人向け名刺管理サービス「Sansan」を提供するSansan株式会社も、フライホイール的な成長モデルを構築しています。同社の特徴は、名刺というビジネス接点を起点に、顧客の成功を多角的に支援している点です。
価値ある調査レポートやオンラインセミナーの開催(Attract)を通じて見込み客を獲得し、インサイドセールスやカスタマーサクセスが顧客の課題解決やDX推進を伴走支援します(Engage)。 さらに、ユーザーカンファレンスや勉強会といったコミュニティ活動(Delight)を積極的に行い、顧客の成功体験を創出しています。これらの成功事例が新たなコンテンツや口コミとなり、次の見込み客を惹きつける力強いエネルギーとなっています。
株式会社SmartHR:ユーザーの声がサービスを進化させる
クラウド人事労務ソフトで急成長を遂げる株式会社SmartHRは、顧客との対話を重視し、それをサービス改善の原動力とするフライホイールを回しています。無料プランや分かりやすいオウンドメディアで人事労務担当者を引きつけ(Attract)、手厚いチャットサポートで導入後のつまずきを解消し、信頼関係を築きます(Engage)。
同社の特筆すべき点は、ユーザーからのフィードバックを積極的に製品開発に反映させる仕組みにあります。 顧客の要望に応える形でタレントマネジメント機能などを次々と追加し、アップセルやクロスセルにつなげています。 顧客が「自分たちの声でサービスが良くなる」という体験をすることがDelightフェーズの核となり、高い顧客満足度と紹介意向を生み出しているのです。
まとめ
本記事では、顧客中心主義を体現する「フライホイールモデル」の全貌について、その基本概念からメリット、具体的な実践方法、そして導入時の注意点までを網羅的に解説しました。顧客の成功を自社の成長の原動力へと転換し、満足した顧客が新たな顧客を呼び込む好循環を生み出すことこそ、現代の企業が選ばれ続ける真の理由です。ぜひ本記事を参考に、貴社の持続的な成長を実現してください。

