企業のマーケティング戦略を立案する際に重要な要素となる「4C」や「4C分析」。多様化するニーズに対応すべく、顧客目線でマーケティングを行うのが4C、4C分析の特徴です。
企業が取り扱う商品やサービスはどのような問題を解決してくれるのか、顧客にとっての価値がよりいっそう求められている近年において、ビジネス成長を目指すためには4Cをどのように活用すればよいのでしょうか。
本記事では、4Cの基礎的な意味から活用方法、3Cや5C、4Pとの違いまで、詳しく解説します。
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目次
4C分析とは顧客視点によるマーケティングの分析手法である
4C分析は、顧客の視点に立って商品やサービスの販売戦略を考える、マーケティングの分析手法です。市場競争が激化する中で、顧客が商品を選択し購入するまでに大きな影響を与える4つの要素を「4C」と呼びます。これは、「顧客価値(Customer Value)」「顧客のコスト(Cost)」「顧客にとっての利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」の4要素から構成されています。
4C分析は、従来の「4P」という概念から進化したものです。1960年にエドモンド・ジェローム・マッカーシー氏が定義した4Pは、「製品・サービス(Product)」「価格(Price)」「流通チャネル(Place)」「広告・販売促進(Promotion)」の4つの要素を『売り手側の視点』から考えるものでした。一方、4C分析は『顧客側からの目線』で考える手法となります。
この4つの要素を組み合わせることで、ターゲットへの最適なアプローチを検討することができます。4C分析を活用することで、顧客のニーズや価値観をより深く理解し、効果的なマーケティング戦略を立案することが可能となります。顧客中心のアプローチを取ることで、商品やサービスの改善、顧客満足度の向上、そして最終的には売上増加につながる可能性があります。
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4Cの概要
顧客視点から商品・サービスの販売を考える4C分析とは、具体的にどのような考え方なのでしょうか。4つの要素の概要は以下になります。4Cは、マーケティング戦略を立てる上で重要な分析手法の1つです。
- 顧客価値(Customer Value)
- 顧客のコスト(Cost)
- 顧客にとっての利便性(Convenience)
- 顧客とのコミュニケーション(Communication)
これらの4つの要素を総合的に分析することで、顧客のニーズや要望を深く理解し、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。4C分析は、従来の4P分析(Product, Price, Place, Promotion)を顧客視点に置き換えたものであり、現代の顧客中心のビジネス環境により適した手法といえるでしょう。
顧客価値(Customer Value)
顧客が企業の商品やサービスに抱く価値であり、便利さやわかりやすさ、性能などの品質だけではなく、デザインやブランドイメージなど、顧客にもたらすあらゆる価値を指しています。4C分析において、顧客価値は重要な要素の一つです。企業は、顧客が求める真の価値を理解し、それに応える商品やサービスを提供することが求められます。例えば、高性能な製品を開発しても、顧客が求めているのは使いやすさや手軽さかもしれません。顧客視点に立って価値を捉え直すことで、より効果的なマーケティング戦略を立てることができるのです。
顧客のコスト(Cost)
顧客が商品やサービスの価値を得るために支払う費用のことを指します。4Cの観点から、企業が設定した価格が顧客にどのような影響を与えるかを考慮する必要があります。また、その商品やサービスの価値に対して、顧客はいくらまで支払う意思があるかなど、総合的な検討が求められます。ここでは単に金銭的なコストだけでなく、顧客が商品やサービスを入手するまでにかかる時間や労力なども含めて考えることが重要です。4C分析では、顧客視点でこれらのコストを最小化し、顧客満足度を高めることを目指します。
顧客にとっての利便性(Convenience)
商品やサービスの入手方法は顧客が求めるものになっているか、店舗のアクセシビリティー(アクセスのしやすさ)から、ネットショップでの購入のしやすさ、決済方法などを考えます。どのような販売方法を選択すれば購入につながりやすいのか、顧客目線での検討が必要です。例えば、4cとは顧客視点に立った分析手法であるため、顧客にとっての利便性を重視します。オンラインでの注文や配送サービス、店舗での受け取りオプションなど、多様な選択肢を用意することで、顧客満足度を高めることができます。また、決済方法においても、クレジットカードやQRコード決済など、顧客のニーズに合わせた幅広い支払い方法を提供することが重要です。
顧客とのコミュニケーション(Communication)
オンラインやオフライン、対面やイベント、SNSなど、どのようなツールで顧客と接点を持つのか、親しみやすさや良好な関係性について分析します。4Cの考え方に基づき、顧客との効果的なコミュニケーション方法を検討することが重要です。
円滑なコミュニケーションとはどのようなものかを顧客視点で検討し、質問や相談のしやすい関係を構築することがポイントです。また、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、商品やサービスの改善に活かすことで、より深い信頼関係を築くことができます。
4Cは「顧客視点」、4Pは「企業視点」
4Pの「製品・サービス(Product)」では、パッケージデザインから品質まで徹底的に練り上げ、「価格(Price)」や「流通チャネル(Place)」で、仕入れから品ぞろえ、販売範囲や値引き価格までを検討し、「広告・販売促進(Promotion)」では、認知を目的としたアピールを行います。
しかしながら、市場の拡大で競争が激化し、商品やサービスの数が増加した近年において、多くの人に自社商品・サービスを選んで購入してもらうためには、4Cのような顧客目線の概念が必要になりました。4Cは「顧客価値」「顧客のコスト」「顧客にとっての利便性」「顧客とのコミュニケーション」という4つの要素から構成されています。
時代の変化とともに、マーケティングは『企業視点』となる4Pから『顧客視点』である4Cへ軸足を移し、施策の立案・実行を繰り返しながらベネフィット(利益・効果)の最大化を目指していくことになります。4Cを活用することで、顧客のニーズや要望により適切に対応できるようになり、より効果的なマーケティング戦略を立てることが可能となります。
マーケティングの基礎である4Pや4Cの概括的な意味や内容は、マーケティングミックス(購買行動につなげる戦略の組み合わせ)として、十分理解しておきましょう。これらの概念を適切に活用することで、顧客志向のマーケティング戦略を展開し、ビジネスの成功につなげることができます。
関連記事
・4Pとは?マーケティングミックスとも呼ばれる戦略を解説
・マーケティングミックス(4P)とは?マーケティング実行戦略の基本を学ぶ
4C分析と3C、5C分析との違いは?
4C分析を理解する上で、押さえておきたいフレームワークが3C分析と5C分析です。これらは4Cとは異なる要素で構成されているため、その違いを理解することが重要です。4Cに関連する3C、5Cとはどのようなマーケティング理論なのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
4C分析が顧客視点に焦点を当てているのに対し、3C分析と5C分析はより広範な要素を考慮しています。これらの分析手法は、それぞれ異なる視点から市場や企業の状況を評価するため、マーケティング戦略の立案において補完的に活用されることが多いです。
- 3C分析
- 5C分析
これらの分析手法を組み合わせることで、より包括的な市場理解と戦略立案が可能となります。4C分析と併せて活用することで、顧客ニーズと市場環境の両面から効果的なマーケティング施策を検討できるでしょう。
3C分析
3C分析とは「市場や顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの要素をまとめて分析し、成功への必須要因である「KSF(Key Success Factor:重要成功要因)」などを把握するマーケティング手法です。
市場や顧客ニーズを知り、競合他社のシェアや評価を分析、自社の強みや課題などを洗い出すフレームワークとなります。この分析を通じて、4cとは異なる視点から市場を理解することができます。
3Cに「協力者(Co-Operator)」をプラスする「4C」という概念も存在します。協力者とは、企業間同盟などのアライアンスにより、ビジネス強化を図るための要素です。
4C分析には4P分析から派生して誕生したものと、3C分析に新たな要素がプラスされたものの「2種類」が存在すると理解しておきましょう。3C分析は、これらの4C分析の基礎となる重要な分析手法といえます。
5C分析
5C分析とは「市場や顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」「顧客の顧客(Customer's Customer)」「顧客の競合(Customer's Competitor)」という5つの要素からなるフレームワークです。
基本的には3C分析から派生したものといわれ、顧客から見て妥当性があるかを判断する「顧客の顧客(Customer's Customer)」や、業界全体を広義で捉える「顧客の競合(Customer's Competitor)」の代わりに、「社会背景(Context)」や「協力者(Collaborator)」をプラスする概念も存在します。4C分析との要素の違いを知っておきましょう。
5C分析は、より広範囲な視点から市場を分析することができるため、4Cとは異なる洞察を得られる可能性があります。例えば、「顧客の顧客」を考慮することで、最終消費者のニーズをより深く理解し、自社の製品やサービスの価値提案を洗練させることができます。また、「顧客の競合」を分析することで、市場全体の動向や潜在的な脅威をより包括的に把握することが可能となります。
4C分析を行うことで得られるメリット
4C分析を実施することで、企業は顧客視点に立ったマーケティング戦略を展開できるようになります。これにより、以下のような具体的なメリットが得られます。
- 顧客が求める商品やサービスを提供できる
- 競合他社との差別化ができる
- 付加価値を提供できる
4C分析は、顧客のニーズや価値観を深く理解することを可能にします。これにより、企業は市場の要求に合致した製品やサービスを開発し、提供することができます。また、顧客との効果的なコミュニケーションを図ることで、ブランドロイヤリティを高め、長期的な顧客関係を構築することができます。
さらに、4C分析を通じて得られた洞察は、競合他社との差別化を図る上で重要な役割を果たします。顧客の真のニーズを把握することで、他社にはない独自の価値提案を行うことが可能となり、市場での競争優位性を確立することができます。
加えて、4C分析は新たな付加価値の創出にも寄与します。顧客の視点から商品やサービスを見直すことで、これまで気づかなかった改善点や新たな機能の追加など、付加価値を生み出すアイデアを発見できる可能性が高まります。
このように、4C分析は企業のマーケティング活動に多面的な利点をもたらし、顧客満足度の向上と業績の改善に貢献する有効なツールとなります。
関連記事:現代のマーケティングで重要ポイントとなる「ロイヤリティ」とは? 具体的な戦略・成功事例とともに解説
顧客が求める商品やサービスを提供できる
4C分析は顧客目線から商品やサービスについて分析を行います。顧客にとって価値があるもの、そして顧客が求めているものなど、顧客のニーズに対応した商品やサービスを企画・開発することがマーケティング戦略の前提となります。この分析を通じて、顧客の潜在的なニーズや要望を把握し、それらに適合した製品開発が可能になります。
この分析を行うことで、大々的に広告を打たなくても、インターネット検索などで顧客側から見つけてくれる可能性が高くなり、商品やサービスを受け入れてもらいやすくなる、などのメリットが得られます。また、4C分析を活用することで、顧客満足度の向上や、リピート購入の増加にもつながり、長期的な顧客関係の構築に貢献します。さらに、顧客視点に立った分析は、市場での競争優位性を確立する上でも重要な役割を果たします。
競合他社との差別化ができる
顧客ニーズに対応した商品やサービスの中には、競合他社には真似できない自社独自の技術やテクニックが盛り込まれることも多くあります。
4C分析を通じて顧客視点で商品・サービスを見直すことで、他社にはない自社独自の技術やテクニックを見出せる可能性があります。これらは顧客にとって「オンリーワン」の価値を提供することになり、顧客から「この企業のこの商品でなければダメだ」と慕われれば、競合他社との差別化に成功したことになります。
例えば、顧客とのコミュニケーション(Communication)の面で独自のアプローチを取ることで、競合他社にはない関係性を構築できるかもしれません。こうした差別化戦略を通じて、市場での競争優位性を確立することができるのです。
付加価値を提供できる
4C分析によって顧客ニーズに対応した商品やサービスを開発していく中で、新たな付加価値を発見することもあります。付加価値とは開発した商品やサービスに、さらに独自の価値を加えることです。
開発した商品やサービスに自社が独自に保有する技術やテクニックを搭載することで、競合他社には真似できないオリジナルの機能や特徴をプラスすることができます。これにより、顧客満足度の向上や競争力の強化につながります。
4C分析ではこういった自社でできること、できないことも明確になり、付加価値を提供できることにもつながります。また、4Cの観点から顧客視点で分析することで、顧客が本当に求めている価値を見出し、それに基づいた付加価値の提供が可能となります。
4C分析をはじめとしたマーケティング分析を行う必要性が高まっています。これは、インターネットの普及により個人レベルで様々な情報収集が可能になったことで、従来のようなマス広告主体の宣伝戦略では十分な効果が見込めなくなったためです。
現代の企業は、綿密なマーケティング分析を実施し、顧客ニーズに適合した商品やサービスを提供することが求められています。特に4Cの観点から顧客価値を分析することで、より効果的なマーケティング戦略を立案できます。
マーケティング分析を行うことで得られる主なメリットは以下の通りです。
- 客観的に自社の現状を把握できる
- PDCAサイクルを効果的に回すことができ、継続的な改善が可能になる
- 新商品や新サービスの企画・開発に活用できる
- 顧客ニーズの変化や市場トレンドをいち早く捉えられる
- 競合他社との差別化ポイントを明確にできる
これらのメリットを活かすことで、企業は市場環境の変化に柔軟に対応し、持続的な成長を実現することができます。マーケティング分析は、ビジネスの成功に不可欠な要素となっているのです。
客観的に自社の現状を把握できる
4C分析などのマーケティング分析を行うことで、マクロとミクロの両方の視点から、市場環境や自社を取り巻く競合他社の状況、自社の立ち位置など総合的に分析を行うことができます。これにより、第三者的な目線から自社が置かれている状況や現状を客観的に把握できるようになります。4Cの要素である顧客価値、顧客のコスト、顧客にとっての利便性、顧客とのコミュニケーションの観点から自社を見つめ直すことで、より深い洞察が得られます。
自社の状態を正確に把握することで、自社の強みと弱みが明確になり、課題を特定しやすくなります。これにより、悪い状況を打開するための具体的な対策を講じることができるようになります。また、客観的な分析結果は、経営陣や他部署との情報共有や意思決定の根拠としても活用できるため、組織全体の方向性を定める上でも重要な役割を果たします。
PDCAを回しやすくなり改善点を把握できる
PDCAは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(測定・評価)」「Action(対策・改善)」のことで、これらのサイクルを繰り返し行うことで、業務内容を改善していく手法です。4C分析を含むマーケティング分析を実施することで、PDCAサイクルをより効果的に回すことができます。
基本的にPDCAは回せば回すほど、明確に改善点が浮き彫りになっていき、業務効率の向上につなげられます。マーケティング分析を行えば、自社の弱みも見つけられ、PDCAを回しやすくなります。例えば、4C分析で顧客価値(Customer Value)を明確にすることで、その価値に基づいた計画(Plan)を立てやすくなります。
また、顧客とのコミュニケーション(Communication)の分析結果を活用することで、実行(Do)段階での顧客とのやり取りをより効果的に行えます。さらに、顧客のコスト(Cost)や利便性(Convenience)の分析結果を用いて、より適切な測定・評価(Check)を行うことができ、具体的な改善点を把握しやすくなります。
このように、4C分析を活用したPDCAサイクルの実践により、顧客視点に基づいた継続的な改善が可能となり、マーケティング戦略の最適化につながります。
関連記事:PDCAとは!時代遅れといわれる理由やOODAとの違いについて解説!
新商品や新サービスの企画・開発の際にも有効
マーケティング分析を行うことで、自社の強みを新たに見つけられる場合もあります。これは4C分析においても同様です。
先述しましたが、自社の強みは、他社には真似できない自社独自の技術やテクニックとなることもあり、これが付加価値を提供できることにもつながります。例えば、顧客価値(Customer Value)の観点から、既存の製品にはない新しい機能や特徴を発見し、それを新商品に盛り込むことができるかもしれません。
また、顧客とのコミュニケーション(Communication)を分析することで、顧客が本当に求めているものや、潜在的なニーズを把握することができます。これらの洞察は、新商品や新サービスの企画・開発において非常に重要な役割を果たします。
さらに、顧客のコスト(Cost)や利便性(Convenience)の分析結果を活用することで、新商品やサービスの価格設定や提供方法を最適化することができます。
このように、4C分析はマーケティング戦略全体に有効なだけでなく、新たな製品やサービスの創出にも大きく貢献する可能性があります。それゆえ、新商品や新サービスの企画・開発段階から4C分析を活用することで、より顧客志向の製品開発が可能となり、市場での成功確率を高めることができるのです。
4P分析と4C分析の手法
4P分析と4C分析は、マーケティング戦略を立案する上で重要な分析手法です。これらの手法を使うことで、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。ここでは、BtoB分野を前提にした「プリンター」販売の企業を具体例として挙げ、4Pと4Cそれぞれの分析手法について詳しく解説していきます。
4P分析は企業視点から製品やサービスを分析する手法であり、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の4つの要素に着目します。一方、4C分析は顧客視点から分析を行う手法で、Customer Value(顧客価値)、Cost(経費)、Convenience(顧客利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つの要素を考慮します。
これら2つの分析手法を組み合わせることで、より包括的なマーケティング戦略を立案することができます。例えば、4P分析で自社の強みを明確にし、4C分析で顧客のニーズや価値観を把握することで、顧客満足度の高い製品やサービスを提供することが可能になります。
マーケティング担当者は、これらの分析手法を適切に活用することで、市場での競争優位性を確保し、効果的な販売戦略を立てることができるでしょう。以下では、4P分析と4C分析のそれぞれについて、より詳細に解説していきます。
4P分析
実際に4P分析ではどうなるのでしょうか。
以下の項目を一つずつ見ながら、マーケティング戦略を立案します。
・製品(Product)
自社製品の強みとするところをメインにして、マーケティングの前面に押し出すことになるでしょう。
従来の製品からどのようにパワーアップしたのか、自社の商品開発の核となる部分を強調します。顧客が求めているかは関係なく、自社でのアピールどころを考えます。
・価格(Price)
他社競合の価格を見ながら、決定することになります。製品の原価や利益率、市場での価格帯なども考慮に入れます。
・流通(Place)
自社のコストを抑えるような流通を考えていくことになります。効率的な物流システムや販売チャネルの選択が重要です。
・販促(Promotion)
顧客のライフタイムバリューを考えながら、どこまで広告費をかけることができるかを割り出し、販促を行っていきます。4Cとは異なり、企業視点での広告戦略を立てることになります。
4P分析は、企業側の視点から製品やサービスの戦略を検討するため、顧客ニーズを直接反映させにくいという特徴があります。しかし、自社の強みを明確にし、効率的なマーケティング活動を行う上では有効なフレームワークといえるでしょう。
4C分析
4C分析とは、「顧客価値(Customer Value)」「顧客のコスト(Cost)」「顧客にとっての利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」の4要素から、頭文字のCを取って4Cと表すマーケティング理論です。これは『顧客側からの目線』で考える分析手法となります。
4つの要点を組み合わせて、ターゲットへの最適なアプローチを検討します。4Cの各要素は以下のように詳しく説明できます:
- 顧客価値(Customer Value): 顧客が商品やサービスに感じる価値。便利さ、性能、品質だけでなく、デザインやブランドイメージなども含まれます。
- 顧客のコスト(Cost): 顧客が価値を得るために支払う費用。単なる価格だけでなく、顧客にとっての総合的なコストを考慮します。
- 顧客にとっての利便性(Convenience): 商品やサービスの入手のしやすさ。店舗のアクセシビリティーやオンラインでの購入のしやすさ、決済方法なども含みます。
- 顧客とのコミュニケーション(Communication): 顧客との接点の持ち方。オンライン、オフライン、SNSなど、様々なチャネルを通じた顧客とのコミュニケーション方法を検討します。
4C分析を実施することで、顧客中心のマーケティング戦略を立案し、顧客ニーズに合った商品やサービスの提供が可能になります。これにより、競合他社との差別化や付加価値の創出につながり、ビジネスの成功確率を高めることができます。
4C分析の活用方法と分析を実施するタイミング
4Cの概要を理解した後、自社のマーケティング活動に4C分析をどのように組み込むべきか疑問に思う担当者も少なくないでしょう。4C分析は、顧客視点に立ったマーケティング戦略を立案する上で非常に有効なツールです。その主な活用方法として、以下の3つが挙げられます。
- 新商品・サービスに活用
- 既存商品・既存サービスに活用
- 競合他社の分析に活用
これらの活用方法を通じて、顧客ニーズを的確に捉え、より効果的なマーケティング施策を展開することが可能となります。4C分析を実施するタイミングとしては、新製品の開発段階や既存製品のリニューアル時、市場環境の変化が見られた際など、顧客との接点を見直す必要がある場面が適しています。定期的に4C分析を行うことで、常に顧客視点を意識したマーケティング活動を展開できるでしょう。
新商品・サービスに活用
4C分析は、新商品やサービスの開発・導入時に特に効果を発揮します。顧客視点に立った分析を行うことで、ターゲット層のニーズや価値観を深く理解し、より魅力的な商品やサービスを生み出すことができます。例えば、新しいプリンターを開発する際に、4C分析を活用することで、顧客が求める機能や使いやすさ、コストパフォーマンスなどを的確に把握し、競合他社との差別化を図ることができます。また、4C分析を通じて得られた洞察は、製品設計だけでなく、価格設定やマーケティングコミュニケーション戦略の立案にも活用できるため、新商品・サービスの成功確率を高めることにつながります。
既存商品・既存サービスに活用
企業が扱う既存の商品・サービスは、長年取り扱っている商品であればあるほど、時間の経過や社会環境の変化などによって、現在の顧客ニーズとかけ離れてしまうことがあります。
最初の企画段階ではカスタマージャーニーを設定し、ターゲット層にフィットしていたとしても、定期的に見直し・改善を行う必要があるでしょう。
また、自社のヒット商品などに4Cを照らし合わせて、顧客になぜ選ばれたのかを解析することもおすすめです。
特に、リニューアルで再販売するときや売り上げが下がっている商品・サービスの分析には4Cを活用してみましょう。
競合他社の分析に活用
市場調査により競合他社を決定し、そのブランド力や戦略を分析することは重要です。
自社の商品・サービスに魅力や価値があったとしても、他企業が同等のものを販売していたり、よりよいものを取り扱っていたりする場合は、競争に打ち勝つための施策が必要になるでしょう。
マーケティング戦略を練り上げ、他社との競争を優位なものにするためには、4C分析を他社との比較に活用する方法があります。
競合他社は売り上げも含め現在どのような状況にあるのか、ターゲット層からニーズまで、詳しく分析しましょう。
4C分析の注意点とは?
企業が4C分析を実践する際に、押さえておきたい注意点があります。フレームワークを効果的に使用し、アイデアや施策を打ち出すためには、以下の点に気をつけましょう。
● STP分析を行い、ターゲットを明確化する
● 顧客視点から離れない
STP分析を行い、ターゲットを明確化する
4C分析を行う際には、販売戦略の精度を高める「STP分析」が欠かせません。
STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション:市場の細分化)」「Targeting(ターゲティング:市場の決定)」「Positioning(ポジショニング:立ち位置の明確化)」の略称で、ニーズの市場を把握し、自社がどこでどのような価値を提供するかを明確化させるマーケティング手法です。
STP分析ができていない状態では、正確な4C分析は行えません。市場を細分化して絞り込み、自社商品やサービスを必要とするニーズを熟知してから4C分析を行うようにしましょう。
関連記事
・【初心者でも簡単】ターゲット マーケティングの始め方|3ステップで進めるSTP分析を徹底解説
・STP分析のすべて┃メリット、やり方、活用事例、注意点まで解説
・マーケティング初心者がおさえるべき「STP分析」をわかりやすく解説します!
顧客視点から離れない
4C分析では、マーケティング戦略を顧客視点で決定することが必須です。
商品・サービスの開発者や作成者の主観が反映されすぎると、4C分析をしていたつもりが、いつの間にか4P分析へと傾いていることが少なくありません。
常に顧客視点から離れず、価値や魅力を提供することがポイントです。
事業分析に役立つフレームワーク
先に挙げたSTP分析以外にも、事業分析に役立つフレームワークには主に以下のような分析法があります。
● PEST分析
● SWOT分析
● バリューチェーン
● PPM分析
PEST分析
PEST分析とは、以下の4要因の頭文字をとったフレームワークです。
● Politics:政治的要因
● Economy:経済的要因
● Society:社会的要因
● Technology:技術的要因
PEST分析は、自社ではコントロールできないマクロ環境を分析するときに用いられる手法です。マクロ環境を分析することで、自社が参入しようとする市場の状態が良好なのか、そうでないのかが分かり、参入するべきか否かの判断ができるようになります。
また、当該市場が成長期なのか衰退期なのか過渡期なのか、などの状況把握もできます。
PEST分析については下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
関連記事:PEST分析とは?戦略に活かす分析のやり方や具体例を解説
PEST分析パワポテンプレート×6パターン【HRサービス企業の分析事例付き】
このテンプレートは、マーケティングに関する企画や提案資料の作成に携わる皆さまのために作成しました。 市場や競合環境を分析し、自社の事業戦略を立てる上で欠かせない「PEST分析」。 …
SWOT分析
SWOT分析とは、以下の4要素の頭文字をとったフレームワークです。
● Strength:強み(内部環境)
● Weakness:弱み(内部環境)
● Opportunity:機会(外部環境)
● Threat:脅威(外部環境)
SWOT分析では自社の強みや弱みを把握でき、市場動向や経済情勢における自社の立ち位置などから、自社が置かれている現状を分析することができます。
大手企業でも自社の現状や市場トレンドを把握するため、このフレームワークを取り入れています。
SWOT分析については下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
関連記事
・SWOT分析とは?やり方や事例、注意点をわかりやすく解説
・SWOT分析とは?やり方や分析例を図とテンプレート付きで簡単に
バリューチェーン
バリューチェーンは「バリュー=価値」と「チェーン=連鎖」を合わせた単語で「価値を連鎖させる」という意味を持ちます。プロセスごとに個別で発生する価値を連鎖させて、ひとつの大きい付加価値にしようという考え方です。
バリューチェーンについては下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
関連記事:バリューチェーンとは?マイケル・ポーターが提唱した概念と分析方法をわかりやすく
PPM分析
PPM分析は「Product Portfolio Management(プロダクトポートフォリオマネジメント)」の略称で、自社のプロダクトを以下の4つのポジションに分配し、自社経営資源の投資配分を判断するフレームワークです。
● 花形(Star)
● 金のなる木(Cash Cow)
● 問題児(Problem Child)
● 負け犬(Dog)
PPM分析は、貴重な経営資源を「必要とするフェーズに必要な分だけ適切に投入する」ために行う分析法です。
「市場成長率」と「市場占有率(マーケットシェア)」の2軸から自社商品やサービスを分類することで、投資配分先に優先順位をつけ、事業継続か撤退か、といった経営判断がしやすくなります。
PPM分析については下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
PPM分析とは? マーケティングにおけるフレームワークを解説
PPM分析(プロダクトポートフォリオマネジメント分析)は、企業の製品やサービスの戦略的位置づけを評価し、経営資源の最適な配分を決定するための強力なツールです。この手法は、市場成長率…
PPM分析のテンプレート付き資料もありますので、ぜひダウンロードして自社のPPM分析にご活用ください。
【テンプレート付き】 PPM分析のやり方・手順まとめ資料
PPM分析とは、市場成長率と市場占有率(マーケットシェア)の2軸からなる座標の上で、自社の事業や製品、サービスなどを分類して、経営資源の投資分配を判断するための分析手法です。 各プ…
まとめ
ビジネスが複雑化し、さまざまな企業が事業を拡大している近年の市場において、4C分析は欠かせないフレームワークといえます。
4Cの特徴である顧客視点からマーケティング戦略を導き出すことで、自社の魅力や強み、また解消すべき課題などの新たな気づきが生まれるはずです。
自社の商品やサービスを納得して購入してもらうための経営戦略として、また、他社の状況を含めた現状分析を行うためのマーケティング手法として、4C分析を有効に活用しましょう。

