企業の成長には、適切なマーケティング施策の実行が必要不可欠です。しかし、マーケティングに必要な分析手法や、どのようなマーケティング手法があるのかが分からない人も多いでしょう。
本記事では、マーケティングを行うにあたって必要な知識を網羅的に解説しています。マーケティングに本腰を入れたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
マーケティングとは
マーケティングとは、「お客様、クライアント、パートナー、そして社会全体にとって価値のある提供物を作成し、伝達し、提供し、交換するための活動、一連の制度、およびプロセス」のことです。
ただし、これは米国マーケティング協会が定義付けたものであり、非常に広義な定義です。そのため、「マーケティング」の言葉を用いる文脈によって、意味は少しずつ異なります。
マーケティングには非常に様々な意味があるものの、顧客へのリーチから、実際に販促を行う一連の流れであると考えておくと良いでしょう。
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マーケティング戦略とは
マーケティング戦略とは、「誰に何を届けるのか」を明確にして、そのうえで行う販促活動のことです。マーケティング戦略において、以下の3点が非常に重要です。
・ セグメンテーション
・ ターゲティング
・ ポジショニング
それぞれ順番に解説します。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、商品を販売する際に、市場を特定の条件によって大まかに分別することです。
セグメンテーションで用いられる条件は、主に下記のとおりです。
・ 年齢
・ 世帯年収
・ 居住地域
なお、セグメンテーションを行うことを、「セグメントする」または「セグメント分けをする」と言います。
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ターゲティング
ターゲティングとは、セグメント分けを行った市場の中から、より細やかに商品・サービスを誰に売るのかを決めることです。
たとえば、上述した3つの属性においてセグメント分けをしたうえで、「20代後半・世帯年収600万円・東京23区に在住」といったようなターゲットを作ります。
これによって、どのような顧客に対して、どのような訴求を行うべきかが明確になります。その結果、効果的なマーケティング施策の実施が実現するのです。
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ポジショニング
ポジショニングとは、市場全体における自社商品の立ち位置を明確にすることです。ポジショニングを決める際は、先述したターゲティングで決定したターゲットに適したものにしましょう。
ターゲットの購買意欲や、心理、競合他社の状況を踏まえて、自社商品を差別化することが大切です。
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7つの主なマーケティング手法
マーケティングの際に用いられる手法は実に多様であり、代表的なマーケティング手法は以下の7つです。
・ STP戦略
・ 3C分析
・ ファイブフォース分析
・ SWOT分析
・ PEST分析
・ バリューチェーン分析
・ 4P分析
それぞれ順番に解説します。
STP戦略
STP戦略とは、先述したセグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングの3つの観点から、自社商品の販促戦略を考えるフレームワークです。
これらの分析を顧客目線で行うことで、商品のプロモーション戦略を適切に立てられるほか、競合他社との差別化のポイントも明確になります。
マーケティング戦略全体で重要となる、ペルソナ設定においてもSTP戦略は非常に重要なので、マーケティング戦略を考える際は、まずSTP戦略を取りましょう。
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3C分析
3C分析とは、以下の3つについて、第三者目線で分析を行うことで、戦略立案を行うことです。
・ Customer(消費者)
・ Company(企業)
・ Competition(競合他社)
上記の3つの分析を行うことで、自社商品が売れている要因や売れていない要因が明確になります。
3C分析では、内的環境と外的環境の分析を同時に行えます。そのため、効率的なマーケティング戦略を立てて、実行することが可能になるのです。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析とは、5つの要素を洗い出し、自社商品を販売するうえでの障壁を明確にする分析手法のことです。
・ 新規参入企業
・ 買い手
・ 売り手
・ 代替品
・ 既存の競合他社
上記の5つの分析を行うことで、自社商品が競合優位性を持っているかどうかを確かめましょう。そのうえで、STP戦略や3C分析の結果を基に、適切なマーケティング施策を立案・実行することで、効率良く商品の販促を行えます。
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SWOT分析
SWOT分析とは、自社商品を取り巻く内部・外部要因の分析を行うことです。SWOT分析では、以下の4つの要素を明確にします。
・ Strength(強み)
・ Weakness(弱み)
・ Opportunity(機会)
・ Threat(脅威)
これらの分析を行ったうえで、内部環境と外部環境の両方を掛け合わせて、適切なマーケティング施策を打つことが大切です。
内部環境と外部環境を掛け合わせ、自社商品の立ち位置や改善点などを洗い出すことを、「クロスSWOT分析」とも言います。
関連記事:SWOT分析とは?現状分析をした上で戦略策定に繋げる方法
PEST分析
PEST分析とは、以下の4要素から自社商品を販売するマクロ環境の状況を分析することです。
・ Politics(政治)
・ Economy(経済)
・ Society(社会)
・ Technology(技術)
PEST分析を行うことで、マクロ環境の状況を把握し、自社でコントロールできないものを明確化します。これによって、より効率的に3C分析やSWOT分析が可能になるのです。
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バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、商品の生産から消費者の手に届くまでの間に、どれほどの価値が付与されているのかを分析することです。
商品が消費者の手に届くまでには、多くの人や企業が介在します。そのなかで、どのプロセスでどれくらいの価値が付与されているのかを確認することで、自社商品の強みや弱みを明確化できるのです。
また、バリューチェーン分析を行うことで、マーケティング戦略を組む際に、どのプロセスに人員や予算などのリソースをかけるべきかが明らかになります。
つまりバリューチェーン分析は、効率の良いリソース投入において、非常に有用なのです。
関連記事:バリューチェーンとは?分析方法や構成要素・活用事例をご紹介
4P分析(マーケティングミックス)
4P分析とは、「何を」「いくらで」「どこで」「どのように」販売するのかを検討する際に用いる、フレームワークのことでマーケティングミックスとも呼ばれます。4P分析では、分析を行う4つの要素は以下のとおりです。
・ Product(商品):どのような商品を提供するのか
・ Price(価格):どれくらいの価格で販売するのか
・ Place(場所):どのような経路で商品を消費者に届けるのか
・ Promotion(販促):どのような手段で、消費者に購入してもらうのか
実際に、商品を販売するマーケティング施策を考えるときに、4P分析を行います。STP分析や3C分析を行ったのちに4P分析を行うことで、マーケティング施策をより具体化できるのです。
関連記事:マーケティングミックス(4P)とは?マーケティング実行戦略の基本を学ぶ
代表的なデジタルマーケティングの種類
現代のマーケティングにおいて、オンライン上でのマーケティング手法である「デジタルマーケティング」は欠かせません。代表的なデジタルマーケティングは、以下のとおりです。
・ Webマーケティング
・ コンテンツマーケティング
・ SNSマーケティング
・ 動画マーケティング
・ メールマーケティング
・ O2Oマーケティング
それぞれ順番に解説します。
Webマーケティング
Webマーケティングとは、Webサイトやオンラインショップなどに顧客を集客し、Web上で販売を行うマーケティング手法のことです。
Webマーケティングでは、Web広告や検索エンジン、その他すべてのWeb媒体を用いて集客および販売を行います。
より多くのユーザーを、販売ページなどに誘導し、購入してもらうための施策を考え、実行することがWebマーケティングの取り組みです。
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コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、広告を利用するのではなく、価値のある情報の発信によって集客や販売を行うマーケティング手法のことです。
SEOやYouTube動画、メールマガジンなどもコンテンツマーケティングの1つといえます。
コンテンツマーケティングの強みは、顧客に有益な情報を与え続けることで、顧客との信頼構築が行えることです。
コンテンツマーケティングでは、一朝一夕で売上に繋がらないデメリットがあるものの、中長期的に安定したリード獲得(リードジェネレーション)を実現できるため、事業の安定化につながるマーケティング手法といえるでしょう。
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSを用いたマーケティング手法のことです。
SNSの利用者が増加しており、SNSが生活の一部として根ざしている現代において、認知の拡大や販売数の増加のために、非常に有効なマーケティング施策といえます。
SNSマーケティングでは、顧客とのライトなコミュニケーションを行えるため、顧客のファン化につなげられます。
費用をかけることなく、顧客との関係性を築ける点は、SNSマーケティングの大きな強みであり、多くの企業が導入している大きな理由でもあるでしょう。
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動画マーケティング
動画マーケティングとは、動画コンテンツを用いて、商品のブランディングや販促活動を行うことです。
動画マーケティングは、YouTubeやTikTokの利用者増加を背景に、非常に注目されているマーケティング施策です。
若者だけではなく、中高年も動画メディアを閲覧する現代において、動画マーケティングは、老若男女問わず広いターゲットに訴求を行えるマーケティング手法といえるでしょう。
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メールマーケティング
メールマーケティングとは、既存のリストに対してメールを送付し、既存リストのファン化や関係構築、商品の購入などを目的として行うマーケティング手法のことです。
SNSマーケティング以上に、1対1の密なコミュニケーションと関係構築を行えることが特徴です。
また、ユーザーの属性などを考慮して、メール内容や送信頻度を変えられるため、顧客によって細やかに戦略を変えられるメリットもあります。
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O2Oマーケティング
O2Oマーケティングとは、「Online to Offline」の略であり、オンラインからオフラインでの購買意欲を高めるマーケティング手法のことです。
Webサイト上にて実店舗で利用できるクーポンを配布したり、SNSを通じて実店舗への来店特典の告知を行ったりすることがO2Oマーケティングにあたります。
デジタルマーケティングが主流となりつつある一方で、店舗型のマーケティングでは必須となるマーケティング手法です。
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まとめ
本記事では、マーケティングを行うにあたって、知っておくべき手法やデジタルマーケティングの種類について解説しました。
適切なマーケティング戦略を取るためには、客観的に自社・他社の分析を行ったうえで、実行するマーケティング手法を決める必要があります。
マーケティング施策を決める際は、本記事で紹介した分析手法やデジタルマーケティングを参考にしてください。